• 更新日 : 2026年7月15日

飲食業の開業資金を抑えるコツは?自己資金の目安や助成金・融資について解説

Point飲食業の開業資金はいくら?

飲食業の開業資金は1,000万円前後が目安で、自己資金2~3割、融資7割程度で調達するのが一般的です。

  • 開業費用は平均975万円
  • 自己資金は2~3割が目安
  • 居抜き物件で費用を抑制可能

Q. 自己資金はどのくらい必要?

A. 開業資金の2~3割(約200~300万円)を目安に準備しましょう。

飲食店の開業資金には物件取得費や内装工事費、広告費、厨房機器費などが必要です。この記事では飲食店の開業に必要な自己資金の目安および、開業資金を抑えるポイント、役立つ補助金や助成金、融資の借り方を解説します。

飲食店の開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

飲食業の開業資金に必要な主な費用は?

飲食店を開業するには、物件取得費や内装工事費、厨房設備費などの初期費用に加え、開業後の家賃・人件費・食材費を支払うための運転資金も必要です。開業直後から売上が安定するとは限らないため、初期費用と運転資金を分けて資金計画を立てましょう。

飲食店の開業費用は1,000万円前後を一つの目安にする

飲食店の開業資金は、店舗の広さ、立地、業態、居抜き物件かスケルトン物件かによって大きく変わります。日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」によると、新規開業企業全体の開業費用は平均値975万円、中央値600万円です。これは飲食業だけの数値ではありませんが、飲食店は内装工事や厨房機器、空調設備、給排水設備などの設備投資が必要になりやすいため、少なくとも数百万円から1,000万円前後を目安に資金計画を立てる必要があります。

飲食店の開業時に発生しやすい主な初期費用は、以下のとおりです。

  • 物件取得費
  • 内装工事費
  • 厨房機器費
  • 空調・給排水
  • 電気設備費・食器、調理器具、ユニフォームなどの備品費
  • 看板、Webサイト、チラシ、SNS広告などの広告宣伝費
  • 営業許可申請や各種手続きにかかる費用

なかでも物件取得費は大きな負担になりやすい項目です。保証金、礼金、仲介手数料、前家賃などが必要になり、物件によっては家賃の数か月分から1年分近い資金が必要になる場合もあります。ただし、保証金の水準は地域や物件条件によって異なるため、「家賃10か月分」と一律に考えるのではなく、候補物件ごとに契約条件を確認することが大切です。

参考:2025年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫総合研究所

開業後の運転資金も数か月分用意しておく

飲食店では、開業してすぐに十分な利益を確保できるとは限りません。認知度が低い開業直後は集客が安定せず、売上が予想を下回ることもあります。

家賃、光熱費、人件費、食材費、広告費、借入返済などの支払いは毎月発生します。開業資金とは別に、少なくとも数か月分の運転資金を用意しておくことが重要です。

運転資金として見込んでおきたい主な費用は、以下のとおりです。

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金・運転資金が融資対象とされています。飲食店営業は生活衛生関係営業にも該当するため、設備資金については生活衛生貸付の活用も検討できます。自己資金だけで不足する場合は、開業費用だけでなく、開業後の資金繰りまで含めて融資や制度資金の利用を検討しましょう。

参考:新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。無料登録だけでもらえますので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

起業アイデアを磨く!自己分析3点セット

起業アイデアを磨く!自己分析3点セット

「やりたいことはあるけれど、ビジネスとして成立するか不安」という方へ。

自分の強み・価値観・市場ニーズを掛け合わせ、唯一無二のアイデアに昇華させる自己分析メソッドを3つのシートにまとめました。

無料でダウンロード

経営スキル習得の12か月ロードマップ

「経営を学びたいが、何から手をつければいいか分からない」と悩んでいませんか?

本資料では、財務・マーケティング・組織作りなど多岐にわたる経営スキルを、12か月のステップに凝縮して体系化しました。

無料でダウンロード

副業アイデア辞典100選

副業アイデア辞典100選

「副業を始めたいけれど、自分に何ができるか分からない」そんなあなたにぴったりの厳選100アイデアを公開!

スキルを活かす仕事から未経験OKなものまで、市場の需要や収益性を網羅しました。パラパラと眺めるだけで、あなたのライフスタイルに最適な働き方が見つかるはずです。

無料でダウンロード

1から簡単に分かる!起業ロードマップ

1から簡単に分かる!起業ロードマップ

起業に興味はあるけれど、複雑な手続きや準備を前に足踏みしていませんか?

準備から設立までの流れを分かりやすく図解しました。全体像をひと目で把握できるため、次に何をすべきかが明確になります。

無料でダウンロード

飲食業の開業資金を抑えるためのポイントは?

手元の資金が少ない方や、開業後の運転資金にできるだけ備えたい方は、開業資金を抑えるポイントを知っておくと安心です。ここでは、開業資金を抑える6つのポイントを解説します。出費を抑える方法を確認し、無理のない開業を目指しましょう。

キッチンカーなどから始める

物件取得費や家賃を抑えるのであれば、キッチンカーから始めるのも1つの方法です。キッチンカーであれば物件の賃貸や内装工事、備品にかかる費用を抑えられます。

キッチンカーでの開業は車両費や車両改造費がかかるものの、一般的に店舗を構えるよりは安いと考えられます。また駐車場代は必要ですが、家賃よりは安く抑えられるでしょう。

加えてキッチンカーで働ける人数は、1人もしくは2人程度です。そのため、運転資金となる人件費の削減も目指せます。

「居抜き」物件などを探す

飲食店を開業するための初期費用のうち、物件取得費と並んで多くを占めるのが内装工事費です。内装工事費を抑えるには、居抜き物件の活用も選択肢です。

居抜き物件であればもともとの内装を再利用できるため、工事費の軽減につながります。イスやテーブル、食器といった備品も中古品やアウトレット品を利用すれば、さらに初期費用を抑えられるでしょう。

DIYで内装工事を節約する

費用をかけずに好みのデザインの店舗づくりを目指すのであれば、DIYによる内装工事も選択肢です。内装のなかでも壁や床、照明器具の交換といったリフォームは、DIYでも対応しやすいため、チャレンジしてみましょう。ただし、DIYでの工事は業者に依頼するよりも日数がかかるケースが多いため、計画的に進めることが肝心です。

なお電気や水道、ガスといった配管工事は資格をもつ専門家に依頼してください。柱や梁、階段、窓や玄関は建物の構造に関わる重要な部分なので、手を加えないようにしましょう。

テイクアウト専門店として開業する

開業資金および運転資金の両方を抑えるには、テイクアウト専門店も選択肢となります。テイクアウト専門店であれば、ダイニングフロアが不要なため狭い店舗でも営業が可能で、家賃を抑えられます。

テイクアウト専門店であればイスやテーブル、食器などの備品費がかかりません。また、フロアスタッフといった人件費も削減できるでしょう。

集客や広告を自分でする

集客や広告も、開業費の軽減を目指せるポイントです。ホームページやWeb広告を活用すれば、費用を抑えた集客を目指せます。

中でもSNSは無料で利用できるものが多く、費用をかけずに情報発信が可能です。オープンの日や営業時間、定休日、メニュー、料理や店内の写真の掲載、キャンペーンのお知らせなどにぜひ積極的にSNSを活用しましょう。

国や自治体の助成金を活用する

適用対象の補助金や助成金がある場合は、開業資金の一部として積極的に活用したいところです。補助金や助成金は国や自治体が事業者に対して給付するお金です。

補助金や助成金は、申請を行って審査に通った事業者へ支払われます。そのため、資金の受け取りまでは時間がかかることは覚えておきましょう。具体的な補助金や助成金については、後述します。

飲食業の開業時に必要な自己資金の目安は?

飲食店の開業資金は、融資や補助金だけでなく、自己資金も組み合わせて準備することが重要です。日本政策金融公庫の創業融資では、制度上の自己資金要件は見直されていますが、自己資金は事業準備の本気度や返済余力を示す材料になります。

用意するべき自己資金は開業資金の2〜3割程度を目安にする

日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」によると、新規開業企業全体の資金調達額は平均1,219万円で、そのうち自己資金は平均279万円です。割合にすると約22.9%であり、開業資金のおよそ2割強を自己資金でまかなっている計算になります。

なお、この調査は日本政策金融公庫国民生活事業が融資した新規開業企業全体を対象としたもので、飲食業だけの数値ではありません。飲食店は内装工事費や厨房設備費、物件取得費が大きくなりやすいため、実際には資金計画に余裕を持つことが大切です。

以前は、日本政策金融公庫の創業融資で自己資金要件が意識される場面がありましたが、2026年6月時点では「新規開業・スタートアップ支援資金」において、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象とされています。制度上、自己資金が一定割合必要と明記されているわけではありません。

ただし、自己資金が少ない場合は、事業計画の実現性、経営者の経験、売上見込み、返済計画をより具体的に説明する必要があります。

自分名義の預貯金は自己資金として説明しやすい

自己資金として最も説明しやすいのは、自分名義の預貯金です。給与や事業収入などから計画的に貯めた履歴が通帳で確認できれば、開業準備を継続してきた根拠になります。出どころが不明なお金や、直前にまとめて入金された資金は、自己資金としての説明が難しくなる場合があります。融資を申し込む予定がある場合は、早い段階から通帳に入出金の記録を残しておきましょう。

退職金や返済義務のない贈与も自己資金に含められる場合がある

会社を退職して飲食店を開業する場合、受け取った退職金も自己資金として説明できます。融資審査では、退職金の源泉徴収票や支払通知書など、金額と入金時期が分かる資料を用意しておくとよいでしょう。また、親族などから返済義務のない贈与を受けた場合も、自己資金として扱える場合があります。

借入なのか贈与なのかが不明確だと、返済負担のある資金と見なされる可能性があります。贈与契約書や入金記録など、資金の性質を説明できる資料を残しておくことが重要です。

すでに支払った開業準備費用は「みなし自己資金」として説明できる

開業のためにすでに支払った費用は、みなし自己資金として説明できる場合があります。たとえば、店舗を借りるための保証金や敷金、厨房機器、内装工事費、商材、フランチャイズ加盟金、会社設立費用などです。これらは、実際に事業準備へ投じた資金であり、開業への具体的な行動を示す材料になります。

ただし、支払いの事実を証明できなければ自己資金として説明しにくくなります。領収書請求書、振込明細、契約書などは必ず保管しておきましょう。

飲食業の開業に役立つ助成金・補助金は?

飲食業の開業では、内装費や厨房設備費そのものを直接補助する制度だけでなく、レジ・予約管理システム・省力化設備・新業態展開に使える補助金も確認しておきましょう。ただし、補助金は原則として後払いであり、採択前に契約・購入した費用は対象外になる場合があるため注意が必要です。

【デジタル化・AI導入補助金2026】レジや予約管理システムの導入

飲食店でPOSレジ、会計ソフト、予約管理、在庫管理、インボイス対応システムなどを導入する場合は、デジタル化・AI導入補助金2026を検討できます。中小企業庁の公募情報では、通常枠やインボイス枠など、複数の枠が設けられているので、自社に合うタイプを検討しましょう。

参考:デジタル化・AI導入補助金 公募要領|中小企業庁

【中小企業省力化投資補助金】券売機や配膳ロボットなどの導入

人手不足対策として、券売機、自動精算機、配膳ロボット、清掃ロボットなどの省力化設備を導入する場合は、中小企業省力化投資補助金が候補になります。カタログ注文型は随時受付中とされており、飲食店でも省人化や業務効率化を目的に活用しやすい制度です。

参考:中小企業省力化投資補助金

【新事業進出補助金】新業態や新サービスに挑戦する場合

既存の飲食事業者が、これまでの店舗営業とは異なる新しい事業に取り組む場合は、新事業進出補助金も選択肢になります。たとえば、店内飲食中心の店舗が冷凍食品の製造・販売、EC販売、テイクアウト専門業態、セントラルキッチン、法人向け弁当配送などに進出するケースが考えられます。

単なる設備更新や、既存メニューの小幅な追加では対象になりにくいため、「どの市場に新しく進出するのか」「既存事業と何が異なるのか」「売上や付加価値をどう高めるのか」を事業計画で具体的に示す必要があります。

参考:新事業進出補助金|経済産業省

【小規模事業者持続化補助金】販路開拓や集客力向上に取り組む際に活用できる補助金

小規模事業者持続化補助金は、個人経営や少人数で運営する飲食店が、販路開拓や集客力向上に取り組む際に活用できる補助金です。店舗の改装や看板設置、チラシ・パンフレットの作成、ホームページ制作、Web広告などの費用が対象となります。飲食業では常時使用する従業員が5名以下の事業者が対象で、通常枠は上限50万円、補助率は原則2/3です。特別枠やインボイス特例を活用すれば補助上限額が引き上げられる場合もあり、開業後の集客施策を進める際に活用しやすい制度といえるでしょう。参考:中小企業庁|小規模事業者持続化補助金

飲食業の開業時に融資を受けるには?

飲食店の開業資金は、自己資金だけでまかなうのが難しいケースも多く、金融機関などからの借入を組み合わせて準備するのが一般的です。

前述のとおり、日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」によると、新規開業企業全体の開業時の資金調達額は平均1,219万円です。そのうち「金融機関等からの借り入れ」は平均827万円で、平均調達額に占める割合は67.9%とされています。

飲食業の開業時に利用を検討しやすい借入方法には、主に「民間金融機関のローン」「日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金」「自治体の制度融資」があります。それぞれ条件や審査の考え方が異なるため、資金使途や返済期間に合わせて選ぶことが重要です。

項目 民間金融機関のローン 日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金 制度融資
概要 銀行や信用金庫などから借り入れる方法。創業直後は事業実績が少ないため、審査では自己資金や事業計画の具体性が重視される 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方向けの融資制度 地方自治体、金融機関、信用保証協会が連携して行う融資制度
資金使途 設備資金・運転資金など。商品内容は金融機関による 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要な設備資金・運転資金 自治体の制度により異なる
借入上限 金融機関や商品による 7,200万円 自治体の制度により異なる
返済期間 金融機関や商品による 設備資金20年以内、運転資金10年以内 自治体の制度により異なる
特徴 取引実績がある金融機関では相談しやすい一方、創業直後は審査が厳しくなる場合がある 創業者向けに利用しやすく、設備資金と運転資金の両方に対応している 信用保証料や利子補給など、自治体による補助を受けられる場合がある

飲食業の開業時の融資を成功させるポイントは?

飲食店の開業に必要な融資を成功させるには、返済能力を明確にアピールすることが重要です。ここでは融資を成功に導く事業計画書の作成方法とテンプレートを解説します。

事業計画書を入念に作成する

融資を申し込むにあたっては、お店のコンセプトやビジネスの具体的なプランを記載した事業計画書を作成し、新事業がビジネスとして期待できることを伝えることが重要です。事業計画書に記載すべき主な内容は、以下のとおりです。

  • 新規ビジネスの具体的なプラン
  • 創業の動機
  • 収支計画
  • 人員計画など

事業計画書を作成する際には、ビジネスの計画性と将来性が伝わる内容を意識してください。

飲食店の事業計画書のテンプレート一覧

魅力的で不備のない事業計画書を作成するには、テンプレートを活用するのも1つの方法です。飲食店開業に向けた事業計画書の詳細およびテンプレートを確認したい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。

開業に必要な費用や資金調達方法を確認し、スムーズな飲食店開業を目指そう

飲食店の開業に必要な資金額は、一般的に1,000万円程度といわれます。そのうちおよそ20~30%程度を自己資金、65%程度を融資で賄っている方が多いようです。そのほか補助金や助成金も、開業に必要な資金の調達方法の1つです。

融資には金融機関からの融資のほか、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金、制度融資などがあります。借入限度額や金利、借入までの日数などを確認し、自分のお店に合ったものを選びましょう。

融資を受けるには、返済能力をアピールできる事業計画書を作成することが重要です。融資の利用を検討している方は、テンプレートなどを活用し不備のない魅力的な事業計画書の作成を目指してください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

開業資金の関連記事

飲食店経営の関連記事

新着記事