- 更新日 : 2025年9月30日
年末調整と副業の関係
今はネットで気軽に副業ができる時代です。副業という感覚ではなく、趣味の延長でネットオークションに出品し、稼いでいる方もおられるでしょう。
「ほんのこづかい稼ぎ」のつもりで楽しくやっていたとしても、いざ確定申告の時期になると、「確定申告は必要なのか」「どうやればいいのか」という疑問が・・・。
さらには、会社員の人なら「会社にバレたらまずい」という場合もあるかもしれません。
いざというときのために、身につけておきたい正しい知識を紹介します。
目次
副業も年間20万円を超えると確定申告が必要
本来納税は個人で申告するのもですが、会社員は会社が代わって申告、納税をしてくれています。これを「年末調整」と呼んでいます。
しかし、会社員であっても、副業の所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要になります。
また、複数の職場から給与を得ている場合も、確定申告が必要になります。
というのも年末調整はひとつの企業でしか行うことができません。
ですから、主収入となっている就業先で年末調整を行い、その他の支払い先からは源泉徴収票を受け取って確定申告を行います。
※参考「年末調整」(マネーフォワード クラウド会計用語集より)
年末調整と確定申告はどちらが先?
通常、企業での年末調整が先に行われます。
たいてい、12月初旬には会社に申告書を提出し、それに基づいて作成された源泉徴収票を受け取ります。源泉徴収票とは、給与額・年金・健康保険料・所得税額など記載されている用紙のことで、翌年に行う確定申告には年末調整後に発行される源泉徴収票が必要です。
年末調整後の確定申告
給与からの源泉徴収が済んだ会社員は、副業の確定申告を行う際、会社から受け取った源泉徴収票を提出しなければなりません。税額は合算して再計算されます。副収入に経費がある場合は、それを申告することもできます。
源泉徴収票の数字を申告書に記載しよう
副業に関しては雑所得欄に金額を記入し、給与に関しては会社からの支払い額も申告します。
申告書の空欄を埋めるだけではあるのですが、耳慣れない言葉が多いので解説しましょう。
支払金額とは、会社が社員に支払った額です。手取り前の金額と考えて下さい。『収入金額』はこちらの金額になります。
2.(青枠内)給与所得控除後の金額とは
給与の全てが課税されるわけではありません、一定額は「税金をかけません」と決められており、それを差し引いた額がここに記されています。この金額が『所得』です。
3.(緑枠内)源泉徴収税額とは
税金として実際に支払われる額です。そのまま『源泉徴収額』となります。
確定申告で副業がばれる?
会社が代行してくれる年末調整程ではありませんが、確定申告も必要な書類さえあれば難しい事ではありません。
ただし、確定申告をすることによって、会社に副業がばれてしまう可能性があります。確定申告を行うと、副業と合算された所得で住民税額が決まり、その住民税は会社に通知されてしまうのです。
副業がばれない確定申告
副業を隠しておくためには、確定申告の際、会社に通知が行かないような方法をとります。
通常、住民税は毎月、給与から『特別徴収』として天引きされます。
そこで、確定申告時に『特別徴収』の代わりに、自身で納付を行う『普通徴収』を選択します。
では、特別徴収を普通徴収に変更するにはどうしたらよいのでしょうか?
確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」欄には納税方法を選択する欄があります。そこで「自分で納付」を選択すると、住民税の納付書が自宅宛に送られることとなります。副業を申告するのは国民の義務です。
ただし、副業がばれて会社で指摘されたなんてことのないように注意してください。
確定申告とはなんだろう?
会社員の場合、年末調整が自動的に行われるため、積極的納税意志の低い方も多いのですが、本来所得は自己申告が基本になります。
所得の一部を納税するのは国民の義務ですし、申告を行えば、住宅ローン控除や医療費控除など、減税となる申告費用を活用できます。
きちんと手続きさえすれば、会社に副業が知られてしまう心配も無用です。会社にばれるのを恐れたり、面倒がったりして、意図的に申告を怠ると、無申告加算税が課されることもあります。
副業の所得が20万円を超えたらきちんと確定申告をし、胸を張って利益を受け取りましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
年末調整の対象とならない人とは?
通常、給与所得者は年末調整において年間の所得税を精算することで納税関係が終了しますが、例外的に年末調整の対象とならない従業員がいるケースがあります。 年末調整の対象となるケースと対象とならないケースでは、それぞれどのような点で異なるでしょう…
詳しくみる国民年金保険料の前納制度とは?年末調整での控除方法とともに解説!
年末調整では、社会保険料が所得控除されることはご存じの方は多いでしょう。具体的には、公的年金では厚生年金保険料が該当しますが、国民年金保険料が控除対象となるケースもあります。国民年金は、厚生年金と異なり、保険料を前納すれば保険料を割引しても…
詳しくみる【事例付き】年末調整の還付金はいつ、いくら戻ってくる?支払日や金額の計算方法を解説
年末調整に出てくる還付金とは、1年間に支給される給与や賞与から徴収された源泉所得税が本来の源泉所得税の金額より多い場合に、12月または1月に戻ってくるお金のことです。年末調整は過不足税額の調整をする仕組みであるため、源泉所得税が不足していた…
詳しくみる【2025年】給与支払報告書とは?総括表・個人別明細書の書き方徹底ガイド
給与支払報告書と総括表は、住民税を計算するために、会社から各従業員の住む市区町村へ提出するものです。 ここでは給与支払報告書と総括表の書き方を項目ごとに紹介するとともに、給与支払報告書を市区町村へ提出しなかった場合、会社はどのようなペナルテ…
詳しくみる年末調整の仕訳と勘定科目をわかりやすく解説
年末調整は、毎月従業員から預かった源泉所得税について年間の精算を行う重要な業務です。 この年末調整の仕訳を間違うことなく計上できるようになれば、源泉所得税の一連の流れを理解できるようになったといえるでしょう。毎月の給与での預かり源泉所得税と…
詳しくみる年末調整の対象者とは
年末調整の対象者となる場合と対象とならない場合は、それぞれどのような点で異なるのでしょうか。 年末調整の対象者と対象とならない場合を、それぞれ事例を挙げて解説します。 年末調整の対象者 年末調整には、 ・12月に行う年末調整 ・年の途中で行…
詳しくみる