• 更新日 : 2026年3月24日

所得税を節税するには?会社員と個人事業主ができる対策をわかりやすく解説

Point所得税の節税対策とは?

所得税の節税とは、所得控除を最大化し課税対象額を減らす、または税額控除で直接税金を引くことです。

年収103万円を超えても節税効果はあります。2025年の改正で基礎控除等が拡大され、年収123万円まで非課税枠が広がっています。

所得税の節税は、制度を正しく選んで組み合わせることで、立場を問わず実現できます。会社員なら年末調整確定申告による控除の活用、個人事業主なら経費の管理や青色申告、共済制度の利用が大きな助けとなります。

この記事では、現在の最新情報に基づき、無理なく手取りを増やすための具体的な節税方法をわかりやすく解説します。

所得税を節税する仕組みとは?

所得税の負担を軽くする仕組みは、大きく分けて課税所得を減らす方法と税額そのものを減らす方法の2つがあります。

所得税は、収入から経費や各種控除を差し引いた課税所得に税率をかけて計算します。そのため、まずは所得控除を増やして課税対象となる金額を小さくすることが基本となります。また、算出された税額から直接差し引ける税額控除は、節税効果が非常に高いため、優先的に活用しましょう。

課税所得を減らす所得控除の活用

所得控除は、個人の事情に合わせて税負担を調整する仕組みです。

2025年度からの税制改正により、基礎控除が従来の48万円から、所得に応じて最大95万円まで拡大されました。これにより、多くの納税者で課税所得がこれまでより抑えられるようになっています。

また、給与所得控除の最低額が65万円に引き上げられたほか、配偶者や扶養親族の所得基準も緩和されました。年収103万円の壁が実質的に123万円まで広がったことで、家族の働き方の選択肢も増えています。さらに、19歳から23歳未満の親族を対象とした特定親族特別控除も新設され、最大63万円の控除が可能です。

税額控除で直接的な節税を行う

税額控除は、計算された所得税から決められた金額をそのまま引けるため、非常に大きな影響があります。代表的な制度として「住宅ローン控除」と「ふるさと納税」があげられます。

住宅ローン控除では、マイホーム取得時に年末のローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から差し引けます。省エネ住宅等の条件を満たせば、2025年入居分までが対象です。ふるさと納税は、自己負担2,000円を除いた寄附額が翌年の税金から控除される制度です。返礼品を受け取りながら、実質的な納税額を調整できるため、多くの人が取り入れています。

参考:住宅ローン減税|国土交通省
参考:ふるさと納税の概要|総務省

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個人事業主が所得税を節税する方法

個人事業主は、自ら収支を管理して申告するため、会社員よりも節税の選択肢が幅広く用意されています。

個人事業主の節税対策は、日々の帳簿付けから始まります。適切な経費計上はもちろん、最大65万円の控除が受けられる青色申告の活用や、掛金が全額控除になる共済制度を組み合わせることで、将来への備えと現在の減税を同時に進められます。

必要経費を漏れなく計上する

節税の基本となるのが、事業に関連する支出を経費として正しく計上することです。家賃や光熱費のうち事業で使用している分を分ける家事按分や、打ち合わせの飲食代、仕事で使う車両の維持費などが対象になります。

ただし、プライベートな出費を混ぜることは絶対に辞めましょう。不適切な経費計上は税務調査で指摘される原因となり脱税となり、追徴課税を招く恐れがあります。あくまで事業に必要な範囲で、領収書やレシートを確実に保管しておくことが大切です。

青色申告の特典を利用する

確定申告で青色申告を選ぶと、最大65万円の特別控除を受けられるようになります。これには複式簿記での記帳と一般的には電子申告が条件となりますが、課税所得を大きく減らす効果があります。

さらに、家族に支払う給与を経費にできる「青色事業専従者給与」や、赤字を3年間繰り越せる「純損失の繰越控除」など、経営を安定させるための利点が豊富です。少し手間はかかりますが、会計ソフトなどを活用して青色申告に挑戦しましょう。

関連資料|はじめての確定申告もラクラク安心!

共済制度やiDeCoで積み立てる

小規模企業共済やiDeCoは、掛金の全額が所得控除の対象になります。小規模企業共済は月最大7万円、年間84万円まで積み立てができ、将来の退職金のような形で受け取れます。

また、経営セーフティ共済も有効です。こちらは掛金を全額経費に算入でき、年間最大240万円まで計上可能です。利益が出た年に掛金を増やすなど、柔軟な所得調整に役立ちます。ただし、加入には1年以上の事業継続が必要となる点には注意しましょう。

参考:小規模企業共済 制度の概要|中小機構
参考:経営セーフティ共済 制度の概要|中小機構

法人化による税率の差を検討する

利益が増えてきたら、法人成りを検討するのも一つの手です。

一般的に、年間の課税所得が800万円から900万円を超えると法人化のメリットが出やすいといわれています。自分に給与を支払うことで給与所得控除を適用したり、家族に所得を分散したりできるため、より高度な対策が可能になります。一方で、社会保険料の負担や事務手続きが増える側面もあるため、税理士などの専門家と相談しながら進めるのがよいでしょう。

関連資料|会社を設立するなら知っておきたい「お金」の知識がひとつでわかる! 会社設立に関わるお金コンプリートガイド

個人事業主の青色申告は開業時から選ぶ人が多数派

個人事業主の所得税を節税するうえで大きな効果を発揮する青色申告ですが、実際のところ、どのタイミングで手続きをする人が多いのでしょうか。

マネーフォワード クラウドが実施した調査で、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出したかどうかを尋ねたところ、66.0%の人が「同時に提出した」と回答しました。「白色申告にするため提出しなかった」と回答した人はわずか2.3%にとどまり、大多数の個人事業主が、開業当初から節税を意識して青色申告の手続きを行っていることがわかります。

一方で、手続きにおいてつまずきやすいポイントもあります。同調査で、開業の手続き全体を通して最もハードルが高いと感じた点を尋ねたところ、最も多いのは「青色申告などの関連書類の理解」で、21.4%でした。

青色申告は節税効果が大きい反面、仕組みを理解することに難しさを感じる人が多いようです。制度を正しく理解し、必要な手続きをもれなく行うことが、確実な所得税の節税につながります。

出典:マネーフォワード クラウド、⻘⾊申告承認申請書の提出状況、⼿続きで「⾯倒‧ハードルが⾼い」と感じた点【開業届に関する調査データ】(回答者:812名、集計期間:2026年1月実施)

会社員が所得税を節税する方法

会社員でも、年末調整や自身での確定申告を工夫することで、納めすぎた税金を取り戻せます。

会社員ができる対策の基本は、会社に任せきりにせず、自分で使える控除を見つけることです。iDeCoによる資産形成や、医療費控除、さらにはスキルアップのための特定支出控除など、知っているだけで得をする制度がいくつもあります。

年末調整と確定申告で控除を漏らさない

生命保険料控除地震保険料控除などは、年末調整の書類に正しく記入するだけで適用されます。一般生命保険、介護医療、個人年金の3枠を合わせると最大12万円の控除になるため、証明書の提出を忘れないようにしましょう。

また、年間10万円、所得によってはそれ以下を超える医療費を支払った場合は、確定申告で医療費控除を受けられます。ドラッグストアで購入した対象の医薬品代のみで集計できる「セルフメディケーション税制」も選択肢の一つです。日頃から領収書を整理しておくと、申告がスムーズになります。

iDeCoで老後の備えと減税を両立する

iDeCoは、会社員にとっても非常に心強い制度です。拠出した掛金はすべて所得控除の対象となり、所得税と住民税が安くなります。

例えば、企業年金がない会社員なら、月2.3万円まで拠出可能です。運用益も非課税になるため、普通に貯金するよりも効率的に資産を増やせます。2025年の改正で、掛金上限や加入年齢も緩和されており、より使いやすい制度となっています。長期的な視点で手取りを増やしたい場合に適した方法といえるでしょう。

NISAで投資利益を非課税にする

NISAは直接所得税を減らすものではありませんが、投資で得た利益にかかる約20%の税金がゼロになります。2024年からの新NISAでは、非課税保有期間が無期限となり、最大1,800万円まで投資が可能です。

年間360万円までの非課税枠を使い、コツコツと積み立てを行うことで、将来の大きな節税効果につながります。資産運用を検討しているなら、まずはNISAから始めるのが定石です。

参考:NISA特設ウェブサイト|金融庁

関連記事|新NISAで節税するには?個人事業主・会社員の賢い使い方を解説

特定支出控除の活用を検討する

仕事に関連する自己負担額が多い場合は、特定支出控除が使えるかもしれません。資格取得費や書籍代、職務に必要な衣服費などが、給与所得控除額の2分の1を超えた場合、その分を所得から差し引けます。

ハードルは高めですが、自費で高額な研修を受けたり、仕事用の本を大量に購入したりした年は、会社から証明書をもらって確定申告を行う価値があります。自分の支出が対象になるか、一度確認してみるのがよいでしょう。

関連記事|小規模企業共済の掛金は経費になる?仕組みや確定申告の方法を解説
関連記事|iDeCoの年末調整は必要?手続きや書類の書き方をわかりやすく解説

【実例】節税で所得税はいくら安くなる?

実際にどの程度の節税効果があるのか、一般的な会社員のケースでシミュレーションしてみましょう。

対策内容 年収500万円のケース(概算) 年収800万円のケース(概算)
iDeCo(月2.3万円) 年間 約55,200円の節税 年間 約82,800円の節税
ふるさと納税(5万円) 実質負担2,000円で返礼品 実質負担2,000円で返礼品
生命保険料控除(フル活用) 年間 約8,000円の節税 年間 約12,000円の節税

※所得税・住民税を合わせた概算です。家族構成や他の控除状況により変動します。

所得税率は累進課税のため、年収が高くなるほど節税による恩恵も大きくなります。今の自分ができる対策を一つ加えるだけで、年間数万円から十数万円の差が生まれます

節税を始める際の注意点

節税を意識するあまり、不自然な支出を増やしたり、ルールを逸脱したりしないよう注意しましょう。

  • キャッシュアウトを伴う節税
    経費を増やすために不要な備品を買うと、税金は減っても手元の現金はそれ以上に減ってしまいます。
  • 脱税との区別
    領収書の偽造やプライベートな費用の計上は違法です。正当な制度の範囲内で行いましょう。
  • 期限の遵守
    確定申告は例年2月16日から3月15日までです。期限を過ぎると延滞税などが発生する恐れがあります。

所得税の節税に関するよくある質問

節税について迷いやすいポイントをまとめました。

Q1. 副業をしている場合、所得税はどうなりますか?

副業の所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。本業の給与と合算して所得税を計算するため、適切な経費計上が節税のポイントになります。

関連記事|副業の確定申告はいくらから?20万円以下なら不要?サラリーマン・会社員必見!

Q2. 住民税も一緒に安くなりますか?

はい。iDeCoや所得控除の多くは住民税の計算にも反映されるため、所得税だけでなく翌年の住民税も軽減されます。ふるさと納税も、所得税からの還付と住民税からの控除という形で反映されます。

Q3. 節税対策はいつから始めるべきですか?

思い立ったときが最善のタイミングです。特にiDeCoや共済制度は、加入期間が長いほど効果を実感しやすくなります。まずはふるさと納税など、手続きが簡単なものから始めてみましょう。

会社員も個人事業主も制度活用で所得税の節税が実現できる

所得税の節税は、会社員・個人事業主を問わず、制度を正しく理解し適切に活用することで実現可能です。

会社員は年末調整だけに頼るのではなく、医療費控除やふるさと納税、iDeCo・NISAなどを自ら選択して確定申告を行えば、手取りを増やす余地があります。一方、個人事業主は経費計上や青色申告、小規模企業共済などの制度を通じて、所得を圧縮しながら節税を進めることができます。

どちらの立場でも、日々の記録と制度の正しい理解が欠かせません。将来の資金計画と連動させ、無理なく実践できる節税対策を継続的に見直していくことが、長期的な資産形成にもつながります。


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