- 更新日 : 2024年9月6日
医療費控除で住民税も安くなる
医療費が多くかかった年は、確定申告で所得税が安くなることをご存知の方も多いでしょう。実は、医療費控除では住民税も安くなります。所得税の確定申告をすれば、住民税のために追加で手続きをする必要はありません。
医療費控除とは
医療費控除とは、所得税の計算をするときに、課税対象の所得から医療費を差し引くものです。医療費は本人のものだけでなく、同一生計の家族のものも含みます。
医療費控除の金額は、実際に支出した医療費から10万円を引いた額です。生命保険・医療保険から入院給付金を受け取った場合や、健康保険から高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などを受け取った場合は、その金額も医療費から差し引きます。
医療費控除の金額の計算方法は、次の図で表すことができます。
具体的な計算式は以下の通りです。
(※)所得が200万円未満の人は所得の5%
保険金の対象となる医療費よりも高い保険金が補填される場合、医療費を超える部分の金額は切り捨てとなります。そのほかの医療費の支払いから差し引かれることはありません。
医療費控除の対象になるものとならないもの
医療費控除の対象になるものとならないものは、次の表のとおりです。幅広い範囲の費用が認められる一方で、診療や医療に直接関係ないものは認められません。
医療費控除の対象になるもの |
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医療費控除の対象にならないもの |
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平成29年からセルフメディケーション税制が創設される
医療費控除の特例として、平成29年からセルフメディケーション税制が創設されます。セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」をいいます。
セルフメディケーション税制では、医薬品の購入金額が1万2,000円を超えると所得控除が受けられます(上限は8万8,000円)。
ただし、健康維持や病気の予防のために健康診断や予防接種などを行っていることが条件です。また、医薬品であれば何でもよいわけではなく、対象となる品目が指定されています。
なお、セルフメディケーション税制と医療費控除を同時に適用することはできません。
医療費控除は住民税にも適用される
医療費控除は課税の対象になる所得から医療費を差し引くものです。医療費控除を適用するために確定申告をすると、所得税だけでなく住民税も安くなります。住民税のために追加で手続きをする必要はありません。
所得にかかる住民税の税率は10%(都道府県民税・市区町村民税の合計)であることから、医療費控除額の10%に当たる金額だけ住民税が安くなります。
所得税の場合、年末調整で納税が済んでいる人は、医療費控除で安くなった分だけ税額が還付されます。ただし、住民税は翌年6月以降に納めるため、所得税のように還付されることはありません。医療費控除で安くなった後の税額を6月以降に納めることになります。
医療費控除は所得税と住民税の節税になる
医療費控除は本人や同一生計の家族のための医療費を所得から差し引くものです。入院や通院の費用だけでなく、医薬品の購入費や介護の費用も対象になります。
医療費控除を適用すると、所得税だけでなく住民税も安くなります。ただし、確定申告をすると安くなった税額がすぐに住民税に反映されたり、税額が還付されたりするわけではありません。住民税に反映されるのは、翌年6月からになる点を覚えておきましょう。
よくある質問
医療費控除とは?
所得税の計算をするときに、課税対象の所得から医療費を差し引くもので、医療費は本人のものだけでなく、同一生計の家族のものも含みます。詳しくはこちらをご覧ください。
医療費控除の対象になるものは?
「医師・歯科医師による診療・治療のための費用」や、「人間ドックや健康診断の費用」などが対象になります。詳しくはこちらをご覧ください。
医療費控除は住民税にも適用される?
されます。所得にかかる住民税の税率は10%(都道府県民税・市区町村民税の合計)であることから、医療費控除額の10%に当たる金額だけ住民税が安くなります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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