- 作成日 : 2025年3月3日
認印と実印の違いは?同じにしてもいい?使ってはいけない場面や注意点も解説
認印とは、書類の中身を確認・了承する意思を表す際に用いる印章です。似たものに実印がありますが、認印と実印は、使用する場面や法的効力などに違いがあります。この記事では、認印と実印の違い、どの場面でどちらの印鑑を使うのか、実印を使う場合の注意点などについて解説します。
目次
認印とは
認印とは、役所に登録をしていない印鑑のことで、名前の通り「内容を認めた、確認した」という意味合いで使われる印鑑です。一方で、役所に登録をしている印鑑は実印といいます。
行政手続きではここ数年、押印省略の流れがあり、以前と比べると認印を押す機会は減りましたが、日常の手続きでは現在でもよく使われています。
認印が必要な場面
認印が必要な場面は、婚姻届や出生届の提出、銀行口座の開設、保険の契約手続き、社内文書の内容確認などが挙げられます。
また最近は、置き配などにより宅配便の受取の際に印鑑が不要となることも多いですが、個人情報の取り扱いに注意を要する郵便物の受取や書留郵便などでは、依然として印鑑を求められることがあります。どれも比較的身近な場面のため、ほとんどの方が手続きや荷物の受取の際に認印を押したことがあるでしょう。
認印にシャチハタは使用できる?
認印としてシャチハタを使用することはできます。ただし、公的な手続きなどの場合はシャチハタが不可とされることもあるため注意が必要です。例えば、出生届や婚姻届などの役所へ提出する公的な手続きや保険の契約手続きなどは、シャチハタが不可とされることがあります。
一方で、荷物や郵便物の受取、社内の書類の確認などの比較的簡易な場面ではシャチハタでも問題ありません。
朱肉が必要なくスタンプ式で簡単に押すことのできるシャチハタですが、使用する場面によって使い分ける必要があります。
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実印とは
実印とは、市町村の役場に届出をした印鑑のことです。役場に届出をした印鑑は印鑑登録がされ、印鑑登録証明の交付が可能となります。
また、実印は本人の意思による契約であることを証明する信用度が認印よりも強く、重要な契約などの場面で用いられることが多くなります。
実印が必要な場面
実印が必要な場面の具体例としては、自動車や不動産の購入、住宅ローンの契約、生命保険への加入などが挙げられます。
これらの手続きは、比較的大きな金額の契約となる場面が多く、個人の権利や財産などにも影響を与えることなどから実印が必要とされています。
また、実印と同時に印鑑登録証明書の提出を求められることもあります。実印と印鑑登録証明をあわせて提出することにより、その取引や契約が本人の意思に基づくものであることを証明できます。
実印を使ってはいけない場面はある?
法令などのルール上、実印を使ってはいけない場面というものはありません。ただし、実印は金額の大きな契約など、重要な場面で押すことが一般的です。安易に何にでも実印を押す行為は避けたほうが良いでしょう。
実印を使うべきではない場面の例としては、金額が空欄の請求書や具体的な事項が記載されていない契約書などです。
このような書類に実印を押してしまうと、思わぬトラブルや多額の負債を抱えてしまうリスクが生じます。実印は、本人が内容に同意したことを証明する手段として認印よりも強い信用度を有するものであるため、押印の際には内容をよく確認して押すようにしましょう。
認印と実印の違い
認印と実印の大きな違いは、役所に届出をした印鑑かどうかです。認印は、日常的な荷物の受取などに使用されるため、特段の届出はなく使用できます。
一方で、実印は住民票の登録住所の市町村役場に届出をし、印鑑登録をする必要があります。これらの手続きを踏んで公的に認められたものを実印といいます。
実印と認印には所有できる条件にも違いがあります。認印は1人で複数本、所有することもあります。しかし実印として登録できるのは1人につき1つと決められており、複数の実印を持つことはできません。
また、認印は誰でも所有することが可能ですが、実印を保有できるのは原則として15歳以上とされており、誰でも持てるわけではない点も大きな違いです。
認印と実印を同じにしてもいい?
認印と実印を同じ印鑑とすることは、理論上は可能ですがトラブル防止などの点からおすすめはできません。それぞれ別の印鑑として管理することが望ましいです。
認印と実印を同じにするメリット
認印と実印を同じ印鑑にすることはおすすめできませんが、あえて認印と実印を同じにした場合のメリットを挙げると、大きく以下の2つがあります。
- どちらが実印か迷うことがなくなる
- 印鑑を作成(購入)するコストが抑えられる
認印と実印が同じであれば、どちらが実印でどちらが認印か迷うことはなくなります。また、印鑑を複数持つ必要がないため、印鑑を購入するコストを抑えることができます。
認印と実印を同じにするデメリット
認印と実印を同じにした場合、紛失した際に生じるリスクや、実印を悪用されてしまうなどのデメリットがあります。
認印は比較的日常的な場面で使用するのに対し、実印は重要な取引で使用するものです。
荷物の受取や社内文書の確認などで頻繁に使用していると、どこかで紛失してしまうことが考えられます。実印を紛失した場合は、登録をした役場で実印の廃止の届出をし、新たに実印を登録し直すなどの手間がかかります。
また、知らない間に実印を勝手に使われて契約を結ばされたり、連帯保証人にされたりしてしまうことも考えられます。
同じ印鑑を使用していれば管理やコストカットなどの点では便利ですが、それ以上にデメリットが大きいです。認印と実印はそれぞれ使い分けるほうが良いでしょう。
認印と実印を作成するときに注意すべきポイント
認印と実印いずれにおいても、作成するには印鑑のサイズや材質などいくつか注意すべき点があります。
ここでは認印、実印それぞれを作成する際のポイントを解説していきます。
材質
認印は、日常生活でも使用頻度の高い印鑑のため、欠けにくい丈夫な材質のものが良いでしょう。ただし、実印のように正式に登録をする印鑑ではないため、そこまで高価なものでなくても問題ありません。
一方で実印は、盗難や紛失などがない限り、一度登録すると長い間使い続けるものです。そのため、耐久性の高いものが良いでしょう。印鑑の素材には、木製や天然石などさまざまなものがありますが、欠けにくさや耐久、耐熱性の点から考えるとチタンがおすすめです。
サイズ
認印の大きさについては特に決められていません。一般的には10.5mmほどがよく使用されています。
一方で実印は、市町村役場で登録をする印鑑であり、多くの自治体において、実印のサイズは「8mmの正方形に収まらず、25mmの正方形からはみ出さないもの」と決められています。また、認印よりも少し大きなサイズを選ぶことが一般的で、15mm程度のものがよく使われています。
文字
実印、認印ともに文字は縦書きのものが一般的です。また、苗字のみでもフルネームでも作成ができます。
どちらで作成しても問題はありませんが、認印は苗字のみ、実印はフルネームといったように分けておくと、どちらか迷うことはなくなるためわかりやすいでしょう。
書体
認印も実印も書体については特に規定はされていませんが、認印は使用頻度の高い印鑑であるため読みやすい書体が良いでしょう。主な書式としては、行書体や楷書体などが比較的よく使われています。
実印は、認印と異なり重要な場面で使用するものです。偽造や悪用されることを考えると、認印よりも複雑な書体のほうがリスクを軽減できます。
印相体や篆書体などは、少し複雑な書体となっていますが、セキュリティーや偽造されにくいといった点ではおすすめです。
実印と銀行印の違いはある?
銀行印とは、銀行の口座を開設する際に金融機関に届出をする印鑑のことです。
銀行の窓口で預金を引き出す際などにも使われる銀行印は、実印と同じく非常に大事な印鑑ですが、それぞれ別の印鑑を使用することをおすすめします。
実印と銀行印を同じにするリスク
実印と銀行印を同じにすることには、大きなリスクがあります。
印鑑を紛失したり盗難にあったりした場合に、悪用されることがあります。また、紛失や盗難などがあると、印鑑を作り直したり登録し直したりする手間もかかります。
また、印鑑を偽造されてしまうと知らない間に契約を結ばれてしまい、多額の負債を抱えてしまうことも考えられます。これは認印と実印を同じ印鑑にした場合と同様のリスクといえます。印鑑は、それぞれ用途に応じて使い分けるほうが良いでしょう。
実印と銀行印を同じにしてしまった場合の対処法
実印と銀行印を同じにしてしまった場合は、どちらかの印鑑を別の印鑑に変更する必要があります。
実印を変更する場合は、現在登録されている印鑑を廃止し、新たに印鑑を登録する手続きが必要です。市町村役場で印鑑の変更(改印)手続きを行います。
銀行印を変更する場合は、銀行の窓口で印鑑の変更手続きを行います。金融機関によって手続き方法は異なりますが、一般的には通帳や新たに登録する印鑑、身分証明書などを窓口に持参し、新たな印鑑を届け出ることになります。
実印、銀行印いずれの変更の場合も時間や手間がかかるため、最初からそれぞれ印鑑を分けておくほうが良いでしょう。
認印、実印、銀行印はそれぞれ用途によって使い分ける
印鑑には認印、実印、銀行印などがありますが、使用する場面によって使い分けることが重要です。
異なる場面で同じ印鑑を使用することは、コスト面や印鑑の管理という面ではメリットがあります。しかし、それ以上に紛失、盗難の際に生じる悪用や偽造のリスクのほうが大きいといえます。
また、紛失や盗難の際には新たに印鑑を作成したり、再登録したりするなどの手間がかかります。
それぞれの場面で印鑑を使い分け、管理することで思わぬトラブルや被害から身を守ることができます。印鑑の作成、登録の際には同じ印鑑を使い回さないように注意しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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