• 更新日 : 2025年6月24日

人気の福利厚生ランキング!男女・年齢・職業別の傾向や最新トレンドも解説

福利厚生は、給与やボーナス以外で企業が従業員の生活や働きやすさを支える大切な制度です。近年、働き方やライフスタイルの多様化に伴い、福利厚生を重視して企業を選ぶ人が増えています。この記事では、福利厚生の基礎知識から人気の制度ランキング、ユニークな取り組みを行う企業事例まで詳しく紹介します。また、福利厚生が充実している業界や企業の特徴、中小企業でも取り入れやすい制度、従業員が本当に求める制度についても解説しています。

目次

福利厚生とは

福利厚生とは、企業が従業員やその家族に対して、給料やボーナスとは別に提供する報酬やサービスのことです。

福利厚生の主な目的は、従業員が安心して働けるように生活の質を高めたり、仕事への意欲を高めたりすることです。従業員を大切にする企業の姿勢が現れるため、最近では福利厚生が企業選びの大きなポイントになっています。

福利厚生は、法律によって企業に義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が独自に設定・提供する「法定外福利厚生」の2つに分けられます。特に企業が自由に提供する「法定外福利厚生」は、企業の個性が表れ、従業員の満足度にも大きく影響します。

法定福利厚生とは

法定福利厚生とは、法律で企業に義務付けられた福利厚生です。従業員が安心して働けるように最低限の保障をすることが目的です。

法定福利厚生には、主に次の6つがあります。

  • 健康保険:病気やケガのときの医療費を保障する制度
  • 厚生年金保険老後の生活保障や障害を負ったときのための年金制度
  • 介護保険:40歳以上の従業員が介護が必要になった場合に支援する制度
  • 雇用保険失業時や育児休業時などに給付金を受け取れる制度
  • 労災保険:仕事中や通勤中にケガや病気になったときに補償する制度
  • 子ども・子育て拠出金:子育て支援の財源として企業が負担するお金

これらの保険料などの費用は、企業と従業員が半分ずつ負担する場合が多いですが、労災保険や子ども・子育て拠出金は企業が全額負担します。

法定外福利厚生とは

法定外福利厚生とは、企業が法律とは関係なく、自主的に提供する福利厚生のことです。一般的に「福利厚生が充実している」と言われる企業は、この法定外福利厚生が優れていることが多くあります。

法定外福利厚生は、企業ごとの文化や従業員の希望を反映しているため、多様な内容があります。主なものとしては次のようなものがあります。

  • 住宅支援:住宅手当、家賃補助、社員寮・社宅の提供など
  • 食事補助:社員食堂、食事券、弁当の支給など
  • 健康・医療支援:人間ドック費用の補助、フィットネスクラブ利用補助、メンタルヘルス支援など
  • 休暇制度:リフレッシュ休暇、アニバーサリー休暇、ボランティア休暇など
  • 育児・介護支援:育児休業制度の充実、託児所費用補助、ベビーシッター補助など
  • 通勤支援:通勤手当、駐車場補助など
  • 慶弔・災害支援:結婚祝い金、災害見舞金など
  • 財産形成支援:企業年金、持株会制度、財形貯蓄制度など
  • 自己啓発・スキルアップ支援:資格取得補助、書籍購入補助、研修制度など
  • レクリエーション支援:社員旅行、クラブ活動補助、施設利用の割引など
  • 働き方支援:フレックスタイム、リモートワーク環境整備など

法定外福利厚生は企業が自由に決められるため、企業の魅力や特徴をアピールする大切なポイントになります。

人気の福利厚生ランキング

福利厚生の人気ランキングは、時代背景や働く人々の意識変化を反映しています。2024年から2025年にかけて特に人気が高い福利厚生の上位10種類を、わかりやすくランキング形式で紹介します。

第1位:特別休暇(リフレッシュ休暇・アニバーサリー休暇など)

最も人気のある福利厚生は、企業が独自に設ける特別休暇です。具体的には、仕事から離れてリフレッシュするための休暇、誕生日や結婚記念日など個人の大切な日に取れる休暇、病気やケガの際に利用できる特別な休暇などがあります。

特別休暇が従業員に特に人気のある理由は、自分のプライベートや生活をより充実させたいと考える人が増えているからです。仕事以外の時間を確保し、しっかり休息を取ることで、日々の疲れを解消し、新しいモチベーションを得ることができます。

企業側のメリットとしても、特別休暇を取り入れることで従業員がリフレッシュし、仕事の生産性や意欲が向上する効果があります。さらに、独自の休暇制度を設けることで「従業員を大切にする企業」というブランドイメージを高めることもできます。

しかし、特別休暇制度を導入する際には、休暇を取得しやすい職場環境を整えることが重要です。休暇中の仕事のフォロー体制を整備したり、全員が平等に休暇を取得したりできるように配慮する必要があります。

第2位:住宅補助(住宅手当・家賃補助・社員寮など)

住宅にかかる費用を企業がサポートする制度も非常に人気があります。家賃補助や住宅手当の支給、社員寮や社宅の提供、リモートワークのための住宅手当などがこれにあたります。

住宅補助が人気を集めるのは、住居費が生活費のなかでも特に負担が大きく、企業のサポートが生活の安定に直結するからです。特に若い世代や都市部に住む従業員にとって、住宅支援は非常に魅力的な福利厚生です。

企業にとってのメリットは、従業員の生活が安定することで、仕事への集中力や会社への忠誠心(エンゲージメント)が高まる点です。さらに、採用活動でも住宅支援を積極的にアピールすることで、優秀な人材を引きつけやすくなります。

一方で、持ち家や実家住まいなど、制度の対象外となる従業員が不公平感を感じないよう、住宅手当の支給基準を明確に定めるなど、制度の公平性には十分に注意する必要があります。

第3位:食事補助(社員食堂・食事券・弁当支給など)

食費をサポートする制度も人気です。社員食堂を設置して低価格で食事を提供したり、提携している飲食店やコンビニで使える食事券を配布したり、弁当を会社が提供するなどの形があります。

食事補助制度は、毎日の食費を軽減できるだけでなく、健康的な食事を手軽に摂ることができるため、非常に人気があります。物価が上昇するなか、食費を企業が一部負担することは従業員にとって実質的な給料アップのような効果をもたらします。

企業側には、社員の健康管理に貢献できることや、社員食堂などの場所をコミュニケーションの場として活用できるというメリットがあります。また、社員の健康が維持されることで、生産性向上や医療費削減につながる場合もあります。

導入時の注意点としては、食堂を設置するとスペースや運営コストが必要になるため、導入が難しい場合は、外部の飲食店と提携する食事券制度を検討することも効果的です。

第4位:健康支援(健康診断補助・フィットネスクラブ利用補助など)

従業員の健康を支える制度も人気の福利厚生です。法律で決まった健康診断以外に、人間ドックやがん検診を受けられる補助制度、フィットネスクラブやスポーツ施設の利用料の補助、メンタルヘルス相談窓口の設置などがあります。

健康支援制度は、身体的にも精神的にも健康でありたいという従業員の願望を反映した人気の福利厚生です。人間ドックやメンタルヘルス相談窓口などの支援があれば、従業員は自分の健康状態をより良く保つことができます。

企業側にとっては、従業員の健康が維持されることで、仕事の生産性が向上するだけでなく、欠勤や病気による離職を防ぐ効果もあります。また、従業員の健康管理を経営的視点で捉える「健康経営」に力を入れることで企業イメージが高まり、採用競争力もアップします。

健康支援を導入する際は、制度が形だけのものにならないよう、従業員が実際に活用できる仕組みづくりや定期的な周知・呼びかけを行うことが大切です。

第5位:柔軟な働き方支援(リモートワーク・フレックスタイム制度)

リモートワーク(在宅勤務)やフレックスタイム制度のように、働く時間や場所を自由に選べる制度も人気です。従業員自身が働き方を調整できるため、育児や介護と仕事を両立しやすく、通勤ストレスも軽減されます。

リモートワークやフレックスタイム制度など、柔軟な働き方が人気なのは、個人のライフスタイルに合わせて仕事の時間や場所を調整できるからです。これにより、仕事と家庭の両立が容易になり、通勤によるストレスも軽減されます。

企業側のメリットとしても、働き方の自由度が高まることで従業員の満足度や仕事への意欲が向上する効果があります。優秀な人材を引きつけ、定着率も改善されます。また、オフィスの維持コストの削減にもつながります。

導入する際は、業務管理の方法やコミュニケーションが疎かにならないよう、定期的な情報共有やオンラインでのコミュニケーション環境を整えることが必要です。

第6位:家族支援(育児休業の充実・託児所の設置など)

育児や介護に関する支援も重要視されています。育児休業や介護休業の取得を企業がサポートする制度、託児施設の費用補助、不妊治療費用のサポートなどが該当します。

育児や介護と仕事を両立しやすくなる家族支援制度が人気なのは、共働き世帯や高齢家族を持つ従業員が増えているからです。このような制度が整っている企業ほど、従業員は安心して長く働くことができます。

企業としては、家族支援を充実させることで、多様な人材が働きやすい環境を作ることができます。特に女性社員の定着率を高め、企業の多様性を促進することにつながります。

導入の際には、支援対象や利用条件を明確にし、男女問わず平等に利用しやすい環境を整えることが重要です。

第7位:財産形成支援(持株会・財形貯蓄・退職金制度など)

従業員の将来の経済的安定を支える制度も根強い人気があります。具体的には、企業が運営する持株会への参加、財形貯蓄制度の整備、退職金制度の充実などです。

財産形成支援は、経済的な将来の安心感を従業員にもたらすため、根強い人気があります。特に経済状況が不透明な現在、従業員は長期的な視点で自分の将来を考えるようになっています。

企業にとっても、この制度を充実させることで、従業員の離職を防ぎ、企業へのロイヤルティを高めることができます。

導入時には、制度の詳細やメリットをしっかりと従業員に伝え、積極的に利用されるように促すことがポイントです。

第8位:旅行・レジャー優待(宿泊・旅行費用補助など)

社員が旅行やレジャーを楽しむ際の費用を補助する制度も人気です。宿泊施設やレジャー施設の割引利用、旅行費用の一部補助、保養所の利用制度などがあります。

ワークライフバランスを重視する人々が増えるなかで、休日や休暇を充実させるためのサポートが求められています。

第9位:スキルアップ支援(資格取得補助・研修制度など)

従業員の自己成長やスキルアップを支援する制度も評価されています。資格取得費用の補助、書籍購入補助、セミナーや研修への参加費用の支援などがこれに含まれます。

変化が激しい現代社会では、自分のスキルを高める機会を提供する企業が人気です。企業側にも従業員の成長が組織の成長につながるというメリットがあります。

第10位:通勤手当(交通費補助)

通勤手当は、多くの企業が導入しており、他社との差別化としては重要性が相対的に低下しています。それでも生活費を直接軽減するという面で、従業員からは一定の支持がある福利厚生です。

企業はこれらの福利厚生をバランスよく取り入れ、従業員が満足して働ける環境づくりを進める必要があります。従業員のライフスタイルや働き方の変化に伴い、福利厚生も今後さらに進化していくでしょう。

ユニークな福利厚生の事例

近年では、従来の福利厚生の枠にとらわれない、ユニークな福利厚生を導入する企業が増えています。これは、従業員に喜ばれるだけでなく、企業の価値観や文化を表現する重要な手段にもなっています。この章では、特に話題となったユニークな福利厚生の事例を紹介します。

福利厚生導入企業内容・目的
サイコロ給(株)カヤック毎月サイコロを振り、出目に応じて給与に一定割合を上乗せ。運の要素を取り入れ、評価のあり方に一石を投じる。
猫手当・猫同伴出勤ファーレイ(株)猫を飼う社員に手当を支給し、猫との出勤も可能。ペットフレンドリーな文化を体現。
スモ休(株)ピアラ非喫煙者に対し、年間6日の特別有給休暇を付与。健康増進を奨励し、喫煙者との公平性を考慮。
推しメン休暇(株)ジークレスト好きなアイドルやキャラクター等の記念日に休暇を取得可能。活動費補助も。従業員の趣味や情熱を尊重。
失恋休暇(株)チカラコーポレーション失恋した際に休暇を取得できる(年齢により日数変動)。従業員の心の痛みに寄り添う姿勢を示す。
二日酔い休暇トラストリング(株)飲みすぎた翌日に午前半休を取得可能(年2回まで)。ユーモアを交えつつ、現実的なニーズに対応。
PC19時シャットダウンアイリスオーヤマ(株)19時にPCを強制シャットダウン。長時間労働を抑制し、効率的な働き方とワークライフバランスを促進。
早起きは1,000円の得パスクリエイト(株)早朝出社した時間に応じて手当を支給。朝型勤務を奨励。
出戻り手形制度(株)OKUTA退職後2年以内の再入社を、原則として退職前の役職・ポジションで可能とする制度。人材の流動性をポジティブに捉える。
目指せ!A身体(エーカラダ)制度(株)サニーサイドアップ健康診断の結果に応じて報奨金を支給。健康意識の向上を促進。
Art Museum制度 / 浮世離れ休暇(株)トライバルメディアハウス美術館入館料負担や、勤続5年で1ヶ月の特別休暇付与。社員の感性や視野を広げることを奨励。
macalonパッケージ(エフ休、妊活休暇等)(株)サイバーエージェント女性特有の体調不良やライフイベントに対応する休暇や支援制度をパッケージ化。女性の活躍を強力にサポート。

これらのユニークな福利厚生は、企業が自社の価値観や文化を具体的に示す手段となっています。

性別による福利厚生のニーズの違い

福利厚生に対するニーズの違いは、性別によって明確に表れる傾向があります。

男性の場合

男性の場合、住宅手当や特別休暇、財産形成(持株会や退職金制度)など、経済的安定やキャリア形成につながる福利厚生を特に重視する傾向があります。また、旅行やレジャー施設の優待といった制度も、男性従業員からの支持が高い特徴があります。

女性の場合

一方、女性の場合、特別休暇や育児・介護支援、健康に関連する福利厚生に関心が高くなります。特に育児休業制度の充実や託児施設の整備、女性特有の健康問題(婦人科検診、生理休暇など)に対応した制度がある企業を魅力的に感じる女性が多いです。また、食事補助や柔軟な働き方制度も、女性の支持が高い傾向にあります。

企業側としては、男女それぞれのニーズを理解し、偏りなくバランスの取れた福利厚生を整備することが重要です。また、最近では男性の育児休業の取得促進や、女性のキャリア支援など、性別による固定観念に縛られない柔軟な制度設計が求められています。

年齢による福利厚生のニーズの違い

年齢によっても福利厚生に対する期待は変化します。特に年代別に見ると、以下のような特徴があります。

20代の若手社員の場合

20代の若手社員の場合は、特別休暇や住宅支援に特に関心が高い傾向があります。これは若い世代がプライベートの充実や、経済的負担の軽減を重視しているためです。また、スキルアップ支援制度(資格取得補助や研修制度)にも関心が高く、自分のキャリア成長につながる福利厚生を求めています。

30代〜40代の中堅社員の場合

30代から40代の中堅社員は、特別休暇や住宅支援に加えて、家族支援(育児や介護)や健康支援に対するニーズが高まります。

結婚や子育て、介護といったライフイベントが増える年代であるため、こうした生活支援に重点を置く傾向が見られます。さらに、財産形成支援など、将来的な経済的安定にも強い関心を持つようになります。

50代以上のベテラン社員の場合

50代以上のベテラン社員になると、健康維持のための福利厚生や、退職後を見越した財産形成支援(企業年金や退職金制度)が特に重要になります。さらに、介護支援などもニーズとして高まります。一方で、この年代になると福利厚生への満足度はやや低下する傾向もあり、企業はよりきめ細かなサポートが求められます。

このように年代ごとのニーズの違いを踏まえて、企業は一律の福利厚生制度を導入するのではなく、従業員のライフステージや希望に柔軟に対応できるような仕組みを作ることが望まれています。近年増加している「カフェテリアプラン」(従業員がポイントを使って福利厚生を自由に選べる制度)は、その良い例です。企業はこのような仕組みを活用して、従業員一人ひとりが本当に必要としている福利厚生を提供することが重要になってきています。

企業規模別の福利厚生の傾向

福利厚生を導入する際には、自社の企業規模を考慮して制度を設計することが重要です。ここでは、企業規模によってどのような福利厚生が人気なのか、また、導入する際のポイントを詳しく解説します。

大手企業の場合

まず、大手企業の場合、福利厚生にかけられる予算が大きく、独自の制度を充実させやすいという特徴があります。社員食堂や社員寮、充実した休暇制度、健康管理制度(人間ドック補助など)など、規模の大きさを生かした制度が一般的です。また、「カフェテリアプラン」を導入して、従業員が自分のニーズに合った福利厚生を自由に選べる仕組みを整える企業も増えています。

中小企業の場合

一方、中小企業の場合、大企業に比べて予算や人事体制などに制約があります。しかし、意思決定の速さや柔軟性を生かし、独自性のあるユニークな制度を導入しやすいというメリットがあります。例えば、特別休暇(アニバーサリー休暇やリフレッシュ休暇)や柔軟な働き方(フレックスタイムやリモートワーク)、食事補助(外部サービスの活用)など、低コストでも従業員に喜ばれる福利厚生を提供することが可能です。

中小企業では、大企業の真似をするのではなく、自社の従業員のニーズを細かく聞き取り、本当に喜ばれる制度を選んで導入することが重要です。また、福利厚生サービスを専門に提供する外部企業(福利厚生アウトソーシング企業)を利用することも効果的です。

業種・職業別の福利厚生の傾向

業種・職業によって従業員の働き方やニーズが異なるため、福利厚生にもそれぞれの業種・職業ならではの傾向があります。

IT・情報通信業界の場合、柔軟な働き方に関する福利厚生が特に重要です。リモートワークやフレックスタイム制度の導入、スキルアップ支援(資格取得補助や書籍購入補助)に力を入れることで、専門性の高い人材を獲得しやすくなります。また、最新のIT機器や環境整備の補助も人気があります。

製造業の場合、健康支援や安全管理に関する福利厚生が重視されます。法定以上の健康診断や安全教育などを行うことで、従業員の安全や健康を守ることが重要です。また、財産形成(持株会や退職金)や住宅支援などの経済的な安定を提供する福利厚生が好まれる傾向があります。

医療・福祉業界の場合、勤務時間や働く環境が過酷なことが多いため、特別休暇やメンタルヘルスケアなど、心身の健康を支援する福利厚生が求められています。また、夜勤や変則勤務に対応した手当や、育児・介護支援も従業員のニーズが高い分野です。

小売・サービス業界や宿泊・飲食業界の場合は、勤務時間やシフト制に対応した柔軟な休暇制度、食事補助(まかないや食事券)、従業員割引制度などが特に人気です。また、アルバイトや非正規社員が多いため、正社員以外も利用できる福利厚生を設けることで、定着率を高めることができます。

金融・保険・コンサルティング業界では、高い給与に加えて財産形成支援(企業年金や退職金、持株会)やスキルアップ支援(資格取得や研修制度)、長時間労働をサポートするための健康管理制度(人間ドック補助やストレスチェック)などが重視されます。これにより専門性の高い人材を引きつけ、長期的な定着を促します。

福利厚生を導入する際は、自社の業種・職業における従業員の働き方や特性をよく分析し、競合他社と差別化できるような特徴的な制度を検討することがポイントです。これにより、従業員満足度を高め、企業の競争力を強化することが可能になります。

福利厚生がいい会社とは

福利厚生がいい会社とは、給与やボーナス以外にも従業員が働きやすく、安心して長く勤められるような充実したサポート制度を整えている会社のことを指します。特に近年では、給与水準だけでなく福利厚生の充実度が、企業選びの大きな基準として注目されています。

福利厚生が充実している会社の特徴としては、特別休暇制度や住宅補助、健康管理や家族支援制度など、法定外福利厚生が特に充実していることが挙げられます。具体的には、社員食堂が無料で利用できたり、企業独自の休暇制度が豊富に用意されたりしている会社です。

大企業だけでなく中小企業のなかにも、福利厚生が充実した会社は増えてきています。従業員が自由に福利厚生を選べるカフェテリアプランを導入したり、少人数でも特別な休暇制度や柔軟な働き方を提供している中小企業も存在します。

福利厚生が充実している会社では、従業員の満足度が高く、定着率や生産性が向上するため、企業としての競争力も高まる傾向があります。

福利厚生の今後のトレンド予測

日本の社会や経済状況が大きく変化するなか、福利厚生に対する従業員の期待も常に進化しています。この章では、これからの日本企業が福利厚生をどのように展開していくべきか、将来のトレンドを予測しながら解説します。

従業員一人ひとりに合った福利厚生の提供

今後の福利厚生は、従業員が自分自身のライフスタイルやニーズに合わせて自由に選べる仕組みが主流になっていくと考えられます。これまでのように、企業が一律に同じ制度を全員に提供するのではなく、従業員が自分に合った制度を選べる「カフェテリアプラン」やポイント制度などがより一般的になります。

従業員一人ひとりのライフステージや価値観が異なるため、企業は個別のニーズに対応するために、福利厚生の選択肢を幅広く用意し、柔軟に対応する必要が高まるでしょう。

心身両面の健康を支える福利厚生の拡大

従来の健康管理は主に身体的な健康に焦点を当てていましたが、今後はメンタルヘルスや経済的安定、社会的なつながりなどを含めた、身体的・精神的・社会的に良好な状態(ウェルビーイング)をサポートする福利厚生が重要になります。

特に、メンタルヘルスに関する支援(カウンセリング窓口の設置やストレスチェックなど)が増えると予測されます。また、フィナンシャルウェルネス(財政的な安心感)を目的とした制度(資産形成や家計相談サービスなど)も注目されます。

テクノロジーを活用した福利厚生サービスの普及

福利厚生の運用には、ITやテクノロジーの活用がさらに進むでしょう。スマートフォンアプリやオンラインの福利厚生専用ポータルを通じて、従業員が簡単に制度を利用したり、自分の利用状況を管理したりできるようになります。

また、デジタルギフトやオンラインを通じて利用できる各種サービス(オンライン健康相談やeラーニングなど)の提供も増えると見込まれます。これにより、従業員が時間や場所に縛られず、いつでもどこでも福利厚生を活用できるようになるでしょう。

多様性や公平性を反映した福利厚生の提供

今後、企業の福利厚生は多様な従業員のニーズに対応することが求められます。具体的には、性別や年齢、国籍、障害の有無、性的指向、家族構成などにかかわらず、全ての従業員が平等に利用できる制度が拡充されるでしょう。

例えば、男性の育児休暇取得の促進、不妊治療支援制度、LGBTQ+の従業員への配慮、障害を持つ従業員へのサポート制度の充実などが進むと予測されます。多様な従業員が働きやすい環境づくりにおいて、福利厚生が重要な役割を果たすことになります。

社会貢献や持続可能性を意識した福利厚生の提供

企業の福利厚生は今後、社会貢献や環境保護、地域活性化などの観点も取り入れられるようになるでしょう。例えば、ボランティア活動に参加するための特別休暇、環境に配慮した通勤手当の支給、地域貢献活動への参加支援などの制度が拡大すると考えられます。

企業が持続可能な社会の実現(サステナビリティ)を意識した福利厚生を導入することで、企業としての社会的責任を果たすとともに、従業員が企業の価値観に共感し、エンゲージメントを高めることにもつながります。

今後、福利厚生は従業員の生活の質や満足度を向上させるだけでなく、企業の競争力を高める重要な戦略的ツールとしてますます重要になるでしょう。企業は時代の変化や従業員のニーズに敏感になり、柔軟で多様な福利厚生を戦略的に展開していくことが求められます。

福利厚生が企業経営に与えるメリット

福利厚生を充実させることは、従業員にとってのメリットだけでなく、企業の経営にも多くのメリットを与えます。この章では、福利厚生の充実が企業経営にどのようにプラスとなるかを詳しく解説します。

従業員の満足度やモチベーションの向上につながる

福利厚生が整っている企業では、従業員は「自分たちが大切にされている」と感じることができます。特に、自分が求めている福利厚生を利用できる環境にあると、仕事への満足感ややる気が向上します。

従業員が仕事に対して前向きになると、業務の質や効率が高まり、生産性が向上します。また、従業員が積極的に企業のために行動しようという気持ち(エンゲージメント)も高まり、企業全体の活性化につながります。

優秀な人材を採用しやすくなり、離職率が低下する

近年、多くの求職者が福利厚生の充実度を企業選びの大切なポイントとして考えています。福利厚生が優れている企業は、優秀な人材を引きつける大きな魅力を持っています。

特に、特別休暇、柔軟な働き方、住宅手当、家族支援といった従業員の生活の質に直結する福利厚生を提供する企業は、採用活動において競争力が高まります。

また、従業員が福利厚生に満足している場合、企業への愛着が強まり、離職率が低下します。結果として人材育成コストの削減や、社内の人材が安定的に成長することによる企業力の強化につながります。

社員の健康が向上し、生産性が高まる

従業員の健康を支援する福利厚生(人間ドック補助やスポーツジム補助、食事補助など)を提供する企業では、従業員が健康的に働ける環境が整っています。健康な従業員が多い職場は、欠勤率が低く、仕事の効率が良くなるため、企業の生産性向上につながります。

さらに、従業員が心身共に健康であれば、職場の雰囲気も良くなり、コミュニケーションが活発になったり、組織内の協力体制が強化されたりします。

企業のイメージやブランド価値が向上する

利厚生を充実させ、従業員を大切にする企業というイメージを持たれると、企業ブランドの価値が高まります。これは企業の社会的評価を向上させるだけでなく、顧客や取引先、投資家などのステークホルダーからの信頼獲得にも役立ちます。

近年、「健康経営」や「働き方改革」など、従業員の働きやすさを重視する企業が社会的に評価される傾向が高まっています。そのため、福利厚生を戦略的に活用して企業ブランドを向上させることが、競争力を高めるために非常に重要になっています。

経済的効果やコスト削減につながる

福利厚生を上手く活用することで、企業には経済的なメリットも生まれます。例えば、柔軟な働き方(リモートワーク)の導入によってオフィス維持費や通勤手当などのコストが削減できます。また、健康支援によって医療費負担が抑えられたり、従業員の病気休暇によるコストも減少したりします。

一方、福利厚生制度の導入には費用がかかるため、企業は投資する福利厚生の費用対効果をしっかりと検討し、自社に最適な制度を設計する必要があります。

福利厚生は単なる「従業員サービス」ではなく、企業の競争力を高める重要な経営戦略です。福利厚生を通じて従業員を支えることは、企業の持続的な成長と成功を実現するための欠かせない取り組みと言えるでしょう。

福利厚生を効果的に導入・運用するためのポイント

福利厚生の導入は制度を作るだけでなく、その内容を社員が積極的に利用し、満足感を得られるように運用することが重要です。この章では、福利厚生を効果的に導入・運用するための具体的なポイントを解説します。

従業員のニーズを正しく把握する

福利厚生を導入する際に最も重要なのは、従業員が実際に何を求めているかを明確に理解することです。そのためには、社員アンケートや個別インタビュー、部門ごとの意見交換会などを通じて、従業員の本音を引き出すことが欠かせません。

経営側が良いと思った制度でも、従業員にとってはあまり魅力的でないケースも多くあります。特に年齢、性別、家族構成、ライフステージなどの属性ごとにニーズが大きく異なるため、細かく調査・分析して、最適な福利厚生メニューを設計する必要があります。

費用対効果を考えて予算を決める

福利厚生には予算が必要です。そのため、制度を設計するときには導入や運用にかかる費用と、得られるメリット(従業員満足度向上、定着率改善、生産性向上など)を比較し、費用対効果をよく考えて予算を策定することが重要です。

コストが低くても従業員が高く評価する制度(例えば特別休暇や柔軟な勤務時間制度など)を選べば、少ない予算でも高い効果を得ることが可能になります。また、制度導入後には定期的に効果を評価し、予算の最適化を継続的に行うことも大切です。

制度の内容や利用方法を社員に周知する

どれほど良い制度を作っても、従業員がその存在や利用方法を知らなければ意味がありません。そのため、福利厚生の導入時には制度の内容や利用手順を丁寧に周知し、全員が理解できるように工夫することが必要です。

社内ポータルサイトやメール、説明会、ポスターなど、複数の手段を活用し、定期的に情報を発信して制度の利用促進を図ります。従業員が気軽に相談できる窓口を設けることも、利用率を高めるための重要なポイントです。

制度を定期的に見直し改善する

一度導入した福利厚生制度も、時代や従業員のニーズの変化に合わせて定期的に見直しをする必要があります。定期的に従業員から意見を収集し、利用状況や満足度を調査・分析することで、制度が実際に役立っているかを確認します。

制度の見直しの際には、使われていない制度を見直して他の制度に再配分したり、新しいトレンドや従業員のニーズを踏まえた制度を追加したりします。このような継続的な改善が、福利厚生の効果を最大限に引き出すためには不可欠です。

公平性や利用しやすさに配慮する

福利厚生を運用する際には、全ての従業員が公平に制度を利用できるよう配慮する必要があります。特定の属性(正社員・非正規社員、性別、年代、職種)だけが有利になるような制度設計は、かえって不満を引き起こす可能性があります。

非正規社員やリモート勤務者でも制度を利用できるようにしたり、誰でも申請が簡単にできるよう手続きやルールを明確にしたりすることで、制度の利用率や満足度が大きく向上します。

福利厚生を企業の強みとして活用するためには、従業員のニーズを的確に把握し、制度を戦略的に設計・運用することが大切です。このような取り組みを継続的に行うことで、従業員満足度を高め、企業の競争力強化や持続的な成長につなげることができます。

人気の福利厚生を上手く制度に取り入れましょう

福利厚生が充実した企業は、従業員の働きやすさや満足度が高く、結果的に企業全体の成長にもつながります。人気の福利厚生には特別休暇や住宅補助、食事補助などがあり、最近では個人のニーズに合わせた多様で柔軟な制度が求められています。企業規模や業種にかかわらず、従業員一人ひとりの希望を把握し、本当に役立つ福利厚生を提供することが重要です。福利厚生を企業の戦略として上手に活用し、従業員と企業がともに成長できる環境を目指しましょう。


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