- 更新日 : 2024年8月30日
契約書の日付は西暦と和暦のどちらで表記するべきか?
日付を記載する時に「西暦か、和暦か」で悩んだことはないでしょうか。どちらも日常的によく使われていますし、西暦での記載を求められることもあれば、和暦での記載を求められることもあります。では、契約書の日付はどちらを記載するべきなのでしょうか。
この記事では、契約書の日付としてどちらを記載すべきか、併記は可能かといったことについて解説します。
目次
契約書には西暦と和暦のどちらを記載すべきか
契約書は、契約の成立やその内容を裏付けるための証拠として機能する文書です。日付は「いつ契約書が作成されたのか」「いつ契約が締結されたのか」といったことを示す重要な情報といえます。
契約年月日は正しく記載しなければなりませんが、ここで問題になるのが「西暦と和暦のどちらを記載すべきか」です。
西暦と和暦どちらでもよい
結論からいうと、西暦と和暦のどちらを記載しても構いません。
「2022年1月1日」でも「令和4年1月1日」でも、同じ日付を表せるからです。
 その観点では他の表記方法でも構わないということになりますが、特段の事情がなければ、日本で一般的に知られており、使われている西暦または和暦にしておいたほうがよいでしょう。
どちらを選んでも、契約書の効力は変わりません。また、どちらかを選んだからといって、それが理由で契約が無効になることもありません。
公文書は和暦で表記されていることが多い
企業間で交わされる契約書では日付の表記方法にこだわる必要はありませんが、公文書は和暦で表記されるケースが多いです。法令も、基本的に和暦が記載されています。
しかし、「公的文書は日付を和暦で記載しなければならない」といったルールが厳格に定められているわけではありません。そのため、必要に応じて西暦が用いられることもあり、場合によっては併記されることもあります。
契約書での西暦・和暦は統一するべき
日付の表記方法は基本的に自由ですが、同じ契約書内では統一したほうがよいでしょう。表記が統一されていたほうが読みやすく、混乱を招きにくいからです。
「2022年」と記載したり「令和4年」と記載したりすると、後述する西暦・和暦の変換がすぐにできない方は、同じ年であることがわかりません。
ただし、法律で表記の統一が義務付けられているわけではないため、必要に応じて使い分けることもできます。「令和」と記載することに特別な意味がある場合は、無理に西暦に変換をする必要はありません。
和暦と西暦、2種類の書き方があるのはなぜか
なぜ和暦と西暦、2種類の書き方があるのでしょうか。それぞれの由来を知っておくと、使い分けやすいかもしれません。
和暦の起源は、西暦645年に行われた大化の改新とされています。中国の唐の影響を受けて「大化」という年号が制定されたと言われており、そこから現代の昭和や平成、そして令和まで続いています。和暦は日本独自の表記方法なので、公的文書などで多く採用されているのです。
一方、西暦はキリストの誕生年を基準にしており、起源は海外です。起源は和暦のそれよりも昔ですが、日本に入ってきたのは数百年前です。公文書などで使われることは少ないものの、近代にかけて海外の文化が多く流入したこともあって、現代では西暦も定着しています。
外国企業との取引やグローバル展開している企業では、日付は西暦で表記したほうが混乱は少ないでしょう。表記を統一するだけでなく、読み手を意識してわかりやすい文書となるように配慮しましょう。
改元前に結んだ契約書は修正が必要か
契約書に関しては「20○○年」と記載しても「令和○年」と記載しても構いませんが、和暦を用いた場合は改元の前後で表記方法が変わることになります。
例えば、日付に「平成」と記載して作成した契約書に基づいて、令和になった後も取引関係を続けているケースは多いでしょう。年号の変更があったとしても、基本的に修正する必要はありません。改元があったからといって、契約の効力がなくなることもありません。
契約の期限などについて「平成35年」と記載されていたとしても、「令和5年」と解釈されます。
西暦と和暦の変換方法
西暦と和暦の両方が定着していると契約書だけでなく、日常的にも困ることがあります。
「令和〇年は西暦何年?」「20○○年は令和何年?」といった、西暦と和暦の変換の問題です。
和暦での表記を求められた時や、和暦で表記されているものを見た時は、以下のような変換方法を覚えておくと便利です。
- 西暦を和暦(令和)に変換する場合:下2桁から18を引く
- 和暦(令和)を西暦に変換する場合:18を足す
例えば、2022年なら「22」から18を引いて、令和4年と変換できます。
 令和2年なら「2」に18を足して、2020年と変換します。
平成を令和に変換したい場合は、「30」を引きます。これを覚えておけば、「平成35年」が「令和5年」であると即座にわかります。逆に、「令和5年」であれば「30」を足せば「平成35年」にあたる年であることがわかります。
和暦と西暦を相互に変換したい場合は、以下のWebサービスを使うのもよいでしょう。
 参照:目録所在情報サービス|国立情報学研究所
契約書の日付表記は西暦と和暦のどちらでもよい
契約書の日付表記に関しては、基本的には「20○○年」「令和〇年」のどちらでも問題ありません。重要なのは、記載されている内容から年月日が特定できるかどうかです。
 ただし、混乱を防ぐためにも、必ず西暦か和暦のどちらかに統一しましょう。
日付を和暦で記載した契約書に関しては、改元があっても修正をする必要はありません。
 平成と令和の変換方法、また和暦と西暦の変換方法を知っておくと、どちらの表記を見ても戸惑わずに済むため、覚えておくことをおすすめします。
マネーフォワード クラウド契約では弁護士監修の契約書テンプレートを用意しています。無料で利用可能ですので、以下のページからダウンロードしてご利用ください。
よくある質問
契約書の日付は西暦と和暦のどちらで表記するべきですか?
どちらでも構いませんが、同じ契約書では統一しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
改元前に作成した契約書は修正するべき?
契約書の効力に影響しないため、修正する必要はありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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