• 更新日 : 2025年8月8日

キッチンカーの場所貸し相場はどれくらい?出店料の目安や抑えるコツを解説

キッチンカーの場所貸し相場は、出店場所によって1日1,000円から数万円まで差があります。東京や主要都市では特に変動が大きく、相場を知らないまま出店すると赤字のリスクもあります。この記事では、キッチンカーの場所代の相場、料金体系、探し方、注意点までをわかりやすく解説します。

目次

キッチンカーの場所貸し相場はどれくらい?

キッチンカーの場所貸し相場は、立地やイベントの種類によって異なります。一般的には1日あたり3,000円〜30,000円程度が目安です。無料の場所もあれば、商業施設や有名イベントでは高額な出店料が必要になります。

オフィス街

オフィス街では平日ランチタイムの需要が高く、スピード重視のメニューが好まれます。東京では丸の内、大手町、品川駅周辺などが有名です。出店料は固定で1日5,000円前後、歩合制なら売上の15%程度が一般的です。空き枠が少ないため、早めの申し込みや仲介業者の活用が必要です。

東京では丸の内トラストタワーや大手町川端フードガーデン、東京サンケイビル、中野セントラルパークなどが出店場所として知られています。

商業施設(スーパー・ショッピングモール等)

スーパーやショッピングモールなどの商業施設は、平日は1日3,000円から5,000円程度、土日祝は5,000円から10,000円程度が出店料の相場です。長期間契約する場合、月額で10万円から30万円程度になることもあります。

イベントのように単発ではなく、年間を通して一定の需要が見込めるため、初心者にもおすすめです。珍しいメニューは受け入れられにくい傾向があり、定番メニューが好まれるため、メニューに独自の色を出しにくいことがあります。

イベント・フェス・マルシェ

イベントやフェス、マルシェなどへの出店は、単発で集客が見込めるため売上につながりやすいです。小規模イベントでは1日あたり5,000円から20,000円、中規模イベントでは20,000円から50,000円、大規模イベントでは50,000円から150,000円以上かかることがあります。

出店料のほかに売上の一部(一般的に10%から20%)を主催者に支払う場合もあります。

大型イベントでは集客が期待できる反面、出店料も高額になります。小さめのイベントは、他の出店者との繋がりを作る機会にもなります。

学校・公共施設(大学、病院、庁舎、公園など)

大学のキャンパス内は、平日のランチタイム出店として人気が高い場所です。学生が多いため集客しやすいですが、学生向けに価格を安めに設定するなどの工夫が必要です。

出店料の相場は1日5,000円前後、変動の場合は売上の15%程度が相場です。

住宅街

住宅街では、リモートワークの普及により在宅勤務者のランチ需要が増加しています。マッチングサービスを利用して出店するケースが多く、直接交渉ではほとんど出店許可が得られないことが多いです。

個人所有の土地や駐車場を借りる場合、月額契約で3万円から10万円程度が目安です。自由度が高い反面、集客は自力で行う必要があります。

ただし、自宅の敷地内であっても建築基準法で定められた『用途地域』によっては営業が法的に制限される場合があります。

第一種低層住居専用地域では、住環境を守るために大規模な店舗営業は原則として認められていませんが、一部の用途については条件付きで認められる場合があるので、事前に自治体へ確認することをおすすめします。

出店を検討する際は、必ず事前に自治体の都市計画課や建築指導課、そして保健所に確認が必要です。

道の駅・サービスエリア

道の駅や高速道路のサービスエリアは、1日5,000円程度が出店料の相場です。長距離ドライバーや観光客向けのサービスが中心で、交通量の多いエリアでは高額な料金が設定されることがあります。

大きな道の駅やサービスエリアであれば、年間を通して一定の利用者がいるため、安定した集客が期待できます。しかし、既存店とメニューが被る場合、競合とみなされ出店許可が取れないことが多く、出店難易度は比較的高めです。

アミューズメント施設(ゲームセンター、ボーリング場、パチンコ店)

アミューズメント施設での出店料は1日3,000円から5,000円程度が相場です。イベントや商業施設に比べて競合が少ない穴場となることがあります。平日の昼間は集客しづらい傾向があるため、夕方以降の営業に力を入れると良いでしょう。施設の本来の目的のついでに購入する人がターゲットになります。

住宅展示場などのフェア(買取出店)

住宅展示場などのフェアでは、開催者からの依頼のため、出店料は不要なことが多いです。依頼された時点で売上が確定するため、赤字や売れ残りのリスクがありません。

たこ焼きやクレープなどの定番メニューが人気ですが、売上の上限が決まっているため、たくさん売れば売るほど稼げるというわけではありません。

経費の扱いは契約内容によって異なり、特に交通費(高速代などを含む)は別途請求となるのが一般的です。契約時には、電気代などのインフラ費用も含め、どちらが負担するのかを書面で取り決めておきましょう。

売上の歩合と売上保証制度

出店費用として、売上に対する歩合制が採用される場合があります。売上額の10〜25%が一般的です。オフィス街では15%、イベントでは25%が目安など規模などにより異なります。売上に比例するため、リスクを抑えたい事業者には向いています。

また、売上保証制度とは、主催者が一定額の売上を保証する仕組みです。保証額は2万〜5万円、大規模イベントでは5万〜10万円。売上が保証額を超えた場合、追加費用は不要です。

出店料にかかる消費税

出店料は課税対象で、消費税が加算されます。ただし、貸し手側が免税事業者である場合は、消費税分を免除してくれることがあります。契約前に必ず確認しましょう。

キッチンカーの場所貸しの料金体系

キッチンカーの出店料には、主に「固定出店料」「変動出店料」「固定+変動出店料」の3つの料金体系があります。

固定出店料

固定出店料は、売上金額にかかわらず、事前に決められた一定の金額を支払う形式です。

1日3,000円から、高い場合は数万円になることもあります。売上が予測できる場所では、利益を計算しやすく、売上が伸びれば収益性も高まります。一方で、来客が少ない日でも同じ費用がかかるため、リスクを伴います。

変動出店料

変動出店料は、売上金額に対して、決められた割合(15〜20%程度)の金額を支払う形式です。売上が伸びるほど、支払う金額も増加します。

売上が少ない場合に支払う費用も抑えられるため、初めての出店や実績のない場所ではリスクを減らす選択肢となります。売上が増えるほど費用も増えるため、高利益を狙うときは注意が必要です。

固定+変動出店料

固定+変動出店料は、固定の金額に加えて、売上に対する割合も支払う形式です。例として、固定5,000円+売上の10%などです。

大規模イベントや集客力の高い商業施設で採用されやすく、場所提供者の収益確保と出店者の柔軟性を両立する料金体系です。支払い総額は大きくなりがちですが、売上次第で回収可能なケースも多いです。

キッチンカー場所貸しの探し方

キッチンカーの出店場所を探す方法は多岐にわたるため、自身の事業計画や状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

プラットフォームを利用する方法

「ショップカウンター」や「モビマル」、「MerMa(メルマ)」などの出店スペース専門のプラットフォームを活用する方法があります。

これらのサービスを使って、出店候補地(都市部、商業施設、イベント会場など)からエリア、料金、期間などの条件を絞って検索できます。

掲載情報がまとまっていて見やすく、問い合わせから契約までワンストップで進行できるため、出店までのスピードが速いことが特徴です。初めて出店する方や、忙しくて自分で探す時間がない方、安心して交渉や契約を進めたい方におすすめです。

自治体や公共機関への問い合わせ

公園や広場など、自治体が管理するスペースを利用する方法もあります。出店料が安価または無料の場合があり、地域のイベントと連動した出店が可能で、地元の認知度向上にもつながります。

例えば、我孫子市(1日310円)や西東京市(1日381円)など、自治体によっては非常に低コストな場所もあります。

※これらの料金は2024年時点の都市公園条例に基づくもので、出店には別途、自治体の募集への応募や審査、許可が必要です。

商業施設や企業と直接交渉

ショッピングモール、スーパー、店舗の敷地など、民間施設に直接出店を申し込む方法です。人通りが多く見込まれる立地に出店でき、ブランドイメージや信頼感の向上にもつながります。

しかし、出店料が高めに設定されていることが多く、商業施設の担当者探しや交渉が必要で、ハードルがやや高い傾向にあります。

イベント出店

地域のマルシェ、フードフェス、フェアなどに出店するスタイルです。短期間で大きな集客が見込め、新規顧客との出会いやSNSでの拡散にもつながります。出店の実績作りやテストマーケティングにも適しています。

ただし、出店期間が短く継続性がないことや、天候に左右されやすい点が課題です。準備、搬入、人員配置などに手間がかかることもあります。

ネット・SNS・人脈で探す

SNSやネットで「◯◯市 キッチンカー 出店募集」などで検索するほか、X(旧Twitter)やInstagramでの発信、他店からの紹介、地元商工会議所への相談などで見つけます。

また、他のキッチンカーの出店場所を観察し、その場所の管理者と直接交渉するのも一つの方法です。成功率は必ずしも高くないものの、うまくいけば出店料を安く抑えられることがあります。

キッチンカーの場所貸し相場を抑えるコツ

キッチンカー事業の成功には、場所代を賢く管理することが不可欠です。ここでは、場所貸しの費用を抑えるための具体的なコツをご紹介します。

変動出店料(歩合制)を優先する

売上が予測しにくい新規出店場所や、集客が未知数のイベントでは、売上に応じて費用が変わる歩合制を選ぶとリスクを抑えられます。売上が伸び悩んだ場合でも、固定費の負担が軽くなるため、初期投資や運営費を安定させやすいでしょう。

「売上保証」のあるイベントを探す

主催者が最低売上を保証してくれるイベントでは、万が一売上が低くても一定の収益が確保されます。特に天候に左右されやすい屋外イベントでは、この制度があると安心です。

自治体や公共施設を検討する

公園や庁舎の敷地など、自治体が管理するスペースは、出店料が安価または無料のケースが多いです。電源やスペース、集客条件などに制限があるため、条件を事前に確認する必要があります。手続きに時間はかかりますが、長期的に見れば大きなコスト削減になります。

イベント出店で実績を積む

短期間のイベントは出店料が高めに設定されることもありますが、多くの人に認知される機会になります。実績を積むことで、将来的に優良な出店場所と直接交渉しやすくなる可能性もあります。

住宅街での出店を模索する

リモートワークの普及で住宅街のランチ需要が高まっています。マッチングサービスを活用したり、個人所有の土地を月額で借りたりすることで、比較的安価に安定した場所を確保できることがあります。ただし、集客は自身で行う必要があります。

平日を選ぶ

平日は3,000〜10,000円、週末や祝日は1万〜1万5,000円が相場です。週末は来場者数が増えるため、出店料も高く設定される傾向があります。

直接交渉を試みる

ショッピングモールやスーパー、企業の敷地など、人通りの多い場所へ直接出店を打診するのも一つの手です。プラットフォーム経由よりも手数料がかからず、長期契約の可能性も探れます。担当者との信頼関係を築くことで、優遇された条件を引き出せるかもしれません。

また、繁盛しているキッチンカーがどこに出店しているかを観察し、その場所の管理者と直接交渉してみるのも良いでしょう。成功率は高くありませんが、もし実現すれば、出店料を抑えられる可能性があります。

費用以外も考慮する

出店料の安さだけにとらわれず、以下の点も考慮しましょう。

  • 電源や水道の有無: 現場に電源や水道設備があれば、発電機や給水タンクの準備が不要になり、その分のコストや手間を削減できます。
  • ゴミ回収の有無: 事業系ゴミの処理は費用と手間がかかります。出店場所でゴミ回収サービスが提供されるか、事前に確認しましょう。
  • 集客力とブランド認知: たとえ出店料がやや高くても、圧倒的な集客力がある場所や、ブランドイメージ向上につながる場所であれば、結果的に高い費用対効果を得られることもあります。

キッチンカーの場所貸しに関する10のポイント

キッチンカー事業を成功させるためには、出店場所に関する様々な注意点を把握し、対策を講じることが重要です。

1. 自治体ごとの保健所許可が必要

キッチンカーでの営業に必要な「食品営業自動車」の営業許可は、各自治体の保健所で取得する必要があります。自治体ごとに「許可申請費用」が必要になるため、自治体をまたがって営業するのは費用がかかります。

各所の自治体で出店を考えている場合は、出店予定のある全ての自治体で保健所の許可が下りるような車両仕様にしておく必要があります。

保健所への事前相談は必須ですので、商材内容、販売手順、商品提供までの流れ、必要設備、仕込み場所、出店地域などを確認することが重要です。

2. 営業許可の確認が必要

キッチンカーは移動型の飲食店として食品衛生法に基づく「営業許可」が必要です。営業許可は保健所ごとに必要で、他の地域で営業する場合には、別途新たに許可や届け出が必要になることがあります。許可がない場合、その場で営業停止になる可能性もあるため、事前の確認は欠かせません。

3. 火器・発電機の届け出

火器や発電機を使用する場合、消防署への届け出が必要になる場合があります。特に屋外イベントでプロパンガスや発電機を使用する場合は、安全管理の観点から規定が厳しくなることがあります。

また、発電機や換気扇などの稼働音は、周辺住民への迷惑となる可能性があります。

これらの稼働音は『騒音規制法』や各自治体の条例によって規制されており、出店場所の地域や時間帯ごとの基準値を遵守しなくてはなりません。車両本体の騒音を測定する車検とは別の規制です。

トラブルを避けるため、防音性能の高い発電機を選ぶなどの対策が求められます。

4. 保険加入の有無

提供された食品による食中毒や、キッチンカーの移動中の事故に備え、PL保険(生産物賠償責任保険)や施設賠償責任保険、自動車保険などに加入しているキッチンカーを選ぶことが推奨されます。

PL保険への加入は法律で義務付けられているわけではありませんが、多くの出店場所やイベント主催者が契約条件として加入を求めており、事実上、事業を行う上で必須の保険と言えます。食中毒などの万一の事故に備えるためにも必ず加入しましょう。

5.出店場所の環境・設備(電源・水道)

キッチンカーには電源や水道が必要になる場合があります。これらの設備がない場合は、発電機や給水タンクを利用することになり、追加コストや準備が発生することがあります。多くのキッチンカーは単独で全てを賄えますが、現場に設備があればそれに越したことはありません。

なお、水道光熱費(ガス代、発電機の燃料費などを含む)は、提供メニューや出店形態によって大きく変動しますが、一般的に売上の5%前後が目安とされます。

6. ゴミの回収

ゴミ回収の対応についても事前に取り決めておくことが重要です。キッチンカーの営業で発生するゴミは「事業系ゴミ」に分類され、家庭ゴミとは異なる処理が必要です。

事業系ゴミを家庭ゴミとして捨てた場合、不法投棄とみなされ罰則が科せられる可能性があります。生ゴミや紙くずなどの「事業系一般廃棄物」は、少量排出事業者向けの制度を利用して自治体の収集に出すか、回収業者に依頼します。

廃油や廃プラスチック類といった『産業廃棄物』は、法律に基づいた処理が義務付けられています。

処理施設へ自己搬入する場合でも、施設との契約や産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付など、事前の手続きが求められます。

7. 契約の条件(出店料、出店時間、搬入時間)

天候不良やイベントの急な取りやめの場合の対応、事前の振り込みの場合の返金方法などを決めておくことが重要です。出店時間だけでなく、搬入時間もあらかじめ決めておくことでトラブルを回避できます。会場のレイアウトによっては、キッチンカーが先に入ってしまうと他の車両や運搬車が入れなくなることがあります。キッチンカーはフライヤーに油を入れると移動が困難になるため、時間を守って行動してもらう必要があります。

8. 仕込み場所が別途必要

キッチンカーでの販売は、車内での調理が盛り付け、小分け、簡単な加熱調理のみに限定されるなど、様々な制約があります。

食材を「切る」「混ぜる」などの下準備には別途「仕込み場所」を用意しなければならないケースがあります。

仕込み場所は、「飲食店営業許可」を受けた調理場である必要があります。自宅での仕込みは原則認められていません。

そのため、物件を賃貸する、他の飲食店の空き時間を利用させてもらう、複数のフードトラック事業者でシェアキッチンを借りるなど、費用がかかる可能性があります。

9. 出店場所の確保

キッチンカーでの移動販売の成功には「立地」が特に重要ですが、近年キッチンカーの増加により、良い立地を確保することが難しくなっています。人が多く集まり、売上が見込める場所は、出店費用が高騰したり、出店審査のハードルが高くなったりする傾向があります。

他者が入り込んでいない場所を確保するためには、商業施設、企業、大学、イベント会場などに積極的に営業をかけ、出店場所を確保する努力が必要です。

10. SNSでの情報発信

固定店舗を主に対象とする大手グルメポータルサイトでは、住所が定まらないキッチンカーの登録は難しい場合があります。しかし、近年はキッチンカー専門のポータルサイトや、出店情報を発信するスマートフォンアプリが多数登場しており、これらを活用した集客が期待できます。

リピーターを増やし、認知度を上げるためには、SNSでの情報発信が不可欠です。出店情報を定期的に発信することで、より多くのお客様に足を運んでもらえるでしょう。

キッチンカーの場所貸し相場のまとめ

キッチンカーの場所貸し相場は、立地や契約条件によって1日1,000円〜数万円まで幅があります。料金体系や歩合制の仕組みを理解し、無料出店や保証制度の有無も確認しましょう。

また、出店の許可や保健所の対応、ゴミ処理、保険加入、仕込み場所などの注意点を事前に把握することが、安定した運営やトラブル回避につながります。

これらの情報を参考に、キッチンカー事業を成功へと導いてください。


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