- 更新日 : 2021年5月6日
初めての決算手続き! 法人決算に必要な手続きを解説
個人で行う確定申告の場合は、税務署の電話相談センターや無料相談所で申告書の書き方を教えてもらいながら自分1人でも申告書を作成することができます。しかし、法人の決算ではそう簡単にいきません。申告書類も個人の場合より格段に多く、申告内容も複雑になるからです。
この記事では、初めて決算手続きを行う経営者を対象に、必要な手続きを解説していきます。会社経営を行う上で欠かせない法人決算について、最低限の知識をつけておきましょう。
法人決算の目的
法人決算は、会社において1年に1回行わなければならない一大イベントです。これを大別すると以下3つの業務に分けられます。
- 決算書の作成
- 各種税金の計算、申告、納税
- 決算書類の保存
もっとも重要な業務は、「各種税金の計算、申告、納税」です。税法では、会社の決算日の翌日から2カ月以内に税金の申告・納税を行わなければいけません。
例えば、3月決算の場合は5月末までに申告・納税を完了させる必要があります。これを過ぎると延滞金などのペナルティーが課されますので、期限に間に合うよう、法人決算手続きを計画的に進める必要があります。
法人決算の主な流れ
法人決算の主な流れは以下のとおりです。
それぞれについて見ていきましょう。
1.領収書・請求書の整理
決算書の作成や申告書の作成のための基礎となります。地味ですが、とても重要です。
日々の取引を毎日整理して会計ソフトに入力していれば、決算時に行う必要はありません。しかし多くの場合、毎日この作業をすることはないと思います。例えば1週間~1カ月分をまとめて、行うのが一般的かもしれません。
したがって、決算末においては、整理していない領収書や請求書を次に行うデータ入力をしやすいように整理していきます。また、期中で不明だった入出金がある場合には、この時点で確認するようにしましょう。
2.データ入力(仕訳入力)
整理した書類を元に、会計ソフトでデータ入力を行います。ここで入力されたデータを元に決算書や申告書が作成されるので、入力ミスや入力漏れがないよう注意が必要です。入力が漏れている売上・仕入がないか、生活費などの個人的な支出が混ざっていないか、など十分確認しましょう。また、減価償却費の計上や実地棚卸による資産残高の修正など、決算特有のデータ入力もあります。
3.決算書・申告書の作成
決算に必要なデータを会計ソフトにすべて入力したら、次に決算書や確定申告書を作成します。作成には相当程度の時間がかかるため、計画的に行わなければなりません。当然ですが、決算書や確定申告書に間違いないか見直しも必要です。
4.確定申告・納税
法人にかかる税金には主に「法人税」「消費税」「法人事業税」「都道府県民税」「市町村民税」があり、原則として決算日の翌日から2カ月以内に申告と納税を完了しなければなりません。また、それぞれの提出先が異なりますので注意してください。
法人税・消費税:税務署
法人事業税・都道府県民税:各都道府県税事務所
市町村民税:各市町村役所
5.決算書類の保存
作成した決算書類は、保存期間が原則7年と法律で定められています。ここでいう決算書類はおおむね以下の書類と考えていいでしょう。
- 確定申告書(法人税、消費税、法人事業税、都道府県民税、市町村民税)
- 決算書(賃借対照表、損益計算書)
- 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売上帳、仕入帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳など
- 領収書、請求書などの証拠書類
まとめ
決算手続きは、法人においてとても重要な手続きです。期限もあるため、じっくりと時間をかけてできるものではありません。少しでもわからない点があれば、すぐに確認した方が賢明です。
よくある質問
法人決算の目的は?
決算書の作成・各種税金の計算、申告、納税・決算書類の保存といった目的があります。詳しくはこちらをご覧ください。
法人決算の主な流れは?
領収書・請求書の整理、データ入力(仕訳入力)、決算書・申告書の作成、税金の申告と納税、決算書類の保存が主な流れです。詳しくはこちらをご覧ください。
確定申告・納税の期限は?
原則として決算日の翌日から2カ月以内に申告と納税を完了しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会社設立の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
新着記事
零細経営とは?中小企業との違いや支援制度、成功のコツを解説
零細経営とは、一般に中小企業基本法の「小規模企業者」がイメージとして最も近く、製造業・建設業・運輸業等は常時使用する従業員20人以下、卸売業・小売業・サービス業は5人以下の小規模な事業運営を指します。迅速な意思決定が強みですが資金繰りや人材…
詳しくみる法人登記は郵送でできる?申請方法や封筒の書き方、必要書類を解説
法人登記は、法務局の窓口へ行かずに郵送で申請を完結させることが可能です。そのため、遠隔地にいても、日中の業務が多忙でも、会社の設立や役員変更などの手続きを進められます。 しかし、郵送ならではの書類の準備や封筒の書き方にはルールがあり、これを…
詳しくみる【テンプレ付】役員の住所変更の法人ガイド!自分で行う手続きや費用まとめ
会社の代表権を持つ役員の住所が変更された場合は、変更の生じた日から2週間以内に、変更の日から2週間以内に法務局で法人登記の変更申請を行う必要があります。特に、代表取締役(株式会社)や代表社員(合同会社)など代表権を有する者の住所は登記事項と…
詳しくみる訪問看護の許認可とは?開設に必要な要件や申請の流れを解説
訪問看護事業を開設するには、介護保険法にもとづく都道府県知事などからの「指定」が必要です。この指定を受けるためには、法人格の取得、専門スタッフの配置、事務室の確保といった人員・設備・運営に関する基準をすべて満たす必要があり、計画的な準備が求…
詳しくみる創業融資が返せない場合はどうする?6つのリスクや対処法を解説
創業融資の返済が困難になった場合、何よりも先に融資を受けた金融機関へ相談することが最善の策です。放置してしまうと、延滞損害金の発生や信用情報への悪影響、最悪の場合は資産の差し押さえといった深刻な事態につながりかねません。 事業を始めたばかり…
詳しくみる創業融資後に倒産したらどうなる?自己破産後でも融資は可能か解説
一度事業に失敗し倒産を経験しても、日本政策金融公庫の「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」などを活用すれば、再び創業融資を受けられる可能性があります。そのためには、過去の失敗を分析し、それを乗り越えるための具体的な事業計画と、再起に向け…
詳しくみる