• 更新日 : 2026年1月28日

配偶者控除等申告書の記入例は?注意点や計算方法も解説

年末調整の時期になると、「給与所得者の配偶者控除等申告書(以下、配偶者控除等申告書)」が配布されます。この申告書は、本人や配偶者の所得を正しく見積もり、家庭の状況に応じた税金の軽減(控除)を受けるための非常に重要な書類です。

しかし、「収入と所得の違いがわからず計算できない」「どの区分にチェックを入れればいいかわからない」と悩む担当者や従業員は後を絶ちません。また、1月や2月になってから「出し忘れていた」「計算ミスに気づいた」というケースも多く発生します。

この記事では、配偶者控除等申告書の具体的な記入例と書き方の完全手順に加え、提出期限を過ぎてしまった場合や、間違いに気づいた場合の訂正・確定申告による対処法まで包括的に解説します。初めて記入する方はもちろん、提出後の再確認を行いたい方にも役立つ内容です。

配偶者控除等申告書の記入例と作成手順は?

申告書は「基本情報」→「本人の所得」→「配偶者の所得」→「マトリクス表での判定」の4ステップ順に記入することで、計算ミスなく完成させることができます。

以下の実際の申告書画像を見ながら読み進めると、記載箇所がスムーズに把握できます。

この書類の最大の難関は、ステップ2と3にある「所得の計算」です。多くの人がつまずくポイントですので、計算ロジックを含めて詳しく解説します。

1:本人と配偶者の基本情報を記入

まずは申告書上部の氏名・住所欄と、配偶者の氏名・生年月日・マイナンバーなどを正確に記入してください。

このセクションは、誰が控除を受けるのかを特定するための基礎データです。 特に以下の項目に注意して記入しましょう。

  • 本人の住所・氏名: 住民票に記載されている正確な住所を書きます。引越し直後で住民票を移していない場合は、会社の人事担当者に相談してください(原則は住民票住所)。
  • 配偶者の氏名・住所・マイナンバー: 配偶者が同居している場合は住所欄に「同上」と記入します。別居している場合は、配偶者が実際に住んでいる住所を書きます。マイナンバー(個人番号)は、会社ですでに管理されている場合は記載不要とされることもありますが、基本的には記入が必要です。
  • 非居住者である配偶者: 配偶者が海外に住んでいる(留学や海外赴任など)場合は、「非居住者である配偶者」欄に○を付けます。この場合、親族関係書類や送金関係書類の添付や提示が必須となります。

2:本人の合計所得金額(見積額)を計算

その年(1月〜12月)の給与収入総額を見積もり、所定の計算式で「所得金額」に換算して「あなたの本年中の合計所得金額(見積額)」欄に記入します。

ここが最重要ポイントです。税金の計算は「収入(額面)」ではなく「所得(収入から経費等を引いた額)」で行います。

手順詳細:収入から所得への変換方法

  1. 収入金額(A)の見積もり: 今年の1月から受け取った給与明細と賞与明細をすべて合計し、さらに12月分(未支給分)の給与・賞与を予測して足します。これが「年収(額面)」です。交通費などの非課税手当は含めません。
  2. 所得金額の計算: 国税庁などのサイトを参考に給与所得控除額を計算し、所得金額を計算します。
    • 例:年収が500万円の場合 計算式:収入金額 × 20% + 440,000円 計算:5,000,000 × 20% + 440,000 = 1,440,000円(これが給与所得控除額) 所得:5,000,000 – 1,440,000 = 3,560,000円
  3. 所得金額の記入: 計算した3,560,000円を「所得金額」の欄に記入します。給与以外に副業などの所得がある場合は、それも合算します。
  4. 区分Ⅰの判定: 算出した本人の合計所得金額に基づき、以下のA・B・Cのいずれかにチェックを入れます。
    • 判定A: 所得900万円以下(年収1,095万円以下)
    • 判定B: 所得900万円超〜950万円以下
    • 判定C: 所得950万円超〜1,000万円以下

3:配偶者の合計所得金額(見積額)を計算

配偶者の収入についても本人と同様に計算し、「配偶者の本年中の合計所得金額(見積額)」欄を埋めて「区分Ⅱ」を判定します。

配偶者がパートやアルバイトの場合も、1月〜12月の給与収入見込み額を算出します。

具体的な計算例(パート収入の場合)

  • ケース1:年収103万円(月収約8.5万円)の場合
    • 収入:1,030,000円
    • 給与所得控除:650,000円(最低保証額)
    • 所得:1,030,000 – 650,000 = 380,000円
    • 判定:70歳未満かつ58万円以下なので、区分は「②」になります。
  • ケース2:年収130万円(月収約10.8万円)の場合
    • 収入:1,300,000円
    • 給与所得控除:550,000円
    • 所得:1,300,000 – 550,000 = 750,000円
    • 判定:58万円超〜95万円以下なので、区分は「③」になります。

区分Ⅱの判定基準

計算した所得金額に応じて、①〜④の該当する区分(区分Ⅱ)にチェックを入れます。配偶者に収入が全くない(専業主婦/主夫)場合は、所得は0円となり、区分「②」に該当します。

4:控除額の判定と記入(マトリクス表の使用)

「区分Ⅰ(本人の所得)」と「区分Ⅱ(配偶者の所得)」をマトリクス表(交差表)で照らし合わせ、該当する控除額を記入します。

申告書の右側(または下部)にある大きな一覧表を使います。

  • 縦軸:本人の区分(A、B、C)
  • 横軸:配偶者の区分(①、②、③、④)

この縦と横が交差するマス目に書かれている金額が、今回申告できる控除額です。

  1. 金額の特定: 例えば、本人が区分A、配偶者が区分②なら、交差するマスの金額は「380,000円」です。
  2. 転記: 特定した金額を、申告書右上の「配偶者控除の額」または「配偶者特別控除の額」の欄に転記します。
    • 区分①~②の場合 → 「配偶者控除の額」欄へ
    • 区分③〜④の場合 → 「配偶者特別控除の額」欄へ

これで申告書の記入は完了です。

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配偶者控除等申告書とは?

この申告書は、配偶者がいる従業員が一定の条件を満たした場合に、税金の負担を軽減(控除)してもらうために提出する書類です。

この書類を提出することで、従業員本人の所得税や住民税が安くなる可能性があります。制度には「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の2種類があり、配偶者の年収額によって適用される区分が異なります。

かつては「配偶者の年収が103万円以下なら一律38万円控除」というシンプルな仕組みでしたが、現在は「従業員本人の年収」と「配偶者の年収」の両方を組み合わせて控除額が決まる仕組みになっています。

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

「配偶者の稼ぎ」が一定ラインを超えているかどうかで、名称と控除の仕組みが変わります。

どちらが適用されるかは、自分で選ぶのではなく、申告書内で計算を行うことで自動的に判定されます。

  • 配偶者控除: 配偶者の年間合計所得金額が58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)の場合に適用されます。多くの人がイメージする「扶養内」の控除です。
  • 配偶者特別控除: 配偶者の所得が58万円を超え133万円以下(給与収入のみなら123万円超〜201万6,000円未満)の場合に適用されます。配偶者がバリバリ働いていて「123万円の壁」を超えてしまっても、いきなり控除がゼロになるわけではなく、段階的に控除額が減っていく仕組みです。

控除を受けるための条件

以下の条件をすべて満たしていないと、そもそもこの申告書を書く意味がありません。

  1. 本人の合計所得金額が1,000万円以下であること: 年収(額面)で言うと約1,195万円以下です。これを超える高所得者は、配偶者が専業主婦(夫)であっても配偶者控除を受けられません。
  2. 民法上の配偶者であること: 事実婚(内縁関係)のパートナーは対象外です。年末時点で法律上の婚姻関係にある必要があります。
  3. 生計を一にしていること: 同居している場合はもちろん、単身赴任や修学のために別居していても、生活費の送金が行われていれば対象となります。

配偶者控除等申告書を記入する際に注意するべきポイント

「収入と所得の混同」「別居や離婚時の取り扱い」「夫婦双方での重複申告」の3点が特によくある間違いです。

これらを誤ると、後から税務署からの指摘が入ったり、追徴課税が発生して会社に迷惑をかけたりする可能性があります。提出前に以下のポイントを必ずセルフチェックしてください。

1. 収入と所得の違い

申告書の判定に使われるのは「手取り」でも「額面(収入)」でもなく、計算によって導き出された「所得」です。

最も多いミスが、年収(額面)をそのまま「所得金額」の欄に書いてしまうことです。

  • 収入: 会社から支給される総支給額(額面)。
  • 所得: 収入から給与所得控除(会社員の必要経費とみなされるもの)を引いた金額。

「123万円の壁」という言葉は「収入」の話ですが、税務上の判定は「所得58万円(123万-65万)」で行われることを理解しておきましょう。

2. 年の途中で結婚・離婚・死別した場合

その年の12月31日時点での状況に基づいて判断します。

  • 結婚: 年内に結婚し、年末時点で入籍していれば対象になります。事実婚(未入籍)は対象外です。
  • 離婚: 年内に離婚し、年末時点で配偶者でない場合は、その元配偶者については控除を受けられません。
  • 死別: 年内に配偶者が亡くなった場合は、死亡時の現況で判定するため、控除の対象となる可能性があります。

3. 夫婦でお互いに控除を受けようとする場合(重複)

「配偶者控除」は夫婦のどちらか一方しか受けることができません。近年増えているのが「夫婦ともに年収150万円〜200万円程度」の共働き世帯でのミスです。この年収帯だと、夫も妻も「配偶者特別控除」の対象になり得ます。

しかし、夫が妻を対象に配偶者特別控除を受け、妻も夫を対象に配偶者特別控除を受ける、といった「相互の申告(重複)」は認められていません。どちらか所得の高い方が控除を受けるのが一般的ですが、シミュレーションをして世帯全体で有利になる方を一つだけ選択してください。

配偶者控除等申告書の記入ミスや提出忘れの対処法は?

1月31日までなら「会社での再計算」、それ以降なら「確定申告」で訂正可能です。

「年末調整で出し忘れてしまった」「後から計算ミスに気づいた」という場合でも、諦める必要はありません。時期に応じた適切なリカバリー方法が存在します。会社が役所へ書類を提出するタイミングや、国税庁の受付期間に基づき、以下の基準で行動してください。

ケースA:1月31日までの場合(社内での再計算)

会社が税務署や役所へ法定調書を提出する前(一般的に1月31日まで)であれば、社内でデータの修正(再年末調整)ができる場合があります。

多くの企業では、12月の給与で年末調整を行いますが、源泉徴収票の発行や役所への報告(給与支払報告書の提出)は1月末までに行います。つまり、1月中であれば社内処理で修正が間に合う可能性があるのです。

  • アクション: ミスや漏れに気づいた時点で、速やかに総務・人事担当者へ「配偶者控除等申告書の訂正をお願いしたい」と申し出てください。 訂正方法は、該当箇所を赤字で二重線を引き、正しい金額を記入して訂正印を押すのが一般的です。

ケースB:2月以降または会社で対応できない場合(確定申告)

会社の年末調整に間に合わなかった場合でも、2月16日〜3月15日の確定申告を行えば、遡って控除を受けることができます。

会社での処理が終わってしまった場合(源泉徴収票を受け取った後など)は、自分で税務署に申告することで解決します。これを「還付申告」と呼びます。

  • アクション: 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や、市販の会計ソフトを使用します。 源泉徴収票の内容を入力し、追加で「配偶者控除」の情報を入力すると、納めすぎた税金が計算され、指定した銀行口座に振り込まれます。 還付申告は、通常の確定申告期間(2/16〜3/15)より前から行うことができ、5年前まで遡って申告可能です。

ケースC:配偶者の年収が確定したら見積額と違っていた場合

年末調整の時点では「見積額」で記入しますが、実際の年収が確定して区分が変わる場合は、再年調か確定申告を行うことになります。源泉徴収票を従業員に交付する前で、かつ1月末までであれば、再年調が可能です。源泉徴収票の交付後または、2月に入った後であれば確定申告で過不足を清算しましょう。

配偶者控除等申告書の正しい書き方と訂正手順を理解しよう

配偶者控除等申告書の記入例において最も重要なのは、「収入から所得への正しい変換」と「区分マトリクスの正確な読み取り」です。本人の所得が1,000万円以下で、配偶者の所得が133万円以下(年収201万6,000円以下)であれば、多くの場合で税制優遇が受けられます。「計算が面倒だから」と提出を諦めたり、適当に書いて損をしたりしないよう、仕組みを理解しておくことが大切です。

具体的な作成手順としては、基本情報の記入後に本人と配偶者それぞれの「所得」を計算し、区分判定を行ってから表の金額を転記するという流れを確実に踏んでください。その際、「収入(額面)」と「所得(手取りではない)」を混同しないよう注意が必要です。また、万が一提出期限を過ぎてしまった場合でも、1月中なら会社へ相談し、2月以降であれば確定申告を行うことでリカバリーが可能です。

特に「配偶者特別控除」の範囲は広く、年収201万円未満までは恩恵を受けられる可能性があります。「123万円を超えたから全く控除がない」と勘違いせず、正しく計算して申告しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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