- 作成日 : 2026年1月14日
株式会社と合同会社のメリットを比較!設立費用や信用度の違いから最適な選び方まで解説
起業を検討する際、最初の大きな分岐点となるのが法人格の種類選びです。日本国内で最も一般的な株式会社と、近年AmazonやAppleの日本法人も採用しており注目を集める合同会社(LLC)。これらには、それぞれ明確なメリットとデメリットが存在します。
本記事では、両者の違いを設立費用、社会的信用度、資金調達のしやすさ、、ランニングコストなどの観点から徹底比較し、あなたのビジネスに最適な形態がどちらなのかを解説します。
目次
株式会社・合同会社とは?
株式会社と合同会社のメリット・デメリットを比較する前に、まずは両者の法的な定義を理解しましょう。最大の違いは、所有と経営が分離しているか、一致しているかにあります。
株式会社とは?
株式会社とは、出資者(株主)と経営者(取締役)が分離している法人形態です。
出資者は資金を提供する対価として株式を受け取り、経営は取締役などの業務執行権のある者に委任します。これにより、広く一般から資金を集めやすくなるのが特徴です。
- 所有:株主
- 経営:取締役
- 特徴:大規模な資金調達が可能、社会的信用が高い
合同会社(LLC)とは?
合同会社とは、出資者(社員)がそのまま経営者となる所有と経営が一致した法人形態です。
米国のLLC(Limited Liability Company)をモデルに2006年の会社法改正で導入されました。株主総会のような機関設計が不要で、出資者同士の合意のみで迅速な決定が行えるのが特徴です。
- 所有:社員(出資者)
- 経営:社員(業務執行社員)
- 特徴:設立コストが安い、意思決定が速い、配当の自由度が高い
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株式会社を設立するメリットは?
株式会社の最大のメリットは、圧倒的な社会的信用度と資金調達の拡張性にあります。
1. 社会的信用度が高い
株式会社の最大の強みは、誰に対しても通じる「社会的信用」です。株式会社は登記時に厳格な手続きが求められ、決算公告の義務があるため透明性が高く一般に信用度が高いと判断されやすいです。この信用度は以下のような場面で有利に働きます。
- BtoB取引:大手企業の中には、取引条件として株式会社であることを規定している場合があります。
- 金融機関の融資:決算情報の開示義務があるため、銀行からの融資審査においてプラス材料となることがあります。
2. 株式による大規模な資金調達が可能
事業拡大のための資金調達の選択肢が豊富である点も大きなメリットです。株式を発行することで、返済義務のない資金を投資家から調達することが可能です。経営権をある程度維持したまま、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家から数千万円〜数億円規模の資金を調達(エクイティファイナンス)する道が開かれます。将来的にIPO(新規株式上場)を目指すなら、株式会社一択となります。
3. 採用活動で優秀な人材を集めやすい
株式会社というブランドは、求職者に対して安心感を与えます。優秀な人材確保において、株式会社という響きは有利に働きます。求人を行い、従業員を積極的に採用したい場合は、株式会社ブランドが採用力に直結します。
株式会社を設立するデメリットは?
一方で、株式会社にはコストや手続き面での負担が存在します。
1. 設立時の初期費用が高い
株式会社の設立には、一般に18万円前後の実費がかかります。内訳として、公証役場での定款認証手数料が約3万〜5万円必要となり、登録免許税も最低15万円かかります。合同会社と比較して初期費用が高くなるため、コスト負担が大きくなります。
2. 決算公告や役員変更などのコストがかかる
設立後も維持費がかかるのが株式会社の特徴です。毎年の決算を官報などに掲載する「決算公告」の義務があり、これに年間約6万〜7万円の費用が発生します。また、役員には任期(原則2年)があり、重任登記の手続きと費用が定期的に必要になります。
合同会社(LLC)を設立するメリットは?
合同会社のメリットは、設立・維持コストの安さと経営の自由度・スピードです。
1. 設立費用・ランニングコストが安い
合同会社の最大のメリットは、コストの安さです。設立時の実費が株式会社より約14万円安く済みます。定款認証が不要(0円)であり、登録免許税も最低6万円で済みます。さらに、決算公告の義務がないため毎年の掲載費用(約6万円〜)もかかりません。初期費用だけでなく毎年のランニングコストも削減できる点は、スモールビジネスにとって大きな利点です。
2. 意思決定のスピードが速く経営の自由度が高い
合同会社は定款自治の色が強く株主総会の開催が不要であり、出資者(社員)の同意だけで迅速に決定が行えます。株式会社では重要事項の決定に株主総会の決議が必要ですが、合同会社はその手間がありません。変化の激しい市場で戦うスタートアップなどにおいて、柔軟かつ迅速な経営が可能です。
3. 利益配分を出資比率に関係なく自由に決められる
利益の分配ルールを定款で自由に設定できる点も特徴です。株式会社は持ち株数に比例して配当が決まりますが、合同会社は貢献度に応じた配分が可能です。例えば、出資金は少ないが技術力で貢献したエンジニアに多くの配当を出すといった柔軟な運用ができます。ただし、税務上は役員報酬や分配方法によって課税関係が変わるため、実際の設計時には税理士へ相談することを推奨します。
合同会社(LLC)を設立するデメリットは?
合同会社を選ぶ際に注意すべき点は、拡張性の限界と対外的な見え方です。
1. 株式による資金調達ができない
合同会社は出資者=経営者であるため、外部からの純粋な出資を受け入れにくい側面があります。株式を発行できないため、大規模なエクイティファイナンスには不向きです。将来的に上場(IPO)を目指すこともできません。
2. 社会的信用度・認知度が劣る場合がある
認知度は向上していますが、社会的信用度は一般的なレベルに留まります。代表者の肩書きが「代表取締役」ではなく「代表社員」となるため、名刺交換などの場面で説明が必要になることがあります。
株式会社と合同会社のどちらを選ぶべき?
将来の規模と誰を相手に商売をするかで選ぶべき法人形態が決まります。ここでは具体的なケースに合わせて、なぜその形態が推奨されるのかを詳しく解説します。
株式会社の設立がおすすめなケースは?
以下のいずれかに該当する場合は、初期費用がかかっても株式会社を選ぶべきです。
- 将来的に上場(IPO)やM&A(売却)を目指している
外部投資家からの資金調達には株式の発行が不可欠です。将来的なエグジット(出口戦略)を考えているなら、最初から株式会社にしておくことでスムーズに資本政策を進められます。 - 求人を行い、従業員を積極的に採用したい
株式会社というブランドは求職者に安心感を与え、採用力に直結します。優秀な人材を確保し、組織を拡大していく計画があるなら、株式会社の信用力が必要です。 - 大手企業や官公庁との取引がメインになる
一部の大手企業や官公庁では、取引口座の開設審査において「株式会社であること」を条件としている場合があります。取引機会の損失を防ぐためにも株式会社が有利です。
合同会社の設立がおすすめなケースは?
以下のいずれかに該当する場合は、合同会社の方がコストパフォーマンスに優れています。
- フリーランスの法人化(一人社長)
自分一人、または家族経営であれば、株主総会などの形式的な手続きは手間でしかありません。意思決定の速さと管理の手軽さを優先すべきです。 - BtoCまたは店舗ビジネス
飲食店、美容室、ネットショップなど、顧客が「屋号(店名)」を見て利用するビジネスの場合、運営会社が(株)か(同)かは顧客にとって重要ではありません。法人格よりもサービスの中身が重視されるため、あえてコストの高い株式会社にする必要性は薄いと言えます。 - 副業の法人化や資産管理会社(プライベートカンパニー)
主な目的が節税であり、外部からの信用や大規模な調達を必要としない場合です。ランニングコストを抑えることで、節税メリットを最大化できます。 - 初期投資を極限まで抑えたい
株式会社との差額である約14万円を、広告費や設備投資に回す方が合理的です。特にスモールビジネスの立ち上げ期において、この差額は決して小さくありません。
合同会社から株式会社へ組織変更することは可能?
合同会社として設立した後、将来的に株式会社へ組織変更することも可能です。
まずはコストの安い合同会社でスタートし、事業が軌道に乗ってから株式会社にするという戦略は有効な手段の一つです。ただし、変更には手間とコストがかかるため、以下の注意点を必ず確認してください。
組織変更の具体的な手順は?
組織変更は、単に書類を出すだけで終わる手続きではありません。主に以下の3つのステップを踏む必要があります。
- 組織変更計画書の作成
新しい株式会社の目的や定款の内容を定めた計画書を作成します。 - 債権者保護手続き
会社の組織が変わることを債権者(取引先など)に知らせるため、官報への公告などを行います。 - 登記申請
法務局へ合同会社から株式会社への組織変更登記を申請します(実務上は一体登記として処理されます)。
参考:合同会社解散及び清算人選任登記申請書|法務局、商業・法人登記申請手続|法務局
組織変更のデメリットは?
組織変更はメリットばかりではありません。特に二度手間になるコストに注意が必要です。
- 費用面の負担
組織変更を行う際、登録免許税として最低3万円〜が必要になります。さらに、官報公告の掲載費用や、手続きを依頼する司法書士への報酬も改めて発生します。 - 期間面の負担
債権者保護手続には最低1ヶ月の期間が必要であり、トータルでは1.5ヶ月〜2ヶ月程度の期間を要します。
もし、最初から大規模な展開が見えているのであれば、あとから変更する手間と追加費用を避けるために、最初から株式会社を選択する方が、結果的に総コストと時間を節約できる可能性が高くなります。
選択に迷ったら事業のゴールから逆算しよう
会社設立において最も重要なのは、現在のコストだけでなく、3年後や5年後の「会社のありたい姿」から逆算して形態を選ぶことです。
もしあなたが将来的に大きく事業を成長させ、資金調達や人材採用に力を入れたいのであれば、社会的信用の高い「株式会社」が最適な選択となります。一方で、フリーランスの法人化やスモールビジネスとして、コストを抑えつつ自由な経営を目指すのであれば、「合同会社」がベストな選択肢と言えるでしょう。
迷った場合は、まずは合同会社でスタートし、必要になったタイミングで株式会社へ変更するという道もあります。「とりあえず会社を作る」のではなく、あなたのビジネスが目指すゴールに最も適した形態を選ぶことこそが、成功への第一歩です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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