• 作成日 : 2025年9月22日

キッチンカーの維持費はいくら?内訳や売上別シミュレーションで解説!

キッチンカーの開業を考えたとき、毎月の維持費や利益などお金に関する不安は尽きないものです。どんぶり勘定で始めてしまうと、思ったより利益が出ずに事業が立ち行かなくなることも少なくありません。

この記事では、キッチンカー運営にかかる維持費の内訳から、見落としがちな隠れコスト、そして具体的な節約術までをわかりやすく解説します。売上別シミュレーションで、リアルな収支イメージを掴んでいきましょう。

キッチンカーの維持費の内訳一覧

キッチンカーの維持費は、大きく分けて売上の増減に関わらず毎月一定額がかかる「固定費」と、売上に応じて変動する「変動費」の2種類があります。まずは、どのような費用がかかるのか全体像を把握しましょう。

毎月かかる固定費

項目概要
駐車場代キッチンカーを保管する駐車場の月額料金。
各種保険料自動車保険(任意保険)、PL保険(生産物賠償責任保険)など。
車両ローン返済車両をローンで購入した場合の月々の返済額。
会計ソフト代など確定申告や日々の売上管理に必要なツールの利用料。

売上に応じた変動費

項目概要
仕入れ費(原価)食材やドリンクなどの材料費。売上に比例して変動する。
消耗品費容器、割り箸、ナプキン、洗剤、ゴミ袋など。
燃料費(ガソリン代)キッチンカーの移動や、発電機を動かすためのガソリン代。
出店料イベント会場や商業施設などに支払う場所代。売上の10~20%が相場。
人件費スタッフを雇用した場合の給与。
水道光熱費プロパンガス代や、仕込み場所の電気・水道代など。
決済手数料クレジットカードやQRコード決済を導入した場合の手数料(売上の3%前後)。
その他(修繕費など)車両のメンテナンス費用(オイル交換、タイヤ交換)や設備の修理費。

これらの費用のうち、とくに見落としがちなのが「決済手数料」や、将来の出費に備える「修繕積立費」です。キャッシュレス決済が主流になる中、売上の数パーセントが手数料として引かれることは念頭に置く必要があります。

また、車検や急な故障に備え、毎月少しずつでも修繕費を積み立てておくと安心です。

キッチンカー車両の維持費

キッチンカーの維持費の中でも、車両そのものにかかる費用は大きな割合を占めます。ここでは、ベース車両として人気の「軽トラック」と「1.5tトラック」の年間維持費を比較してみましょう。

費用項目軽トラック(4ナンバー)1.5tトラック(1ナンバー)
自動車税5,000円16,000円
自動車重量税6,600円(2年)24,600円(2年)
自賠責保険料17,540円(12ヶ月)22,760円(12ヶ月)
任意保険料70,000円~150,000円~
車検費用50,000円~100,000円~
年間維持費(目安)約15万円~約30万円~

※上記はあくまで目安です。任意保険料は年齢や等級、補償内容によって大きく変動します。 ※車検は軽トラックが2年ごと、1.5tトラックが毎年必要です。

車両が大きくなるほど税金や保険料、メンテナンス費用は高くなります。開業時の初期費用だけでなく、長期的な維持費も考慮して車両を選ぶことが重要です。

売上別!キッチンカーの維持費と収支シミュレーション

月の売上が〇〇円だったら、利益はいくら残るのでしょうか。ここでは3つの異なる売上モデルでリアルな収支をシミュレーションします。
(※原価率は35%、人件費はオーナー1人運営のため0円として計算)

ケース①:副業・週末開業モデル(月商30万円)

平日は会社員、土日だけイベントに出店するような副業スタイルを想定したモデルです。

項目金額
売上300,000円
原価(35%)105,000円
経費(以下内訳)115,000円
(駐車場代)15,000円
(保険料)10,000円
(燃料費)15,000円
出店料(売上の15%)45,000円
消耗品・雑費20,000円
決済手数料(売上の3%)9,000円
営業利益80,000円

少ない営業日数でも、経費をしっかり管理すれば着実に利益を残すことが可能です。

ケース②:専業・標準モデル(月商50万円)

キッチンカーを本業とし、平日ランチや週末イベントにバランス良く出店する標準的なモデルです。

項目金額
売上500,000円
原価(35%)175,000円
経費(以下内訳)171,000円
(駐車場代)20,000円
(保険料)10,000円
(燃料費)30,000円
出店料(売上の15%)75,000円
消耗品・雑費20,000円
決済手数料(売上の3%)15,000円
営業利益154,000円

生活していくために必要な利益を確保するには、月商50万円が一つの目安となるでしょう。

ケース③:人気店・高収益モデル(月商80万円)

出店場所に恵まれ、リピーターも多くついている人気店のモデルです。

項目金額
売上800,000円
原価(35%)280,000円
経費(以下内訳)234,000円
(駐車場代)20,000円
(保険料)10,000円
(燃料費)40,000円
出店料(売上の15%)120,000円
消耗品・雑費20,000円
決済手数料(売上の3%)24,000円
営業利益286,000円

月商80万円を超えると、会社員の給与水準を上回る利益も見えてきます。

キッチンカーの維持費を抑える節約術

キッチンカーで売り上げた利益を最大化するためには、売上を上げる努力と同時に、維持費を削減する工夫が不可欠です。明日から実践できる具体的な節約術を解説します。

仕入れ費(原価)を削減する

複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を徹底し、価格交渉を行いましょう。他のキッチンカーオーナーと連携して「共同仕入れ」を行えば、一度の発注量を増やして単価を下げられる可能性があります。生産者から直接仕入れるルートを開拓できれば、中間マージンをなくし、新鮮な食材を安く手に入れることも可能です。

燃料費を節約する

急発進・急ブレーキを避けるエコドライブを心がけるだけでも、燃費は向上します。出店場所までの最短ルートを事前に計画し、無駄な走行をなくすことも大切です。また、イベント会場などによっては電源をレンタルできる場合があります。発電機を使わずに済めば、その分のガソリン代を大きく節約できるでしょう。

保険料を見直す

自動車保険やPL保険などの固定費は、年に一度見直しましょう。複数の保険代理店から見積もりを取り、補償内容と保険料を比較検討することが重要です。事業内容に合わない不要な特約を外したり、運転者を本人に限定したりすることで、保険料を抑えることが可能です。

駐車場代を抑える

都市部の一等地は高額なため、少し郊外にエリアを広げて探すだけで、月々の駐車場代を数万円単位で削減できる可能性があります。高さ制限や広さなど、キッチンカーのサイズに合った事業用の駐車場を根気強く探しましょう。

決済手数料を比較検討する

キャッシュレス決済の手数料率は、サービスによって異なります。たとえば、売上50万円の場合、手数料率が3.0%なら15,000円、3.5%なら17,500円と、年間で見ると大きな差になります。複数のサービスを比較し、自分の売上規模や客層に合った、最も手数料率の低いサービスを選びましょう。

【節税に】キッチンカーの維持費と経費の考え方

キッチンカーの運営にかかる費用のほとんどは、事業に必要な「経費」として計上できます。経費を漏れなく計上することは、所得税や住民税の負担を軽くし、手元に残るお金を増やすためにとても重要です。

経費にできる費用の具体例

具体的にどのようなものが経費になるのか、主な項目を見ていきましょう。

  • 車両関連費
    ガソリン代、駐車場代、高速道路料金、自動車税、自賠責保険・任意保険料、車検費用、修理代、オイルやタイヤなどの消耗品費が該当します。
  • 営業関連費
    食材やドリンクの仕入れ費、容器や割り箸などの消耗品費、出店料、プロパンガス代、仕込み場所の家賃・水道光熱費などが含まれます。
  • 販売促進・管理費
    広告宣伝費(チラシ、SNS広告など)、決済手数料、会計ソフト利用料、事業用のスマートフォン通信費なども経費として計上できます。

自宅兼事務所の費用を経費にする「家事按分」

もし自宅の一部を仕込み場所や事務作業スペースとして使っている場合、家賃や水道光熱費、通信費の一部を事業の経費として計上できる「家事按分」という考え方があります。事業で使用している面積や時間など、税務署に説明できる合理的な基準で按分する必要があります。

プライベートの支出と事業用の支出は明確に分け、必ずレシートや領収書を保管しておきましょう。日々の記帳を正確に行うことが節税の第一歩です。「青色申告」で確定申告をすれば、最大65万円の特別控除を受けられるなどのメリットもあります。

キッチンカーの維持費を正確に把握し事業を安定させる

キッチンカーの運営を成功させ、長く続けていくためには、売上目標を追うだけでなく、毎月どれだけの維持費がかかっているのかを正確に把握することが不可欠です。今回シミュレーションで示したように、維持費を差し引いて手元に残る利益は、売上のおよそ20%~30%が目安となります。

この記事で紹介した費用の内訳や節約術を参考に、ご自身の事業計画に落とし込み、現実的な資金計画を立ててみましょう。見えないコストをなくし、安定したキャッシュフローを確保していきましょう。

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