- 更新日 : 2026年1月26日
役員報酬は変更できる?手続き方法と注意点を解説!
役員報酬の変更は、原則として期首から3か月以内に限り認められます。
- 期首3か月以内が原則
- 決議と議事録が必須
- 税務要件を厳守
3か月を過ぎたら一切変更不可というわけではなく、業績悪化や役職変更などの合理的理由があれば、例外的に減額などが認められる場合があります。
会社経営が順調な場合や経営状態が悪化した場合には、役員報酬を変更することがあります。しかし、役員報酬を変更する際には、税法上のルールに従って変更しなければなりません。
役員報酬を変更する手順を間違うと、税法上損金として認められないことがあるため注意が必要です。役員報酬を変更する方法とその手順や注意点について解説します。
目次
役員報酬は変更できる?
役員報酬は原則として自由に変更できるものではなく、税務上の制約が設けられています。ただし、一定の条件を満たせば変更することは可能です。
一定の期間内であれば変更可能
役員報酬は、事業年度開始の日から3か月以内であれば「定期同額給与」として変更が認められます。この期間内で株主総会や取締役会の決議を経て変更すれば、法人税法上も損金算入が可能です。これを過ぎると、原則として変更後の報酬は損金として認められません。
役職や職務の変更があれば例外的に変更できる
役員の役職(例:代表取締役から取締役へ)や担当業務が大きく変更された場合は、定期同額でなくても報酬の見直しが認められることがあります。変更の合理性が求められ、社内での正式な決議および議事録作成が必須です。
業績の悪化など合理的な理由があれば減額可能
会社の業績が大幅に悪化し、役員報酬を減額せざるを得ない場合は、例外的に変更が可能です。税務上のリスクを避けるためには、業績悪化を示す資料や説明責任が伴い、恣意的な操作と見なされないよう注意が必要です。
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役員報酬を変更する時の手続きの流れは?
役員報酬を変更する際には、法的手続きや税務上の要件を満たす必要があります。正しく手順を踏まなければ、損金不算入とされ法人税の負担が増す恐れもあります。以下では、役員報酬を適正に変更するためのステップを解説します。
① 変更の必要性を明確にし、合理的な理由を整理する
役員報酬の変更を検討するにあたり、まず「なぜ変更が必要なのか」という理由を明確にします。業績の変化、組織改編、役職変更、資金繰りへの対応など、合理的な根拠が必要です。この理由は、後の決議文書や税務対応において重要な判断材料となります。
② 税務上の取扱いを確認し、変更可能な時期を把握する
変更しようとしている報酬が「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のいずれに該当するかを確認します。定期同額給与」の変更は事業年度開始後3か月以内が原則で、それ以降の変更は損金不算入となる可能性が高いため、タイミングには細心の注意が必要です。
③変更案(報酬額・支給条件)を作成する
変更理由と時期を整理したら、具体的な報酬額や支給方法、時期などの変更案を作成します。業績、会社の財政状況、他の役員とのバランスなどを考慮しながら設定します。また、源泉所得税や社会保険料への影響も試算しておくと、変更後の混乱を防げます。
④ 株主総会や取締役会で正式に決議を行う
役員報酬の変更は、原則として株主総会での決議が必要です。定款に定めがある場合などでは、取締役会での決議が可能なケースもあります。議事録には、変更の内容・理由・適用時期を明記し、証拠資料として適切に保存します。
⑤ 「事前確定届出給与」などに該当する場合は税務署に届出する
変更内容が「事前確定届出給与」または「業績連動給与」に該当する場合、税務署に届出書を提出しなければなりません。届出は原則、株主総会等の決議日から1か月以内に行う必要があります。期限を過ぎると損金として認められないリスクがあるため注意が必要です。
⑥ 社内および関係機関への通知・システム反映を行う
決議後は、人事・経理部門に報酬変更を通知し、給与システムへの反映、源泉徴収・社会保険・住民税の変更処理など、実務対応を速やかに行います。また、役員個人にも変更内容を正式に通知し、理解を得ることが重要です。
⑦ 関連書類を整理し、変更内容を文書で保存する
株主総会議事録、変更理由の資料、税務署への届出書などの関連書類を整理・保管します。これにより、税務調査や会計監査の際に説明責任を果たすことができ、会社のコンプライアンス強化にもつながります。
役員報酬を増額する場合の注意点は?
役員報酬を増額する際に不適切な手続きや金額設定があると、損金不算入や税務調査での指摘につながる可能性があります。以下に注意すべきポイントを解説します。
株主総会または取締役会での適正な決議が必要
役員報酬の増額は、会社法上、原則として株主総会の決議事項です。定款で定めがある場合を除き、取締役会のみでの決定は認められません。また、報酬枠を超えて支給する場合は、その枠自体の見直しを含めた株主の承認が必須となります。議事録を残し、法的に正当な手続きを踏むことが重要です。
税務上は定期同額給与の要件を満たす必要がある
法人税法では、役員報酬は「定期同額給与」に該当しなければ、損金算入が認められません。定期同額給与とは、毎月同じ金額を継続的に支払う形態であり、事業年度開始から3か月以内に決定・変更されたものである必要があります。この期間を過ぎての増額は原則として損金不算入となるため、時期に注意が必要です。
増額分が不相当に高額でないかを確認する
報酬増額後の金額が著しく高額である場合、税務上「不相当に高額な役員報酬」として経費性が否認されるリスクがあります。業績や職務内容、同業他社との比較などから合理的であることを説明できるようにしておく必要があります。金額設定には客観性と説明責任が求められます。
社会保険料や税負担への影響を見逃さない
役員報酬を増額すると、その分社会保険料や源泉所得税の負担が増加します。これは会社だけでなく役員個人にも影響するため、総報酬額や手取り額、会社のキャッシュフローへの影響を事前に試算しておくことが重要です。バランスの取れた増額が求められます。
役員報酬を減額する場合の注意点は?
役員報酬の減額は、増額に比べ柔軟に認められるケースがあるものの、無条件で可能というわけではありません。以下では、減額時に注意すべき点を整理します。
正当かつ合理的な理由が求められる
役員報酬の減額は、業績悪化や経営再建、資金繰りの悪化など、客観的かつ合理的な理由がある場合に認められます。恣意的な節税目的や一時的な調整と判断されると、税務上問題視される可能性があるため、減額理由は明確に整理しておく必要があります。
定期同額給与の要件を外れる点に注意が必要
役員報酬を期中に減額すると、形式上は「定期同額給与」に該当しなくなります。ただし、業績悪化などやむを得ない事情による減額であれば、例外として損金算入が認められる場合があります。そのため、減額の背景を説明できる資料の整備が重要です。
株主総会や取締役会での決議が必要
役員報酬の減額についても、原則として株主総会または定款に基づく取締役会での決議が必要です。正式な手続きを経ずに減額した場合、会社法上の問題が生じるおそれがあります。決議内容や理由は議事録に明確に残す必要があります。
役員個人の同意と実務対応を怠らない
報酬減額は役員個人の収入に直接影響するため、事前に十分な説明を行い、同意を得ることが望まれます。また、給与システムや社会保険料の変更手続きも必要となるため、実務面での対応漏れにも注意が必要です。
役員報酬の変更で税務署に届出が必要なケースと対応方法は?
役員報酬の変更すべてに税務署への届出が必要なわけではありませんが、特定の支給形態に該当する場合や報酬内容によっては届出が義務付けられています。以下に、届出が必要なケースと対応方法を解説します。
事前確定届出給与に該当する場合は届出が必要
役員に対して賞与(ボーナス)などを支給する場合、それが「事前確定届出給与」に該当する場合は、税務署への届出が必須です。この制度は、事前に支給日・金額・対象者を定めたうえで、株主総会または取締役会で決議し、その日から1か月以内に「事前確定届出給与に関する届出書」を所轄税務署へ提出する必要があります。これを怠ると、たとえ正当な報酬であっても損金算入が否認され、法人税負担が増えるリスクがあります。
届出不要のケースでも社内手続きと記録が重要
定期同額給与として毎月一定額を支給する場合には、通常、税務署への届出は不要です。ただし、報酬変更のタイミングが事業年度開始後3か月を超えると損金算入できなくなるため、実質的には事前の社内決定と迅速な対応が求められます。届出が不要な場合でも、株主総会や取締役会の議事録を残し、税務調査に備えた証拠書類として保存することが大切です。
届出書の記載内容と記入上の注意点
「事前確定届出給与に関する届出書」には、以下の項目を正確に記載します。
- 対象となる役員の氏名
- 支給予定日(※明確な日付で記載が必要)
- 支給金額(税抜 or 税込表記を統一)
- 支給回数(例:年1回、年2回)
注意点は以下のとおりです。
- 支給日や金額を変更した場合は、その支給分すべてが損金不算入になるリスクがある。
- 曖昧な表記(「○月中旬」など)は認められない。
- 支給日が休日で前後した場合も、実質的な遅延と見なされる可能性がある。
役員報酬の変更は慎重な判断が必要
その他、業績悪化改定事由に該当しなくても、法人の役員の地位の変更や職務の内容に重大な変更があった場合にも役員報酬を変更することは可能ですが、役員報酬を変更する際には慎重な判断が必要です。
一度役員報酬を上げてしまうと、事業年度内に役員報酬を下げることはやむを得ない事由がない限り認められません。また、住民税は前年の所得に対して課税されますので、役員報酬を大幅に減額すると住民税が支払えなくなることも考えられます。
役員報酬の変更を安易に行うと、法人税額が多くなることがあります。役員本人の変更後の社会保険料の負担、住民税・所得税の金額、経営法人の今後の業績予想、事業計画などにも留意して、慎重に判断しましょう。
役員報酬計算シートのひな形・テンプレート
役員報酬の計算シートをエクセルで作成する際は、テンプレートの利用が便利です。
以下より、今すぐ実務で使用できる、役員報酬の計算シートのテンプレート(エクセル)を無料でダウンロードいただけます。ぜひ、経営にお役立てください。
よくある質問
役員報酬を変更する時の手順に気を付ける点は?
ポイントは「いつ変更するか」にあります。これは不正を防ぐためです。詳しくはこちらをご覧ください。
役員報酬を増額する場合の注意点は?
事業年度開始日から3ヶ月以内の原則を守ることには注意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
役員報酬を減額する場合の注意点は?
特に「第三者である利害関係者との関係性」についての要件を満たせるよう、第三者との協議などをしておくことがポイントとなります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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