• 更新日 : 2026年4月2日

フリーランスを採用するには?手順や業務委託のルールと注意点

Pointフリーランスを採用するメリットや注意点は?

フリーランス採用は、社会保険料等の固定費を抑えつつ、専門スキルを即戦力として活用できる仕組みです。

  • 社会保険料や教育費の大幅な削減
  • 必要な時期だけの高度なスキル活用
  • 2024年施行の保護新法への対応

フリーランス採用には、適切な契約形態の選択と法令遵守を徹底し、偽装請負を避けながら対等なパートナーとして業務を委託することが不可欠です。

フリーランスを採用(業務委託)すると、社会保険料などの固定費を抑えながら専門スキルをすぐに活用できるメリットがあります。一方で、偽装請負の問題や、2024年11月に施行されたフリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)への対応など、法令面での注意点も少なくありません。
本記事では、社会保険労務士の監修のもと、フリーランス採用の手順や業務委託契約の選び方、実務上のリスク管理まで順を追って解説します。

目次

フリーランスを採用するメリットとは?

フリーランス採用のメリットは、社会保険料などの固定費の削減と、専門スキルの即戦力活用の2点です。正社員採用と比べてコスト構造が大きく異なるため、事業規模や繁閑に合わせた柔軟な人材活用が可能になります。

社会保険料などの固定費を抑えられる

フリーランスへの発注は「業務委託費」として経費計上でき、会社が社会保険料を折半負担する義務が発生しません。正社員を月給30万円で雇用した場合、会社負担の社会保険料は月約4.5万円(年間約54万円)にのぼります。これに賞与・退職金・採用コストを加えると、実質的な人件費は基本給を大きく超えます。

フリーランスへの発注であれば、合意した委託報酬のみを支払う形となり、備品・交通費も原則として受託者側が負担します。

項目正社員(雇用契約)フリーランス(業務委託契約)
社会保険料会社が約半分を負担負担なし(本人が全額負担)
賞与・退職金会社規定に応じて発生発生しない
備品・交通費原則として会社が支給原則として報酬に含む
教育コスト研修などの時間と費用が必要即戦力のため基本不要

参考:日本年金機構|厚生年金保険・健康保険 保険料額表

必要な時期だけ専門スキルを活用できる

新規ECサイトの立ち上げや確定申告期の経理サポートなど、特定の期間だけ高度な専門性が必要になる場面でフリーランスは力を発揮します。「サイト構築の3か月間だけWebデザイナーと契約する」といった柔軟な発注が可能で、プロジェクト完了後に不要な固定費が残りません。

すでに実務経験が豊富なフリーランスに依頼すれば、教育コストなしで即プロジェクトに参画してもらえます。

採用・教育にかかるコストと時間を削減できる

フリーランスとの契約では、求人媒体への掲載費やエージェント紹介料といった採用初期費用が不要か、大幅に圧縮できます。また、専門スキルをすでに持つ人材に依頼するため、入社後の研修コストもほぼかかりません。社内の従業員はコア業務に集中でき、業務効率化を進めたいバックオフィス担当者にとっても有効な手段です。

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フリーランスを採用する手順は?

フリーランスを採用する手順は、業務要件の整理からはじまり、候補者探し・面談・契約締結・契約後管理の5ステップです。段階を踏まずに進めると成果物の品質トラブルや報酬トラブルに発展するため、順番を守ることがポイントです。

STEP 1|業務要件と委託範囲を整理する

まず、社内のどの業務を外部に切り出せるかを棚卸しすることがポイントです。コア業務(経営判断・顧客対応・社内調整)と、外部委託できる定型的・専門的な業務を明確に仕分けします。

「毎月100件の仕訳入力」「オウンドメディア用記事を月4本制作」のように、業務内容・必要スキル・納期を文書化しておくと、後の条件交渉がスムーズになります。業務範囲が曖昧なまま発注すると、追加作業の報酬トラブルにつながりやすいため注意しましょう。

STEP 2|候補者の探し方と募集方法を選ぶ

候補者の探し方は、専門エージェント・マッチングサイト・リファラル採用の3つが主な手法です。高度なスキルが必要ならエージェント、コストを抑えて幅広く探すならマッチングサイト、信頼性を重視するならリファラル採用が向いています。

STEP 3|面談・選考で確認すべき項目

フリーランスとの面談は、雇用を前提とした「面接」ではなく、対等なビジネスパートナーとしての「商談」の場です。上から目線で接するのではなく、自社の課題を共有しながら解決策を話し合う姿勢が重要です。

面談で確認すべき主な項目は次の通りです。

  • 過去の実績(ポートフォリオ・案件数・業種)
  • 稼働可能な時間と対応可能なコミュニケーション手段
  • インボイス登録の有無(適格請求書発行事業者かどうか)
  • 秘密保持・情報セキュリティへの意識と対応実績
  • 報酬の希望額と支払い条件(税込・税別、支払いサイト)

なお、面談で注意が必要な質問もあります。国籍・出身地・家族構成・宗教・病歴・婚姻状況などは、業務遂行能力と無関係です。これらの質問は就職差別につながるため、就職面接では禁止されています。

業務委託は雇用されるわけではないため、直接禁止されているわけではありませんが、プライバシーの侵害や差別的取り扱いにつながりかねないため、控えましょう。

参考:厚生労働省|採用選考時に配慮すべき事項

STEP 4|条件交渉と業務委託契約書を締結する

条件交渉では、報酬額・支払いサイト(例:月末締め翌月末払い)・納品方法・修正対応回数・連絡手段を細かく確認します。報酬は税別か税込かを明確にしておくと後のトラブルを防げます。合意後は必ず書面または電子契約で「業務委託契約書」を締結し、あわせてNDA(秘密保持契約)も締結しましょう。

STEP 5|契約後の進捗管理と税務手続き

契約後の管理では、成果物の納品状況と品質を定期的に確認します。ただし、進め方の細かい指示や勤務時間の管理は偽装請負に該当するリスクがあるため、「成果物・業務の完了」を評価の基準にしましょう。

税務面では、報酬支払い時に源泉徴収が必要かどうかを確認します(所得税法第204条)。原稿料・デザイン料・講演料などは源泉徴収の対象となり、翌月10日までに税務署へ納付する義務があります。また、インボイス制度への対応として、受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているかをチェックする習慣をつけましょう。

参考:e-Gov法令検索|所得税法(第204条:源泉徴収義務)

優秀なフリーランスの探し方は?

優秀なフリーランスを探すには、専門エージェント・マッチングサイト・リファラル採用の手法が効果的です。求めるスキルの専門性・確保できる予算・採用までの希望期間によって最適な手法が異なります。

採用手法特徴と得意な領域費用感
専門エージェント事前審査済みの即戦力人材を紹介。ITエンジニアなどに強い高め(紹介手数料・マージンが発生)
マッチングサイト全国の登録者から広く募集可能。定型タスクや単発業務に強い安め(システム利用料が中心)
リファラル採用社員や知人の紹介で信頼性が高い。定着率が良いほとんどかからない

専門エージェントで即戦力人材を紹介してもらう

高度なITエンジニアや事業開発のプロを探すなら、フリーランス専門エージェントが向いています。エージェントが事前にスキルや経歴を審査しているため、要件に合った質の高い人材と出会いやすいのが特徴です。

候補者のピックアップから面談日程の調整・条件交渉・契約手続きの代行までサポートしてもらえるため、人事担当者の業務負担を大きく軽減できます。紹介手数料は発生しますが、ミスマッチのリスクを考慮すると費用対効果が高い手法です。

マッチングサイトで要件に合う人材を探す

予算を抑えつつ幅広い選択肢から人材を選びたい場合は、クラウドソーシングなどのマッチングサイトが便利です。データ入力・動画テロップ入れなど定型化されたタスクの依頼に適しています。登録者数が多くスピーディーに候補者を見つけられる一方、実務スキルの見極めは自社で行う必要があります。

最初は少額の単発案件を依頼し、仕事の進め方やコミュニケーションを確認してから本格契約へ移行する進め方が安全です。

リファラル採用で信頼できる人材を確保する

社内の従業員や取引先の知人からフリーランスを紹介してもらう「リファラル採用」も有効です。紹介者のフィルターを通っているため、スキルレベルや仕事の姿勢を事前に把握しやすく、スムーズに信頼関係を築けます。エージェント手数料や媒体掲載費がかからないため、採用コストを抑えたい中小企業にとって魅力的な選択肢です。

ただし、知人の紹介であっても業務委託契約書を必ず締結し、ビジネスとしての線引きは明確にしましょう。

フリーランス採用で結ぶ業務委託契約とは?

業務委託契約の形態選びと書類整備が重要です。契約形態の誤りや書面不備は、報酬トラブル・秘密漏洩・後日の訴訟リスクにつながります。民法の規定(民法第632条・第656条)に基づく2種類の契約形態を正しく理解し、必要書類を揃えましょう。

請負契約と準委任契約の違いと選び方

業務委託契約には「請負契約」と「委任・準委任契約」があります(民法第632条・第656条)。依頼する業務の性質に合わせて選びましょう。

項目請負契約(民法第632条)委任・準委任契約(民法第643条・第656条)
目的仕事の完成(成果物の納品)業務の遂行(働くこと自体)
報酬の支払い成果物の引き渡しに対して支払う業務を行った期間や時間に対して支払う
契約不適合責任あり(欠陥があれば修正義務を負う)なし(善管注意義務は負う)
向いている業務例Webサイト制作・システム開発・デザイン作成月次経理代行・人事コンサル・システム保守

参考:e-Gov法令検索|民法(第632条・第643条・656条ほか)

業務委託契約書に盛り込む必須事項

業務委託契約書には、業務内容・納期・報酬額(税別・税込の別)・支払いサイト・修正対応回数・成果物の帰属(著作権の移転または許諾)・契約期間・解約条件を必ず明記しましょう。
フリーランス保護新法(2024年11月施行)では、業務内容・報酬・支払い期日等を書面または電磁的方法で明示することが発注者に義務付けられています。

書面などによる明示を省略すると同法違反となるため注意が必要です。

参考:厚生労働省|フリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)

NDAと個人情報保護に関する取り決め

業務上知り得た顧客情報・技術情報・経営情報の漏洩を防ぐため、NDA(秘密保持契約)を業務委託契約書と同時に締結しましょう。個人情報を取り扱う業務を委託する場合は、個人情報保護法第24条に基づき、受託者が適切な安全管理措置を講じているかを委託者が監督する義務があります。

クラウドストレージのアクセス権限設定や情報共有ルールも明確化しておくと安心です。

参考:e-Gov法令検索|個人情報の保護に関する法律

フリーランス採用に関わる法令と実務上の注意点

フリーランス採用の注意点は、偽装請負の回避・下請法への対応・インボイス制度と源泉徴収義務の確認の3点です。これらを怠ると、労働基準法違反による罰則・消費税負担の増加・税務調査での指摘といったリスクを招きます。

偽装請負を回避するための管理方法(労働者派遣法)

業務委託契約を締結しながら、実態が自社従業員と同様の扱いになっている状態を「偽装請負」といいます(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第44条等)。偽装請負と認定されると、過去に遡って残業代・社会保険料の支払いを命じられる場合があります。

偽装請負とみなされやすい状況は次の通りです。

  • 毎日の始業・終業時刻を厳格に管理している
  • 業務の具体的な進め方について細かく指示を出している
  • 業務を休む際に発注者への事前許可を求めている
  • 自社社員と同じように電話対応・来客対応などの雑務をさせている

発注者はプロセスではなく「成果物」や「業務の完了」に対してのみ評価を行い、業務遂行の裁量はフリーランスに委ねましょう。
参考:e-Gov法令検索|労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(第44条ほか)

取適法(旧下請法)の適用対象と発注者の義務

資本金1,000万円超の法人が個人事業主(フリーランス)に業務を委託する場合、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の適用対象となることがあります。発注者には、発注書面の交付義務・納品から60日以内の支払い義務が課されます(下請法第3条・第2条の2)。

インボイス未登録を理由とした一方的な消費税分の報酬減額は、下請法違反や独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に抵触する恐れがあるため注意しましょう。

下請法は、2026年1月より、中小受託取引適正化法(取適法)となっています。資本金額に変更はありませんが、従業員数による基準(300人または100人)が新たに設けられたため、下請法よりも適用対象が広くなっています。

参考:政府広報オンライン|2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります
参考:e-Gov法令検索|製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律

インボイス制度と源泉徴収義務の確認(所得税法第204条)

2023年10月に開始されたインボイス制度(消費税法に基づく適格請求書等保存方式)では、フリーランスが適格請求書発行事業者として登録しているかどうかで発注者側の消費税負担が変わります。
免税事業者の場合、支払った消費税分を仕入税額控除に全額含められません(経過措置あり:一定期間は80%または50%を控除可)。
また、原稿料・デザイン料・講演料など特定の業務を個人フリーランスに依頼した場合、発注者に源泉徴収義務が生じます(所得税法第204条)。報酬支払い時に源泉所得税を差し引き、原則翌月10日までに税務署へ納付します。この処理が漏れると税務調査で指摘され、延滞税が課される場合があります。

参考:e-Gov法令検索|消費税法(インボイス制度関連)
参考:e-Gov法令検索|所得税法(第204条:源泉徴収義務)

2024年施行のフリーランス保護新法に対応するには?

フリーランス保護新法への対応は、発注者にとって3つの義務を新たに生じさせます。2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)は、フリーランスとの取引における発注者の義務を明確化した法律です。

フリーランス保護新法の概要と対象範囲

同法は、業務委託を行う発注者(特定業務委託事業者)とフリーランス(特定受託事業者:従業員を使用しない個人または一人法人)の取引を規制対象とします。継続的業務委託(1か月以上)を行う発注者には、書面明示義務・報酬支払い期限・ハラスメント対策・育児・介護への配慮義務が課されます。

違反した場合は行政指導・勧告・公表の対象となります。

参考:厚生労働省|フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方へ

発注者が守るべき書面交付と報酬支払いのルール

業務委託の開始時に、業務内容・報酬額・支払い期日・業務委託期間などを書面または電磁的方法で明示することが義務付けられています。また、継続的業務委託(1か月以上)においては、受領拒否や報酬の減額、返品、買いたたきなどの行為を行うことが禁止されます。

報酬は成果物の受領日から60日以内に支払う義務があります。

ハラスメント対策と育児・介護への配慮義務

発注者は、業務委託においてフリーランスへのハラスメントを防止するための措置を講じる義務があります。また、フリーランスが育児・介護等を理由に業務委託の条件変更を申し出た場合、発注者はその申し出に配慮する努力義務を負います。

担当者が変わっても対応が一貫するよう、社内マニュアルや相談窓口の整備を進めましょう。

フリーランスを採用するなら、まず業務棚卸しと契約準備を整えよう

フリーランスを採用するメリットは、固定費を抑えながら専門スキルを即座に活用できる点にあります。まず自社の業務を棚卸しして委託できる範囲を明確にし、業務内容に合った契約形態(請負または委任・準委任)を選んで書面を整えましょう。

偽装請負の回避・下請法への対応・インボイス制度と源泉徴収の確認・2024年施行のフリーランス保護新法への対応は、採用後のトラブルを防ぐうえで欠かせません。今日から社内業務の切り分けと契約書のひな形整備を始め、外部人材の力を借りて事業を加速させましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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