• 更新日 : 2026年7月15日

飲食店経営って難しいの?軌道に乗せるまでのポイントや年収の実態

Point飲食店経営は難しい?

飲食店経営は競争激化、資金繰り困難、人材確保などにより非常に困難ですが、適切な準備と経営知識があれば成功は可能です。

  • 初期費用が高額で売上予測が困難
  • 競合が多く人材確保が課題
  • 小規模スタートと経営知識が重要

Q. 飲食店経営者の年収はどれくらい?

A. 小規模個人経営でも継続には所得300万円以上、安定経営には500万円程度が目安です。

カフェをはじめ、喫茶店やレストラン、バーなどの飲食店の経営に憧れをもっている方もおられると思います。

飲食店の経営は難しいとも言われますが、小さな開業から安全に始める方法はないのでしょうか?この記事では飲食店の開業の準備などに必要な知識を解説します。

目次

飲食店経営が難しいと言われる理由は?

一般に飲食店の継続的な経営は非常に難しいと言われます。コロナ禍が明け、客足が戻る兆しがあるものの、飲食店経営は以下のような環境下で奮闘しなければなりません。

競合の存在

種々の業種の中でも飲食店は競争が激しく、消費者の嗜好やニーズにすばやく対応することが求められる業界と言えます。たとえサービスの種類が異なったとしても、類似業種、競合他社としのぎを削っていかなければなりません。新しいメニューや新しいサービスを開発・提供するには時間だけでなく新たなコストがかかります。

また、定番となっている既存メニューやサービスの質を落とさず維持するには、品質面、衛生面の維持管理が必要です。このように新たな開発と現状維持のバランスを取りながら営業を続けて行く難しさがあります。

売上の確保が困難なうえ、上限も予想がつく

一般的に飲食店は需要の変動が激しい業種と言えます。季節、時間、天候、客層、流行などによって売上高が大きく変わります。変動要素が多いため売上の予測や在庫の管理は非常に難しく、破棄せざるを得ない材料もあることから安定した利益を確保するのが難しいと言えます。

また、店舗の大きさや対応できるサービスにはキャパシティがあることから、一日の売上高の上限は予め予想がつきます。

人材確保の難しさ

飲食店は、ただ料理や飲み物が美味しいだけではなく、提供するまでの総合的なサービスを求められます。従業員を確保し、店に相応しい接客や料理ができるよう育成することは経営者の重要な課題です。

反面、飲食業界は長時間労働や低賃金、休日の少なさなどが問題視され、優秀な人材を確保することが難しくなっています。

新規参入時に初期費用が高い

立地条件や店舗へのこだわりの大小にもよりますが、飲食店の店舗は厨房と接客スペースを整えるだけでもかなりの初期費用を必要とします。

初期投資を回収するには、売上高からランニングコストを差し引いた残りがある程度ないと難しいため、初期費用の高さは新規参入時の大きなハードルとなります。

飲食店を経営するために必要な知識は?

飲食店の経営を軌道に乗せ、長く続けて行くために必要なことはなんでしょうか?飲食店だけに特化されるものではないですが、飲食店経営に必要な知識として4つを挙げておきます。

店舗のコンセプトとターゲット

飲食店の種類や店舗のコンセプトを明確にし、ターゲット層をどこにおくのかを明確にしなければなりません。

例えば、料理のジャンル(和洋中その他)を決め、ファストフード店、カジュアルなレストラン、高級ダイニングなどの営業形態を考えます。また客層に合わせて家族向け、女性向け、若者向けなどの仕様を考えます。店舗のコンセプトとターゲットがずれることのないようにしなければなりません。

飲食店の立地や物件選びは特に重要であり、時間帯による人通りや周辺の環境などを考えなければなりません。そのためには、市場調査や同業他社の分析を行い、ターゲット層やそのニーズに合ったメニュー、サービスを開発する必要があります。

利益率やコストを把握する力

利益率やコストの計算方法を理解し、店舗に合った営業計画を具体的に立てる必要があります。利益率とは、「売上のうちどれくらいの利益があるかという割合」です。これが低すぎる、または高すぎると経営はうまく行きません。

店舗の営業計画ができたら、それを実現するための方法を考えます。売上目標だけでなく、コスト削減方法や効率的な在庫管理や、安心できる衛生管理など方法を考え、具体的に目標数値に落とし込みます。

重要なことは、その後の運営において計画と実績を比較して、両者がどのように乖離しているかを正しく分析できるかどうかということです。計画と実績の差異分析から、次なる一手が生まれます。

料理やお酒などの資格が役立つこともある

当初は趣味の一環であった料理やお酒の資格が経営に大いに役立つことはあります。特に、店のコンセプトに合わせたソムリエの資格取得はハードルが高いものの、店舗に高い付加価値を与えます。

また、調理師免許などを持っていることは、調理の技術だけでなく、衛生の専門知識を有していることの証明でもありますので、店への信頼度が上がります。

食品衛生責任者や防火管理者などの準備も

飲食店の経営においては、食品衛生法や消防法などの法令を守ることが求められます。そのため、「食品衛生責任者」や「防火管理者」などの設置が必要となります。

食品衛生責任者は、飲食店の経営において営業許可を受ける店舗(施設)ごとに1名以上の配置が義務づけられている資格です。

また、防火管理者は、建物の収容人員の数で決まり、主に特定防火対象物は30人以上、非特定防火対象物は50人以上の収容人数で防火管理者の選任が必要となります。

参考:事業所向けアドバイス、防火管理 実践ガイド:防火管理制度について |東京消防庁

参考:食品衛生管理者|厚生労働省

飲食店経営を軌道に乗せるには?

準備期間や準備資金を投じた飲食店の経営がうまく軌道に乗るようにするにはどのようなことに注意すべきでしょうか?

そもそも経営とは、事業の目的や方針を決めて、リソースを効率的に活用し、利益を生み出すことです。まずは経営の基礎知識やスキルを身につけ、次に実践し、自己評価をしながら徐々にステップアップしてくことに尽きます。これも、飲食店に限らず広く事業運営にも通じるものですが、ここでは経営成功のための3つのポイントを挙げておきます。

経営にまつわる勉強を怠らない

事業経営においては幅広い知識が求められます。事業経営における基礎的な分野と、よく使われる実践的な手法を挙げておきますので、興味のある、または基礎知識のあるところから勉強していくのもやり方の一つです。基礎的な知識があるかないかは後に大きな違いとなります。

  • 経営学:SWOT分析、3C分析、バランススコアカードなど
  • 経済学:マクロ経済学、ミクロ経済学、ゲーム理論など
  • 会計学:簿記損益計算書貸借対照表資金繰り表)など
  • 財務管理:財務指標、キャッシュフロー分析、財務比率分析など
  • マーケティング:セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングなど
  • 人事管理:人事戦略、人材育成、パフォーマンス管理など

例えば、会計ソフトの使い方だけがわかっても、会計を理解したとは言えません。貸借対照表や損益計算書の意味を理解し、昨年との比較から何がわかるか、今後どうあればよいかを導き出す力を養うことが生きた会計学です。

利益を生み出す構造を理解する

まずは、その店舗における「売上高と原価の関係」をよく理解することです。利益率の逆数を原価率と言いますが、原価率が上がってきたら削減を検討しなければなりません。

原価の中には、売上高に関係なく発生する固定費(家賃、従業員給与、水道光熱費など)と売上高に応じて変動する変動費(材料や商品など)があります。経常的に発生する固定費のどこが削減できるかを考え、原価率を下げ利益率を上げる工夫を続けることが大切です。

また、収支管理と資金繰り管理は同じものではありません。利益よりもまず「資金繰り」が可能かどうかを先に見ておきましょう。「お金が足りるかどうか」は基本中の基本です。

小さなお店から始めるなど、身の丈に合った経営をする

開業にあたってはスモールスタートがよいと言われます。スモールスタートは、開業時は小さくはじめ、顧客のニーズに応えながら柔軟に改善・拡大するという、身の丈にあった経営方法です。

最初は最小限の機能を準備し、小さく始め、徐々に経営を拡大していくことにより、大きなリスクを回避できます。スモールスタートで学んだことは、次のステップに進む自信につながります。

飲食店経営者の年収は?

飲食店経営者の年収は、個人、法人によっても異なり、規模によっても異なります。売上高から経費を引いたものを所得と言いますが、この金額がサラリーマンの年収(額面)と比較できるかと思います。

小規模な個人経営でも、所得が300万円程度はないと継続が困難となります。店舗に新たな経費がかかるとなると資金にも限度がありますので、小規模な場合だと、プライベートとある程度は店舗に使える資金を確保するという意味で所得500万円程度を目指すということになります。

エネルギーの高騰をはじめ、物価の上昇は飲食店には打撃となり、多くの課題やリスクが伴う飲食店経営ですが、飲食店の経営は身近にあって、自分の夢やビジョンを努力次第で実現することができる魅力的な仕事の一つと言えます。

飲食店経営で資金繰りが難しくなるタイミングは?

飲食店経営では、売上が出ていても手元資金が不足することがあります。食材費、人件費、家賃、水道光熱費、借入返済などの支払いが先に発生し、入金や利益の確定が後になるためです。資金繰りが悪化しやすい時期を把握しておくことで、開業後の資金ショートを防ぎやすくなります。

開業直後は売上が安定せず支出が先行しやすい

飲食店経営で資金繰りが難しくなりやすいのは、まず開業直後です。開業時には内装工事費、厨房設備費、広告費、仕入れ費、採用費などがまとまって発生します。一方で、開業してすぐに客数が安定するとは限りません。認知度が低い間は売上が読みにくく、想定より集客に時間がかかることもあります。開業資金とは別に、少なくとも数か月分の運転資金を用意しておくことが重要です。

閑散期や天候不良の時期は売上が落ち込みやすい

飲食店は、季節や曜日、天候によって売上が大きく変動します。宴会需要が少ない時期、長雨や台風が続く時期、近隣企業の休業期間などは来店客数が減りやすくなります。しかし、家賃や人件費、水道光熱費、リース料などの固定費は売上に関係なく発生します。売上が落ちた月でも支払いは待ってくれないため、繁忙期の利益をすべて使い切らず、閑散期に備えて資金を残しておく必要があります。

税金・社会保険料・借入返済が重なる時期は注意が必要

資金繰りが悪化しやすいもう一つのタイミングは、税金や社会保険料、借入返済の支払いが重なる時期です。消費税や所得税、住民税などは支払額が大きくなる場合があります。日々の売上を運転資金として使い続けていると、納税時に資金が不足する可能性があります。また、設備投資の借入返済が始まると、利益が出ていても手元に残る現金は少なくなります。毎月の損益だけでなく、支払予定を含めた資金繰り表で管理することが大切です。

原材料費や光熱費の高騰にどう対応すべき?

飲食店経営では、食材費や水道光熱費の上昇が利益を直接圧迫します。売上が変わらなくても、原価や固定費が増えれば手元に残る利益は減ります。値上げだけに頼るのではなく、仕入れ、メニュー、価格、業務効率を見直して対応することが重要です。

仕入れ先と食材の使い方を見直す

材料費の高騰に対応するには、まず仕入れの見直しが必要です。仕入れ先を複数比較し、価格だけでなく品質、配送条件、支払い条件も確認します。ただし、安さだけを優先すると料理の品質が下がり、客離れにつながるおそれがあります。あわせて、同じ食材を複数メニューで使い回す、廃棄が出やすい食材を減らす、仕込み量を来店予測に合わせるなど、食品ロスを抑える工夫も重要です。

メニュー構成と価格を段階的に調整する

原価率が高いメニューをそのまま提供し続けると、売れているのに利益が残らない状態になります。人気メニュー、利益率の高いメニュー、手間がかかるメニューを分類し、価格改定や分量調整、セットメニュー化を検討します。値上げをする場合は、一律に上げるのではなく、影響が大きい商品から段階的に見直すとよいでしょう。品質維持や仕入れ価格の上昇を丁寧に伝えることで、顧客の納得感も得やすくなります。

光熱費は設備と運用の両面で削減する

光熱費の高騰には、日々の運用改善と設備投資の両方で対応します。冷蔵庫の温度管理、空調の設定、営業時間外の電源管理、ガス機器の使い方を見直すだけでも無駄を減らせます。また、古い冷蔵設備や空調設備は電力消費が大きい場合があるため、省エネ設備への入れ替えも選択肢になります。ただし、設備投資には初期費用がかかるため、削減効果と回収期間を計算したうえで判断することが大切です。

飲食店経営を安定させるリピーターづくりの方法は?

飲食店経営を安定させるには、新規客の集客だけでなく、再来店してくれるリピーターを増やすことが重要です。リピーターが増えると売上予測を立てやすくなり、広告費に頼りすぎない経営につながります。

再来店したくなる理由を明確に作る

リピーターを増やすには、「また来たい」と思われる理由が必要です。料理のおいしさだけでなく、接客の心地よさ、提供スピード、店内の居心地、限定メニューなども再来店の動機になります。たとえば、常連客向けのおすすめメニューを用意する、来店時の好みを記録して次回来店時に反映する、雨の日限定サービスを行うなど、小さな特別感を作ると効果的です。

LINEやSNSで来店後の接点を持つ

来店後に接点が切れると、顧客は別の店に流れやすくなります。LINE公式アカウント、Instagram、Googleビジネスプロフィールなどを活用し、新メニュー、空席情報、季節限定イベントを発信しましょう。特にLINEは、クーポンや予約案内を直接届けやすい手段です。配信頻度が多すぎるとブロックされるため、週1回程度を目安に有益な情報を送ることが大切です。

口コミと紹介を増やす仕組みを作る

リピーターづくりには、口コミの活用も欠かせません。会計時に自然な形でGoogleマップへの口コミ投稿を案内したり、紹介した人・された人の双方に特典を付けたりすると、新規客と常連客の両方を増やしやすくなります。悪い口コミがあった場合も放置せず、改善点を確認して丁寧に返信することで、店の信頼性を高められます。

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こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。

やりがいも大きい!飲食店経営を始めてみよう

飲食店の経営は、顧客の反応がダイレクトに伝わり、自分の工夫がすぐに成果となって現れる「打てば響く」楽しさがあります。そのため、日々の営業の中で大きなやりがいを感じられる業種です。また、飲食店には「人の人生や文化を育む空間」という、もう一つの深い魅力があります。例えば、原作者が街のカフェの片隅で執筆していた物語が、後に世界的な大ベストセラー「ハリー・ポッター」へと育ったのは有名な話です。

お腹を満たすだけでなく、訪れる人に安らぎを与え、時には誰かの未来のインスピレーションの場にもなり得る。そんな特別な空間を創り出す飲食店経営を、あなたも目指してみませんか。

よくある質問

飲食店経営が難しいと言われる理由は

理由としては、競合他社が多いこと、安定的な売上の確保が困難であるとともに売上上限予想がつくこと、スタッフとして雇う人材確保が困難であること、店舗開店時には初期費用が高いことなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

飲食店経営を軌道に乗せるにはどのようなことが必要ですか

経営を軌道に乗せるには、経営に関連する勉強や情報収集を怠らずに続けること、自分の店における利益を生み出す構造を理解すること、スモールスタートから始め、堅実な経営を心掛けることなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。


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