• 更新日 : 2025年6月19日

入社手続きにマイナンバーは必要?提出を求められる理由を解説

入社手続きで、マイナンバーは必要になるのか疑問に感じる方も多いでしょう。

本記事では、入社手続きの際に会社がマイナンバーの提出を求める理由について詳しく解説します。入社後にマイナンバーがどのように活用されるのか、具体的な使用目的についても見ていきましょう。会社がマイナンバーを収集する方法や従業員が提出する必要のある書類についても紹介し、手続きの流れや注意点をわかりやすくまとめました。

入社手続きにマイナンバーはなぜ必要?

マイナンバー制度とは、日本国内に住民票をもつすべての個人に12桁の番号を割り当て、税や年金、保険などの情報を一元的に管理する制度です。マイナンバーは主に、社会保障・税務・災害対策の3つの分野で活用されます。

入社時には、雇用保険社会保険の加入、税金関連の手続きに必要なため、企業からマイナンバーの提出を求められることが一般的です。従来は各手続きに異なる番号や書類が用いられていたため、手続きが複雑でしたが、マイナンバーの導入により情報が統合され、行政による確認や処理が効率化されました。マイナンバーについて詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

入社手続きに必要な書類一覧

一般的に入社手続きに必要な書類は、下記のとおりです。

  • マイナンバー
  • 誓約書、身元保証書
  • 住民票記載事項証明書
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 賃金支払に関する銀行口座等への振込同意書
  • 雇用保険被保険者証(交付済の場合)
  • 年金手帳(交付済の場合)、基礎年金番号通知書
  • 健康保険被扶養者(異動)届(被扶養者がいる場合)
  • 源泉徴収票(給与所得が入社年にあった場合)

マイナンバー以外にも、入社手続きに必要な書類を事前に確認しておくことで、スムーズに対応できます。

入社後のマイナンバーの使用用途

入社後にマイナンバーがどのような場面で使われるのかを把握しておくことは重要です。ここでは、具体的な利用用途についてわかりやすく解説します。

雇用保険の手続き

雇用保険の手続きをおこなう際、マイナンバーの提出が求められます。企業は新たに従業員を雇った際に、「雇用保険被保険者資格取得届」を所管のハローワークへ提出する必要があります。提出期限は、被保険者となった月の翌月10日までです。

雇用保険の対象となるのは、雇用契約が初日から継続して31日以上ある場合や、契約期間が未定の人、初回が31日未満であっても契約更新の可能性があり31日以上の雇用が見込まれる場合です。条件を満たす従業員は、保険加入の対象になります。

健康保険・厚生年金保険の手続き

健康保険や厚生年金保険の加入手続きにおいても、マイナンバーの提出が必要です。健康保険は、病気やけが、出産、死亡などの際に医療費の一部をカバーする制度です。

また、厚生年金保険は公務員や民間企業に勤める人を対象とし、国民年金に上乗せして老後の生活を支えるための制度として運用されています。保険に加入する際にマイナンバーを用いることで、行政の手続きが簡略化され、迅速に処理が進む仕組みとなっています。

税金の手続き(年末調整など)

マイナンバーは、年末調整をはじめとする税務手続きでも必要とされます。2016年1月に制度の本格運用が始まって以降、企業は源泉徴収票や支払調書を税務署に提出する際、それぞれに従業員のマイナンバーを記載することが義務づけられました。

マイナンバーにより、税務手続きの効率化や情報の正確な管理が可能です。従業員の所得情報が、国によって一元的に把握される仕組みが整えられています。

入社手続きで会社がマイナンバーを回収する方法

入社時に企業が従業員からマイナンバーをどのように回収するのかは、重要なポイントのひとつです。ここでは、具体的な方法について説明します。

メール

マイナンバーの回収方法のひとつに、スマートフォンやデジタルカメラでマイナンバーカードや通知カードを撮影し、画像をメールで提出してもらう方法があります。メールは、紙での提出が難しい場合に有効です。

ただし、個人情報を扱うため、メール送信時には暗号化するなど、情報漏えいを防ぐための十分なセキュリティ対策が必要となります。適切に管理すれば、効率的かつ柔軟な回収手段となるでしょう。

紙媒体

従業員からマイナンバー通知書やマイナンバーカードのコピーを直接提出してもらう方法も一般的です。とくに、従業員数の少ない企業やスタートアップでは、比較的、情報管理がしやすいため適しています。

ただし、コピーであっても個人情報を扱うため、書類は厳重に保管します。使用目的が終わった時点で、マイナンバーは速やかに廃棄してください。管理体制を整えることで、安全かつ確実なマイナンバーの回収が可能になります。

労務管理システム・ツール

マイナンバーの収集には、専用の労務管理システムを活用する方法もあります。労務管理システム・ツールであればオンラインのため、データの一元管理がしやすいでしょう。高度なセキュリティ機能により、情報が保護される点が大きなメリットです。

ただし、導入には一定のコストがかかるため、小規模企業では慎重な検討が必要です。業務効率の向上や管理の負担軽減といった長期的なメリットを考慮すれば、有効な選択肢といえるでしょう。

入社手続きで従業員が提出すべきマイナンバー書類

入社時には、従業員が会社に対してマイナンバーに関する書類を提出する必要があります。ここでは、具体的にどのような書類が求められるのかを紹介します。

マイナンバーカードをもっている場合

マイナンバーカードを所有している場合は、カードのみでマイナンバーの確認と本人確認が同時に可能です。入社手続きでは、カードの表裏両面をコピーし、会社に提出します。会社側はコピーを受け取ることで、番号の正確な把握と本人確認が確実にできるため、効率的な管理が可能です。

マイナンバーカードをもっていない場合

マイナンバーカードをもっていない場合、番号確認と本人確認を別々に実施しましょう。番号確認には、マイナンバー通知カードやマイナンバー記載の住民票記載事項証明書を提出します。

一方、本人確認は運転免許証やパスポート、写真付きの公的身分証明書のいずれかを用いる必要があります。書類を組み合わせて、正確な身元確認と番号の確認をおこなってください。

入社手続きでマイナンバーを扱う際の注意点

入社手続きでマイナンバーを取り扱う際には、適切な管理や安全対策が求められます。ここでは、注意すべきポイントについて見ていきましょう。

マイナンバー漏えいの罰則がある

マイナンバー法では、違反に対する刑罰が非常に重く定められています。国や地方公共団体の職員が業務上知り得た秘密を漏らしたり盗用した場合、3年以下の懲役または150万円以下の罰金が科されます。また、職務外で特定個人情報を不正に収集した場合は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

民間事業者や個人も含め、正当な理由なく個人番号を提供した場合は、4年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられます。

マイナンバーによる厳しい罰則を管理するため、個人情報保護委員会という第三者機関が設立されています。主に、マイナンバーが適正に管理されているかどうかを監視する役割です。企業はマイナンバー法を理解し、従業員にも周知することが大切です。マイナンバー制度における個人情報漏えい対策を知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

利用目的を従業員に伝える

マイナンバーを収集する際は、従業員に対し、利用目的を事前に通知する義務があります。トラブルを避けるため、どのような手続きに使うのかを必ず従業員に共有しましょう。

個人情報が番号ひとつで管理されることに抵抗を感じる人も多いため、情報漏えいのリスクがないことを丁寧に説明し、安心感を与えることが求められます。

入社手続きでマイナンバーの提出を拒否された場合の対処法

ここからは、入社手続きで従業員がマイナンバーの提出を拒否した場合の対応策について説明します。適切な対処法を理解し、スムーズな手続きの進行を目指しましょう。

マイナンバー提出のメリットを伝える

従業員には会社にマイナンバーを提出する義務はありません。しかし、マイナンバーを活用することで社会保険や税務手続きが効率化されるメリットがあります。

以前は、住民票コードや基礎年金番号など複数の番号で管理されていた情報が、一元管理されます。手続きの簡略化だけでなく、従業員本人の利便性も向上するため、メリットを丁寧に説明することが大切です。

利用目的を丁寧に説明する

マイナンバーの取り扱いは厳しく制限されており、利用目的は事前に必ず通知しなければなりません。

法定の目的以外での使用は禁止されます。また、個人情報保護委員会など、第三者機関による管理状況の監視も実施されています。

提出を拒否する従業員に対しては、利用目的を丁寧に説明し、理解を得るための対話を続けることが重要です。

情報の管理体制・安全面を伝える

企業がどのようにマイナンバーを管理しているかを説明することは、提出を促すうえで効果的です。マイナンバーは特定個人情報にあたり、一般的な個人情報よりも厳重な管理が求められます。

個人情報保護法とマイナンバー法の両方で、安全管理措置の実施が義務づけられているため、企業は情報漏えい防止のために万全の対策を講じています。自社の管理体制をしっかり伝えることで、従業員に安心感を与え、提出を促すことが可能です。

入社手続きのマイナンバーについてのよくある質問

入社手続きでのマイナンバーに関するよくある質問について解説します。疑問点をクリアにし、手続きをスムーズに進めるための情報をお伝えします。

マイナンバーは会社に収集の義務がありますか?

企業は、社会保険加入などの各種手続きを適切に実施するために、マイナンバーを収集し管理する義務があります。

マイナンバーは行政手続きを円滑に進め、正確な情報を報告するために必要不可欠なものです。マイナンバーを正しく取得することで、手続きの効率化とミスの防止が図られ、企業と従業員双方にとってメリットが生まれます。

従業員は会社にマイナンバーを提出する義務がありますか?

従業員にマイナンバーの提出義務はなく、入社時に拒否されても罰則はありません。しかし、提出がないと社会保険や税務手続きに支障が出る可能性があります。

そのため、企業は提出を促すために、安全な管理体制の整備や利用目的の明確化など、従業員が安心して提供できる環境づくりが求められます。

アルバイト・パート従業員にもマイナンバーを提出してもらうべきですか?

パートやアルバイトであっても、正社員と同様にマイナンバーの提出が必要です。たとえば、週に2〜3日の勤務であっても、企業はマイナンバーを収集し管理する義務があります。

パートやアルバイトの場合も、社会保険や税務手続きを正確に実施する必要があります。そのため、労働形態にかかわらず従業員のマイナンバーを取得することが重要です。アルバイトのマイナンバー提出は義務なのかどうか、詳しく知りたい方は下記の記事をご参照ください。

外国人労働者もマイナンバーの提出は必要ですか?

マイナンバーは、日本に住民票がある人に交付されるため、住民票をもつ外国人にも付与されています。日本で働く外国人は中長期在留者として認定されており、マイナンバーをもっていることが一般的です。

もし提出を拒否する場合は、中長期在留者でない可能性や、別人になりすましている可能性も考えられます。トラブルを避けるため、外国人採用時には必ずマイナンバーの提出を求めることが重要です。

退職した従業員のマイナンバーはどうする?

企業が従業員のマイナンバーを保管できるのは、マイナンバー法にもとづき、税務や社会保険などの特定の事務をおこない、関連書類を法令で定められた期間保存する必要がある場合に限られます。

これらの目的以外での保管は認められておらず、業務上の利用が終了した時点で速やかに廃棄しなければなりません。不必要にマイナンバーを保管し続けることは、法令違反となるため注意が必要です。

参考:e-Gov 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)


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