- 作成日 : 2025年12月9日
営業管理システム(SFA)とは?CRMとの違いや基本機能をわかりやすく解説
営業活動の成果を最大化するために、「営業管理システム(SFA)」の導入を検討していませんか?SFAは、営業担当者の日々の活動を効率化し、組織全体の営業力を底上げする強力なツールです。しかし、「CRMと何が違うの?」「どんな機能があるの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、営業管理システム(SFA)の基本的な役割や機能、CRMとの明確な違い、そして導入するメリットについて、初心者にもわかりやすく解説します。
目次
営業管理システム(SFA)とは
営業管理システム、通称「SFA」とは、「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の頭文字を取った言葉で、日本語では「営業支援システム」と訳されます。その名の通り、営業部門における一連の業務プロセスを自動化・効率化し、営業活動全体の質を高めることを目的としたITツールです。従来、個々の営業担当者の経験や勘に頼りがちだった活動内容や進捗状況をデータとして「見える化」し、組織全体で共有することで、非効率な業務の削減や、データに基づいた戦略的な営業体制の構築を可能にします。
営業管理システム(SFA)の主な機能
営業管理システム(SFA)には、営業活動を多角的に支援するための機能が備わっています。これらの機能を活用することで、情報の属人化を防ぎ、チーム全体のパフォーマンス向上につなげることができます。ここでは、多くのSFAに搭載されている代表的な機能を見ていきましょう。
顧客管理
顧客管理機能は、取引先企業の基本情報(会社名、所在地、連絡先など)や担当者の氏名、役職、過去のコンタクト履歴といった、顧客に関するあらゆる情報を一元的に管理するものです。この機能により、担当者が不在の場合や異動・退職した場合でも、他のメンバーがスムーズに情報を引き継ぎ、顧客への対応を滞らせることがありません。まるで会社の共有財産として、顧客情報を安全に蓄積していくことができます。
案件管理
案件管理機能は、一つひとつの商談を「案件」として登録し、その進捗状況や受注確度、提案中の製品・サービス、予定金額などをリアルタイムで管理する機能です。営業担当者は、各案件が今どのフェーズにあるのかをシステム上で更新するだけで、上司やチームメンバーに状況を共有できます。これにより、マネージャーは各案件のボトルネックを素早く発見し、的確なアドバイスを送ることが可能になります。
商談管理
商談管理機能は、個々の商談の内容を詳細に記録するためのものです。訪問日時、参加者、商談の目的、顧客からの要望、決定事項、そして次回のタスクなどを記録し、チーム内で共有します。成功した商談のプロセスを分析して他のメンバーの参考にしたり、失注した原因をチームで振り返り、改善策を練ったりするなど、営業活動の質を高めるための貴重なデータベースとなります。
予実管理・分析レポート
予実管理機能は、チームや個人に設定された売上目標(予算)と、SFAに蓄積された実績データを自動で集計し、達成状況を可視化する機能です。Excelなどで手作業で集計する手間を省き、常に最新の状況をグラフなどで直感的に把握できます。また、蓄積されたデータをもとに、活動量や受注率、顧客単価といった様々な角度から営業活動を分析するレポート機能も備わっており、データに基づいた客観的な戦略立案に役立ちます。
CRMやMAとの違い
SFAと共によく耳にするツールに「CRM」や「MA」があります。これらは互いに連携して使われることも多いですが、それぞれ目的と役割が異なります。自社の課題を解決するためにはどのツールが最適なのかを判断できるよう、それぞれの違いを理解しておきましょう。
SFA:営業活動のプロセスを管理・効率化
SFAの主な目的は、「商談が発生してから受注に至るまで」の営業プロセスを管理し、効率化することです。主役は営業担当者であり、日々の行動管理や案件の進捗管理を支援することで、営業部門の生産性を高めることに特化しています。いわば、営業担当者のための「活動支援ツール」と位置づけられます。
CRM:顧客との関係性を管理
CRMは「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略で、「顧客関係管理」と訳されます。その目的は、受注後も含めた顧客との長期的な関係性を良好に保つことです。購入履歴や問い合わせ履歴、サポートの対応記録などを一元管理し、顧客満足度の向上やアップセル・クロスセルの機会創出を目指します。営業部門だけでなく、マーケティングやカスタマーサポート部門など、顧客と接点を持つすべての部署で利用される点が特徴です。
MA:見込み客を育成し、営業へ引き渡す
MAは「Marketing Automation(マーケティング・オートメーション)」の略で、その名の通りマーケティング活動を自動化するツールです。Webサイトへのアクセスや資料請求などで獲得した**見込み客(リード)に対し、メール配信などを通じて継続的にアプローチし、購買意欲を高めていく(リード育成)**のが主な役割です。そして、購買意欲が高まったと判断された見込み客の情報をSFAと連携し、営業担当者へ引き渡します。
営業管理システムを導入するメリット
営業管理システムを導入することは、単に日々の業務が楽になるだけではありません。営業組織の体質を改善し、企業の成長を加速させる多くのメリットをもたらします。ここでは、代表的な4つのメリットについて解説します。
営業プロセスの属人化を解消
トップセールスの行動や提案内容、クロージングに至るまでのプロセスがSFAにデータとして蓄積されます。これにより、これまで個人のスキルや経験に依存していたノウハウが組織の資産となり、チーム全体で共有できるようになります。新入社員や経験の浅いメンバーも、成功事例を参考にすることで早期に成長でき、組織全体の営業力の底上げが期待できます。
リアルタイムな情報共有で営業力を強化
外出先の営業担当者がスマートフォンやタブレットから活動内容を入力すれば、その情報は即座にシステムに反映されます。マネージャーはオフィスにいながらリアルタイムでチーム全体の進捗を把握し、遅延している案件やトラブルの兆候をいち早く察知して、的確な指示やサポートを行うことができます。これにより、商談の機会損失を防ぎ、チーム一丸となって成果を追求する体制が整います。
営業担当者の負担を軽減し生産性を向上
日報や週報の作成、交通費の精算、報告書のためのデータ集計といった事務作業は、営業担当者にとって大きな負担です。SFAを導入すれば、活動を入力するだけでこれらの報告書が自動で作成されるため、大幅な時間削減につながります。創出された時間を、顧客との対話や提案内容のブラッシュアップといった、本来注力すべきコア業務に充てることができ、生産性が大きく向上します。
関連ツール連携による業務全体の効率化
最近のSFAは、他の多くのシステムと柔軟に連携できるのが特徴です。例えば、受注が確定した案件情報を会計システムと連携させれば、ボタン一つで請求書送付のプロセスを自動化することも可能です。これにより、営業部門だけでなく経理部門の業務効率化にも貢献します。他にも、名刺管理ツールやビジネスチャットツールと連携させることで、営業活動からバックオフィス業務までがシームレスにつながり、会社全体の生産性を向上させます。
失敗しない営業管理システムの選び方
多くのメリットがある営業管理システムですが、自社に合わないツールを選んでしまうと、導入費用が無駄になるばかりか、かえって現場の負担を増やしてしまうことにもなりかねません。ここでは、導入で失敗しないための4つの選定ポイントをご紹介します。
導入目的を明確にする
まず最も重要なのは、「何のためにSFAを導入するのか」という目的を社内で明確にすることです。「案件の進捗状況をリアルタイムで把握したい」「営業担当者の報告業務の負担を減らしたい」「新人教育を効率化したい」など、自社が抱える具体的な課題を洗い出し、SFAで何を解決したいのかを具体的に定義しましょう。目的が明確であれば、数あるツールの中から自社に必要な機能を備えたものを的確に選ぶことができます。
現場の担当者が使いやすいか
どんなに高機能なシステムでも、実際に利用する営業担当者が「入力が面倒」「操作が難しい」と感じてしまえば、定着せずに形骸化してしまいます。導入を検討する際には、必ず無料トライアルやデモを利用し、現場の担当者自身に操作感を試してもらうことが不可欠です。特にITツールに不慣れなメンバーでも直感的に使えるか、スマートフォンでの入力はしやすいか、といった視点でチェックしましょう。
必要な機能とコストのバランスを見る
営業管理システムには、シンプルな機能に特化したものから、非常に多機能で高価なものまで様々です。自社の規模や営業スタイルに対してオーバースペックなツールは、使わない機能のために高いコストを払い続けることになりかねません。先に明確にした導入目的に照らし合わせ、本当に必要な機能は何かを見極めましょう。初期費用だけでなく、月額利用料(ユーザー数に応じた課金が一般的)やオプション費用も含めたトータルコストで比較検討することが重要です。
サポート体制を確認する
特に専任のIT担当者がいない中小企業の場合、導入後のサポート体制は非常に重要な選定ポイントです。導入初期の設定支援や、操作方法がわからない時の問い合わせ窓口(電話、メール、チャットなど)、よくある質問をまとめたマニュアルや動画コンテンツが充実しているかなどを事前に確認しましょう。スムーズな導入と社内への定着を実現するためには、信頼できるパートナーとしてのサポートが不可欠です。
営業管理システムでデータに基づいた営業体制を構築する
営業管理システムは、単に日々の業務を楽にするだけでなく、蓄積されたデータを活用して、より戦略的な営業活動を実現するための経営基盤です。顧客情報、案件の進捗、商談内容といった資産をデータとして一元管理し、分析・活用することで、営業チームのパフォーマンスは大きく向上します。自社の課題に合ったシステムを選び、正しく運用することで、属人化から脱却し、組織全体で成果を出し続ける強い営業体制を構築していきましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選【部署別紹介】
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
経理担当者向け
①Excel関数集 32選まとめブック
経理担当者の方をはじめ、ビジネスパーソンが知っておきたい便利なExcel関数集を初級~上級までギュッと網羅。新人社員の研修用などにもお使いいただけます。Google スプレッドシートならではの関数もご紹介しています。
②勘定科目・仕訳辞典(税理士監修)
勘定科目・仕訳に関する基本知識、および各勘定科目の仕訳例を具体的かつ網羅的にまとめた、50ページを超えるガイドを無料で提供しております。お手元における保存版としてでだけでなく、従業員への印刷・配布用としてもぜひご活用ください。
人事労務担当者向け
①入社・退職・異動の手続きガイドブック
書類の回収・作成・提出など手間のかかる入社・退職・異動(昇給・昇格、転勤)の手続き。
最新の制度をもとに、よくある質問やチェックポイントを交えながら、各手続きに必要な情報をまとめた人気のガイドですす。
②社会保険・労働保険の手続きガイド
企業において社会保険および労働保険の加入・喪失手続きは必ず発生し、手続きを誤れば保険事故が発生した際に従業員が不利益を被る可能性があります。
各保険の基本的な手続き方法を入社・退職・異動のシーン別にギュッとまとめた分かりやすいガイドです。
総務・法務担当者向け
契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
教育DXとは?推進を求められる背景やメリット・課題・事例を解説
教育DXとは、デジタル技術を活用した教育改革を指す言葉です。教育DXは教員の負担軽減や教育の質向上をもたらし、生徒一人ひとりに合わせたきめ細やかな教育を実現できるため、国が推進している施策です。 この記事では、教育DXと単なるデジタル化の違…
詳しくみる営業事務の効率化で課題解決 成功事例に学ぶ改善ステップ
営業事務の業務は多岐にわたり、見積書作成や顧客管理などで多くの企業が非効率な状態にあります。これが営業部門全体の生産性を下げる一因となることも少なくありません。この記事では、営業事務の効率化を成功に導く具体的な改善ステップを解説します。IT…
詳しくみる時間管理の方法とは?生産性を最大化する思考法やツール・アプリを解説
「やるべきことが多すぎて、何から手をつければいいかわからない」 「毎日忙しいのに、なぜか成果が上がらない」 「もっと自分の時間が欲しい」 現代社会において、時間の使い方によって生産性や人生の満足度は大きく変わります。効果的な「時間管理」は、…
詳しくみるマーケティングDXとは?具体的な手法やツール、成功事例から学ぶロードマップを紹介
ビジネスの世界でDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれる中、企業の成長を左右するマーケティング領域での変革、すなわち「マーケティングDX」が最重要課題となっています。しかし、「具体的に何をすればいいのか」「従来のデジタルマ…
詳しくみる【無料あり】社内報のテンプレート7選!パワポのレイアウトのコツも解説
社内報を効率的に作成するには、テンプレートの活用が効果的です。無料で使えるテンプレートも多く、パワーポイントやワードで編集可能な形式が増えています。この記事では、社内報のテンプレートを選ぶポイントやおすすめ素材、レイアウトやデザインのコツま…
詳しくみる週報とは?基本のテンプレート項目と書き方、継続させるコツを紹介
週報とは、業務の進捗状況や成果を週単位で報告する書類のことです。日報が毎日の業務報告を行い、月報が1か月ごとの報告を行うのに対して、週報は週ごとの業務内容を記載する点が異なります。週報は目標の管理や振り返りに役立つのがメリットです。本記事で…
詳しくみる



