- 更新日 : 2026年1月14日
会社を共同設立するには?株式会社・合同会社の運営方法(合弁会社・共同経営)を解説
「信頼できるパートナーと共同で会社を設立したい」「友達と二人で起業したい」「他社と協力して新事業を立ち上げたい」――。複数の個人や企業が協力して事業を始めることは、一人では成し得ない大きな成功を掴むための強力な手段です。
しかし、会社の共同設立(共同経営)は、仲が良いという理由だけで始めると、将来的に深刻なトラブルを招く危険性もはらんでいます。
この記事では、会社を共同設立する際に知っておくべき会社の種類(株式会社・合同会社)、運営方法(合弁会社・共同経営)、それぞれの特徴とメリット・デメリット、そして共同経営契約書で定めるべきポイントまで、成功に必要な知識を詳しく解説します。
目次
会社を共同設立するには?
会社を共同設立する場合の運営方法は、主に合弁会社(ジョイントベンチャー)と共同経営(パートナーシップ)の2つに大別されます。
1. 合弁会社(ジョイントベンチャー)
合弁会社とは、主に複数の企業が、特定の事業目的、例えば新規市場開拓や大規模プロジェクトを達成するために共同で設立・運営する会社または事業を指します。
参加企業同士が持つ経営資源、具体的には技術、販売網、ブランドなどを組み合わせてシナジーを生み出すことを目的とします。
- 海外企業が日本市場に参入するため、日本の大手企業と共同で日本法人である合弁会社を設立する。
- A社(AI技術)とB社(製造ノウハウ)が、新製品開発のために共同出資会社を設立する。
2. 共同経営(パートナーシップ)
共同経営とは、主に個人同士、例えば友人との起業、あるいは個人と企業が、それぞれのスキルやリソースを持ち寄り、対等に近い立場で事業を運営していく形態を指します。
友人同士での起業や、デザイナーとエンジニアの二人での起業など、比較的スモールスタートのケースで多く見られます。
- 友人二人が、一人は店舗運営、もう一人はマーケティングを担当して飲食店を共同で設立する。
- コンサルタント数名が、それぞれの専門分野を活かしてコンサルティングファームを共同設立する。
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会社を共同設立するメリット・デメリットは?
会社の共同設立には、リソースを結集できる大きなメリットがある一方、人間関係や方針の違いによる特有のリスクも存在します。
メリット
- リスクとコストの分散:新規事業に必要な多額の初期投資や開発コストといった金銭的負担や、事業失敗時のリスクを参加者間で分担できます。
- 経営資源の相互補完:各社・各個人が持つ技術、ノウハウ、販売チャネル、顧客基盤などを組み合わせることで、単独では実現不可能なスピードや規模の事業展開が期待できます。
- 意思決定の質の向上:異なる視点や経験を持つパートナーと議論することで、より客観的で質の高い意思決定が可能になります。
デメリット
- 意思決定の遅延と対立(デッドロック):経営方針、利益配分、追加投資の判断など、重要な局面で意見が対立すると、意思決定が停滞(デッドロック)し、事業のスピード感が失われます。
- 役割分担と貢献度の不均衡:設立当初は平等でも、次第に「自分の方が多く働いている」といった不満が生まれがちです。貢献度の違いが対立の火種となります。
- 撤退・解消時の手続きの煩雑さ:関係が悪化し「もう一緒にやっていけない」となった場合、株式(持分)の売却方法や価格算定で揉めるケースが後を絶ちません。
会社を共同設立する場合の法人形態の選び方は?
共同設立する会社形態としては、事業の目的や規模に応じて「株式会社」または「合同会社(LLC)」のどちらかを選ぶのが一般的です。
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 適したケース | 上場(IPO)、大規模な資金調達、社会的信用度の重視 | コスト削減、経営の自由度、柔軟な利益配分 |
| 社会的信用度 | 最も高い | 株式会社に次ぐ |
| 意思決定 | 原則「株主総会」 (出資比率に基づく) | 原則「総社員の同意」 (定款で柔軟に設計可能) |
| 利益配分 | 原則「出資比率」に基づく | 定款で自由に決定可 (例:貢献度に応じる) |
| 設立費用(目安) | 約20万円~ (登録免許税15万円~+定款認証5万円~) | 約6万円~ (登録免許税6万円~) |
| 決算公告の義務 | 必要 | 不要 |
| 共同経営の注意点 | 50:50の出資はデッドロックの危険性が高い | 出資比率と異なるルール設計が可能 |
株式会社を選ぶべきケースは?
株式会社は、将来的な上場(IPO)や大規模な資金調達を目指す場合、または取引先からの社会的信用度を最重要視する場合に適しています。
- 特徴
「出資者(株主)」と「経営者(取締役)」が制度上分離されており、社会的信用度が最も高い会社形態です。 - 共同設立でのポイント
- 意思決定や利益配分は、原則として出資比率(=株式の保有比率)に基づいて行われます。「お金を多く出した人が、強い決定権と多くの利益を得る」のが基本です。
- もし50%:50%の対等出資で株式会社を作ると、意見が対立した際にデッドロックとなり、経営が完全に停止するリスクが非常に高くなります。
合同会社(LLC)を選ぶべきケースは?
合同会社(LLC)は、設立・運営コストを抑えたい場合、または「出資比率」と「利益配分・議決権」を柔軟に設計したい場合に最適です。
- 特徴
合同会社は、法律の範囲内で会社のルール(定款)を自由に設計できる「定款自治」が広く認められています。 - 共同設立でのポイント
- 株式会社では原則「出資比率=議決権=利益配分」ですが、合同会社はこれらを切り離せます。これにより、「お金は出せないが技術・労力で大きく貢献する」パートナーと対等な共同経営が実現しやすくなります。
- 設立時の登録免許税が最低6万円(株式会社は最低15万円)で、定款認証(約5万円)も不要です。また、決算公告の義務もないため運営コストも抑えられます。
会社を共同設立する手順は?
共同での会社設立は、単独での設立に比べ、パートナーとの契約が重要になります。
1. パートナーの選定とビジョンの共有
共同設立の成功は、誰と組むかで9割が決まると言っても過言ではありません。スキルやリソースの補完性はもちろんですが、それ以上に「経営理念」「価値観」「事業への熱量」「金銭感覚」が合うかどうかを慎重に見極める必要があります。
2. 事業計画と役割分担の明確化
次に、何となく一緒にやるのではなく、具体的な事業計画と明確な役割分担に落とし込む必要があります。
- 事業計画の策定:市場分析、提供する製品・サービスの詳細、価格設定、販売戦略、そして最低3年分の収支計画(売上、経費、利益の見込み)を策定します。
- 役割分担の明確化:「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかを明確にします。例えば、Aさんは営業とマーケティング担当、Bさんは開発と管理担当など、責任範囲を明確に分けます。
参考:事業計画書の作成例 | 起業マニュアル | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
3. 共同経営契約書の締結
登記手続きの前に、パートナー間で揉めないためのルールを明文化した契約書を締結します。この契約は共同経営の憲法となり、将来のあらゆるトラブルを想定して作成します。
4. 会社設立の法的手続き
パートナー間の合意が契約書として固まったら、その合意に基づき、法務局にて会社の設立登記手続きを行います。
- 設立形態の決定:株式会社にするか、合同会社(LLC)にするかを最終決定します。
- 定款の作成・認証:会社の根本規則である「定款(ていかん)」を作成します。株式会社の場合は、公証役場で定款の「認証」を受ける必要があります (合同会社は不要 )。
- 資本金の払い込み:各パートナーが合意した出資額を、発起人(設立者)の個人銀行口座などに払い込みます。
- 登記申請書類の作成・提出:設立登記申請書、定款、資本金の払込証明書などの必要書類を作成し、法務局に提出します。
- 登記完了(会社設立):法務局の審査が完了し、登記が受理された日(登記申請日)が、会社の設立日となります。
共同経営契約書で定めるべき事項は?
共同設立(共同経営)の成功は、将来揉めた時のことをどれだけ具体的に決めておけるかにかかっています。この契約書は「共同経営契約書」「合弁契約書」「株主間契約書」などと呼ばれます。
1. 役割分担と報酬
まずは、各パートナーの責任範囲(担当業務)を明記します。 また、利益が出るまでの当面の役員報酬(給与)をいくらにするか、利益が出た場合にどう増額するかを定めます。「利益が出るまで無報酬」と決めたなら、それも明記します。
2. 意思決定の方法
意思決定のルールを明確に分けることが重要です。どの範囲までなら各パートナーが単独で決定できるか、いくら以上の契約、新規の借入、社員の採用といった重要な事項は全員の合意が必要か、多数決で良いかを明確に分けます。
3. 利益配分と追加出資
お金に関するルール(利益配分と赤字の場合の追加出資)を明確にします。 特に合同会社の場合、出資比率と異なる利益配分を行う場合は、その比率を明記します。また、事業が赤字の場合、いつ、誰が、いくら追加出資する義務を負うのかを定めます。
4. デッドロック(意見対立)の解消方法
意見が割れて経営が停止した(デッドロック)際の解決手順を定めます。特に対等な立場で設立した場合(例:50:50)は必須です。
- 当事者間で誠実に協議する。
- 解決しない場合、あらかじめ決めておいた第三者(共通の知人、弁護士など)の仲裁を入れる。
- それでも解決しない場合、最終手段(例:一方が相手方の株式/持分を買い取る権利、会社解散など)を発動する。
5. 株式(持分)の譲渡制限と撤退ルール
パートナーが保有する株式(持分)を、こちらの知らない第三者に勝手に売却できないよう、厳しく制限します。 また、一方のパートナーが「辞めたい」と言った時、または辞めさせたい時のルールを定めます。
具体的には、残るパートナーが辞めるパートナーの株式(持分)を買い取る権利(先買権)を持つか、その際の買取価格の算定方法(純資産価額か、営業利益のX倍か等)を具体的に定めます。これが無いと「1億円で買い取れ」などと要求されかねません。
共同経営契約書の無料テンプレート
マネーフォワード クラウドでは、共同経営契約書に使える無料のテンプレートを提供しています。以下のリンクからダウンロードしてご活用ください。
共同設立の成功は会社形態の選択と契約書がポイント
会社を共同設立することは、夢やビジョンを共有するパートナーと力を合わせ、一人では不可能な大きな目標を達成できる素晴らしいスタート方法です。
成功のためには、まず「会社の種類(株式会社か合同会社か)」と「運営方法(合弁か共同経営か)」の2軸で、自分たちの目的に最適な形を設計することが重要です。
そして、どれほど信頼し合っていても、設立前に「共同経営契約書」を締結することが不可欠です。役割、報酬、意思決定、そして辞め方のルールを明確に定めること。それこそが、共同設立した会社を長期的に成功へ導くための重要な保険となります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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