• 作成日 : 2025年8月19日

リーガルチェックを外注するメリットは?費用や失敗しない選び方まで徹底解説!

新しい取引先との契約書、ウェブサイトに掲載する利用規約、新規事業の適法性…ビジネスのあらゆる場面で法的リスクは潜んでいます。そのリスクを事前に洗い出し、問題を未然に防ぐ手続きがリーガルチェックです。

しかし、「社内に法務部員がいない」「専門的な判断に自信がない」といった理由から、リーガルチェックの実施に課題を感じている企業は少なくありません。そのような場合に最も有効な選択肢が、弁護士などの専門家への外注です。

本記事では、リーガルチェックの外注を検討している企業の担当者に向けて、メリット・デメリットから、気になる費用相場、失敗しない依頼先の選び方、具体的なやり方まで詳しく解説します。

そもそもリーガルチェックとは

リーガルチェックとは、契約書や利用規約、広告表示といった事業活動に関わるあらゆる文書や行為が、法律や条例に違反していないか、法的な問題点がないかを確認する作業です。

リーガルチェックの最大の目的は、将来起こりうる法的トラブルを未然に防ぎ、事業と会社の信用を守ることにあります。チェックを怠った場合、契約が無効になったり、高額な損害賠償を請求されたり、行政指導を受けたりと、事業の存続を揺るがしかねない深刻な事態を招く可能性があります。

リーガルチェックの言い換え表現

リーガルチェックという言葉は、場面に応じて様々な言葉で言い換えられます。

  • 契約書レビュー、契約書法務審査:契約書に特化したチェック
  • 規約審査、広告表現チェック:ウェブサイトの規約や広告に関するチェック
  • 法務監査、コンプライアンスチェック:より広い意味で、事業全体の適法性を検証すること

これらは対象や範囲によって使い分けられますが、「法的な妥当性を確認する」という本質は共通しています。

リーガルチェックは誰がやるのか

リーガルチェックの担当者には、大きく分けて「社内対応」と「外注」の2つの選択肢があります。

  1. 社内対応
    法務部や法務担当者がいる企業では、まず社内で対応するのが一般的です。
  2. 外注
    法務人材がいない中小企業やスタートアップ、または特に高度な専門性が求められる分野については、弁護士などの外部専門家に依頼するケースが多く見られます。近年では、個人事業主やフリーランスが単発で依頼するケースも増えています。

リーガルチェックを外注するメリット

専門知識が必要なリーガルチェックを、外部の専門家に任せることには多くのメリットがあります。

1. 高い専門性でビジネスリスクを低減できる

外注先の弁護士は、法律知識はもちろん、最新の判例や法改正の動向にも精通しています。自社では気づきにくい潜在的なリスクや、業界特有の法的問題を的確に指摘してもらえるため、事業の安全性が格段に高まります。

2. 客観的な視点で公平なチェックが可能になる

社内担当者だけでは、自社に都合の良い解釈をしたり、取引先との関係性を優先して問題点を見過ごしたりするリスクがあります。外部の専門家は、第三者の中立的な立場でチェックを行うため、社内のしがらみに左右されない公平で妥当な判断が可能です。

3. 社員がコア業務に集中できる

法務担当者がいない企業では、経営者や他部署の社員が慣れないリーガルチェックに時間を取られがちです。専門的な法律文書の読解や調査には多大な時間がかかり、本来注力すべきコア業務を圧迫します。外注によって社員は専門業務に集中でき、組織全体の生産性が向上します。

4. 法務担当者の採用・教育コストを削減できる

専門知識を持つ法務担当者一人を採用するには、数百万円単位の採用コストと人件費が必要です。外注であれば、必要な時に必要な分だけ専門家のサービスを利用できるため、正社員を雇用するよりコストを大幅に抑えられます。

5. 常に最新の法改正に対応できる

法律は常に改正されており、2025年現在も、個人情報保護法や電子帳簿保存法など、多くの企業に関わる法改正が続いています。法律の専門家である弁護士に依頼すれば、これらの最新情報に迅速かつ的確に対応したチェックが受けられます。

リーガルチェックを外注するデメリット

多くのメリットがある一方で、外注にはいくつかの注意点も存在します。

1. 費用が発生する

当然ながら、外部の専門家に依頼すれば費用が発生します。費用対効果を慎重に検討し、自社の予算内で最適な依頼先を見つけるため、必ず事前に明確な見積もりを取りましょう。

2. 社内にノウハウが蓄積されにくい

リーガルチェックを完全に外注に頼ってしまうと、どのような点が問題になりやすいのか、どう修正すべきかといった法務的な知見やノウハウが社内に蓄積されにくい側面があります。単に結果を受け取るだけでなく、修正の意図や法的根拠について担当者から詳しくフィードバックをもらい、社内の学習機会として活用する姿勢が大切です。

3. コミュニケーションコストがかかる場合もある

自社のビジネスモデルや事業の背景、チェックを依頼する目的などを正確に伝えなければ、的確なレビューは期待できません。依頼内容を整理して明確に伝える準備や、専門家からの質問に迅速に回答するための体制など、円滑なコミュニケーションを維持するためのコストを考慮しておく必要があります。

リーガルチェックの外注先と料金相場

リーガルチェックの外注先はいくつかあり、それぞれ費用体系が異なります。ここでは代表的な依頼先の費用相場を紹介します。

依頼先費用相場対応範囲・特徴メリットデメリット
法律事務所(弁護士)定型契約:5万〜20万円程度/通〜複雑・英文・M&A等:30万〜100万円超も想定

顧問契約:月額3万〜10万円前後

法律相談、契約書作成・レビュー、交渉・訴訟代理まで、あらゆる法務に対応。高度専門性と訴訟代理まで一気通貫で依頼できる。

取引交渉や緊急対応での機動力も大きい。

他の選択肢に比べ費用が高めになる傾向がある。
オンライン法務サービス月額数万~10万円程度AIを使った自動リスク抽出を基盤とし、プランによっては弁護士監修が付く。定型的な契約書の処理を依頼するなら安価でスピーディ。最終的な法的判断は弁護士などの専門家が行う必要がある。複雑な案件や交渉代理には不向き。
行政書士数千円~数万円/通権利義務・事実証明書類の文案作成と提出代行が主な業務。契約内容の妥当性判断・法的助言は不可(弁護士法72条)。定型的な契約書の処理を依頼するなら費用を抑えやすい。行政手続きの提出代行までワンストップで依頼できる。法律相談やレビュー、紛争性のある案件には対応不可(弁護士法違反)。

リーガルチェックを無料で外注する方法

コストをかけずにリーガルチェックを行う方法も存在しますが、利用には注意が必要です。

  • 自治体や法テラスの無料法律相談
    あくまで一般的な法律解釈や基本的な考え方を聞く場です。個別の契約書を詳細にレビューしてもらうのは難しく、問題の方向性を把握する程度に留まります。
  • 法律事務所の初回無料相談
    多くの法律事務所が初回30分〜60分無料の相談に応じています。弁護士との相性や専門性を確認する良い機会ですが、この場で具体的な条文修正まで行うのは一般的ではありません。外注先として適切かを見極めるための機会と捉えましょう。

結論として、本格的なリーガルチェックを完全に無料で行うのは困難です。事業の根幹に関わる重要なプロセスであるため、適切な費用をかけて専門家に依頼することを強く推奨します。

リーガルチェックの外注先の選び方

数ある選択肢の中から、自社に最適な外注先を見つけるための5つのポイントを解説します。

1. 自社の業界・ビジネスへの理解度

IT、製造、医療、エンタメなど、自社が属する業界の商慣習に詳しい専門家を選びましょう。過去の取り扱い実績を確認し、自社のビジネスを深く理解してくれるパートナーを探すことが、的確で実践的なアドバイスにつながります。

2. 料金体系の明確さ

リーガルチェックの費用がウェブサイトなどで公開されているか、見積もりは無料で詳細に提示してくれるかを確認しましょう。また、単発での依頼が可能かどうかも重要なポイントです。まずは一度試してみて、相性が良ければ継続的な関係を検討するという進め方も有効です。

3. コミュニケーションの取りやすさ

問い合わせへの返信が早いか、専門用語をかみ砕いて分かりやすく説明してくれるか、相談しやすい雰囲気か、といった点は非常に重要です。契約前に一度担当者と話し、コミュニケーションの相性を確かめましょう。

4. 実績と専門分野

依頼先のウェブサイトで、これまでの実績や解決事例を確認しましょう。特に、自社が抱える課題に近い案件の取り扱い経験が豊富であれば安心です。M&Aや知的財産、労働問題など、自社が必要とする分野の専門性が高いかを見極めましょう。

5. 個人事業主やフリーランスからの依頼への対応

法人だけでなく、個人でリーガルチェックの外注先を探している方も多いでしょう。事務所によっては法人依頼をメインとしている場合もあるため、個人事業主やフリーランスからの依頼を歓迎しているか、小規模案件にも丁寧に対応してくれるかを確認することも大切です。

リーガルチェックを外注する具体的なやり方・流れ

実際に外注する際の、一般的な手順を解説します。この流れを把握しておくことで、スムーズに依頼を進めることができます。

1. 依頼先の選定・問い合わせ

まずは、外注先の候補を複数選定します。ウェブサイトなどで情報を収集し、2〜3社に絞り込んだら、電話や問い合わせフォームから連絡を取ります。このとき、チェックしてほしい文書の種類、ページ数、希望する納期などを簡潔に伝えると、その後のやり取りがスムーズです。

2. 見積もりの取得

問い合わせ後、担当者との面談や電話で、より詳細な相談を行います。ここで、事業内容や契約の背景、懸念している点などを具体的に説明します。その内容に基づき、作業範囲や料金、納期を記載した見積書が提示されます。複数の依頼先から見積もりを取り、内容を比較検討しましょう。

3. 契約

依頼先が決まったら、委任契約などを締結します。その後、リーガルチェックを依頼する契約書や規約などのファイルを、メールやファイル共有システムを通じて共有します。この際、特に注意して見てほしい点や、取引の背景などを改めて伝えることで、より精度の高いチェックにつながります。

4. 結果の受領・質疑応答

定められた納期までに、専門家からチェック結果が納品されます。多くの場合、修正案やコメントが追記されたファイルと、修正の意図や法的根拠を解説した報告書が提供されます。内容を確認し、不明な点や疑問があれば遠慮なく質問しましょう。納得できるまで説明を求めることが、リスクを確実に低減させる上で重要です。

リーガルチェックの最適な外注先を選定しましょう

リーガルチェックの外注は、法務担当者がいない企業や、より専門的な知見を求める企業にとって、事業のリスクを管理し、成長を加速させるための有効な手段です。外注には費用がかかるなどの注意点もありますが、専門家による客観的で質の高いチェックは、それを上回る安心と価値をもたらします。

本記事で解説した費用相場や選び方のポイントを参考に、自社の事業内容や規模、予算に合った最適なパートナーを見つけてください。まずは単発での依頼や、複数の事務所の初回相談を活用して、信頼できる専門家との関係を築くことから始めてみてはいかがでしょうか。適切なリーガルチェックは、未来の紛争を防ぎ、持続的な事業発展を支えるための重要な投資です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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