- 更新日 : 2026年2月19日
運送業のペーパーレス化ガイド!点呼記録簿のペーパーレスやシステム導入のメリット
運送業では、働き方改革や2024年問題に対応するため、業務改善が急務です。その中でもペーパーレス化は、業務効率を高める重要な手段として注目されています。書類の電子化やITシステムの導入により、作業の効率化やコスト削減が見込まれ、DX(デジタルトランスフォーメーション)にもつなげることが可能です。
当記事では、運送業がペーパーレス化を進めるメリットと注意点について詳しく解説します。
目次
運送業が抱える課題とは?
物流業界・運送業にはさまざまな課題がありますが、近年では特に「2024年問題」が大きな焦点となっています。
2024年問題とは、2024年4月から適用される働き方改革関連法の改正によって、ドライバーの時間外労働が年間960時間以内に制限されることで生じるさまざまな問題の総称です。
この2024年問題で注目されている労働時間の上限規制は、ドライバーの長時間労働を防ぎ、負担を軽減することを目的としています。しかし、労働時間の上限規制は運送会社側に大きな影響を及ぼす点が特徴です。
運転時間の制限が厳格化されると配送効率が低下し、1人のドライバーがこなせる運送件数が減少します。従来の業務体制では物流が滞るおそれがあるため、追加の人員確保が課題となります。
労働人口の減少が続く昨今、従業員の確保は決して簡単ではありません。人手不足の状況が続けば、運送コストの増加や配達遅延のリスクに直面することとなります。
こうした運送業が抱える課題の解決策の1つとして注目されている取り組みが、「ペーパーレス化」です。運送業におけるペーパーレス化の推進は、業務改善を目指せる可能性も秘めています。
運送業でペーパーレス化を目指すメリット
運送業でペーパーレス化を推進して従来の紙ベースでの運用を廃止することで、さまざまなメリットを得られるようになります。ここからは、運送業でペーパーレス化を目指す代表的な3つのメリットをそれぞれ詳しく解説します。
運転日報の作成を自動化できる
運送業がペーパーレス化を進めることによって、運転日報の自動化を図れます。
運転日報とは、業務で車両を運転した際にドライバーの氏名や運転日時・走行距離などを記録するための書類です。一般貨物自動車運送事業者や一定数の社用車を保有する一般企業に記録・保管が義務付けられています。
専用の運送管理システムを活用して運転日報作成をペーパーレス化すれば、日報の自動記録が可能です。紙への手書き記入が必要なくなり手間を大幅に削減できるほか、データ管理の正確性も向上します。
また、日報データはクラウド上で保存できるため、物理的な保管スペースが不要になるだけでなく、振り返って日報を確認したいときの検索にかかる時間も削減可能です。
点呼記録簿等の各種帳票管理を効率化できる
運送業では、法令によって乗務前後や長距離運航の途中にドライバーの健康状態を確認する点呼が義務付けられており、点呼結果を記録する「点呼記録簿」の保管も必要です。
点呼は原則として対面が推奨されているものの、運行途中の中間点呼など物理的な事情で現場での対面点呼が困難となる場合は電話点呼が、そして国土交通省が定める要件を満たした事業者の場合はIT点呼や遠隔点呼が実施できます。
IT点呼はカメラやデバイス、アルコール検知器などのIT機器と専用のIT点呼管理ツールを用いて実施する点呼であり、ペーパーレス化に大きく貢献する点呼方法です。従来の紙ベースの点呼記録をデジタルデータとして保存・管理できるようになり、点呼記録簿等の各種帳票管理の大幅な効率化につながります。
出典:「国土交通省」中小トラック運送業のためのITツール活用ガイドブック
システム導入で各種管理業務を時短できる
運送業のペーパーレス化に貢献するシステムにはさまざまな種類があり、前述したIT点呼管理システムもそのうちの1つです。しかし、紙書類を用いる業務には点呼記録のほかにも、配送伝票作成、日常点検記録、労務管理などさまざまな業務があります。
ペーパーレス化を着実に進めるにあたっては、各管理業務に適した専用システムを導入することが欠かせません。代表的なシステムとしては、「配車計画システム」「車両管理システム」「経費精算システム」「人事労務ソフト」などが挙げられ、主に企業活動の根幹を管理するバックオフィス部門の業務効率化・生産性向上に大きく寄与します。
出典:「国土交通省」中小物流事業者のための物流業務のデジタル化の手引き
運送業でペーパーレス化を目指す際の注意点
運送業でペーパーレス化を目指すことには多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点もあります。「業務改善を目的にペーパーレス化を推し進めたものの、かえって作業効率や生産性が低下した」という事態を防ぐためにも、あらかじめ注意点を理解しておくことが大切です。
最後に、運送業でペーパーレス化を目指す際の注意点を4つ紹介します。
導入コストが発生する
ペーパーレス化の推進には、新たなシステム・ツールはもちろん、従来の紙書類をスキャンするための電子機器や、電子データを管理するためのタブレット端末を導入する必要があります。そして、これらの導入には当然ながらコストが発生します。
また、コストが発生するタイミングは導入時だけではありません。例えばスキャン機器であればメンテナンスコスト、タブレット端末であれば通信費と、ペーパーレス化を維持するためのランニングコストも発生します。場合によっては、デジタルツールや業務システムの知識を有した担当者・管理者の確保も必要となるでしょう。
コストを抑えつつペーパーレス化を進めるためには、無料ツールも活用しながら電子化の範囲を段階的に広げていくことがおすすめです。
説得が必要なドライバーが出てくる
ペーパーレス化に向けた各種システムの導入直後は、業務プロセスが大きく変化する点が特徴です。これまでの紙ベースでの運用に慣れているドライバーにとっては、電子化への移行に抵抗感を抱く要因となるでしょう。
ペーパーレス化を進めるにあたって、電子化への移行に抵抗を示したドライバーには、ペーパーレス化の目的や意義、メリットを丁寧に説明した上で理解を得ることが不可欠です。
自社に合ったITツールを選定する必要がある
業界・業種を問わず働き方改革が推進されている近年、DXやペーパーレス化に貢献するITツールはあらゆるベンダーから提供されています。たとえ「労務管理システム」というジャンルは同じでも、製品によって機能性や操作性、さらに費用も細かに異なることに注意が必要です。
ペーパーレス化のメリットを最大限享受するには、自社に適したITツールの選定が欠かせません。膨大なITツールの中から、目的に合ったものを選ぶためには、ペーパーレス化の目的と電子化したい紙書類の対象をあらかじめ明確化することが大切です。
システム・通信障害が起こるリスクがある
ペーパーレス化は配送業務に関連するさまざまな文書・資料を電子データ形式で保管できることから情報漏洩・紛失・劣化といったセキュリティリスクを抑えられます。しかし、ペーパーレス化後は「システム・通信の障害によるリスク」が新たに生じる点にも注意が必要です。
起こり得る具体的なトラブルとしては、「システム・通信障害によって一時的に作業中データにアクセスできなくなった」「電子機器・端末の故障・紛失によって保存データが消失した」が挙げられます。重要なデータを安全に保管するためにも、適切なバックアップ体制を整えたりオフライン機能を活用したりして、リスクを最小限に抑えることが大切です。
運送業における業務改善のカギはペーパーレス化にある
運送業におけるペーパーレス化は、労働時間の管理やコスト削減に直結し、業務改善に大きく寄与します。しかし、導入には初期費用や新たなシステムの習得が必要であり、適切なツールの選定が重要です。
ペーパーレス化を成功させるためには、事前に明確な目的と計画を立て、段階的に導入を進めることが求められます。効果的なペーパーレス化は、運送業の未来に向けた重要なステップとなるでしょう。
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