- 更新日 : 2025年4月8日
契約における合意管轄・紛争解決条項とは?設定方法や書き方を解説
契約における合意管轄・紛争解決条項とは、契約がどの法律に準拠し、どの裁判所で紛争を解決するかを定める条項です。契約時に定めておくことにより、将来、当事者間でトラブルが生じたときにスムーズな解決を実現できます。本記事では、契約における合意管轄・紛争解決条項がなぜ必要か、また書き方の具体例を解説します。
目次
契約における合意管轄・紛争解決条項とは?
契約における合意管轄・紛争解決条項とは、契約の準拠法と紛争を解決する裁判所を定める条項です。とりわけ異なる国の間で契約を締結するときは、どの国の法律を準拠法とするか、どの裁判所で紛争を解決するかを定めておくことが重要です。法律が異なることで、違法とされる行為や罰則が異なり、場合によっては大きな不利益を招くかもしれません。
また、国内の事業者と契約を締結するときは、紛争解決のための裁判所をどこにするかを明記することが大切です。自社から離れた裁判所を紛争解決のための場所に指定すると、裁判のたびに交通費や宿泊費がかさみ、不利益が生じることがあります。万が一に備えるためにも、紛争解決の準拠法と裁判所を明確に決めておきましょう。
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合意管轄・紛争解決条項の役割
合意管轄・紛争解決条項は、必ずしも契約書に記載する必要はありません。合意管轄・紛争解決条項がなくとも、契約の条件や契約当事者についての情報が十分に記載されていて法律上の契約成立要件を満たすのであれば、法律上は契約が有効に成立することになります。
しかし契約書が有効なものであっても、トラブルが起こる可能性は十分にあります。万が一トラブルが起こったときにスムーズな解決を実現するためにも、合意管轄・紛争解決条項を記載しておきましょう。
また、国内の事業者間で契約を結ぶときも、事業所の距離が離れているときは「どこの裁判所を利用するのか」という点が問題になります。契約書に管轄の定めがなければ民事訴訟法に基づいて管轄が決まることになりますが、民事訴訟法では複数の場所に管轄が認められる可能性があります。
そうすると、管轄裁判所を指定していない場合は、訴える側が自分にとって都合の良い裁判所に申立ができる場合はあります。通うだけでも時間や費用がかかり、本業に支障が生じてしまうかもしれません。裁判時の不便を回避するためにも、複数の国間で契約を結ぶときだけでなく、離れた場所の個人・法人と契約を結ぶときにも、裁判所を決めておくことが大切です。
合意管轄の設定方法
合意管轄を決めるルールはありません。契約当事者が合意すれば、管轄をどこに設定しても問題はありません。
しかし、妥当性のある準拠法・裁判所を選ぶことが一般的です。たとえば、日本国内の事業者間の契約書なら日本法を準拠法とする、東京都内の事業者間の契約書であれば、都内の裁判所を指定します。
なお、合意管轄を決められるのは第一審のみ(民事訴訟法第11条1項)です。第一審の判決に不服があり控訴するときや、第二審にも不服があり上告するときは、第一審の裁判所の管轄をもとに決まることになり、これらを契約で変更することはできません。
専属的合意管轄と付加的合意管轄の違い
専属的合意管轄とは、特定の裁判所でしか訴訟を起こせないことを取り決めることです。通常は専属的合意管轄とするため、指定した裁判所以外では訴訟を起こせません。
一方、付加的合意管轄とは、特定の裁判所に加え、法律上認められる裁判所であれば他の裁判所でも訴訟を起こせることを合意することです。訴訟を起こす側にとって有利な立地の裁判所が選ばれる可能性はあるため、特別な事情がない限り、付加的合意管轄は避けたほうが良いでしょう。
合意管轄裁判所はどこを設定すべき?
契約当事者の事業所が近いときは、お互いにとって最寄りとなる裁判所を合意管轄とすることが一般的です。しかし、事業所が離れているときは、簡単には決められません。
裁判が長引く場合は自社に近いほうが有利となるため、お互いに自社にとって都合の良い立地の裁判所を主張する可能性があります。公平性を期すためにどちらの事業所からも遠い裁判所を選ぶと、管轄が不合理だと判断されて無効になることもあるため、慎重に決めることが大切です。
二国間で契約を結ぶときは、クロス法(甲が乙に対して訴訟提起をする場合には乙国で、乙が甲に対して訴訟提起をする場合には甲国で訴訟をすると定める方法)を用いることがあります。クロス法ならお互いに不便な立地の裁判所を指定することになり、訴訟を安易に起こされることを回避できるというメリットがあります。
合意管轄・紛争解決条項の具体的な記載例
合意管轄・紛争解決条項の文言には、特に決まりはありません。ただし、スムーズな訴訟を実現するためにも、「専属的合意管轄」の文言は入れておくほうが良いでしょう。国内事業者間のケースと国際間のケースに分けて記載例を紹介します。
国内事業者間で契約を締結する場合
第〇条 合意管轄
甲および乙は、本契約における一切の紛争(調停による裁判手続を含む)は、東京地方裁判所を第一審専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。
国際間で契約を締結する場合
第〇条 合意管轄
甲および乙は、本契約から生じた紛争について、アメリカ合衆国ニューヨーク州マンハッタン地区に所在するニューヨーク州裁判所又はアメリカ連邦裁判所を専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。
管轄・紛争解決条項を設定・確認する際の注意点
合意管轄・紛争解決条項を設定するときは、次のポイントに注意してください。
- どちらか一方のみ有利にならないように注意する
- 仲裁制度も利用できるようにしておく
どちらか一方のみ有利な準拠法や裁判所を指定すると、有利ではない側が裁判を申立しづらくなることがあります。事業所が離れているときは中間地点を選び、公平性を保ちましょう。また、仲裁制度について指定しておくと紛争の長期化・複雑化を回避できます。
万が一に備えて合意管轄を設定しておこう
合意管轄を設定することで、スムーズな紛争解決につなげられることがあります。万が一、トラブルが起こった場合に備えて、合意管轄・紛争解決条項を記載しておきましょう。
また、仲裁制度も利用すれば、紛争の長期化・複雑化を回避しやすくなります。お互いにとってメリットのある契約を締結するためにも、トラブル回避の施策を検討しておきましょう。
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