- 作成日 : 2025年12月24日
フランチャイズは儲かる?業種ごとの収益モデル、成功するためのポイントを解説
フランチャイズとは、本部のブランドや成功ノウハウを活用して開業する仕組みです。「儲かる」と言われますが、コストや撤退リスクへの理解が不可欠で、加盟すれば必ず成功するわけではありません。 本記事では、高い収益性が期待できる業種や具体的な収益例、さらに契約前に確認すべき成功率を高めるためのポイントを解説します。
目次
フランチャイズは儲かる?
フランチャイズは、ビジネスの成功確率を高めるための仕組みであり、加盟すれば誰もが自動的に儲かるわけではありません。
本部の提供するブランド力やサポート体制を最大限に活用しつつも、最終的には加盟店オーナー自身の経営努力、資金管理能力、人材育成、そして地域に根差した店舗運営が「儲かる」かどうかの分かれ道となります。
「儲かる」という言葉の裏にあるリスクと仕組みを正しく理解し、自身の適性や資金計画と照らし合わせた上で、慎重に判断することが成功への第一歩です。
フランチャイズが儲かる理由(メリット)
フランチャイズが個人での独立開業に比べて「儲かりやすい」とされる背景には、本部(フランチャイザー)が提供する強力な基盤があります。
確立されたビジネスモデルとブランド力
ゼロから事業を立ち上げる場合、商品開発、サービス内容、集客方法、オペレーション構築など、すべてを自分で考え、試行錯誤する必要があります。しかしフランチャイズでは、既に成功実績のあるビジネスモデルがパッケージ化されています。
また「あの有名なお店」というブランド力を開業初日から利用できるため、認知度を高めるための時間や広告宣伝コストを大幅に削減でき、早期の集客と売上安定が見込めます。
充実したサポート体制(未経験でも安心)
多くのフランチャイズ本部では、加盟店(フランチャイジー)向けのサポート体制が充実しています。
- 開業前研修:商品知識、調理・製造技術、接客マニュアル、店舗運営ノウハウなどを体系的に学べます。業界未経験者でも安心してスタートできるのは大きな強みです。
- 開業後の経営指導:開業後も、スーパーバイザー(SV)と呼ばれる本部担当者が定期的に店舗を巡回し、売上向上のためのアドバイスや経営相談に乗ってくれます。一人で悩みを抱え込むリスクを軽減できます。
- 共同マーケティング:本部が主体となってテレビCMや全国規模のキャンペーンを実施してくれるため、個店では難しい大規模な広告宣伝の恩恵を受けられます。
仕入れや運営のスケールメリット
本部が全加盟店分を一括して仕入れたり、専用のPOSレジシステムや什器(じゅうき)を開発・提供したりすることで、スケールメリット(規模の利益)が働きます。
個人店であれば割高になってしまう原材料や資材、システム利用料などを、より安価なコストで調達・利用できるケースが多く、これは運営コストの削減、ひいては利益率の向上に直結します。
フランチャイズが儲からない理由(デメリット)
一方で、「儲かる」という期待とは裏腹に、フランチャイズ特有の仕組みが「儲からない」要因となるリスクも存在します。
ロイヤリティ(ロイヤルティ)の支払い義務
フランチャイズに加盟する最大のデメリットとも言えるのが、ロイヤリティ(ブランドやノウハウの使用対価)の支払いです。これは、たとえ店舗が赤字であっても、本部に支払い続けなければならない固定費(※契約形態によります)となる場合があります。
ロイヤリティの方式(売上の〇%、利益の〇%、月額固定など)によっては、売上が伸びても手元に残る利益が圧迫され、「働いても本部に利益を持っていかれている」と感じるオーナーも少なくありません。
経営の自由度が低い(契約による制約)
フランチャイズは、全国どこの店でも同じ品質の商品・サービスを提供することでブランド価値を維持しています。そのため、加盟店は本部の作成したマニュアルやルールを厳格に守る必要があります。
「地域のお客様に合わせて独自メニューを出したい」「独自の割引キャンペーンを打ちたい」といった、オーナー独自のアイデアを経営に反映させる自由度は低いです。これが足かせとなり、地域のニーズに柔軟に対応できず、売上を伸ばしきれないケースもあります。
本部や他加盟店の影響(連帯責任リスク)
自身の店舗がどれだけ誠実に運営していても、本部の方針転換や他店の不祥事によって、ブランドイメージが悪化することがあります。
具体的には、急な商品リニューアルの失敗や、他店でのアルバイトによる不適切動画の投稿などが挙げられます。これにより、自店に落ち度がないにもかかわらず、客足が遠のき、売上が減少してしまうリスクがあるのです。
契約上の縛り(撤退の困難さ)
「儲からないからすぐに辞めたい」と思っても、フランチャイズ契約には通常、数年単位の契約期間が定められています。
もし契約期間の途中で廃業(解約)しようとすると、違約金を請求されることが一般的です。初期投資の回収が終わっていない段階で撤退を余儀なくされると、多額の借金だけが残る最悪の事態も考えられます。
フランチャイズのメリット・デメリットは以下の記事でも詳しく紹介しています。
儲かると言われるフランチャイズ業種と収益モデル
フランチャイズで必ず儲かるビジネスは存在しませんが、市場トレンドや収益構造の特性上、比較的儲かりやすい(利益が出やすい)とされる業種は存在します。
具体的には「在庫リスクがない」「人件費がかからない」「継続収入(ストック)がある」といった特徴を持つ業種です。ここでは、現在注目されている業種の特徴と、フランチャイズ本部などが提示しているモデル収益の一例をご紹介します。
以下に示す年収・年商の数値は、あくまで特定の条件下での「収益モデル」の一例です。これらは収益を保証するものではなく、開業する立地、市場環境、運営努力、初期投資額、スタッフ体制(1人運営か雇用か)などによって大きく変動します。
1. 教育・支援サービス(学習塾・児童発達支援)
教育・支援サービスは景気の影響を受けにくく、長期的に安定した需要が見込める分野です。不況下であっても、教育費や福祉サービスへの支出は削られにくい傾向にあります。
- 学習塾・個別指導:月謝制のストック型収入で、原価が小さく粗利率が高いのが特徴です。
- 収益モデル例:生徒数50名(オーナー1名+講師)、年間営業利益600万~800万円。/ 生徒数80名、年間売上(年商)1,500万円など。
- 児童発達支援・放課後等デイサービス:社会的ニーズが非常に高く、景気の影響を受けにくい安定性が魅力です。
2. リユース・清掃サービス(買取専門店・ハウスクリーニング)
リユース・清掃サービスは、高い利益率と、在庫リスクの低さが最大の特徴です。 仕入れコストや廃棄ロスが発生しにくいため、売上の多くがそのまま利益として手元に残りやすいビジネスモデルです。
- 買取専門店(リユース):リユース市場自体が拡大基調にあります。比較的狭いスペースで開業でき、在庫リスクが小さい点が強みです。
- 収益モデル例:1店舗運営(2名体制)、年間営業利益1,000万円超。/ 月間営業利益80万~150万円など。
- ハウスクリーニング/清掃:原価が小さく、利益率が高い業種です。初期費用を抑えやすく、1人開業に適しています。
- 収益モデル例:1人開業・自宅開業、年間売上(年商)800万~1,000万円。(※売上から経費を引いたものがオーナー年収となります)
3. 省人化・無人化モデル(フィットネス・コインランドリー・無人販売)
省人化・無人化モデルは人件費の高騰が続く現代において、注目されている分野の一つです。 スタッフを雇うコストや採用の手間を極限まで減らせるため、損益分岐点を低く抑え、利益を出しやすいのが強みです。
- 24hフィットネス/インドアゴルフ等:無人または省人化運営により、損益分岐点が低いモデルが増加しています。
- 収益モデル例:(24hジム)会員300人モデル、月間営業利益50万円。/ 会員500人、年間営業利益1,000万円など。
- コインランドリー:人件費負担が小さい代表的な固定費型ビジネスです。
- 収益モデル例: 小型店モデル、年間売上500万円、年間営業利益200万円。/ 大型(布団対応)店、年間売上1,200万円、年間営業利益400万円など。
- 無人販売/セルフ美容(脱毛など):初期投資や人件費を抑えつつ、高粗利の商品・サービスを提供するモデルです。
4. ストック型ビジネス(トランクルーム・結婚相談所)
ストック型ビジネスは毎月の会費が積み上がっていくことで、会員数に比例して収益が安定するビジネスモデルです。 一度契約すれば継続的な収入が見込めるため、毎月の売上変動に悩まされることが少ないのが最大のメリットです。
- トランクルーム(ストレージ):月額課金の継続収入モデルです。
- 収益モデル例:稼働率50%で損益分岐、稼働率80%で月間利益30万~50万円(規模による)など。
- 結婚相談所:市場基盤が拡大しており、自宅開業も可能で粗利率を確保しやすいとされています。
- 収益モデル例:1人運営(自宅開業)、年間売上(年商)600万円。/ 本業で年収1,000万円を目指せるモデルも提示されています。
5. コンビニエンスストア(※利益構造に注意)
コンビニエンスストアは社会インフラとして圧倒的な知名度と集客力を持ちます。ただし、売上は大きくても「オーナーの手元に残る利益(儲け)が伸びにくい」と言われる構造的な特徴があるため、注意深い検討が必要です。
儲かるフランチャイズを選んで成功するためのポイント
フランチャイズ経営で確実に利益を出し、成功を掴むためには、本部の説明会で提示される「モデル収益」を鵜呑みにせず、より深く、厳しい視点で分析することが不可欠です。 勝てるビジネスかどうかを見極めるために、以下の5つのポイントを必ず確認してください。
1. 収益モデルと損益分岐点を徹底的に試算する
「儲かるか」を判断する第一歩は、「何人のお客様が来れば黒字になるか」という損益分岐点を正確に把握することです。 まずは本部に「必要な会員数・客数」「想定客単価」「必要な稼働率」などの数値を具体的に確認し、以下の項目を徹底的に洗い出してください。
- 初期費用の総額:加盟金だけでなく、物件取得費、内外装工事費、研修費など「開業までに必要な全ての費用」。
- 運営費用の詳細:家賃、人件費、原価に加え、「ロイヤリティ(歩合か固定か)」「システム利用料」「共通広告分担金」などの見えにくいコスト。
- シナリオ別試算:「好調な場合」だけでなく、「不調な場合(想定売上の7割など)」でも資金繰りが破綻しないか、投資回収に何年かかるか。
2. 本部のサポート体制と既存オーナーの生の声を確認する
契約書やマニュアルだけでは見えない「運営の実態」を把握しましょう。 特に重要なのが、スーパーバイザー(SV)による「開業後のサポート」です。SVが単なる監視役ではなく、具体的な経営改善の提案をしてくれるパートナーかどうかを見極める必要があります。
また、最も信頼できる情報源は「既存オーナーの生の声」です。現役オーナーに話を聞く機会を作り、以下のような本音を質問してみてください。
- 「説明会で聞いた話と、現実で一番ギャップがあった点は?」
- 「モデル収益と実際の収益はどれくらい違いますか?」
- 「SVのサポートは本当に役立っていますか?」
- 「もしもう一度選ぶとしても、このフランチャイズに加盟しますか?」
3. 市場・立地と運営の難易度を現実的に分析する
本部が提示する「市場が伸びている」というデータと「その場所で運営して勝てるか」は別の問題です。本部データを鵜呑みにせず、必ず自分の足で現地を調査し、競合数やターゲット層(子育て世帯や高齢者など)の人口動態を裏取りしてください。
あわせて、業種特有の運営の難易度も理解しておく必要があります。
- 福祉系(介護・放課後デイなど):「有資格者の採用・定着」が経営の生命線となります。
- 無人系(ジム・販売など):スタッフは不要でも、機器トラブル対応、清掃、防犯管理など、オーナー自身の業務は必ず発生します。
4. 出口戦略(辞め方)を契約前に確認する
事業がうまくいかなかった場合に、どう撤退できるかを想定しておくことは最大のリスク管理です。 「辞める時にいくらかかるか」という負債リスクを、事前にリストアップしておきましょう。
- 違約金:中途解約した場合のペナルティ額。
- 原状回復費用:撤退時に店舗をスケルトン(何もない状態)に戻すための工事費。
- 機器の残債:リース契約した機器のリース残高。
- 居抜き売却の可否:店舗設備をそのまま次のオーナーに売却し、撤退コストを抑えることが認められているか。
5. 税金・節税の知識を身につける
たとえ「売上」が順調でも、税金の知識がなければ手元に残る「お金」は大きく減ってしまいます。 特に開業初期は税理士に依頼せず自分で管理するケースも多いため、以下の最低限の知識は身につけておくべきです。
- 経費の範囲:どこまでを経費として計上できるか。
- 青色申告:節税メリットの大きい申告方法の理解。
- 法人化のタイミング:売上が大きくなった際、いつ法人成りすれば有利になるか。
フランチャイズで儲かるかはオーナーの努力と見極め次第
フランチャイズはビジネスの成功確率を高める「儲かりやすい仕組み」ではありますが、加盟すれば「必ず儲かる」という保証はありません。
ブランド力やサポート体制を利用できる反面、ロイヤリティの負担や契約上のリスクは必ず存在します。成功を掴むためには、加盟前に収益シミュレーションや出口戦略、税金の知識を身につけることが不可欠です。
最終的には、本部の仕組みに依存しすぎず、オーナー自身が覚悟を持って経営努力を続けられるかどうかが、大きな利益を生み出せるかの分かれ道となります。
以下の記事では資金調達方法を解説しているので、実際にフランチャイズオーナーとして開業する際には、ぜひ参考にしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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