- 更新日 : 2024年9月11日
申し送りって何?言い換え表現やマナー、例文を紹介
申し送りとは、円滑に業務を引継ぐために、後任者に必要な情報を伝えることです。
しかし、適切な申し送りをするには、どのように情報を伝えたらよいかわからない人もいるでしょう。この記事では、申し送りのマナーやポイントについて解説しました。
申し送りの方法について悩んでいる人は、ぜひこの記事を参考に、ポイントを押さえた引継ぎを意識してみてください。
目次
申し送りとは?
申し送りとは、業務の引継ぎをスムーズにするために、前任者が後任者に対して業務内容や進捗状況、指示事項などの重要な情報を伝達することです。
後任者が業務を適切に進められるように、必要な情報を漏れなく伝えなければなりません。十分な情報が伝達されないと、業務が滞ったりトラブルが発生したりする可能性もあります。
滞りなく業務を続けるためには、正確な申し送りが不可欠です。必要な情報のメモを事前に作成し、漏れなく情報を伝えられるようにしましょう。
申し送りの類語や言い換え表現は?
申し送りの主な類語や言い換え表現は以下のとおりです。
- 引継ぎ
- 伝達する
- 伝える
それぞれの言葉の違いを理解したうえで、適切な表現を選びましょう。
引継ぎ
引継ぎとは、前任者から後任者へ業務内容を適切に伝達することです。申し送りと同様の意味合いを持つため、厳密な違いはありません。
しかし、一般的に「申し送り」という言葉は、一つの業務を交代制で取り組む際に使われます。一方で「引継ぎ」は前任者の退任によって、後任者へ業務内容の伝達が必要になる際に使用される場合がほとんどです。
そのため、引継ぎを受ける側は、該当の業務に携わっていないケースが少なくありません。
伝達する
伝達とは、情報や意思、指示などを相手に伝えることを意味します。
情報を相手に伝えるという点では「申し送り」と共通していますが「前任者から後任者へ」という具体的な意味合いは含まれていません。
そのため、以下のように広い範囲に対して使用される場合がほとんどです。
- 上司から部下へ指示を出す
- 同僚間で連絡事項を共有する
スムーズなコミュニケーションを図るには、適切な言葉を選んで確実に伝達することが重要です。
伝える
「伝える」という言葉は、申し送りの類語として使用されます。たとえば、以下のように言い換えることが可能です。
申し送り | 当業務に関する申し送りをいたします。 |
伝える | 当業務に関する必要事項をお伝えいたします。 |
ただし「申し送り」という言葉には「必要事項を伝える」という意味もありますが「伝える」には含まれていません。
そのほかに、以下のような意味合いとしても使われることが一般的です。
- あるものを受け継ぐ
- 熱や音などが一方から他方に伝わるように仲介する
- ほかの土地から文化や物がもたらされる
「伝える」には幅広い意味があるため、状況に応じて使い分ける必要があります。
申し送りの際のマナー
申し送りの際のマナーには、大きく分けて以下の2つがあります。
- 社外の人には使わない
- 「申し送る」とはいわない
マナーを守ったうえで、適切な内容の申し送りをしましょう。
社外の人には使わない
基本的に「申し送り」という言葉は、社内や関係者内での情報の伝達や共有を指す言葉です。
そのため、取引先など社外の人に対しては「申し送り」という言葉は不適切といえます。たとえば「現状を申し送りしていただけますか」と社外の人に言うのは避けましょう。社外の人に使う場合は「現状をご報告いただけますか」が適切です。そのほかにも「ご連絡いたします」といった言い回しでも問題ありません。
申し送りには、社内の人間同士で情報をスムーズに引継ぐ意味合いが強いため、適切な表現を使い分けることが重要です。
「申し送る」とはいわない
一般的に「申し送り」は名詞として使われるため「申し送る」と直接動詞化して使うのは避けましょう。
動詞として使用したい場合は、以下のように言い換えるのが適切です。
- 伝達する
- 伝える
- お知らせする
無理に動詞化するよりも、一般的な言い回しを選ぶことで伝わりやすくなります。「申し送り」という言葉は、以下のような表現で使用しましょう。
- 申し送りをする
- 申し送りを済ませる
- 申し送りをお願いする
円滑なコミュニケーションには、適切な言葉選びが欠かせません。
申し送りの例文
以下の業種における申し送りの例文を紹介します。
- 営業職
- 看護職
例文を参考に、相手に伝わりやすい申し送りを作成しましょう。
営業職の申し送り
以下は、営業職での商談内容に関する申し送りの例文です。
【申し送り事項】
5月15日に、B社・営業企画課・鈴木花子さんと商談を行いました。
新商品のプロモーション企画について相談があり、SNSを活用した動画マーケティングに興味を持っていました。
特に、インスタグラムの短尺動画広告に可能性を感じていたようです。低予算でも効果的に訴求できる点を魅力に感じてくださっています。
次回の打ち合わせは6月5日14時からです。動画広告の提案資料の作成をお願いします。
看護職の申し送り
以下は、看護職での新しい入院患者についての申し送りの例文です。
【申し送り事項】
本日(5月15日)、鈴木花子さん(65歳)が、入院されました。
2日後の5月17日に胆石手術を控えています。ADL(日常生活動作)は自立しており、歩行も問題ありません。
術前の食事制限と注意点を説明済みで、本人からも理解を得ています。手術同意書にも署名をいただいております。
術前検査の結果は良好です。持病の高血圧症に関しては、内服薬を継続中です。
入院時の様子から不安げな面持ちがあったため、夜間は睡眠導入剤の使用が必要かもしれません。
ご不明な点がありましたら、お声がけください。
申し送りをよく使う業界は?
申し送りが使われる機会の多い業界は、以下のとおりです。
- 看護・介護業界
- 警備業
- 営業職
看護・介護業界や警備業は、交代制での勤務が一般的であるため、前任者から後任者に対応が必要な事柄や注意点などの共有が欠かせません。
営業職に関しては、移動や配置換えの際に、進捗状況や注意点などを引継ぐ必要があります。
継続的に顧客や患者に対して関わりが求められる業種・職種において、業務を滞りなく進行するためには、適切な申し送りが不可欠です。
申し送りの際のポイント
適切な申し送りをするには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 適宜メモをとる
- 事前に伝えるべき事項やポイントを整理しておく
- 項目ごとに内容をまとめる
- 事実と意見は区別する
相手に必要な情報を共有できるように、ポイントを押さえた伝達を心がけましょう。
適宜メモをとる
申し送りをする際は、業務中に起こった内容をメモに書き止めておくことが重要です。共有すべき内容を適宜メモに記入することで、伝達漏れを防ぎ、円滑に業務の引継ぎができます。
定型的なメモ用紙を事前に用意し、情報を追加していけば、わかりやすいメモを効率良くとれるようになるでしょう。業務内容に応じて複数のメモ用紙を使い分けることもおすすめです。
スムーズに業務を引継ぐためにも、適宜メモをとる習慣を身に付けましょう。
事前に伝えるべき事項やポイントを整理しておく
円滑な申し送りをするためには、事前に伝えるべき内容やポイントを整理しておくことが重要です。以下の点に注意して内容を整理しましょう。
- 必要な情報を選択する
- 優先順位をつけて伝える順番を決める
- メモを作成し、意図と異なる伝わり方をするのを防ぐ
業務中にとったメモを活用し、事前に伝達内容を整理することで、必要な情報を漏れなく正確に伝えられるようになります。
申し送り用のメモを作成する際は、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうした)を意識すると、伝わりやすい内容になるのでおすすめです。
項目ごとに内容をまとめる
情報を正確に伝えるためには、項目ごとに内容をまとめることが重要です。項目ごとに内容をまとめることで、要点が明確になり、聞き手が注意すべきポイントがわかりやすくなります。
また、項目別に重要な順に並べ替えれば、限られた時間の中でも優先順位をつけて伝えることが可能です。時系列に沿って内容を伝えてしまうと、聞き手が情報を整理しにくく、優先順位を掴みにくいため注意しましょう。
事実と意見は区別する
一般的に、申し送りで伝える内容には、事実と推測・意見が含まれるので、明確に区別して伝える必要があります。事実と意見の違いは以下のとおりです。
- 事実:実際に起きた出来事や状況
- 意見:自分なりの見解や所感
事実と意見を混同してしまうと、引継ぎ相手の業務に支障をきたす可能性があります。たとえば、以下のような表現を使って事実と推測をわかりやすくしましょう。
事実 | 推測 |
〇〇が発生した 〇〇の状況である | 〇〇の可能性がある 〇〇をした方が良い 私なりの意見ですが 私の推測になるのですが |
確実に業務を遂行するためには、事実と推測を区別して伝えるのが重要です。
引き継ぎ書のテンプレート(無料)
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適切な申し送りをしてスムーズに業務を引継ぎましょう
申し送りは、業務を滞りなく進行するために、後任者に必要な情報を共有することです。介護や看護、警備などの交代制勤務の業界で多く使用される傾向にあります。ただし、社外の人には使わない言葉なので、相手に応じた適切な表現を心がけましょう。
スムーズに後任者に業務を引継ぐためには、申し送り用のメモを作成し、事実と推測を区別した申し送りをすることが重要です。事前に伝える内容を整理しておくことで、必要な情報を漏れなく伝えられます。
業務の引継ぎに悩んでいる人は、ぜひこの記事を参考に、適切な内容の申し送りを意識してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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