• 作成日 : 2026年9月17日

法人向けファイル転送サービスとは?容量・料金相場と選び方

Point法人向けファイル転送サービスとは?

大容量のファイルを安全に渡し、送受信の記録を残せるクラウドサービスです。

  • 数GB以上のファイルをURLで送れる
  • 送信取消や宛先制限で誤送信を防げる
  • 受け取り状況をログでたどれる

費用は月額数千円から。ID課金か容量定額制かで総額が変わるため、使う人数と送る頻度を先に整理しておきましょう。

法人向けファイル転送サービスは、メールに添付できない大容量ファイルを社外の相手と安全にやり取りするためのクラウドサービスです。無料の転送サービスを業務で使い続けると、送信履歴が残らず、宛先を間違えても止められません。この記事では、法人契約でできることや送れる容量の目安、料金相場と選び方を整理します。

法人向けファイル転送サービスとは?

法人向けファイル転送サービスは、大容量ファイルをURL経由で受け渡しし、その履歴を会社として管理できるサービスです。送る・受け取るだけの無料サービスとは違い、誤送信への備えや利用状況の記録まで含めて運用できます。

メール添付の上限を超えるファイルをURLで渡せる

一般的なメールの添付上限は10〜25MB程度ですが、法人向けファイル転送サービスなら数GBから数百GBのファイルをそのまま送れます。

送信者がファイルをアップロードすると、専用のダウンロードURLが発行されます。受信側はそのURLを開くだけでよく、アカウント登録も専用ソフトの導入も求めないサービスが大半です。動画や図面、写真データを分割したり、ZIPにまとめ直したりする手間がなくなります。

送信取消や宛先制限で誤送信の被害を抑えられる

相手がダウンロードする前であれば送信を取り消せるサービスが多く、宛先を間違えてもファイルが渡る前に止められます。

止め方はサービスによって異なり、事前に登録した宛先にしか送れない送信先制限、上長の承認を経てから送信するワークフロー、受信者のアドレスを送信者が承認するアクセス承認制などがあります。メール添付は送信ボタンを押した時点で回収できないため、この差は大きいといえます。

誰がいつ受け取ったかを操作ログに残せる

送信日時、宛先、ファイル名、ダウンロードの有無が操作ログに記録され、社内監査や事故調査の際に経緯をたどれます。

ログの保存期間はサービスによって幅があり、1年程度のものから無期限で保存できるものまであります。金融や医療、公共など記録の提出を求められる業種では、保存年数に加えてCSVなどで出力できるかまで見ておくと安心です。

パスワード付きZIP(PPAP)の代わりになる

ファイルをメールに添付せずURLで渡すため、パスワード付きZIPとパスワードを別送するPPAPをやめられます。

PPAPは同じ経路で二通送るためセキュリティ上の効果が薄く、受信側でZIPを開けない、ウイルスチェックをすり抜けるといった問題も抱えています。Outlookのアドインに対応したサービスなら、添付ファイルを自動で転送リンクに置き換えられるので、現場の操作をほとんど変えずに切り替えられます。

法人向けファイル転送サービスは無料・個人向けと何が違う?

大きな違いは、会社として管理・統制できるかどうかです。ファイルを送る機能そのものは無料サービスでも足りる場面がありますが、権限管理や記録の残り方、広告の有無で業務での使い勝手が変わります。

管理者がユーザーと権限をまとめて管理できる

法人向けでは、管理者がIDの発行・削除やアクセス権限の設定を一元的に行えます。

部署ごとに送れるファイルサイズや宛先を分ける、退職者のIDをすぐ止める、シングルサインオン(SSO)で社内の認証基盤とつなぐといった運用ができます。無料サービスは個人アカウント単位で使われるため、誰がどのサービスで何を送っているのかが会社側から見えなくなります。

保存期間やダウンロード回数を業務に合わせて決められる

有料のファイル送信サービスには、保存期間やダウンロード期限、ダウンロード回数などを設定できます。サービスによって設定できる期間や回数は異なりますが、7日・30日などから選択したり、より長い期間を指定したりできるサービスもあります。

無料サービスの多くは保存期間が短く設定されている場合があり、取引先が長期休暇に入ると期限切れで再送が発生します。案件の性質に合わせて期限を延ばせると、こうした手戻りが起きにくくなります。

広告表示がなく取引先にも案内しやすい

法人向けサービスのダウンロード画面には広告が出ないため、取引先に不安を与えずファイルを渡せます。

サービスによっては、ダウンロード画面に自社ロゴや背景画像を設定できるものもあります。社外へ送る機会が多い制作会社や代理店では、受け取り画面の見え方も選定材料になります。

公開済み資料の単発共有なら無料サービスでも足りる

第三者に見られても支障のないファイルを一度だけ渡すなら、無料サービスでも実務上の不都合は起きにくいでしょう。

公開済みの会社案内やプレス用画像などが該当します。一方、契約書や見積書、設計図面、個人情報を含むデータを扱う場合や、受け渡しの記録を残す必要がある場合は、有料の法人向けサービスを選んでおきましょう。

ファイル転送サービスとオンラインストレージはどう使い分ける?

ファイル転送サービスは「渡して終わる」やり取り、オンラインストレージは「置いて共有し続ける」使い方に向いています。どちらもファイルを扱うサービスですが、想定している業務の形が違います。

比較項目 ファイル転送サービス オンラインストレージ
主な用途 社外への一時的な受け渡し 社内外での保管・共同編集
ファイルの扱い 期限が過ぎると自動で削除 削除するまで残り続ける
相手側の準備 URLを開くだけで受け取れる 招待やアカウントが必要な場合あり
料金の考え方 ID数や送信量で課金 保管できる容量で課金

ファイル転送サービスは「渡して終わる」やり取りに向く

納品データや見積書のように、渡した時点で役目が終わるファイルは転送サービスが適しています。

期限を過ぎると自動的に削除されるため、社外に置きっぱなしのファイルが増えません。受け取る側の負担も軽く、初めて取引する相手にも案内しやすいのが利点です。

オンラインストレージは継続的な保管と共同編集に向く

何度も更新する資料や、複数人で同時に触るファイルはオンラインストレージのほうが扱いやすくなります。

フォルダ単位の権限設定、版の履歴管理、同時編集などが使えます。ただし社外の相手を招待する運用では、権限の付け替えを忘れると共有が残り続けるため、定期的な棚卸しのルールが必要です。

社外送付だけを転送サービスに寄せる併用も選べる

社内の保管はオンラインストレージ、社外への送付はファイル転送サービスと役割を分ける運用が現実的です。

ストレージの共有リンクを社外に配る方法は手軽な半面、リンクの有効期限やダウンロード記録の管理が甘くなりがちです。社外へ出る経路を転送サービスに一本化しておくと、送信履歴を1か所で確認できます。

法人向けファイル転送サービスはどのくらいの容量を送れる?

送信できる容量はサービスごとに幅があり、1回20MB程度のものから1ファイル2TBに対応するものまであります。自社が普段扱うファイルのサイズを先に測っておくと、過不足のないプランを選べます。

1ファイルの上限は20MB程度から2TBまで幅がある

一般的な法人向けサービスは1回あたり2GB〜15GB程度、大容量に特化したサービスでは100GBから2TBまで対応します。

セキュリティを重視するサービスでは、標準の上限をあえて数MB〜20MB程度に抑え、オプションで拡張する料金体系をとることもあります。動画や3D CADを日常的に送るなら大容量型、契約書や帳票が中心なら数GBのプランで足ります。

業務データの実サイズから必要な容量を見積もる

手元のファイルサイズを調べれば、必要な容量は具体的な数字で見えてきます。

ファイルの種類 1件あたりの目安
見積書・契約書(PDF) 100KB〜2MB
画像入りの提案資料(PowerPoint) 5〜30MB
高解像度の写真100枚 500MB〜2GB
フルHDの動画(10分程度) 1〜3GB
3D CADデータ・設計図面一式 数百MB〜数十GB

よく送るファイルの種類と、月あたりの送信回数を掛け合わせれば、月間の通信量まで見当がつきます。実測した数字をもとにプランを選べば、契約後に容量が足りずに追加費用が発生する事態を避けられます。

容量は「1回の上限」「保管容量」「月間通信量」に分けて見る

同じ「容量」でも、1回に送れるサイズ、サーバーに置ける総量、1か月に流せる通信量の3つは別々に決まっています。

1ファイル100GBまで送れる契約でも、月間の通信総量が制限されていることがあります。大きなファイルを何度も送る業務では上限に達した時点で送信できなくなるため、通信量の枠と、超過分を追加購入できるかどうかまで確認しておきましょう。

法人向けファイル転送サービスの料金相場は?

費用は初期費用と月額費用に分かれ、月額はおおむね数千円から5万円程度が中心です。課金方式が3種類あるため、同じ利用規模でも選び方によって総額が変わります。

初期費用は無料から10万円程度まで

初期費用は無料のサービスも多く、かかる場合でも2万円から10万円程度が目安になります。

アカウントの発行、初期設定、稼働テストなどの費用が含まれます。オンライン申し込みに限って初期費用を無料にするサービスもあるため、申し込み方法による差も見ておきましょう。

ID課金は1人あたり月額1,000円前後が中心

利用人数に応じて課金するタイプは、1IDあたり月額およそ1,000円台が相場です。

使う人が10人程度の部署単位であれば、月額約1万円から始められます。一方で全社に広げると人数分だけ費用が積み上がるため、利用者が100人を超えるあたりからは他の方式のほうが安く収まることもあります。

容量定額制は月額1万〜5万円台が目安

ディスク容量に応じた定額制は月額1万円台から、100GB規模で10万円程度が目安です。

1TB以上の大容量プランでは、月額20万円を超える場合もあります。定額制はユーザー数の上限が数千から1万IDと大きく設定されていることが多く、取引先を含めて広く使う場合に費用を見通しやすい方式です。

超過料金やオプション費用も含めて年額で試算する

月額表示の金額だけでなく、通信量の超過料金やオプション料を足し込み、年額に直して比べます。

誤送信対策のワークフロー、ログの長期保存、SSO連携などが別料金というサービスは珍しくありません。最低契約期間や解約時の条件も、見積もりを取る段階で聞いておくと後から慌てずに済みます。

自社に合うファイル転送サービスはどう選ぶ?

選定は、送るファイルと相手を書き出すところから始めます。要件を先に固めておけば、各社の機能表を突き合わせる作業が短く済みます。

送るファイルの種類と相手を先に書き出す

何を、誰に、月に何回送るのかを整理すると、必要な容量とセキュリティの水準が決まります。

「設計データを海外拠点へ週1回」なら転送速度と通信の安定性、「契約書を国内の取引先へ毎日」なら誤送信対策とログが優先されます。部署単位で始めるのか全社で使うのかによって、向いている料金方式も変わります。

セキュリティ要件と第三者認証の取得状況を照らす

通信とファイルの暗号化、ウイルスチェック、IPアドレス制限、二要素認証の4点は最低限確認します。

業種によっては、ISMAP登録やISO/IEC 27001、PCI DSS準拠といった第三者認証が社内規程の条件になっていることもあります。データセンターの所在地も、海外の規制に対応する必要がある場合は確認項目に入れましょう。

受け取る側に登録やインストールが要らないかを確かめる

取引先にアカウント登録や専用ソフトを求めるサービスは、使ってもらえないまま終わることがあります。

URLを開くだけで受け取れるか、ワンタイムコードなどの本人確認が相手にとって煩雑でないかを見ておきましょう。海外の相手とやり取りするなら、画面が英語や中国語に対応しているかも判断材料になります。

代表的なサービスから要件の近いタイプに絞る

主要なサービスは得意分野がはっきり分かれているため、近いものを2〜3社に絞ってから詳細を比べます。

サービス名 向いている使い方 費用の目安
クリプト便 監査対応など高いセキュリティ要件 1人あたり月額900円〜
Bizストレージファイルシェア 取引先を含む大人数での利用 月額1万5,000円〜
※初期設定費用あり
SECURE DELIVER 送信取消や承認による内部統制 月額7,500円〜
EASY FILE EXPRESS Outlook中心の運用・低コスト 月額3,000円〜
オフィス宅ふぁいる便 説明のいらない簡単な操作性 月額3,000円〜
※初期設定費用あり

※費用は2026年8月時点の各社公開情報にもとづく目安です。最新の料金は各サービスの公式サイトでご確認ください。

無料トライアルで転送速度と操作感を試す

多くのサービスが2週間から1か月程度の無料トライアルを用意しており、契約前に実際の速度を測れます。

カタログ上の最大容量と、社内の回線で実際に出る速度は別物です。普段送っているサイズのファイルで試し、送信側と受信側の両方の画面を触っておくと、導入後の問い合わせが減ります。

あわせて、社内で使うときのルールも決めておきましょう。どの機密度のファイルをどの方法で送るか、保存期間を何日にするか、ログを誰がいつ確認するかを文書にしておくと、部署ごとに運用がばらつきません。

ファイル転送サービスは法人の利用要件から選ぼう

法人向けファイル転送サービスの価値は、大容量ファイルの受け渡しそのものよりも、その履歴を会社として管理できる点にあります。無料サービスとの差は送信機能ではなく、権限管理、誤送信への備え、ログの残り方に表れます。

選ぶときは、送るファイルのサイズと相手を書き出し、必要な容量を「1回の上限」「保管容量」「月間通信量」の3つに分けて確認しましょう。費用の目安は、ID課金なら1人あたり月額数百円台から、容量定額制なら月額1万円台からです。

社内の保管はオンラインストレージ、社外への送付は転送サービスと役割を分けておくと、共有リンクの管理も楽になります。最後は無料トライアルで、送る側と受け取る側の操作感を確かめてから決めてください。

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