- 更新日 : 2026年3月24日
重要事項説明書の記載事項とは?確認用チェックリストと保管方法を解説
重要事項説明書の記載事項は、物件情報と取引条件を網羅する法定項目です。
- 物件の表示・権利関係
- 法令制限・設備状況
- 契約条件・金銭事項
賃貸では定期借家の有無や敷金精算条件などが必須となり、売買特有の手付金保全やローン斡旋事項は不要です。
重要事項説明書とは、一般的に宅建業者が介在する不動産取引において作成される、契約上の重要事項が取りまとめられた文書のことです。不動産の売買や賃貸借などの契約前に交付され、内容について説明を受けるものですが、それでも見方に戸惑うこともあるでしょう。
そんな方に向けて、各記載事項の説明、チェックしておきたいポイントなどをまとめました。
目次
重要事項説明書とは?
不動産の売買や賃貸借契約を締結する際には、「重要事項説明書」が交付・説明されます。これは、契約内容や物件に関する重要な情報を事前に確認し、トラブルを防止するための法定書面です。宅地建物取引業法に基づき、契約締結前の説明が義務付けられています。
重要事項説明書は、契約前に物件や取引条件を説明する法定書面
重要事項説明書は、宅地建物取引業者が作成し、宅地建物取引士が契約前に説明しなければならない書面です。物件の所在地や面積、権利関係、法令上の制限、設備状況、契約条件、解約や違約金の内容などが記載されます。これにより、借主や買主が契約内容を正しく理解したうえで判断できるようにしています。
宅地建物取引士による説明が義務付けられている
重要事項の説明は、宅地建物取引士が宅地建物取引士証を提示したうえで行う必要があります。書面を渡すだけでは足りず、口頭での説明が義務付けられています。説明を受けた後に契約を締結することで、情報の非対称性を解消し、消費者保護を図る仕組みとなっています。
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重要事項説明書と契約書の違いは?
不動産取引では、契約前に交付される「重要事項説明書」と、契約時に取り交わす「契約書」があります。どちらも大切な書類ですが、役割と法的意味は異なります。
重要事項説明書は「契約前に説明するための書面」
重要事項説明書は、契約を締結するかどうか判断するために必要な情報を事前に説明する書面です。前述のとおり、宅地建物取引業法に基づき、宅地建物取引士が契約前に説明することが義務づけられています。物件の権利関係や法令制限、設備状況、解約条件などが記載され、あくまで「判断材料を提供すること」が目的です。
契約書は「当事者の合意を成立させる書面」
契約は当事者の申込みと承諾で成立し、契約書は合意した内容を明文化して証拠化するための書面です。賃料、契約期間、更新条件、違約金など具体的な権利義務が確定します。
つまり、重要事項説明書が“説明のための書面”であるのに対し、契約書は“合意を確定させる書面”という点が最大の違いです。
重要事項説明書の記載事項は?
重要事項説明書に記載する情報は、大きく3つに分けることができます。
- 取引する宅地・建物に関する事項
- 取引条件に関する事項
- その他の重要事項
それぞれの記載事項に該当する重要な情報について以下で説明していきます。
取引する宅地・建物に関する事項
まずは取引する宅地や建物そのものに関する情報について紹介します。
| 取引の対象となる物件に直接関係する事項 | |
|---|---|
| 不動産の表示 | 土地の場合、所在や地番、地目、地積、土地の売買対象面積(登記簿面積によるのか、実測面積によるのか、についても)、そして権利の種類(所有権、借地権など)が記される。 |
| 建物の場合、所在や家屋番号、種類、構造、床面積(登記簿上のものか、現況か、についても)、そして建築時期なども記される。 | |
| 売主の表示 | 売主の氏名および住所。また、これらの情報が登記簿記載と同じなのか、異なるのか。 売買契約締結時において第三者による占有があるのかどうかについても記載。 |
| 法令に基づく制限 | 不動産についてはその建築や利用に関して制限をかける法律も多数あり、都市計画法に基づき「市街化調整区域」と定められていたり、建築基準法に基づき建築できる建物の種類が制限されていたり、その他都市計画法や土地区画整理法に基づいて制限がかかっているケースもある。 |
| 私道に関する負担 | 前面の道路が私道である時、使用制限について確認すべき。 |
| ライフライン設備の状況 | 飲用水、電気、ガス、排水に関する設備の状況、今後の整備予定やその時の負担金が記載される。 |
| 宅地造成・建物建築の工事完了時における形状・構造等 | 物件が未完成または新規物件の時に記載される。 |
| 建物状況調査の結果の概要 | 「建物状況調査」が行われた時に記載される。 |
| 書類の保存状況 | 建物の建築、維持保全の状況などに関する各種書類について、保存の有無が記載される。 |
| 建築確認済証等について | 建築確認済証の発行年月日や番号が記載される。 |
| 住宅性能評価について | 住宅性能評価を受けた新築住宅に該当する場合に記載される。 |
| 災害等に係る情報 | アスベストの使用の有無や、当該宅地建物が造成宅地防災区域内・土砂災害警戒区域内・津波災害警戒区域内かどうか。また、水害ハザードマップにおける当該宅地建物の所在地について記載される。 |
また、マンション(区分所有建物)の場合であれば、共有部分の範囲や使用方法、専有部分の用途、修繕積立金や管理費に関する規定の定めなども記載されます。
取引条件に関する事項
次に、物件自体ではなく、当該物件に係る取引についての記載事項を紹介します。
| 取引条件に関する事項 | |
|---|---|
| 売買代金等以外の金銭について | 売買代金以外にかかる金銭には、固定資産税や都市計画税の精算金、マンション管理費、修繕積立金の精算金、手付金などがある。 ※第三者へ支払う仲介手数料や登記費用などは記載されない。 |
| 契約の解除について | 契約を締結したあとでも解除ができる条件について記載される。 |
| 損害賠償額の違約金等について | 契約違反等を理由に損害を被った場合の賠償額について記される。 |
| 預り金等の保全措置について | 宅建業者が受領する金銭について、保全措置を講じるかどうかについて記載。講じる場合は保全措置を講じる機関などを記す。 |
| 契約不適合責任について | 契約不適合責任の履行に関して、保険契約など何かしらの措置を講じるかどうかが記載。 また、借地権付建物や定期借地権付建物については契約不適合による修補請求についても記載される。 |
| 割賦販売について | 割賦販売の有無が記載される。 |
その他の重要事項
基本的には物件の情報や取引に関する情報が重要事項説明書に取りまとめられます。
ほかにも相手方に伝えるべき重要事項がある時は、トラブル防止の観点から記載がなされることもあります。例えば、宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインであったり、近隣の建築計画のことであったり、ほかにも隣地との紛争のことや町内会での取り決めなど、重要と考えられる事項も別途記載されます。
重要事項説明書の売買・賃借の記載事項の違いは?
うえに示した内容は不動産の“売買”を行う場合の重要事項説明書についてです。“賃貸”を行う場合でも多くの項目は共通していますが、相違点もあります。
例えば、建物の「住宅性能評価」に関しては建物の売買だと記載事項とされていますが、建物の賃貸であれば必須ではありません。その他にも土地や建物の賃貸において記載が不要とされる事項に以下のものが挙げられます。
- 手付金等の保全措置の概要
- ローンの斡旋に関する事項
- 契約不適合責任の履行に関する事項
- 割賦販売に係る事項
一方で、賃貸の場合に記載が必要となる事項もあります。
- 宅地の賃貸では記載が必要な事項
- 定期借地権について
- 契約終了時の建物の取り壊しについて
- 建物の賃貸では記載が必要な事項
- 台所や浴室、便所等の整備状況について
- 定期建物賃貸借である場合はその旨
また、「契約期間や契約更新」に関する事項や、敷金など契約終了時の金銭のことなども賃貸を行う時の重要事項説明書に記載されることとなります。
重要事項説明書の記載事項チェックリスト
重要事項説明書は、契約締結前に物件や取引条件を正確に把握するための法定書面です。記載内容に不備があると、後のトラブルや想定外の負担につながる可能性があります。以下のチェックリストをもとに、説明内容を確認しましょう。
【物件の基本情報】
- 物件の所在地・住居表示は正確か
- 土地・建物の面積は明記されているか
- 構造(RC造・木造など)・階数は記載されているか
- 登記簿上の権利関係(所有権・抵当権など)は明示されているか
【法令上の制限】
- 用途地域や建築制限の有無が記載されているか
- 都市計画道路や再開発予定の有無が示されているか
- 防火地域・景観条例などの制限は説明されているか
【設備・インフラ】
- 水道・電気・ガス・下水の整備状況は明確か
- 共用部分や付属施設の利用条件は記載されているか
- 修繕履歴や設備の不具合情報は開示されているか
【契約条件】
- 契約期間(普通借家・定期借家の別)は明示されているか
- 賃料・共益費・敷金・礼金の額は明確か
- 更新料・解約予告期間・違約金の条件は記載されているか
- 原状回復や敷金精算のルールは具体的か
【その他の重要事項】
- 管理会社の名称・連絡先は記載されているか
- 特約事項が別途明示されているか
- 宅地建物取引士が記名・押印し、宅地建物取引士証を提示しているか
重要事項説明書が不要なケースは?
重要事項説明書は、不動産取引において原則として交付・説明が義務づけられている書面です。ただし、すべての賃貸借や売買で必ず必要というわけではありません。宅地建物取引業法の適用対象外となる取引では、重要事項説明が不要となる場合があります。
宅地建物取引業者が関与しない当事者間取引
重要事項説明書の作成・説明義務は、宅地建物取引業者に課されるものです。そのため、貸主と借主が直接契約を締結する場合など、宅建業者が仲介や代理を行わない取引では、法的な重要事項説明義務は発生しません。ただし、説明義務がないからといって契約条件の確認が不要になるわけではなく、トラブル防止のためには十分な情報共有が望まれます。
不動産取引に該当しない契約
重要事項説明書は、土地や建物の売買・賃貸借といった不動産取引に限定して適用されます。動産の賃貸や駐車場のみの契約(建物が伴わない青空駐車場など)については、宅地建物取引業法の対象外となる場合があります。このような場合には、法定の重要事項説明書は不要です。
自ら所有物件を貸す場合
宅地建物取引業者であっても、自ら所有する物件を貸主として賃貸する「自己物件取引」の場合には、重要事項説明義務は原則として課されません。ただし、実務上はトラブル防止のために重要事項に準じた説明が行われることもあります。
重要事項説明書の保管のポイントは?
重要事項説明書はトラブル発生時の証拠資料にもなるため、適切な方法で保管する必要があります。近年は電子化も進んでおり、紙・電子それぞれに応じた管理体制の整備が求められています。
【紙の重要事項説明書】契約書とあわせて長期保管する
重要事項説明書は契約締結前に交付されますが、契約書と密接に関連する書類です。そのため、契約期間中はもちろん、契約終了後も一定期間は保管しておくことが望まれます。保管場所は施錠可能なキャビネットなどとし、紛失や改ざんを防ぐ体制を整えます。更新や解約時のトラブルに備え、契約書と一体で管理することがポイントです。
【電子保管する場合】真正性・見読性・保存性を確保する
オンラインでの重要事項説明(IT重説)が行われた場合、電磁的記録での保管が可能です。この場合、データが改ざんされていないこと(真正性)、いつでも内容を確認できること(見読性)、長期保存できること(保存性)を確保する必要があります。アクセス制限やバックアップ体制を整え、保存期間中にデータを確実に管理できる仕組みを構築することが重要です。
重要事項説明書を含む契約関連書類の保管における課題
重要事項説明書はトラブル発生時の証拠資料となるため、契約書とあわせて適切な方法で長期保管することが求められます。しかし、実務の現場ではこうした書類の管理に課題を抱えるケースが少なくありません。
株式会社マネーフォワードでは、契約書の管理や保存に関する業務経験者を対象に、契約書に関する調査を実施しました。契約書の管理や保存を行う中での課題や負担を尋ねたところ、最も多いのは過去の契約書を探し出すのに時間がかかることで、34.4%でした。次いでスキャンや台帳入力などの事務作業の工数が多いことが28.6%、電子帳簿保存法などの法令対応が不十分、または不安があることが24.5%と続いています。
いざという時にすぐ確認できる保管体制を
不動産取引において、後から解約条件や特約などの重要事項を確認したい場面が生じた際、書類の検索に時間がかかると対応が遅れてしまう可能性があります。調査データからも検索性の悪さが大きな負担となっていることが読み取れるため、重要事項説明書や契約書は、紙のキャビネット保管だけでなく電子データとしてクラウド上で管理するなど、必要な時にすぐ探し出せる体制を日頃から整えておくことが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、調査③ 契約書の管理・保存における課題・負担(Q4)【契約書の種類・書き方に関する調査データ】(回答者:契約書の管理業務経験者416名、集計期間:2026年2月実施)
契約前に重要事項説明書の内容はよくチェックしておこう
重要事項説明書には多岐にわたる情報がまとめられています。情報量が多く、また専門的な内容でもあるため、すべてを確認していくのは大変な作業になるかもしれません。
それでも、取引金額の大きな不動産取引は安易に交わすべきではありません。特に重要と思われる事項がここに記載されていますので、当記事で解説した内容も参考にしながらチェックを進めていきましょう。
わからない点がある時はどんどん宅建業者に質問すべきです。宅建業者には説明義務がありますので、不安要素がなくなるまで確認していくことをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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