• 作成日 : 2023年3月24日

契約交渉を上手に進めるには – コツや注意点を解説!

契約交渉を上手に進めるには - コツや注意点を解説!

取引先との契約交渉にあたって、法務担当は自社に不利益にならないよう注意しつつ、相手の主張にも配慮しなければなりません。

本記事では、契約交渉を上手に進めるための流れや注意点などを解説します。必要に応じて弁護士に依頼しつつ、今後のビジネスに有益となる契約成立を目指しましょう。

契約交渉とは?

契約交渉とは、取引先となる社外の会社や事業者との間で条件のすり合わせを行い、取引開始前にあらかじめ契約書にまとめ、合意しておくまでの一連の過程をいいます。

契約では取引の目的となる商品やサービスの内容、価格のほか、万が一問題が発生した際の対処方法などについても決める必要があります。民法上は、一方が契約の申込みを行って相手方がそれを承諾すれば、契約は成立します(民法522条1項)。また、契約には「方式の自由」があるため、「申込み」と「承諾」の意思表示があれば、契約書を作成しなくてもその場で契約は成立します(民法522条2項)。

契約交渉の進め方

ビジネスにおいて、契約交渉は自社の今後を左右する重要な過程です。契約で有利な立場を獲得できれば、今後の事業も進めやすくなります。しかし、ビジネスの場での契約交渉に苦手意識をもつ方も多いでしょう。

以下では、新しい取引相手との契約交渉過程について解説しつつ、各過程での交渉のコツや使えるスキルについて解説します。契約交渉に自信がない方は、ぜひ参考にしてみてください。

根拠資料の準備

交渉に入る前に、自社側が要望する条件の根拠となる資料を準備します。

自社側が売主の場合、提示する金額、製品の仕様やロット、納期など、なぜその条件でなければならないのかを取引相手に納得してもらう必要があります。逆に買主の場合、取引相手が提示する条件が妥当かどうかの判断をしなければなりません。

判断する際に重要となるのが根拠資料です。公的機関が公開している情報や、機器メーカーが提供する仕様など、信頼に足る情報を示すことで自社の主張に説得力が生まれます。

情報は可能な限り多く集めておきましょう。情報収集を十分に行っているという事実そのものが、取引相手による仮定や誤認を前提とした議論の牽制にもつながります。

交渉の環境整備

契約交渉の環境を整えることも重要です。

最も分かりやすいのが、事前リハーサルです。本番で緊張しないため、資料の不備に気づくため、本番を想定したリハーサルが有効でしょう。

交渉する時間の確保も大切です。交渉の時間に制限があると、契約を急ぎたい場合に妥協点を低く設定しかねません。十分な時間が取れるように、スケジュール調整も疎かにしないことです。

契約書案の提示

契約書のドラフト(草稿案)は自社で作って提示しましょう。自社で作成する際には、基準を高く設定します。初めに高く設定しておくことで、交渉にあたって譲歩している姿勢を示しやすくなるからです。

契約書を調整して合意

こちらから契約書のドラフトを提示し、相手からの修正や希望などを調整したあとに、正式な契約書として双方が合意します。その際、当初提示した契約書案から修正した部分がわかりやすいようにしておきましょう。

データでやりとりした場合は、変更履歴をオンにして修正することで、相手にも修正箇所を確認してもらうことが可能です 。変更箇所に注意し、お互いに合意できたら契約成立です。契約書のドラフトを修正する方法については、下記記事で解説しています。

契約交渉を進める上での注意点

契約書締結までの交渉は、相手方と対面して行うケースもあれば、オンラインミーティングやメールのやりとりなどで直接は顔を合わせずに行うケースもあります。いずれの方法でも契約交渉は、自社が取引上不利にならないよう、以下の点に注意をしつつ慎重に進めなければなりません。

不明点を残さない

相手の発言の理由や背景事情などを明らかにして、あいまいな要素を残さないよう、内容を徹底的にすり合わせておきましょう。相手の真意がはっきりわからないまま契約を締結すると、あとで「本当はこういう意味だったのに」という思い違いが生じ、将来的に当事者関係に不満が生じやすくなります。

契約の目的は自社の利益だけでなく、両者の良好な関係を維持して利益を生み出すためでもあります。そのためには契約締結前にお互いの不明点をつぶしていくことが必要です。

数字を正確に記載する

数字が含まれた項目は契約書締結前に必ず再確認しておきましょう。とくに金額や数量、日付は何度もチェックし、可能であれば社内の複数人で確認するようにしましょう。数量や金額の桁を間違えて記入してしまうと、会社に大きな損失を与えかねません。

また、当事者間の認識にズレが生じないよう、交渉は口頭だけで行わずに必ずメールや文書を作成し、お互いに数字を確認しながら契約を進めましょう。

具体案を提示する

交渉が行き詰まったときや調整が必要なときは、こちらから具体的な案を提示し、再度相手が検討しやすいようにしましょう。

時には譲歩することも必要です。契約交渉は、自分たちの利益だけを取ろうとしてもうまくいきません。長期的に良好な関係を維持するためにも、相手の利益になることを交渉内容に取り入れ、互譲の精神でWin-Winな関係を目指しましょう。

相手方が作成した契約書案は念入りにチェック

状況によっては、相手から契約書案が提示される場合もあります。その場合、必ず契約書の中身を入念にチェックしなければなりません。相手が作成した契約書は、相手方に有利に作成されていることを念頭に、とくに以下のような条項に注意して確認することが大切です。

  • 契約違反に対する違約金を課す条項
  • 契約違反時、相手の損害賠償額の上限を定める条項
  • 一方的な契約解除を定める条項
  • 著作権などの知的財産権放棄条項

自社に不利な条項であれば、ためらわずに修正を申し入れましょう。不利な条項があるか判断がつかない場合には、弁護士などの企業間契約に精通した専門家に相談し、アドバイスを受けましょう。

契約交渉の最終チェックは専門家に依頼しよう

新しい取引先との契約交渉の際は、リスクを回避するため必ず事前に取引相手を調べてから交渉に臨みましょう。契約書の草稿はまずは自社で基準を高く設定したものを作成したものを提示し、相手の要望によって部分的に修正していくことで、自社に有利な条件で契約をまとめやすくなります。

ただし、一方のみに有利になる条件で契約を締結することは、長く安定した取引の妨げになるでしょう。時には譲歩することも必要です。

最終的に契約書を締結する際には、自社に不利な条項がないか、不安な場合は積極的に専門家である弁護士からのアドバイスを受けましょう。

よくある質問

契約交渉とは何ですか?

契約交渉とは、新しく取引する相手と条件面でのすり合わせを行い、実際の取引開始前に契約書にまとめるまでの過程をいいます。詳しくはこちらをご覧ください。

契約交渉はどのような流れで進めますか?

事前に契約相手を調査したあと、ヒアリングを行い、お互いに条件面などで合意ができれば契約書を締結して取引を開始します。詳しくはこちらをご覧ください。


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