- 更新日 : 2025年12月17日
アサーティブコミュニケーションとは?意味や理論を具体例をもちいて解説
近年「アサーティブコミュニケーション」「アサーティブな表現」といった言葉を耳にする機会が増えてきました。今回は、アサーティブコミュニケーションの意味・拠って立つ理論・表現の具体例・メリットとデメリットなどについて詳しく解説していきます。
目次
アサーティブコミュニケーションとは?
まず、アサーティブという言葉の意味を確認しましょう。そして、アサーティブコミュニケーションに必要な「4つの柱」について理解を深めます。柱というのは、心の持ち方として大切になる原則のことです。
そもそもアサーティブの意味は?
「アサーティブ(Assertive)」とは、自他を尊重し適切な方法で自分の意見や要求を表現することをいいます。「自己主張」と訳されることもありますが、ここでは自分だけでなく相手のことも尊重することが前提となっているのです。一方的な自己主張ではなく、相互の円滑な意思疎通を通した自己表現が重視されています。
アサーションと意味は違う?
「アサーション(Assertion)」とアサーティブの間に含意の違いはありません。アサーションは名詞、アサーティブは本来形容詞という違いがあるだけです。「アサーショントレーニング」と「アサーティブトレーニング」も同じものを指しています。
アサーティブにおける4つの柱
自他を尊重した自己表現として、アサーティブを真に実践するには「心の持ちよう」も大事になります。アサーティブコミュニケーション理論によると、次の「4つの柱」の態度を身につけることが重要です。具体例として「担当者の配転にあたり、取引量の大きい既存顧客を引き継ぎたい営業部員」が自己表現するときの心の持ちようを取り上げて説明します。
- 誠実
相手に対しても自分自身に対しても、素直で正直になること
例:ライバルの引き継ぎたい気持ちも察する。
「実は私も引き継ぎたいんです」
- 率直
自分の気持ちが伝わるよう、遠回しでなくストレートに表現すること
例:〇〇商品の営業経験をそれとなく語ったりしない。
「このお客様を引き継ぎたいです」
- 対等
上下関係があっても「人間としては対等」と考え、相手に向き合うこと
例:先輩風を吹かして、引き継ぐ権利があるかのように言わない。
「あなたがこれまで積み上げてきた営業経験を知っています」
- 自己責任
自分が言ったこと・言わなかったことに対して責任を引き受けること
例:後になって、少々の不安から安易に発言を翻さない。
心に4つの柱が備われば、自然とアサーティブな表現ができるようになります。
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アサーティブコミュニケーションが着目された背景
アサーティブコミュニケーションが注目される背景には、ビジネスのグローバル化と人材の多様化があります。21世紀に入り日本企業は、急速なグローバリゼーションを経験しました。海外の企業や外国籍の人材とのコミュニケーションが重要性を増したのです。自己表現が乏しい傾向の日本人にとって、コミュニケーションのあり方を見直す機会になりました。
日本企業の人材構成は、多様に変化しています。女性がますます社会進出しました。多様なジェンダーとの共存も求められています。さらに、障害や難病を持つ人の社会参加も進みました。世代間の関係性も変わりつつあります。
さまざまに背景の異なる相手を細やかに尊重できるコミュニケーションが、ビジネスを取り巻く現在の環境では必要とされるのです。
参考:日本のグローバリゼーションの歴史|通商白書2020|経済産業省
アサーティブコミュニケーションではないスタイル
自己表現のスタイルを3つに分類することができます。アグレッシブ・アサーティブ・ノンアサーティブです。アサーティブと異なる他の2つのスタイルを解説します。これらと比べると、アサーティブなスタイルが中庸で適切なことがわかるでしょう。
アグレッシブ
アグレッシブとは攻撃的な自己表現のスタイルです。アグレッシブな人には次のような特徴があります。
- 自分を優先し相手を軽視・無視して、強い自己主張をする
- 自分の意見が正しいと信じ込んで、相手に価値観を押しつける
- 人間関係を勝ち負けで考え、相手に対して優位に立とうとする
- 意見をはっきり主張できる反面、周囲との軋轢を生む
- 感情的で、精神的に幼い
ノンアサーティブ
ノンアサーティブとは非主張的つまり受け身の自己表現スタイルです。
アグレッシブの逆といえます。ノンアサーティブな人の特徴は次の通りです。
- 自分より相手を優先するあまり、自己表現が苦手・控えめである
- 対立を恐れ、安易に相手の主張を受け入れてしまう
- あいまいな表現に頼りがちである
- 人間関係でストレスを抱えやすい
- 優しく穏やかな性格だが、仕事では評価されにくい
アサーティブコミュニケーションのやり方・表現
アサーティブコミュニケーションを実践する表現方法は、4段階で説明することができます。4つの英語頭文字を取って「DESC法」と呼ばれる理論です。「部下の書類提出が締め切りに遅れたとき」を具体例に、アサーティブな表現方法を説明します。
1.描写(Describe)
状況や相手の行動を客観的に捉え、事実だけを描写します。推測や自分の感情を交えません。
例:「昨日締め切りの〇〇書類が、まだ来てないね」
2.表現(Explain)
客観的事実に対する主観的な意見や気持ちを表現します。感情的・攻撃的にならず、相手の気持ちを思いやりながら伝達することが大切です。
例:「やむを得ず遅れることもあるよね。でも、遅れるときは早めに言ってほしいな」
3.提案(Specify)
具体的な解決策を提案します。あるいは相手に求めることを具体的に伝えます。押しつけにならないよう、あくまでも提案・依頼というかたちにすることが重要です。
例:「無理のない新たな期限を考えるので、できているところだけでも見せてもらえないかな」
4.選択(Choose)
提案に対する相手の反応は「Yes」か「No」に分かれるはずです。それぞれの反応に対し自分が取るべき行動を準備しておき、選択します。
例:「Yes」の場合→「では、やりやすいよう簡単にポイントを指摘してからお返しするよ」
何もできてなくて「No」の場合→「今回は他の人にやってもらうよ。忙しくて手が付かないとわかったら、次は助けを求めることを躊躇しないように」
アサーティブコミュニケーションのメリット・デメリット
アサーティブコミュニケーションのメリット
アサーティブコミュニケーションのメリットは、第一に良好な人間関係を築けることです。上司・部下・同僚など相手との関係性を問わず、適切な自己表現と意思伝達ができるようになります。アサーティブな人の多い職場は、風通しが良いはずです。そこでは、誠実かつオープンな人間関係が築かれています。
アサーティブコミュニケーションが職場に定着すると、業務効率改善・生産性向上にもつながります。意見交換が活発になると、情報流通が円滑になって業務効率が改善し、生産性向上に役立つアイデアが豊富に生まれるようになるのです。
アサーティブコミュニケーションのデメリット
アサーティブコミュニケーションも万能ではなく、デメリットもあります。
あらゆる場面でアサーティブが最善の表現というわけではありません。自分の意見を伝えない方がよい場面もあるでしょう。アサーティブを徹底しすぎると、自己主張が強すぎる印象を周囲に与える可能性があります。
また非主張的なタイプの人がアサーティブの上達をあまりに急ぐと、コミュニケーションにエネルギーを使いすぎて、かえってストレスを増やすことになりかねません。
職場にアサーティブな人を増やそう
アサーティブを習得した社員はコミュニケーションの範囲を広げ質も向上させるので、確実な成長を感じ取れるでしょう。しかし、個人単位で資質が伸びるだけではもったいないともいえます。アサーティブコミュニケーションが多くの社員の間に定着した職場では、相乗効果が生じるのです。集団レベルで業務が効率化し生産性が向上することが期待できます。
職場ぐるみ・企業ぐるみの人事戦略としてアサーティブコミュニケーションを取り入れることが、アサーティブのメリットを最大限に享受する方法といえるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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