- 更新日 : 2026年3月27日
監督者責任とは?監督義務者の責任と意味をわかりやすく解説
故意または過失によって他人に損害を与えた場合は、賠償責任を負うことがあります。賠償責任は行為を行った本人が負うのが原則ですが、直接危害を加えていない方に「監督者責任(監督義務者の責任)」が問われるケースもあります。
特に、小さな子どもや高齢者が身近にいる方は監督者責任について理解し、どのような場合に責任が追及をされ得るのか把握しておくことが大切です。
監督者責任とは
「監督者責任」とは、損害を発生させた本人を監督すべき地位にある者が負う責任のことです。
本来は損害を発生させた本人が損害賠償の責任を負うべきですが、その者に責任を追及するのが妥当ではないケースや、十分な救済が得られないケースがあるため、監督者に対して責任を追及することが認められています。
例えば未成年者は、ある程度の判断能力が備わっていなければ賠償責任を負わないことが民法で定められています。成年者であっても、精神上の障害によって判断能力を欠いていると評価された場合は、同様に賠償責任を負わないと定められています。しかし、それでは被害者が賠償請求による救済を受けることができなくなります。そこで、民法第714条第1項に監督者責任の規定が設けられています。
(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
引用:民法|e-Gov法令検索
同条第1項にある「前二条の規定」とは、前述の「未成年者等が一定の場合賠償責任を負わない」とする規定のことです。
この規定のポイントをまとめると、以下のようになります。
- 監督義務者と評価される場合は、その者が直接危害を加えていなくても賠償責任を負う
- 「監督の義務を怠っていない」または「義務を果たしたかどうかとは関係なく損害が生じた」のであれば、賠償責任を免れ得る
- 上の事由に関する挙証責任は監督義務者にある
本来、不法行為に関する挙証責任は被害者側にあります。簡単にいえば、被害者が「あの人が行った行為によって私に損害が生じた」ことを証明しなければならないということです。しかし、監督者責任に関しては挙証責任が監督義務者に転換されており、賠償義務を負わないことについて監督義務者が証明しなければなりません。
監督者責任を負う監督義務者の範囲
民法第714条第1項では、「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に監督者責任が生じるとしています。監督する法定の義務を負う者の代表例は、親権者などです。
ただし、監督者責任を負うのは常にこれらの者だけに限定されるわけではありません。「監督義務者に準ずべき者」と評価され、監督者責任を問われることもあります。
以下のような事項を判断材料として評価されるので、身近に責任能力を持たない人がいる場合は注意が必要です。
- 本人の生活状況や心身の状態、日常生活における問題行動の有無や内容
- 親族関係の有無、その関係性の深さ
- 同居の有無、日常的な接触の有無とその程度
- 本人の財産への関与の状況
- 監護・介護の実態
これらを鑑みて、「現に監督していた」または「容易に監督することが可能であった」といえる場合は、監督義務者に準ずる者と評価される可能性が高くなります。
子に関する親の監督者責任について
子に関する親の監督者責任について注意が必要なのは、「子が責任能力を持たないときに限って親が監督者責任を負う」わけではないことです。
民法714条は補充的にその責任を認めており、子が責任能力を持たない場合に親の責任を追及することで、被害者救済をカバーするのが狙いです。「責任能力を持つ子が行った行為については親への責任追及ができない」という旨を規定した条文ではありません。
その場合は714条によって補充的に親の責任が生じるのではなく、親の監督義務違反が理由で損害が生じたとして一般的な不法行為(民法709条)の責任問題となります(監督義務違反と損害に因果関係がなければ認められない)。
また、子に責任能力がある以上、子に対する損害賠償請求も可能であり、両責任は併存し両者は連帯債務関係に立つこととなります。
なお、責任能力の有無については画一的な判断ができませんが、おおむね12歳ほどで備わるものと考えられています。
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ビジネス場面での監督に関する責任
ビジネスにおいても、監督に関して責任問題が生じることがあります。
例えば、部下を監督すべき立場にあった上司の責任などです。
監督者責任とは異なり、法的な不法行為責任ではありませんが、企業内で部下が起こした不祥事について上司の管理監督者責任を追及し、懲戒処分が下されることがあります。前項までで説明した民法上の監督者責任とは異なり、就業規則等を根拠規定とする社内での責任問題です。
そのため、監督権限を持つ上司等に対して責任を問うのであれば、あらかじめ就業規則において懲戒事由および処分の内容を定めておく必要があります。具体的懲戒事由を掲げず、また懲戒事由への該当性も検討せず処分することのないようにしなければなりません。
特に解雇を行う場合は、相応の理由が必要です。生じた損害等が甚大であること、また管理監督の義務違反が故意に近いと認められるほど、重大な過失であることが必要になるでしょう。
監督者責任に対する理解を深め、監督義務者として責務を全うしましょう
監督義務を負う方は、その責任の重さを理解することが大切です。自分が危害を加えていなくても、損害賠償請求を受けることがあるからです。監督の対象に責任能力が備わっていない場合はもちろん、十分な判断能力があり責任能力が備わっていたとしても、連帯責任を問われる可能性があります。
何より、監督が行き届いていないことによって被害者を出すことは避けなくてはならないため、監督義務者は自分の行動以外にも留意し、責務を全うするようにしましょう。
よくある質問
監督者責任とは何ですか?
監督義務を負う者が、監督対象となる本人が行った行為について負う責任のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
監督義務者にはどのような人が該当しますか?
親権者や後見人、その他実質的に監督すべき立場にある方も該当し得ます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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