- 更新日 : 2025年12月3日
【事例付き】年末調整の還付金はいつ、いくら戻ってくる?支払日や金額の計算方法を解説
年末調整に出てくる還付金とは、1年間に支給される給与や賞与から徴収された源泉所得税が本来の源泉所得税の金額より多い場合に、12月または1月に戻ってくるお金のことです。年末調整は過不足税額の調整をする仕組みであるため、源泉所得税が不足していた場合には追加徴収されます。今回は年末調整による還付金の支払日や受け取り方法を解説します。
目次
年末調整によって戻る還付金とは?
年末調整によって返還される還付金とは、年末調整で過不足税額を精算して、払いすぎていた場合に返還されるお金のことです。年末調整は、1月1日から12月末までの期間に給与や賞与から天引きによって徴収された所得税と1年分の正確な所得税額を比較し、過不足税額の精算を行う制度を指します。
過不足税額について詳しくはこちらの記事をご参照ください。
ただし、年末調整をすれば必ず還付金が返ってくるわけではありません。所得税の過不足精算の結果、源泉所得税が実際の所得税額よりも不足していた場合、追加徴収されることを覚えておきましょう。
そもそもなぜ年末調整で所得税の過不足精算をする必要があるかというと、毎月納付してきた源泉所得税は概算による仮の金額であるためです。
毎月源泉徴収される所得税は、前年の年末調整の際に提出した「扶養控除申告書」をもとに決定されます。
一方、扶養控除をはじめとする実際の控除額は、その年の終わりまで正確な金額がわからないことがほとんどです。
このように、前年の年末調整時に決定された控除額とその年の控除額に差が生じるため、正確な控除額がわかる年末に過不足を修正する必要があるというわけです。
なお、年末調整で生命保険料控除や地震保険料控除などを受ける場合は、従業員が自分で保険料控除申告書を記入し、申告しなければなりません。会社は従業員が個人的に加入している生命保険料の情報を把握していないためです。
その場合、10〜11月頃に加入先の保険会社から送付される保険料控除証明書を提出し、年末までの支払い予定を含めた、その年に支払った保険料額を証明します。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
送付状テンプレ集 36選パック-時候の挨拶×12か月分(上旬・中旬・下旬)
こちらは「送付状テンプレ集 36選パック」です。 12か月分の上旬・中旬・下旬、それぞれの時期に対応した時候の挨拶が含まれています。
季節や時期に応じた送付状を作成する際の参考資料として、ぜひご活用ください。
電子契約にも使える!誓約書ひな形まとめ
誓約書のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。資料内から任意のひな形をダウンロードいただけます。
実際の用途に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
人事・労務の年間業務カレンダー
毎年大人気!人事労務の年間業務を月別にまとめ、提出や納付が必要な手続きを一覧化しました。
法改正やシーズン業務の対応ポイントについて解説するコラムも掲載していますので、毎月の業務にお役立てください。
人事・労務担当者向け Excel関数集 56選まとめブック
人事・労務担当者が知っておきたい便利なExcel関数を56選ギュッとまとめました。
40P以上のお得な1冊で、Excel関数の公式はもちろん、人事・労務担当者向けに使い方の例やサンプルファイルも掲載。Google スプレッドシートならではの関数もご紹介しています。お手元における保存版としてや、従業員への印刷・配布用、学習用としてもご活用いただけます。
年末調整による還付金の支払日はいつ?
年末調整による還付金は、一般的には年末調整で還付申請を行った1ヶ月後あたりに支払われるものです。12月中に還付される会社が多いなか、業務上の都合により、また従業員に共稼ぎが増えてきたことを背景に、1月下旬を支払日とする会社もあります。ここからは、それぞれ何故その時期になるのかという理由について解説します。
早ければ12月中に還付される
年末調整の還付金の支払日は、12月中であることが多いようです。12月最後の給与支給日に一緒に振り込まれるパターンが一般的です。
年末調整は、1年間のうちに支給した給与や賞与を精算することを目的に実施するものであるため、年内に終わらせる必要があると考える会社が多いことが挙げられます。また、年末調整を給与とは別に支給した場合、振込手数料がかかることも理由となるでしょう。
所得税法に関する基本通達では、12月賞与をその年最後に支給するものとみなして年末調整を行うことも認められています。12月賞与は12月給与よりも先に支給されることが多いため、12月上旬には年末調整の還付金を受け取るケースもあるということです。
遅い場合は1月下旬に還付される
年末調整の還付金の支払日を12月の給与支払日と同じ日とする会社が多いなか、1月下旬頃に振り込む会社もあります。
それには、下記のような理由が挙げられます。
- 年末の繁忙期を避けるため
- 12月の給与支払日以降に控除額の修正が入る可能性があるため
- 従業員が共働きのケースで、1月にならないと配偶者の所得が確定しないため
- 年末調整で所得税を追加徴収する場合、1月と2月にわけて徴収できるため
ただし、年末調整の結果は1月31日までに税務署に届ける必要があるため、期限を過ぎないようにしましょう。
年末調整による還付金の受け取り方法は?
年末調整による還付金の受け取り方法は、会社によってさまざまです。給与と一緒に口座への振り込みの形で還付されるケースもあれば、給与とは別に還付金のみを手渡しで渡すケースもあるようです。
ここからは、年末調整の還付の方法である「給与への反映による還付」と「手渡しによる還付」について、それぞれ解説していきます。
給与への反映による還付
年末調整の還付金は、給与と一緒に支払われるケースが多いようです。現在は給与自体、手渡しではなく口座振込で支払われることがほとんどであるため、別途支払い手数料がかからないように一緒に振り込まれます。
年末調整による還付金の受け取り方法に決められたルールはないため、会社ごとに対応が異なることを覚えておきましょう。
手渡しによる還付
給与を手渡しで支給している場合は、年末調整の還付金も一緒に、手渡しで支払うというケースもあるでしょう。あるいは、給与は口座振込であっても、年末調整による還付金のみ手渡しで支給している会社もあるかもしれません。従業員の希望に応じて、振り込みと手渡しの両方の対応をしているケースもあるようです。
繰り返しになりますが、還付金の支給方法に明確な定めはないため、それぞれの会社の状況に応じた還付方法が採用されています。
年末調整による還付金の計算方法
それでは、年末調整における計算手順を確認し、還付金が戻ってくる場合、どのくらい戻ってくるのかを見ていきましょう。
年末調整での年調年税額の計算手順
年末調整において年調年税額を算出する手順は以下の通りです。
1. 給与総収入額から給与所得額を求めます。
給与総収入額を「令和7年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」にあてはめると、給与所得控除後の給与等の金額が算出できます。
2. 次に、所得控除額の合計額を求めます。
納税者にかかる自身の基礎控除48万円の他に配偶者の配偶者控除や扶養親族の扶養控除の額を確認します。その他に、社会保険料控除や各種保険料控除がないかも合わせて確認し、所得控除額の合計額を算出します。
3. 上の「1」で求めた給与所得控除後の給与等の金額から「2」で求めた所得控除額の合計額を差し引くと課税所得税額になります。
4. 求めた課税所得税額から算出所得税額を求めます。
5. 「4」で求めた算出所得税額に復興特別所得税の税率102.1%を掛け算して、年調年税額を算出します。
これが、納税者の年調年税額になります。給与や賞与からすでに源泉徴収されている所得税額と比較して、多く納付している場合には12月または1月に納税者本人に還付することになります。
次は、年末調整による還付金でいくら戻るか見ていきましょう。
参考:令和7年分 年末調整のしかた|国税庁、「令和7年分の年末調整のための算出所得税額の速算表」
【事例】年末調整による還付金でいくら戻るか
それでは、給与収入の事例を挙げて、年末調整で還付金がいくら戻るのか、戻らない場合はどうなるのか確認してみましょう。
計算事例:配偶者(収入なし)と16歳の子どもが1人いる場合
■Hさん(男性)の場合
==================================================
◆家族構成
・既婚者、配偶者は専業主婦(収入なし)
・16歳の子どもを扶養
◆給与・控除関係
・給与総収入額600万円
・源泉徴収税額13万3838円
・各種保険料控除額
-社会保険料控除76万9541円
-生命保険料控除4万5000円
==================================================
1.給与総収入額から給与所得額を求めます。
給与総収入額600万円を「令和7年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」にあてはめると、給与所得控除後の給与等の金額は436万円になります。
2.次に、所得控除額の合計額を求めます。
Hさんは、自身の基礎控除68万円と配偶者の配偶者控除38万円、16歳の子ども1名の扶養控除38万円を受けることができます。その他に、社会保険料控除76万9541円と生命保険料控除4万5000円を受けられるため、それらを合計すると、225万4541円になります。
68万円+38万円+38万円+76万9541円+4万5000円=225万4541円
3.「1」で求めた給与所得控除後の給与等の金額から「2」で求めた所得控除額の合計額を差し引くと課税所得額になります。
436万円-225万4541円=210万5459円≒210万5400円(1,000円未満切り捨て)
4.求めた課税所得税額から算出所得税額を求めます。
210万5400円×10%-9万7500円=11万3040円
5.「4」で求めた算出所得税額11万3040円に復興特別所得税の税率102.1%を掛け算して、年調年税額を求めます。
11万3040円×102.1%=11万5413円≒11万5400円(100円未満切り捨て)
参考:令和7年分 年末調整のしかた|国税庁、「令和7年分の年末調整のための算出所得税額の速算表」
よって、Hさんが本来納付すべき所得税ならびに復興特別所得税の合計額(年調年税額)は11万5400円になります。すでに源泉徴収されている所得税額13万3838円と比較すると1万8438円多く納付していることになるため、12月または1月にHさんに1万8438円還付することになります。
還付金がもらえない場合
給与や賞与から源泉徴収されている所得税額が、年末調整の際に計算した年調年税額よりも多い額の場合は、上記のように差額が還付されます。
しかし、所得税額が年調年税額よりも少ない額だった場合は、納付した所得税が不足していたことになり、差額は還付ではなく徴収されることになります。
年末調整の還付金の支払日、受け取り方法を知ろう
年末調整による還付金とは、給与や賞与から源泉徴収された所得税が実際に納めるべき金額を超過していた場合に、納税者に戻ってくるお金のことを指します。
還付金が支払われるのは12月の会社もあれば1月の会社もあるといったようにさまざまです。また、受け取り方法に明確なルールが存在するわけではないため、給与と一緒に口座振込をする方法、還付金のみ手渡しで支払う方法など、各会社の状況に応じて対応しています。
年末調整の還付金の定義や一般的な支払日、受け取り方法について理解を深め、年末調整の還付や徴収に関する手続きを正確に行えるようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
年末調整で前職分の源泉徴収票は必要?不要な場合や対処法を解説
会社員の方は毎年、勤務先から源泉徴収票を受け取っていると思います。一般的には、さほど重要な書類とは意識していないかもしれません。しかし、マンションの賃貸契約、金融機関への融資の申込…
詳しくみる配偶者控除等申告書の記入例は?注意点や計算方法も解説
年末調整の時期になると、「給与所得者の配偶者控除等申告書(以下、配偶者控除等申告書)」が配布されます。この申告書は、本人や配偶者の所得を正しく見積もり、家庭の状況に応じた税金の軽減…
詳しくみる源泉徴収票の発行の仕方は?手順や発行しないリスクなど徹底解説
源泉徴収票の発行の仕方を正しく理解できていますか? この業務は単なる印刷作業ではなく、1年間の所得税を確定させ、従業員や国に証明する重要な手続きです。 本記事では、年末調整の計算か…
詳しくみる役員報酬の給与支払報告書は提出不要?総括表・個人別明細書の書き方や提出方法を解説
役員報酬の給与支払報告書について、「そもそも提出は必要なのか」「報酬が0円の場合はどうすればいいのか」といったお悩みはありませんか。一人社長の会社や、複数の会社から報酬を得ている場…
詳しくみる給与所得の源泉徴収簿の必要性とは|作成手順と管理のポイントも解説
源泉徴収簿は、給与や税金を正確に管理するために必要な帳簿であり、従業員ごとに正確に作成することが重要です。源泉徴収簿の必要性や作成方法について詳しく知っておくことが大切です。 本記…
詳しくみる年末調整で住所に変更があった場合
引っ越しによって住所が変わった場合、または住民票の住所と居住地が異なる場合には、どの住所を年末調整の必要書類に記入すればいいのでしょうか? また、引っ越し費用は住宅借入金等特別控除…
詳しくみる
.png)


