- 更新日 : 2024年9月11日
営業プロセスは可視化が大切|可視化のメリットと各プロセスを解説
営業プロセスとは、営業活動全体の過程(プロセス)を表す言葉です。営業プロセスを定めて、業務全体を可視化すれば、各営業担当者の現状を把握しやすくなり、ノウハウの共有やボトルネックの特定が容易になります。そのため、営業生産性を強化し、効率化するのに欠かせません。
この記事では、営業プロセスの定義や各フェーズの解説、可視化のメリットについて詳しく紹介します。
目次
営業プロセスとは?
営業プロセスとは、見込み顧客(リード)との商談開始から受注にいたるまでの、営業活動全体の過程を指す言葉です。
営業プロセスの形で営業活動を管理すれば、個々の営業担当者が各案件でどの段階まで取引を進めているかを可視化できます。また、営業担当者が各プロセスでどのようなノウハウを活用して対応しているのか、どのプロセスにボトルネックがあるのかを客観的に判断可能です。結果として、ブラックボックス化・属人化しがちな営業活動の実態を共有し、営業組織全体を強化でき、売上アップにつながるでしょう。
なお、営業プロセスと混同されがちな言葉に、営業フローや商談プロセスがあります。
営業プロセスと商談プロセスの違い
商談プロセスとは、営業プロセスの中でも「顧客アプローチ」や「ヒアリング」といった、商談にかかわる過程を細分化した言葉です。商談は営業プロセスの中でも特に複雑になりやすいため、商談だけを切り分けた商談プロセスが活用されます。 |
営業プロセスと営業フローの違い
営業フローとは、営業活動の各過程を掘り下げて、それぞれの過程で各担当者がやるべきタスクを可視化することです。営業プロセスが全体の過程を俯瞰的に見て、課題やノウハウを共有するのに対して、営業フローでは個々の過程について「何をするべきか」に重きを置く点が異なります。 |
営業プロセスの各フェーズを紹介
営業プロセスは、各過程をどの程度の粒度で細分化するかによってフェーズ数が変わります。ただし、あまりにも粒度が細かいと全体を確認しづらくなり、粒度が大きすぎると各過程の可視化が難しくなる点に注意しましょう。
また、顧客が法人などの組織であるBtoBと、顧客が個人であるBtoCでは、購買プロセスが異なるため、営業プロセスに大きな違いがあります。
以下では、一例としてBtoBの営業プロセスを5つのフェーズに分けて解説します。
リードの選定
マーケティング部門が獲得した見込み顧客(リード)のうち、購買意欲の高そうなホットリードを顧客分析を活用して選び出し、アプローチする相手を決めるフェーズです。顧客の過去の購買行動や、ホワイトペーパーのダウンロード回数、展示会での態度などに基づいて、ホットリードを選びましょう。この、リードを選定する作業を「リードクオリフィケーション」と呼びます。
リードクオリフィケーションの際に有効なのが、スコアリングです。スコアリングとは、リードの属性や行動に応じて、各リードに点数を付ける手法です。スコアの付け方の例としては、「メールマガジンに登録したら5点」「過去に類似製品を購入しているなら3点」などが挙げられます。
スコアリングの際は、リードが一定の点数を超えたならアポイントメントのプロセスに移る、といったルールを決めましょう。営業部門が担当すべきホットリードと、それ以外の見込み顧客を分けることで、営業部門とマーケ部門の双方の業務効率化が進みます。
アポイントメントの獲得
ホットリードになった顧客に対して、営業部門がアポイントメントを取るフェーズです。アポの取り方は電話やメール、SNSメッセージなどが一般的です。アポイントメントは直接顧客との最初の接点となるため、好印象を与えられるかどうかで商談フェーズに進めるかどうかが変わってきます。
アポを取る目的は、商談フェーズに移るための日程調整です。営業担当者側が、いつ・どこで、どのような形で商談をしたいか伝え、顧客とすり合わせるのがこのフェーズでとるべき行動です。
アポ取りの際には、事前に顧客となる法人についてリサーチしておき、相手のビジネスモデルや抱えている課題について把握しておくのが重要です。
また、自社商品やサービスについての期待値に合わせて対応を変えるとよいでしょう。例えば、顧客側が「サービスについてまずは一度話を聞いてみたい」という温度感の場合、成約を急ぐような伝え方は相手を困惑させる恐れがあります。対して、すぐに解決したい課題を抱えているなどの理由で商品への期待度が高い顧客に対しては、営業担当者側も迅速に動くことが求められます。
商談
商談フェーズでは、取引開始に向けて顧客と自社の商品やサービスについて話し合います。顧客が商品やサービスに期待していることや、不安に感じていることをヒアリングし、魅力を伝えつつ、不安を解消するのがこのフェーズの目的です。
商談フェーズではまず、商品やサービスによってどういった課題を解決したいのか、将来的にどうしたいのか、といった点を聞いた上で方向性をすり合わせます。次に、顧客の抱える課題や目標に合った商品やサービスを提案します。
クロージングのフェーズに向けて、商談フェーズではできるだけ具体的で説得力のある情報を伝えるのが重要です。特にBtoBでは、意思決定までの時間が長い分、BtoCのように顧客が衝動買いすることはまずありません。過去の事例や商品・サービスのデータに基づき、いかに客観的に魅力を伝えられるかが重要です。
また、BtoBにおいては商談フェーズの担当者と意思決定者が違うケースが多くあります。その場合は特に、担当者以外の第三者に対しても商品やサービスの魅力が伝わるよう、資料などを準備しておきましょう。
クロージング
クロージングは商談相手の意思決定を促し、成約に至るフェーズです。商談フェーズでうまく提案できていたとしても、クロージングフェーズで相手の不安や疑問を解消できていなければ、失注する可能性もあります。
クロージングフェーズをさらに細分化すると、一般的に3つのフェーズがあります。
商談の中で得られた相手の希望や疑問、目標に基づいた質問をし、商談相手が商品やサービスにどの程度興味を持っているかを測るフェーズです。反応が良ければ次のクロージングフェーズへ進み、反応が悪ければ再び商談フェーズに戻って相手の悩みを解消します。
顧客の反応が良く、契約したいという意思が確認できれば、本番のクロージングフェーズに移ります。このフェーズでは、相手から「契約したい」という言葉を引き出すのが目的です。はっきりと契約したいという意思があるか尋ねるほか、複数のプランがある商品やサービスの場合はどれを選びたいのか問いかけましょう。
顧客との契約を締結するフェーズです。契約条件や金額、納期などについて、お互いの認識に齟齬がないかを確認し、成約に至るのが目的です。顧客が後から契約内容について疑問や不安を感じないよう、細かい点までサポートするのが重要です。 |
関係構築
顧客と長期間良好な関係を構築するために、アプローチをするフェーズです。特に顧客との成約までの期間が長くなりやすいBtoBの営業プロセスでは重要度が高くなります。
関係構築フェーズには、見込み顧客を対象にしたものと商談後の成約相手を対象にしたものがありますが、営業部門が担当するのは通常商談後の制約相手です。制約相手を担当にした関係構築は、「営業フォロー」や「後追い営業」とも呼ばれます。
営業フォローは、商談後にお礼メールを送ったり、電話やWeb会議システムで商品やサービスの満足度について尋ねたりするのが一般的です。
営業フォローはあまりにも頻繁に行うと嫌がる顧客が多い一方で、フォローが少なすぎると顧客が不安に感じます。そのため、成約後一定の期間をおいて自動的にフォローメールを送る、SFA(営業支援システム)などを使ってフォローが必要な顧客を可視化する、といった手法を取るとよいでしょう。
営業プロセスを可視化するメリットは?
営業活動をプロセス化し、各フェーズを可視化することは、過去の「KKD(勘、経験、度胸)」に頼った、属人化しやすい営業活動から脱却するチャンスです。各営業マネージャーだけでなく、案件を担当する営業パーソンにとっても多くのメリットがあります。
以下では、営業プロセスを可視化するメリットについて解説します。
営業の仕事を標準化できる
営業プロセスを可視化するメリットは、成果を上げている営業社員の行動に基づいて、業務を標準化できることです。
営業活動は個々の担当者の裁量に任される部分が多く、加えて人対人の活動です。組織によっては、営業社員ごとに営業プロセスが異なるケースもあります。結果として、特定の営業担当者でなければできない業務が生まれるなど、ブラックボックス化が起きます。業務対応のために休めない社員が発生する、退職した社員の業務を引き継げないなどの問題が発生するでしょう。
営業プロセスを可視化すれば、決まった営業プロセスの下で、それぞれの営業担当者が同じ対応を取れるようになります。社内全体でナレッジやノウハウを共有して属人化やブラックボックス化を防げるだけでなく、業務の偏りを防いだり、希望した日に休みやすくなったりする効果にも期待できます。
問題点を洗い出せる
営業プロセスを可視化すれば、各フェーズにボトルネックがないかを見つけられます。同じ「営業活動の成功率が低い」という課題を抱えていても、営業担当者ごとに原因は異なります。
例えば、アポ取りの際に断れる確率が高い営業担当者と、クロージングフェーズで市中している営業担当者では、リカバリー方法が違うでしょう。しかし、営業プロセスを可視化していない場合、「成功率が低い」という結果しか見えてこないため、適切な改善が行いにくくなります。
可視化によって「どの営業担当者が、どのフェーズで問題を抱えているのか」を洗い出しやすくなり、事前にボトルネックを解消可能です。
人材育成につながる
可視化によって業務を標準化すれば、優秀な営業担当者の持つ営業スキルを社内で共有できます。新人の営業担当者や成果を出せていない営業担当者でも、標準化された業務の中でノウハウやナレッジを活用することで、素早い成長につながります。
また、プロセスを標準化すれば、新入社員教育の際に各フェーズでどういった行動をとればよいのか教えやすくなり、教育コストを押さえられる点もメリットです。
結果として、チーム全体の営業力をアップできるでしょう。
営業プロセスを可視化する方法
営業プロセスの可視化は、今後営業活動を標準化・効率化する上で必須です。現場の各担当者とともに、3つのステップを踏んで可視化を進めていくとよいでしょう。
各ステップについて、詳しくは以下の通りです。
自社の営業プロセスを定義する
まずは大まかな営業の流れにもとづいて、自社の営業プロセスを定義しましょう。営業活動を振り返り、各担当者がどういった流れで業務を進めていくかを確認し、各フェーズに分けてください。
定義と言っても、厳密に営業の過程を分類するのが目的ではありません。あくまでも自社の営業活動を分けることで、円滑化するのが目的です。あまり細分化しすぎず、自社に合った形でフェーズを当てはめていくのが大切です。
現場のメンバーが確認する
営業プロセスの定義ができたなら、営業担当者と話し合いながら業務についてまとめていきましょう。定義した段階では、各担当者が行っている細かなアクションまで拾えていません。担当者の声なしで営業プロセスを決めると、営業活動の実態と乖離した営業プロセスができ、プロセスを作った意味がなくなります。
営業担当者が多忙でヒアリングが難しい場合は、聞き取りシートに質問事項を記載し、手の空いたタイミングで記入してもらいましょう。
他部門と協力体制を作る
営業プロセスを決定する際には、営業の前工程や後工程を担当する部門と折衝し、他部門と協力するのが重要です。前後の部門が行っている業務プロセスと、新たに決めた営業プロセスが異なる場合、業務が円滑に進みません。特に分業化が十分でないならば、標準化に合わせて業務の切り分けも行ってください。
例えば、営業部門とマーケ部門の職務分掌があいまいになっていると、「このプロセスは営業の業務なのか、マーケの業務なのか」という疑問が生まれます。その場合、双方の部門にヒアリングした上で、互いの業務範囲を明確にしましょう。
営業管理のテンプレート(無料)
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営業プロセスの可視化はツールと併用しよう
営業プロセスの可視化は、営業活動の標準化を進め、問題点を洗い出して組織全体の営業力を底上げするために重要です。営業部門の各担当者や、その他の部門とも協力して、自社の営業プロセスを定義づけ、標準化を進めましょう。
また、標準化する際には、SFAツールなどを導入し、プロセスをシステムに取り込むのが重要です。営業活動に特化したツールであれば、各担当者が営業プロセスのどのフェーズにいるか、どういったアプローチをしたかを簡単に可視化できます。加えて、フォローメール配信などの業務を自動化でき、業務効率化につながります。
ツールの活用によって、営業管理も容易になり、営業プロセスを可視化するメリットを大きくできるでしょう。
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