• 作成日 : 2025年12月11日

不用品回収は儲かる?ビジネスモデルや儲からない理由、開業方法、年収・月収まで解説

不用品回収ビジネスが儲かると注目されています。しかし、その具体的なビジネスモデルや、開業後のリアルな収益について疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、いわゆる廃品回収業で利益を生む儲かる仕組みから、必要な許可、フランチャイズの活用法、法律的な危険性まで詳しく解説します。

不用品回収が儲かる仕組み・ビジネスモデルは?

不用品回収業のビジネスモデルは、主に顧客から受け取る「回収・作業料金」、回収品の再販・リサイクルによる「販売益」と、処分費・人件費・その他の経費という2つの要素で構成されています。またリユース率が重要な指標となることが多いです。

1. 回収・作業料金

顧客の自宅やオフィスから、家具や家電など処分に費用がかかるものを運び出し、適切に処理(またはリユース)する作業の対価として支払われる料金です。

料金形態は業者によって様々ですが、主に以下のような形態があります。

主な料金形態
  • トラック積み放題プラン:軽トラ1台〇〇円のように、車両の積載量に応じた定額料金。
  • 品目別料金:冷蔵庫〇〇円タンス〇〇円のように、品目ごとに料金が設定されている。
  • 基本料金+作業費:運び出しの難易度や作業時間に応じて加算される。

この回収料金から、人件費、車両費、ガソリン代、そして(リユースできない場合の)最終処分費を差し引いた金額が、まず第一の利益となります。

2. 販売益(リユース・リサイクル)

販売益とは、回収した不用品を選別し、販売して得られる利益のことです。

このビジネスモデルのポイントは、仕入れコストが極めて低い点にあります。顧客から費用を受け取りながら仕入れるケースさえあるため、販売できた際の利益は非常に大きくなります。

主な販売チャネル
  1. 国内再販(リユース)
    回収した不用品をそのまま、または清掃・修理して再販します。
  2. パーツ(部品)販売
    そのままでは売れない家電製品(例:壊れたエアコン、古いパソコン)でも、部品として再利用できるものは価値があります。
  3. 海外輸出
    国内で需要が減った製品(例:少し型落ちした家電、古いオーディオ機器、中古の食器や雑貨)でも、海外(特に東南アジアなど)で高い需要がある場合があります。
  4. 資源リサイクル
    再販が難しい金属類(鉄くず、非鉄金属)、古紙なども、専門の資源買取業者に販売することで、処分費を払うどころか収益に変えることができます。

3. 処分費・人件費・その他の経費

  • 処分費:リユースできない家具・家電・雑貨などを最終的に処分場や中間処理業者に持ち込む際に発生する費用です。リユース率が低いと、この処分費がかさみ、回収料金がいくら高くても利益を圧迫してしまいます。
  • 人件費:トラックやバンの購入費・リース料、車検・保険料、メンテナンス費用などを指します。加えて、現場を回るためのガソリン代や高速代も実質的には車両コストの一部です。回収ルートを工夫し、無駄な移動を減らすことで、1件あたりの車両費を抑えられます。
  • その他の経費:主に現場での積み込み作業や運搬、仕分け、清掃などにかかるコストです。1件あたりに何人・何時間かかるかで利益率が大きく変わるため、効率的なスケジュール管理や動線設計が欠かせません。

これらのコストをできるだけ低く抑えつつ、適正な回収料金を設定することが、不用品回収業で安定して利益を出すための基本となります。

不用品回収は儲からないと言われる理由は?

不用品回収は、誰でも簡単に儲かるわけではありません。儲からないと言われる主な理由は、以下の通りです。

1. 悪質業者のイメージ

一部の悪質な廃品回収業者が無料を謳い文句に客を集め、作業後に高額な手数料を請求したり、許可なく回収した不用品を不法投棄したりする問題が後を絶ちません。

こうした悪質業者の存在がニュースで報じられるたび、業界全体のイメージが悪化します。また、法を無視した運営は、罰則や営業停止といった経営上の重大な危険性を伴います。結果として、健全に運営している優良な業者まで敬遠され、集客が困難になったり、価格競争に巻き込まれたりして、利益を出しにくい状況が生まれることがあります。

2. 必要な許可の取得ハードル

本格的に家庭のゴミを処分目的で収集・運搬するには、一般廃棄物収集運搬業許可が必要ですが、この許可の新規取得は極めて困難です。この許可なく処分を行うと違法行為となるため、法的にクリーンに稼ぐのが難しいと感じる一因となっています。

3. 継続的にかかる高額な経費

売上を上げるためには、車両維持費、ガソリン代、人件費、広告宣伝費、そしてリユースできなかったゴミの処分費などが継続的に発生し、これらが利益(収益)を圧迫するためです。

特に、リユース率が低いと処分費がかさみ、赤字に転落するリスクが高まります。また、集客のためにWEB広告やポスティングを行えば、多額の広告宣伝費も必要です。これらの経費を管理できなければ、売上は立っているのに利益が残らない状態に陥ります。

不用品回収ビジネスを始めるのに必要な許可や資格は?

不用品回収=一般廃棄物とは限りません。リユース品を引取る際は古物商許可が必須です。無許可営業は、廃棄物処理法違反や古物営業法違反に問われ、重い罰則の対象となります。
目的に応じて、以下となる点に留意が必要です。

  • ゴミとして引き取る(処分目的) → 一般廃棄物収集運搬業(原則取得不可)
  • 事業系の廃棄物 → 産業廃棄物収集運搬業

1. 古物商許可

回収(買取)した不用品を再販売(転売)して儲けるためには、古物商許可が法的に必須です。

顧客から料金をもらって引き取るのではなく、価値あるものとして買い取る場合、たとえ1円でも対価を支払って仕入れた中古品を販売するなら、この許可が必要となります。管轄の警察署の防犯係を通じて申請し、比較的容易に取得可能です。儲かる不用品回収業者の多くは、この許可をベースにビジネスモデルを組み立てています。

参考:古物商許可申請|警視庁

2. 一般廃棄物収集運搬業許可

家庭から出るゴミ(一般廃棄物)を、リユース目的ではなく処分目的で収集・運搬するために必要な許可です。

この許可は市町村(自治体)が管轄しており、新規の許可を出していない自治体がほとんどです。一般廃棄物収集運搬業許可なしに、家庭からゴミを回収して処分料金を受け取ることは、明確な法律違反となります。

参考:廃棄物の処理に「無許可」の回収業者を利用しないでください!|環境省

3. 産業廃棄物収集運搬業許可

企業や店舗、工場など、事業活動によって生じた産業廃棄物を扱う場合に必要な許可です。

これは都道府県が管轄する許可です。家庭ゴミ(一般廃棄物)とは区別されます。オフィスの移転や店舗の閉鎖に伴う不用品回収など、法人向けのサービスを展開する場合は、この許可の取得も視野に入れる必要があります。

参考:産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等|東京都環境局

不用品回収業を開業するためのステップは?

不用品回収業を開業して儲けるためには、以下のステップを確実に行うことが重要です。

1. 事業計画と収益モデルの策定

開業の最初のステップは、どのようなサービスで、どうやって利益(収益)を出すかの事業計画を立てることです。

  • ターゲット層:個人(単身、ファミリー)、高齢者(生前整理)、法人(オフィス移転)など
  • サービス内容:不用品回収のみか、遺品整理、ハウスクリーニングなども組み合わせるか
  • 収支シミュレーション
    • 初期費用:車両購入費(中古軽トラックなど)、古物商許可取得費、駐車場代、工具代など
    • 運転資金:ガソリン代、広告宣伝費、処分費(リユース不可品)、保険料など

参考:事業計画書の作成例|起業マニュアル|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

2. 事業形態(個人事業主・法人・フランチャイズ)の選択

事業形態として、個人事業主として始めるか、法人(株式会社や合同会社など)を設立するか、あるいはフランチャイズ(FC)に加盟するかの選択があります。 それぞれにメリット・デメリットがあり、開業手続きが異なります。
なお、個人事業主で開始し集客が可能になったら事業拡大を拡大しリユース率が高まったら法人化もしくはフランチャイズ(FC)に加盟するかを検討する流れが一般によいとされています。

個人事業主

ノウハウがあり、スモールスタートしたい場合は個人事業主が向いています。

  • メリット
    • 開業費用が安い
    • ロイヤリティがなく利益率が高い
    • 経営の自由度が高い
    • 会計処理が比較的簡便
  • デメリット
    • 集客や運営ノウハウをすべて自分で構築する必要がある
    • 社会的な信用度が法人に比べて低い場合がある
    • 利益が大きくなると税率が高くなる
  • 開業手続き
    • 管轄の税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出します。
    • 節税効果の高い青色申告を選択する場合は、「青色申告承認申請書」も合わせて提出するのが一般的です。

法人設立(株式会社・合同会社など)

社会的信用を重視し、将来的な事業拡大や法人取引を見据えるなら法人設立が適しています。

  • メリット
    • 社会的信用度が高く、金融機関からの融資や法人顧客との取引で有利になる
    • 一定以上の利益が出た場合に個人事業主より節税になる可能性がある
    • 事業承継がしやすい
  • デメリット
    • 設立に費用(定款認証や登記費用など)と手間がかかる
    • 会計処理や法務手続きが複雑になる
    • 社会保険への加入が義務となる
    • 赤字でも法人住民税(均等割)が発生する
  • 開業手続き
    • まず、事業の根本規則である「定款」を作成します(株式会社の場合は公証役場での認証が必要)。
    • その後、管轄の法務局に「設立登記申請」を行い、登記が完了すると法人として成立します。
    • 設立後は、税務署や都道府県税事務所などに「法人設立届出書」を提出する必要があります。

フランチャイズ(FC)加盟

ノウハウがなく、資金を投じてでも早く事業を軌道に乗せたい場合はフランチャイズ(FC)加盟も選択肢となります。

  • メリット
    • 本部のブランド力や知名度を使って集客できる
    • 運営ノウハウや研修制度が整っている
    • 機材や車両を安く導入できる場合がある
  • デメリット
    • 加盟金やロイヤリティが発生するため利益率が下がる
    • 本部のルールに縛られ経営の自由度が低い
    • 本部の方針次第で儲からないリスクもある
  • 主な開業手続き
    • 本部との加盟契約を締結し、加盟金や保証金などを支払う手続きが中心となります。
    • ただし、事業を運営する主体として、別途個人事業主としての開業届を提出するか、法人を設立する手続きが必要です。

3. 車両の準備と古物商許可の取得

次に、車両(軽トラックやバン)を準備し、リユース販売のために古物商許可を取得します。

車両は、スモールスタートであれば最初は中古の軽トラックやハイエースのようなバンで十分です。古物商許可は、事業所の所在地を管轄する警察署に申請します。許可が下りるまで40日程度かかるため、早めに手続きを進めましょう。

※法人取引で産業廃棄物を扱う場合は、別途「産業廃棄物収集運搬業許可」の取得も必要です。

4. 集客チャネルの構築

ビジネスを認知させ、顧客からの依頼を獲得するために、オンラインとオフラインの両方で効果的な集客活動を行います。

オンライン集客
  • Webサイト・ブログ制作(SEO対策で「地域名+不用品回収」を狙う)
  • リスティング広告(Google、Yahoo!など)
  • ポータルサイト登録(くらしのマーケット、ジモティーなど)
オフライン集客
  • チラシのポスティング
  • 地域コミュニティへの営業(不動産会社、引っ越し業者、解体業者、葬儀社などと提携)

5. 回収品の選別と販売

実際の作業では、回収した品物をリユース可能品と処分品に徹底的に選別し、リユース品を販売して収益を最大化します。

  • 選別:相場観を養い、売れるものと売れないものを瞬時に判断できる能力が収益を左右します。
  • 清掃・リペア:簡単な清掃や修理(リペア)で価値が大幅に上がるものもあります。
  • 販売:フリマアプリ、オークション、業者卸(パーツ販売、海外輸出含む)など、STEP1で計画した最も高く売れる場所で販売します。

不用品回収業のリアルな年収・月収は?

不用品回収業の収入は事業形態や規模により一概に言うのは難しいですが、例えば効率的に運営し、リユース販売が軌道に乗れば、月収50万円〜100万円以上、年収1,000万円を超えることも現実的に可能です。

  • 個人事業主の場合:売上(回収料+販売益)から経費を引いた金額がそのまま事業所得(利益)となります。ただし、利益が大きくなると法人よりも税率(所得税)が高くなる可能性があります。
  • 法人設立した場合:利益は会社の売上となり、経営者は自身への役員報酬という形で給与を受け取ります。経費として計上できる範囲が広がる一方、社会保険料などの負担も発生します。
  • フランチャイズ(FC)加盟:集客のサポートはありますが、ロイヤリティを引かれた額が手取りとなります。

年収を安定させるには、継続的な集客の仕組みを構築し、いかに回収料金だけでなく販売益を積み上げるかにかかっています 。

不用品回収業を開業して収益を最大化するコツは?

不用品回収業の利益率は業態やリユース品の販売比率によって大きく変動しますが、一般的に10%〜40%程度とされます。回収料金だけに頼る処分業では利益率は低迷しがちです。価値ある不用品を見抜き、高く売るリユース業の側面を強化することで、収益は飛躍的に向上します。

1. リユース・リサイクル率を高める目利き力

ゴミとして処分する量を最小限にし、商品として販売する比率を高めることが、最も利益(儲け)に直結します。そのためには目利き力が不可欠です。

  • 目利きのスキルを磨く:相場観を養うため、常にオークションサイトやリサイクルショップの価格をチェックします。
  • 年式の新しさを確認:特に家電製品は、製造年式が新しいもの(一般的に製造から5年〜7年以内)は再販価値が非常に高くなります。これを見抜けるかが収益を左右します。
  • 売れるものを見抜く:逆に、年式が古くてもアンティークとしての価値がある家具や、オーディオ機器、特定の趣味の道具(釣り具、楽器など)を見抜く能力も重要です。

2. 販路の多様化(パーツ販売・海外輸出)

一つの販路に頼らず、国内再販、パーツ販売、海外輸出など、複数の販路を持つことで、取りこぼしをなくし収益を安定化させます。

「国内では売れないが海外輸出業者なら買い取ってくれる」「そのままでは売れないがパーツ販売なら利益が出る」というように、回収した品物の状態や特性に合わせて最適な販売ルートを選択することが、利益の最大化に繋がります。

3. 効率的な運営による経費削減

利益を確実に手元に残すため、特に変動費である「処分費」「広告宣伝費」、そして「移動コスト(燃料費)」の管理が重要です。

  • 処分費の削減:リユース率向上と直結します。
  • 広告宣伝費の最適化:どの広告からどれだけ反響があったかを常に分析し、無駄な広告費を削減します。
  • 効率的な拠点設定とルート管理:回収品を一時保管・選別する拠点を家賃の安い場所に設定し、移動時間を抑える効率的なルート組みを徹底します。

不用品回収業を開業する上でのリスクと注意点は?

不用品回収業を開業する上での最大のリスクは、法律違反による罰則です。また、顧客との料金トラブルや作業中の事故・破損にも細心の注意が必要です。これらは信用失墜や損害賠償問題に直結し、個人事業主としてのビジネスの継続を困難にします。「無料回収」は条例で禁止されるケースが多く、廃品回収車の巡回は多くの自治体で規制対象となる点に留意が必要です。

1. 無許可営業による罰則

一般廃棄物収集運搬業許可なく家庭ゴミを有料で処分したり、古物商許可なく有償で買取(仕入れ)を行ったりすると、法律違反となります。

  • 廃棄物処理法違反:無許可で一般廃棄物を収集・運搬した場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(またはその両方)という非常に重い罰則が科されます。
  • 古物営業法違反:無許可で古物の買取・販売を行った場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

知らなかったでは済まされないため、個人事業主として開業するなら法律の理解は必須です。

参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | e-Gov 法令検索古物営業法 | e-Gov 法令検索

2. 顧客との料金トラブル

「無料と言ったのに作業後に高額請求された」「見積もりになかった追加料金を請求された」といった料金トラブルが、この業界で最も多いクレームです。

悪質業者と誤解されないためにも、以下の対策が不可欠です。

  • 作業前に必ず訪問し、荷物の量を確認した上で書面(またはデータ)で見積書を提示する。
  • 追加料金が発生する可能性を事前に明確に説明する。
  • 作業内容と料金について、顧客の納得を得てから作業を開始する。

3. 作業中の事故・破損

重い家具や家電を運搬する際に、顧客の家の壁や床、階段などを傷つけてしまったり、作業員自身が怪我をしたりする危険性があります。

損害賠償保険への加入は必須です。万が一、顧客の物品や建物を破損させた場合に備え、個人事業主であっても事業用の賠償責任保険に必ず加入します。

また、作業員の安全管理を徹底し、無理な運搬を避ける、養生をしっかり行うといった基本的な安全対策を怠らないことが重要です。

不用品回収は儲かる可能性を大いに秘めたビジネス

不用品回収ビジネスは、法規制の理解と適切な戦略さえあれば、儲かる可能性を大いに秘めた事業です。

成功の鍵は、違法な廃品回収としてのゴミ処分に手を出さず、古物商としてリユース品の価値を最大化する健全なビジネスモデルを構築することにあります。

仕入れコストの低さを活かし、目利き力を磨き、パーツ販売や海外輸出といった多様な販路を開拓すること。そして効率的な運営で経費を抑えること。これらを徹底すれば、個人事業主であっても安定した収益を上げることが可能です。この記事で解説した儲かる仕組みとリスク管理を徹底し、顧客に感謝されるビジネス運営を目指しましょう。

まずは、この記事を参考に事業計画を作り、個人事業主として古物商許可の取得から着手しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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