- 更新日 : 2026年5月11日
電気工事士が独立すると年収はいくら?稼ぐコツや必要な準備を解説
中間マージンをなくし集客を整えれば、独立後に年収500万円以上も目指せます。
- 独立1〜2年目の年収目安は300万〜500万円になる
- EV・再生可能エネルギー関連の工事対応で単価を上げる
- 第一種電気工事士の取得と登録電気工事業者の届出を済ませる
開業届・青色申告承認申請書の提出と、運転資金6か月分の確保も進めましょう。
独立した電気工事士の年収は、500万〜800万円が一つの目安です。厚生労働省の調査では会社員の平均年収は約460万円前後であり、独立によって100万〜300万円ほど収入を伸ばせるケースが多いといえます。
本記事では、年収が上がる理由から集客・単価アップの方法、独立前に必要な準備まで解説します。
目次
独立した電気工事士の年収は?
独立した電気工事士の年収は、500万〜800万円が一つの目安です。厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、電気工事士の平均年収は約460万円前後。独立して自分で案件を受注すれば、会社員時代より100万〜300万円ほど収入を伸ばせるケースが多いでしょう。
一人親方として独立する場合も含め、年収の幅は経験年数や専門分野、活動エリアによって大きく変わります。以下の表で目安を確認してみましょう。
| 条件 | 年収の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 独立1〜2年目 | 300万〜500万円 | 案件獲得ルートの構築期間 |
| 独立3〜5年目(一般住宅中心) | 500万〜700万円 | リピーターや紹介案件が増加 |
| 独立5年以上(ビル・工場対応) | 700万〜1,000万円超 | 高単価案件を安定受注 |
都市部と地方でも差があり、東京・大阪・名古屋など大都市圏では工事単価が高めに設定される傾向にあります。一方、地方では競合が少ないため、エリア内で信頼を築けば安定した受注を確保しやすいでしょう。
さらに、太陽光発電やEV充電設備の設置など再生可能エネルギー関連の工事に対応できると、年収1,000万円を超える電気工事士も珍しくありません。技術力と営業力の両方を磨くことで、会社員では届かない収入水準に到達できるといえます。
電気工事士の独立で年収が上がる理由は?
独立すると年収が上がりやすい最大の理由は、直接契約が取れることです。会社員の場合、元請けから受け取った工事代金のうち作業者本人の手取りは給与として固定されます。独立すれば工事代金がそのまま売上になるため、同じ仕事量でも手元に残る金額が大きく変わるでしょう。
直接契約で手取りが増える
例えば、1件あたり10万円の工事を会社員として月20件こなしても、給与に反映されるのは固定給+多少の手当のみ。独立して同じ件数を受注すれば、売上は月200万円になります。ここから材料費・交通費・保険料などの経費を差し引いても、手取りは会社員時代を上回るケースが多いでしょう。
特にエアコン取付やコンセント増設など比較的短時間で完了する案件は、1日に複数件対応できるため利益率が高くなります。
案件の選択と単価交渉を自分で行える
会社勤めでは受注する案件を選べませんが、独立後は利益率の高い案件を優先したり、単価交渉を自分で行えたりします。「割に合わない仕事」を減らし、「得意分野で高単価の仕事」を増やすことで、労働時間を増やさずに年収を引き上げられるでしょう。
繁忙期(夏のエアコン需要や年度末の工事ラッシュ)に集中して稼ぎ、閑散期に休みを取るといった柔軟な働き方も、独立ならではの強みです。
電気工事士が独立後に年収を伸ばす方法は?
年収を伸ばすには、技術力の向上だけでなく集客と単価アップの仕組みを整えることがポイントです。ここでは、実践的な3つの方法を紹介します。
SNSやWebサイトで集客力を高める
「電気工事 修理 ○○市」で検索する個人客のために、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録します。施工事例の写真やお客様の声を掲載するだけでも、地域からの問い合わせにつながるでしょう。
さらにInstagramやYouTubeで施工のビフォーアフターを発信すれば、個人の認知度が上がり、下請けに頼らない直接受注の比率を高められます。
Web経由の直接受注は中間マージンがゼロのため、同じ工事でも手取りが向上するケースも珍しくありません。
| 集客チャネル | 向いている案件 | コスト目安 |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | 地域の個人客・店舗 | 無料 |
| Instagram・YouTube | リフォーム・新築案件 | 無料〜月数千円 |
| マッチングサイト(くらしのマーケット等) | エアコン取付・修理 | 成約手数料10〜20% |
| 紹介・人脈 | 法人・元請け案件 | 無料 |
再エネ・EV関連の成長分野で単価を上げる
2050年カーボンニュートラルに向けて、太陽光パネルの設置やEV(電気自動車)充電設備の工事需要は拡大しています。対応できる電気工事士はまだ限られており、単価も高めに設定されています。
例えば、一般的なコンセント増設工事の単価が1〜3万円なのに対し、EV充電設備の設置工事は5〜15万円が相場の目安です。蓄電池やV2H(Vehicle to Home)の設置まで対応できれば、1案件あたりさらに高額の売上も見込めます。
こうした成長分野でスキルを身につけるには、メーカーの施工研修を受講するのが近道です。パナソニックやニチコンなど主要メーカーが無料〜数万円程度の研修を実施しているので、積極的に活用しましょう。
法人案件の定期契約で収入を安定させる
年収を「上げる」だけでなく「安定させる」ことも重要です。店舗やオフィスビルの保守点検契約を結べば、毎月定額の収入が見込めます。
飲食店5店舗と月額2万円の保守契約を結ぶだけで月10万円、年間120万円のベース収入が確保できます。この安定収入があるだけで、スポット工事の受注に焦る必要がなくなり、無理な値引き交渉にも応じずに済むでしょう。
電気工事士の独立に必要な資格と準備は?
電気工事士として独立するには、資格の取得と行政への届出が欠かせません。無資格・無届けで工事を行うと電気工事士法違反となり、罰則の対象になります。必要な資格と手続きを整理しました。
第一種電気工事士を取得して対応範囲を広げる
第二種電気工事士だけでも独立は可能ですが、対応できるのは一般用電気工作物(600V以下の住宅・小規模店舗)に限られます。第一種電気工事士を取得すれば、最大電力500kW未満の自家用電気工作物(ビル・工場・大型商業施設)も扱えるようになり、受注できる案件の幅が一気に広がるでしょう。
第一種の取得には、試験合格後に3年以上(または大学卒で1年以上)の実務経験が必要です。独立前の会社員時代に実務経験を積んでおくのがベストなタイミングといえます。
あわせて取得を検討したい関連資格は以下のとおりです。
- 1級・2級電気工事施工管理技士:工事現場の監理技術者・主任技術者として活動できる
- 消防設備士(甲種第4類):自動火災報知設備の工事・整備が可能に
- 認定電気工事従事者:簡易電気工事(コンセント増設等)の範囲が拡大
- エネルギー管理士:大規模施設の省エネ管理で高単価案件を受注しやすくなる
登録電気工事業者の届出を行う
独立して電気工事業を営むには、都道府県知事(または経済産業大臣)への届出・登録が必要です。届出の種類は以下の2パターンに分かれます。
| 区分 | 対象 | 手続き |
|---|---|---|
| 登録電気工事業者 | 一般用電気工作物の工事を行う場合 | 都道府県知事に登録申請(5年ごとに更新) |
| 通知電気工事業者 | 自家用電気工作物のみ工事を行う場合 | 都道府県知事に通知 |
開業届と同時に進めておくとスムーズです。登録申請には主任電気工事士の配置が求められるため、自分自身が第一種電気工事士または第二種電気工事士(実務経験3年以上)であることを証明する書類を準備しておきましょう。
独立した電気工事士の確定申告・経費管理はどうする?
独立後は毎年の確定申告が必要になります。青色申告を選べば最大65万円の所得控除が受けられるため、白色申告と比べて数万〜十数万円の節税効果を得られる可能性があります。
開業届と青色申告承認申請書を提出する
独立したら、税務署に以下の2つの届出を行います。
- 個人事業の開業届出書:開業した年の確定申告書の提出期限までに提出
- 所得税の青色申告承認申請書:原則として適用を受けたい年の3月15日までに提出が必要。ただし、1月16日以降に開業した場合は、開業日から2ヵ月以内。
青色申告で65万円控除を受けるには、複式簿記での記帳とe-Taxによる電子申告が条件です。クラウド会計ソフト(マネーフォワードクラウドなど)を使えば、簿記の知識がなくても日々の入力で帳簿を作成できます。
参照:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
参照:A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
工具・車両・保険料を経費に計上する
電気工事士が経費にできる項目は意外と多いものです。以下は代表的な経費項目の一覧です。
経費を正しく計上するだけで、所得税・住民税・国民健康保険料のすべてが下がります。領収書やレシートはスマホで撮影し、クラウド会計ソフトに取り込む習慣をつけておくと確定申告時に慌てずに済むでしょう。
電気工事士の独立で失敗を避けるには?
独立後に経営が不安定になる原因の多くは、「資金不足」と「受注の偏り」の2つです。技術力があっても、この2つへの備えが足りないと事業の継続が難しくなりやすいでしょう。
運転資金を最低6か月分は確保しておく
独立直後に工具一式と作業車の購入で200万円を投じた結果、手元資金が50万円を切ったケースがあります。最初の入金が遅れた3か月間は生活費にも困窮し、事業継続が危ぶまれました。
原因は、初期投資と運転資金のバランスが取れていなかったことです。月の固定費(家賃・車両ローン・保険・通信費・生活費)を洗い出し、最低3∼6か月分を運転資金として確保してから独立するのがセオリーです。
固定費の洗い出しには、以下の項目をチェックしましょう。
- 事務所・倉庫の家賃
- 車両ローン・リース料
- 保険料(賠償責任保険・車両保険)
- 通信費(スマホ・ネット回線)
- 生活費(家族構成に応じて算出)
- 予備費(売掛金の入金遅延に備えて1〜2か月分)
元請けとの信頼関係を築き受注先を分散させる
売上の80%を1社の元請けに依存していた電気工事士が、元請けの経営悪化で突然発注を打ち切られ、翌月から収入がほぼゼロに——このパターンもよくある失敗例です。
対策として、受注先を3社以上に分散させることです。元請けとの付き合いを大切にしつつ、直接受注やマッチングサイト経由の案件も並行して獲得することで、1社に依存するリスクを抑えられます。
工事品質の高さと納期厳守を徹底すれば、元請けからの信頼が積み上がり、他の職人より優先的に案件を回してもらえるようになります。報告書の提出や写真記録をきちんと行うといった「当たり前のこと」を丁寧にこなすことが、安定受注への近道といえるでしょう。また、直接受注も徐々に増やすことで、利益向上につながります。
電気工事士が独立して年収500万円以上を目指すために
独立した電気工事士の年収は500万〜800万円が一つの目安で、直接受注と案件選択の自由が収入増の原動力です。
Web集客やEV・再エネ分野への対応で単価を上げ、法人の保守契約で収入を安定させることで、会社員時代を超える水準が見えてきます。
第一種電気工事士の取得と登録届出を済ませ、青色申告の準備も早めに整えておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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