- 更新日 : 2025年10月14日
定款の認証費用はいくら?合同会社・一般社団法人の認証費用も紹介
株式会社や合同会社、非営利法人など、法人の設立には定款が必要です。定款とは、その会社の基本的な決まりごとをまとめたものです。また、定款を作成した後は、認証が必要な場合と不要な場合があります。
この記事では、定款の認証とその費用、電子定款における認証手続きの流れについて説明しています。
目次
定款の認証費用
法人設立の際には、必ず作成しなければならないのが定款です。また、定款は作成するだけではなく、その認証が必要なことがあります。
この記事に出てくる株式会社、合同会社、特定目的会社、一般社団法人について、定款認証について簡単に説明したのが次の表です。これらの特徴を踏まえた上で、定款やその費用について見ていくと理解しやすいでしょう。
| 会社の種類 | 定款の認証 | 根拠法 | |
|---|---|---|---|
| 営利法人 | 株式会社 | 必要 | 会社法 |
| 持分会社(合同会社など) | 不要 | ||
| 特定目的会社 | 必要 | 資産の流動化に関する法律 | |
| 非営利法人 | 一般社団法人(非営利型以外) | 必要 | 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 |
| 一般社団法人(非営利型) | 必要 |
株式会社は、会社法第26条に定款の作成について、同法第30条に定款認証について次のように規定されています。
<会社法>
| 定款作成 | 第26条第1項 | 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。 |
|---|---|---|
| 定款認証 | 第30条第1項 | 第26条第1項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。 |
株式会社ではなく、持分会社である合同会社や合資会社、合名会社については会社法第575条において定款の作成が規定されていますが、これら持分会社についての定款認証は規定されていません。
<会社法>
| 定款作成 | 第575条第1項 | 合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。 |
|---|
特定目的会社とは不動産など特定の資産を担保として有価証券を発行し、資金を調達する特殊な法人ですが、会社法ではなく、「資産の流動化に関する法律」がその根拠法となり、特定目的会社においても定款の作成とその認証が必要とされています。
<資産の流動化に関する法律>
| 定款作成 | 第16条第1項 | 特定目的会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。 |
|---|---|---|
| 定款認証 | 第16条第6項 | 会社法第30条及び第31条(第3項を除く)(定款の備置き及び閲覧等)の規定は、特定目的会社の定款について準用する。 |
また、一般社団法人とは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立される非営利を基本とした法人であり、会社法と同様に定款の作成及びその認証について規定されています。
<一般社団法人及び一般財団法人に関する法律>
| 定款作成 | 第10条第1項 | 一般社団法人を設立するには、その社員になろうとする者(以下「設立時社員」という。)が、共同して定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。 |
|---|---|---|
| 定款認証 | 第13条第1項 | 第10条第1項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。 |
引用:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 | e-Gov法令検索
株式会社・特定目的会社における定款の認証
株式会社、特定目的会社の定款を認証するための手数料は、令和4年1月1日に改定されて、次のとおりになっています。
合同会社における定款の認証
合同会社は定款の作成は必要ですが、認証の必要はありません。定款の認証によって、どの定款が正しいのか証明できるため社内トラブルなどの回避に役立ちます。
この社内トラブルの多くは法人と株主、法人経営者間、株主同士などで発生します。つまり、基本的に所有(株主)と経営が分離していることによるトラブルなのです。
しかし、合同会社においては所有と経営が分離していません。合同会社では原則的に株主にあたる社員が経営に関わっており、社員の総意で経営するという形式の法人なので、定款こそ必要ですが認証までは不要とされているのです。したがって、定款認証費用が不要なため設立の際、設立費用は他に比べて安くなります。
一般社団法人における定款の認証
一般社団法人の定款についても認証を受けることとされており、手数料は公証人手数料令により、5万円となっています。なお認証の際、付随費用が発生することがあります。
一般社団法人の成立については、「その主たる事務所の所在地において設立の登記をすること」で成立となりますが、その登記を申請するには認証済みの定款が必要です。
引用:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 | e-Gov法令検索
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
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電子定款の場合の費用
電子定款とは、定款作成にあたりパソコンなどで作成した定款を指します。電子定款を作成する際には、まず「電子署名」をする必要があります。つまり、電子署名によってその定款の完全性や信頼性を担保することが可能です。
電子定款のメリットとしては、書面ではないため印紙税法上の課税文書にはあたらず、書面で作成する場合の印紙代4万円が不要となります。
マネーフォワード クラウド会社設立の利用者へのアンケートによると、電子定款の利用者は98.07%(紙定款の利用者は1.93%)というデータがあります。
出典:マネーフォワード クラウド会社設立、利用後のユーザー様へのアンケート(回答者:1449名、集計期間:2022年7月~2025年9月)
電子定款の認証手続きの流れ
法務省の「登記・供託オンラインシステム」を利用した電子定款の認証手続きの流れは次のとおりです。
1. 認証先の確認
まず、電子定款の認証について、認証を受ける公証役場の担当者などと事前に打ち合わせをします。
定款認証は、内容不備により設立登記ができなくなることがあるため、担当の公証人に事前審査を受けることが大切です。その後の公証人とのやり取りについてもこの際に確認しておきましょう。会社の本店所在地を管轄する法務局で電子定款の認証ができる公証人に依頼します。
2. 電子署名ソフトの取得と定款ファイルの準備
電子定款はPDFファイルに変換し、マイナンバーカードなどを利用して電子署名します。電子署名についてはマイナンバーカード(地方公共団体情報システム機構)以外でもありますが、事前に電子証明書を取得しておきましょう。
また、電子署名をするには、電子署名ソフトとしてAdobe Systems 社のAdobe Acrobatなどを使用し、マイナンバーカードなどの電子証明書の読み込みには、カードリーダーライタなどを準備します。
なお、電子署名をしたファイルは、訂正・変更はできませんのでよく確かめましょう。
3. 電子署名済み定款ファイルの送信(オンライン申請)
法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」により、電子署名後の定款ファイルを送信します。
ファイル送信するには、「申請用総合ソフト」をダウンロードして利用します。電子署名を付与する場合には「PDF署名プラグイン」などを利用します。
4. 公証人による公証
公証にあたっては、手順1で指名した公証人が電子定款の内容や付与された電子署名が正しいかを確認して認証します。その際、テレビ電話を利用するときは、公証人役場に出向く必要がありません。
5. 承認済みデータの取得
テレビ電話による電子認証の場合は、「登記・供託オンライン申請システム」にて、認証済みの電子定款データが送信されます。そして、別途、認証証明書がCD等で送付されます。また、依頼者の請求により、定款書面が同封されることもあります。
そもそも定款の認証とは?
そもそも定款の認証行為とは、公証人が作成した定款が正当な手続きによって作成されたという事実を証明することです。
定款認証をすることによって得られるものとして次の4つが考えられます。
- 会社の定款が法的な要件に合致していることが確認できる
- 会社の信頼性が高まり、関係者や顧客などが法人に対して安心して関わることができる
- 会社の運営に関する権利が確認され、公正な取り扱いが行われることが保証される
- 将来的な法的紛争やトラブル発生のリスクを低減することができる
定款の認証の内容についてさらに詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。
マネーフォワード クラウド会社設立なら電子定款にも対応!
実際、定款を作成し、電子定款として認証を受けるまでをすべて自社内でするには道のりは長いと言えます。定款そのものが必要な事項を網羅しているかどうかという点から気になるところです。
そこで、行政書士などの専門家が間に入って、綿密に打ち合わせができると心強いと言えます。マネーフォワード クラウド会社設立では、定款の作成から認証の依頼までが可能であり、法人設立時の多忙な時期の力強いパートナーとなりうるでしょう。
法人設立後は、財務や税務のことも気になります。そこで、立ち上げ当初から先を見越した手当を検討されるとよいかと思います。下記のリンクから総合的な支援が期待できるマネーフォワード社のシステム概要をご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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