- 更新日 : 2025年10月10日
ピーターの法則とは?創造的無能、組織への影響や回避方法をわかりやすく解説!
ピーターの法則とは、人材は昇進を重ねることで無能化し、最終的には組織全体が無能な集団になるという法則です。無能化が起こる原因には、降格のない昇進・昇格制度があげられます。
今回はピーターの法則の意味や生じる理由、組織への影響などをわかりやすく解説します。関連するディルバートの法則やハロー効果もみていきましょう。
目次
ピーターの法則とは
ピーターの法則とは、活躍が認められて高い地位に昇進したものの、次のポストでは期待された活躍ができなくなるという法則です。アメリカの教育学者であるローレンス・J・ピーター氏が1960年代に提唱しました。
能力主義の組織では能力の限界まで出世できるものの、昇進することで「無能」という状態になり、最終的にはどのポストも一定の地位にとどまるしかない無能な人材ばかりになってしまいます。そしていずれは、組織全体が無能な集団となってしまうという内容です。
ピーターの法則は組織の隠れた真実を暴く法則として、現代でも注目されています。
創造的無能とは
ピーターの法則によれば、有能な人材は能力の限界まで出世し、そのポジションで無能化するといわれています。無能となった人材はそのポジションにとどまり、組織運営は、まだ限界に到達せず能力を失っていない人材によって進められていくということです。
この法則で無能化しないために、昇進を辞退して現在の地位にとどまることが推奨されています。昇進を断ることで、いつまでも無能化せずに活躍できるためです。しかし、そのためには自らを「無能」と取り繕う必要があり、法則ではこのことを「創造的無能」と呼びます。
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ピーターの法則が生じる理由
ピーターの法則により無能化してしまう理由には、昇進・昇格制度に「降格」がないこと、人事評価で無能な上司に評価されているということがあげられます。
それぞれ、詳しくみていきましょう。
昇進・昇格制度に「降格」がない
ピーターの法則が発動して能力がなくなってしまうのは、昇進・昇格制度に降格の基準がなく、一度昇格してしまえば降格しないシステムであることが理由のひとつです。
制度のもとで人材は各ポストごとに評価され、昇進していきます。現在の地位で有能と評価されれば、次の段階に昇進するでしょう。昇進後の地位で評価されなければそれ以上昇格せず、無能化します。
一定のポジションに落ちつけば、たとえ成果を上げていなくても、その地位から降格することはありません。自己を成長させようという意識がなくなり、そのような管理職がポストを占めることで、組織全体が能力を失うことになります。
無能な上司が評価を実施している
ピーターの法則が生じるもうひとつの理由は、能力のない上司が人事の評価を行っていることです。 上司は部下を正しく評価できないため、その役職にふさわしくない人材を昇進させたり、ふさわしい人材を昇格させずにその能力を活かせなかったりします。
能力のない管理職が力を持つ組織では、役職にふさわしくない人材が昇進し続けることにもなりかねません。
ピーターの法則が組織に及ぼす影響
ピーターの法則が発生することで、組織には次のような影響が及びます。
- 生産性の低下
- 優秀な人材の流出
具体的な内容をみていきましょう。
生産性の低下
ピーターの法則が生じることで、これまで優秀だった人材が無能化していきます。上司が無能なチームは大きな成果が上がらず、生産性の低下や業績の低迷を招くことになるでしょう。
例えば、営業で優秀な成績を上げていた人材が活躍を評価されて管理職になった場合、マネジメント能力が不足するために無力化してしまうこともあります。部下をまとめられない管理職となり、チームの生産性を下げてしまうことにもなりかねません。
優秀な人材の流出
ピーターの法則では、無能化を防いで有能な人材であり続けるため、昇進しないように実力を発揮しない「創造的無能」を選ぶべきとされています。
しかし、創造的無能は実力があるにもかかわらず評価されない結果となり、ストレスが発生しやすくなります。昇給しないことも不満に感じるでしょう。結果として離職を選び、優秀な人材の流出につながる可能性が高いです。
ピーターの法則を回避する方法
ピーターの法則を回避するには、昇進前に研修制度を設けたり、昇進後に無能になった場合には降格させる仕組みをつくったりすることがあげられます。管理職にはならずに昇給だけするという方法もあります。
ここでは、ピーターの法則を回避する方法をみていきましょう。
研修を実施する
昇進後に無能化するのを避けるためには、昇進前の研修制度を設けるという方法があります。昇進する役職にふさわしいスキル・知識を身につけられるよう、教育の場を設けることで、新しい役職で活躍できる能力を身につけられます。
研修制度を設けることで、昇進がゴールだという認識をあらため、自分に足りないものを自覚してもらうことができるでしょう。
降格させる仕組みをつくる
昇進後に無能となった場合、降格させる仕組みをつくることも大切です。降格の要件を定めておくことで、期待された役割を果たせなければ降格されるという危機感を与えられます。
実際に降格人事を発令することは、現実的になかなか難しいかもしれません。しかし、明確な降格要件があることで、現在の地位に安住せずに成長に向けた意識を維持しやすくなります。
昇格しなくても昇給させる
無能化を避けるには昇進を避ける「創造的無能」の選択肢もありますが、成果を上げても給与が上がらないのはモチベーションの低下を招きます。そのため、昇格せず職務内容を変えないで昇給するという制度を設け、給与をアップするという方法が効果的です。
地位はそのままで昇給のみを行うことで、モチベーションを保ちながら無能化を回避できます。
一定の成果を出した場合など、地位は変わらないが給与が上がる判断基準を設けるとよいでしょう。
ピーターの法則と関連する法則
ピーターの法則には、関連した法則があります。一緒に覚えておけば、ピーターの法則への理解が深まるでしょう。
ここでは、関連する3つの法則を解説します。
ディルバートの法則
ディルバートの法則とは、組織の損害を抑えるため、あえて無能な者を意図的に昇進させるという法則です。「ディルバート」という漫画のキャラクターが名前の由来となっています。
組織の生産的な活動を担うのは下層部に属する人材であり、上層部は生産性に寄与しないという考え方です。
生産性に貢献しない無能な人材をはじめから管理職におくことで、生産性を上げる社員の邪魔をせず、組織への悪影響を回避できると考えます。
ピーターの法則は優秀な人材が限界まで昇進して能力がなくなるという法則ですが、ディルバートはもともと無能である人材を昇進させる点が異なります。
パーキンソンの法則
パーキンソンの法則は、次の2つの法則で構成されています。
- 第1の法則:仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて使うまで膨張し続ける
- 第2の法則:支出の額は、収入の額に達するまで膨張し続ける
第1の法則は、人材の数を増やしても何かしらの仕事が新たにできて、1人あたりの仕事量は減少しないという意味です。
第2の法則は、収入が増えてもその分支出も増え、結局お金が貯まるわけではないことを表しています。
ピーターの法則は能力の限界まで、パーキンソンの法則は時間・収入を限界まで使い果たすという点で、人が持つ共通の性質を示していると考えられます。
ハロー効果
ハロー効果とは、ある事柄を評価する際、その一部の特徴に引きずられて全体の評価をしてしまうことです。
例えば、人事評価で一部の評価が高いと、それに引きずられて全体を高く評価してしまうことがあげられます。反対に、ある一部の評価が低ければ、全体を低く評価してしまうこともあります。
人事評価でハロー効果が起こると、人材を誤った評価により昇進させてしまい、組織がピーターの法則に陥る原因になるでしょう。
ピーターの法則について解説した本
ピーターの法則について理解するためには、提唱者の著書を読むのもおすすめです。
ここでは、ピーターの法則の理解に役立つ2冊の著作を紹介します。
【新装版】ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由
ピーターの法則の提唱者であるローレンス・J・ピーター氏が法則について解説した著作です。組織では多くの人が、いずれは無能化してしまうというピーターの法則の内容が記載されています。
「管理職の空中浮遊」「職業的機械反応」「終点到達症候群」などユニークな言葉を使い、組織にまつわる真実を明らかにした1冊です。
ピーターの法則 創造的無能のすすめ
こちらも提唱者であるピーター氏の著作です。あらゆるポストは職責を果たせない無能な人によって占められ,、仕事はまだ無能レベルに達していない人によって行われているという禁断の真実を解き明かしています。
組織の本質を暴いた書物として、高い評価を受けています。会社で昇進することについて、あらためて考えさせられる書物です。
ピーターの法則を理解して組織運営に役立てよう
ピーターの法則は、たとえ有能な人材でも昇進を重ねればいずれ能力の限界に達し、「無能」と呼ばれる状態になるという法則です。無能化しない方法として、その手前でとどまる「創造的無能」が勧められています。
ピーターの法則が生じることで、生産性の低下や優秀な人材の流出といった問題が起こると考えられます。ピーターの法則を回避して組織を成長させるためには、昇進前の研修や降格制度の設置などの対策が必要です。
ピーターの法則について正しく認識し、より良い組織を目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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