- 作成日 : 2026年2月19日
社会福祉法人とは?設立を検討すべきケースやメリット・注意点を解説
社会福祉法人は、福祉サービスを非営利で提供するために、法律に基づき設立される高い公共性を持つ法人です。
- 福祉事業に特化した非営利法人
- 税制優遇や補助金制度がある
- 設立と運営に厳格な要件がある
事前に自治体との協議を重ね、役員体制や資産要件を整えたうえで、半年以上の準備期間を要するケースが一般的です。
社会貢献性の高い法人形態として注目される「社会福祉法人」は、介護や保育などの福祉サービスを安定的に提供するために設立される非営利法人です。
本記事では、社会福祉法人の概要や株式会社・NPO法人との違い、設立に向いているケース、要件や手順を解説します。
目次
社会福祉法人とは?
社会福祉法人とは、福祉サービスの提供を目的とした非営利の法人で、主に介護・保育・障害者支援など、社会的弱者を支える事業を行います。公共性が高く、行政の監督の下で活動する仕組みとなっており、地域社会の福祉向上に貢献しています。
公益性の高い福祉サービスを非営利で提供する法人を指す
社会福祉法人は、営利を目的とせず、介護・保育・障害者支援といった福祉サービスを通じて社会課題の解決を担います。特徴的なのは、法人が得た収益を出資者に分配せず、すべてを事業運営に充てる点です。これにより、経済的利益よりも公共的役割を重視した活動が可能となり、民間ながらも地域社会の重要な担い手として期待されています。
また、その公共性の高さから、行政による指導や助成制度を受けながら、安定的に運営する仕組みが整っています。全国でおよそ2万法人が活動しており、その多くが高齢者施設や児童施設の運営母体となっています。
社会福祉法人が行えるのは、福祉事業を中心とした限定的な事業
社会福祉法人が行える事業は、法律で定められた社会福祉事業が中心です。特別養護老人ホームや児童養護施設などの第一種社会福祉事業、訪問介護や保育所運営といった第二種社会福祉事業が主な対象となります。これらに加えて、地域支援や子育て支援といった公益事業や、貸ビル・駐車場経営などの収益事業も可能ですが、そこで得た利益はすべて本来の福祉事業に充当される決まりです。自由な事業展開は制限されますが、非営利であるからこそ信頼性が高く、行政や地域住民との連携にも適した法人形態といえます。
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社会福祉法人と株式会社の違いは?
社会福祉法人と株式会社は、設立目的や組織形態、税制上の扱いなど、基本的な枠組みが異なります。
社会福祉法人は非営利で公益性を重視し、株式会社は営利を目的とする
社会福祉法人と株式会社の最も大きな違いは、法人としての目的にあります。社会福祉法人は、介護や保育、障害者支援といった福祉サービスを通じて社会に貢献することを目的とした「非営利法人」です。したがって、出資者への配当や利益分配は一切行われません。
一方、株式会社は「営利法人」であり、事業を通じて利益を生み出し、それを株主に還元することを最大の目的としています。この目的の違いは事業内容の自由度にも反映されており、株式会社は原則としてどのような事業でも自由に行えるのに対し、社会福祉法人が行えるのは社会福祉事業と、それに付随する公益・収益事業に限られています。
また、税制上も両者には大きな違いがあります。社会福祉法人は公益性の高い事業から得た収入に対して法人税が免除されますが、株式会社では原則としてすべての事業所得に課税されます。
社会福祉法人は設立要件が厳しく、運営に高度なガバナンスが求められる
設立や運営体制においても、社会福祉法人は株式会社よりも厳格な条件が課されています。株式会社は1名から設立可能で、資本金も1円からと柔軟ですが、社会福祉法人を設立するには所轄庁の認可が必要であり、複数の役員を適切に配置しなければなりません。評議員が7名以上、理事が6名以上、監事が2名以上、加えて会計監査人として公認会計士または監査法人を1名以上置く必要があります。
また、社会福祉法人には剰余金の分配が禁止されており、解散時には残余財産が国などに帰属する制度になっています。これにより、法人の資産が特定の個人に流れることなく、常に社会的目的のために使われるよう設計されています。このように、設立目的から組織体制、財務管理まで、社会福祉法人は公益性と透明性を重視した制度設計がなされています。
社会福祉法人とNPO法人の違いは?
どちらも非営利法人に分類されますが、対象とする事業の範囲や設立の手続き、税制上の取り扱いなどに違いがあります。
社会福祉法人は福祉分野に特化し、NPO法人は幅広い社会活動に対応する
社会福祉法人は、介護、保育、障害者支援といった福祉サービスの提供を目的とし、社会福祉法に基づいて設立されます。実施できるのは主に第一種・第二種の社会福祉事業に限られ、活動の範囲は福祉分野に特化しています。
一方、NPO法人(特定非営利活動法人)は、特定非営利活動促進法に基づき、環境保全や地域づくり、文化・教育など20分野の活動が可能で、福祉に限らず多様な社会貢献に対応しています。活動内容の自由度ではNPO法人に軍配が上がりますが、公的支援の面では社会福祉法人の方が優位です。
社会福祉法人は設立要件が厳格で、税制上の優遇はNPO法人より広い
NPO法人は、都道府県や市区町村への認証申請のみで設立でき、社員10名、理事3名、監事1名がいれば足ります。比較的少人数かつ短期間で設立できる一方、税制上の優遇を受けるには認定NPO法人になる必要があります。対して社会福祉法人は、都道府県知事などの認可が必要で、前述のとおり、評議員7名以上、理事6名以上など厳格な体制と一定の資産保有が求められます。ただし、福祉・公益事業による収益は非課税とされ、寄付に対する税控除も標準で受けられるため、税制上のメリットはNPO法人よりも大きいと言えます。
社会福祉法人の設立を検討すべきケースは?
社会福祉法人は、すべての福祉事業に適しているわけではありません。どのような事業や方針にマッチするかを見極めたうえで、法人形態を選ぶことが重要です。
公的な入所型福祉施設を運営する場合、社会福祉法人は必須
社会福祉法上、第1種社会福祉事業に該当する特別養護老人ホームや児童養護施設などを運営するには、社会福祉法人(または日本赤十字社)としての法人格が必要です。こうした入所型施設は、公共性が高く、安定した運営体制や永続性が求められるため、営利法人には許可されていません。そのため、これらの施設の新設・運営を考える場合、社会福祉法人の設立は事実上不可欠です。
公的支援を活用して福祉事業を安定的に展開したい場合に適している
福祉施設の整備にあたって補助金などの支援を受けやすい点も、社会福祉法人の大きな強みです。たとえば、生活困窮者向けの施設を建設する場合、国や自治体から施設整備費の最大4分の3が補助される制度があります。また、非営利であることから地域や行政との信頼関係も築きやすく、指定事業者としての認可取得や協力体制の構築にも有利に働きます。
営利目的や小規模・柔軟な運営を重視する場合には不向き
社会福祉法人は、収益事業の制限やガバナンス体制の厳格さから、短期的な利益追求や小規模での柔軟な運営には適していません。少人数で始める起業や自由度の高い事業展開を重視する場合は、株式会社やNPO法人の方が適している可能性があります。社会福祉法人は、継続的かつ公益性の高い福祉事業にこそ適した法人格です。
社会福祉法人を設立するメリット・注意点は?
社会福祉法人の設立には、多くの支援制度や信頼性の向上といったメリットがある一方で、自由な事業運営が難しいなどの注意点も存在します。設立を検討する際は、両面を理解したうえで判断することが重要です。
【メリット】公的支援や税制優遇を受けられる
社会福祉法人は、公共性の高い法人格として位置づけられており、国や自治体からの補助金・助成金を受けやすい点が大きな魅力です。施設整備費については最大で4分の3の補助を受けられる制度があり、初期投資の負担を大きく軽減できます。また、法人税についても、社会福祉事業や公益事業から生じた収入には非課税措置が適用されるため、財政的に安定した運営がしやすくなります。
さらに、非営利であることから、地域社会や行政からの信頼が高まり、連携・協力体制を築きやすくなる点もメリットの一つです。保育所や高齢者施設などで指定事業者として選ばれる際にも有利に働きます。
【注意点】経営の自由度の低さや設立要件の厳しさ
社会福祉法人は自由な経営がしにくく、収益事業はあくまで補助的な位置づけに限られています。利益は分配できず、すべて福祉事業へ再投資しなければならないため、柔軟な事業展開を希望する場合には不向きです。
また、設立には所轄庁の認可が必要で、評議員・理事・監事・会計監査人など多数の役員を揃える必要があるほか、一定の資産要件も求められます。運営開始後も毎年の報告義務や監査対応があり、ガバナンスとコンプライアンスの維持に相応の体制が必要です。
社会福祉法人の設立要件は?
社会福祉法人の設立には、他の法人と比べて厳格な制度的要件が設けられています。以下のような要件を満たす必要があります。
1. 公益的な目的を持つこと
- 社会福祉法に基づく第一種または第二種社会福祉事業を行うことが前提となります。
- 利益追求ではなく、地域福祉の増進を目的とした非営利法人である必要があります。
2. 所定の役員構成を整えること
- 評議員:7名以上
- 理事:6名以上
- 監事:2名以上
- 会計監査人:1名以上(公認会計士または監査法人)
これらの役員は兼任不可であり、適正な人材配置が求められます。
3. 必要な資産を確保すること
- 社会福祉事業に必要な土地・建物(基本財産)を保有すること
- 収益・公益事業を行う場合は、それぞれ専用の財産区分を明確に保有する必要があります。
4. 定款と事業計画を整備すること
- 定款には目的、事業内容、役員構成、財務運用、解散時の残余財産処理等が記載されていなければなりません。
- 事業計画書・予算書・資金収支計画なども所轄庁に提出が必要です。
社会福祉法人の設立手順は?
社会福祉法人を設立するには、認可制という特徴があり、計画段階から所轄庁との綿密な調整が求められます。
① 設立計画の立案と準備委員会の組織
まず、法人設立の目的・事業内容・対象とする福祉分野を明確にし、設立準備委員会を立ち上げます。この段階で、必要な役員候補や施設の計画、資金調達の見通しなども整理します。
② 所轄庁との事前協議
都道府県や指定都市などの所轄庁に対し、設立計画の内容を説明し、必要な指導や助言を受けます。法人名称や事業対象地、施設内容などもここで調整されます。
③ 書類の作成と認可申請
定款、設立趣意書、事業計画書、収支予算書、資産目録、役員名簿など、所定の申請書類を作成し、所轄庁に提出します。資料に不備があると受理されないため、慎重な確認が必要です。
④ 所轄庁による審査と認可
提出された内容に基づき、役員構成・資産・事業の適正性が審査されます。問題がなければ、設立の「認可書」が交付され、次のステップへと進めます。
⑤ 法人登記と事業開始準備
認可後2週間以内に法務局で登記申請を行い、法人格が正式に成立します。その後、指定申請やスタッフ採用、施設整備などを経て、事業開始へと移行します。
各ステップで行政との連携が重要であり、計画から登記完了までに半年以上かかる場合もあります。
社会福祉法人設立には慎重な準備が必要
社会福祉法人は、社会貢献を目的とした特別な非営利法人格です。株式会社やNPO法人との違いを正しく理解し、自らの事業計画がこの法人格に適しているかを見極めることが重要です。特に高齢者・障害者施設など福祉の現場で起業を目指す場合、社会福祉法人を選択することで税制優遇や補助金など多くのメリットを享受できます。一方で、設立要件の厳しさや認可取得のハードルも高いため、入念な準備と専門知識が欠かせません。
社会福祉法人の設立を検討する際は、本記事で解説したポイントを踏まえ、計画段階からしっかりと準備を進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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