• 更新日 : 2026年1月28日

子供を扶養に入れるメリット・デメリットは?ポイントや手続き方法も解説

子供がアルバイトを始めたり、就職活動を控えたりする時期になると、「子供を扶養に入れる」ことについて検討する方は少なくありません。親にとっては税金の控除や保険料の免除といったメリットが大きい制度ですが、実は状況によって「子供を扶養に入れるデメリット」や、後から税金を請求されるといった注意すべきリスクも存在します。

この記事では、メリット・デメリットの比較を中心に、間違いやすい「年収の壁(税金と社会保険の違い)」や具体的な手続き方法について、人事労務の観点から初心者にも分かりやすく解説します。失敗しないための親子での確認ポイントもあわせて紹介します。

目次

子供を扶養に入れるメリットは?

子供を扶養に入れることには、親と子供双方に金銭面での明確なメリットがあります。 単に税金が安くなるだけでなく、会社の福利厚生や医療費の合算制度など、家計全体を助ける仕組みが複数存在します。ここでは代表的な5つのメリットを解説します。

1. 親の税金が大幅に安くなる(特に大学生の親は恩恵大)

これが最大のメリットです。親は子供を税法上の扶養に入れることで「扶養控除」を受けられ、所得税や住民税が減額されます。

特筆すべきは、教育費の負担がピークになる19歳以上23歳未満の子供(特定扶養親族)の控除額が手厚く設定されている点です。

  • 所得税の控除額: 通常38万円 → 63万円に増額
  • 住民税の控除額: 通常33万円 → 45万円に増額

親の年収にもよりますが、これにより年間で約5万円〜15万円程度の節税効果が見込めるため、家計の大きな助けとなります。また、令和7年税制改正によって「特定親族特別控除」が創設されました。子供が19歳以上23歳未満で、控除対象扶養親族に該当せず、合計所得金額58万円超123万円以下であれば、最大63万円の控除が受けられます。

2. 子供の健康保険料負担がゼロになる

社会保険上の扶養に入ると、子供は親の健康保険(協会けんぽや健保組合)に加入するため、子供自身での保険料支払いは発生しません。

もし扶養に入らず子供が「国民健康保険」に加入した場合、たとえ収入が少なくても年間数万円以上の保険料支払い義務が生じます。親の健康保険料は「扶養家族の人数」によって増額されないため、追加コストなしで子供が健康保険を利用できることは、家計全体でのコスト削減効果が絶大です。

3. 勤務先から「家族手当(扶養手当)」が支給される

親の勤務先に家族手当や扶養手当の制度がある場合、扶養に入れている子供の人数に応じて、給与に手当が上乗せされることがあります。

多くの企業では「税法上の扶養に入っていること」や「健康保険の扶養に入っていること」を支給要件としています。月額数千円〜1万円程度支給されるケースも多く、これは節税とは異なり、直接的な「収入アップ」につながる大きなメリットです。

4. 医療費が高額になった際に「世帯合算」ができる

親子が同じ健康保険に入っていると、入院などで医療費が高額になった際、「高額療養費制度」の自己負担額を世帯で合算して計算できます。

もし子供が別の保険(国民健康保険など)に入っていると、親と子供の医療費は別々に計算され、それぞれの制度で上限額まで負担しなければなりません。扶養に入っていればこれらを合算できるため、万が一の入院や手術の際、家族トータルの医療費負担を最小限に抑えやすくなります。

5. 子供自身の手続き負担がなくなり学業に専念できる

扶養に入っている間は、税金や健康保険に関する複雑な手続きや納付書の管理を、子供自身が行う必要がほとんどありません。

もし扶養を外れると、子供自身が役所へ行って国民健康保険の手続きをしたり、毎月届く納付書で支払いを管理したりする必要があります。これらは社会勉強にはなりますが、勉強や部活動、就職活動に忙しい時期においては負担となることも事実です。親が管理することで、子供が安心して生活できる環境を作れるのも隠れたメリットと言えます。

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

人事・労務の年間業務カレンダー

2026年版 人事労務の年間業務カレンダー

毎年大人気!人事労務の年間業務を月別にまとめ、提出や納付が必要な手続きを一覧化しました。

法改正やシーズン業務の対応ポイントについて解説するコラムも掲載していますので、毎月の業務にお役立てください。

無料ダウンロードはこちら

社会保険・労働保険の実務完全ガイド

社会保険・労働保険の実務完全ガイド

これ1冊でしっかり網羅!社会保険および労働保険は、従業員の生活上・労働上のリスクに備えるための公的保険制度です。

本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。

無料ダウンロードはこちら

算定基礎届の手続き完全ガイド

算定基礎届の手続き完全ガイド

算定基礎届(定時決定)の手続きは、社会保険に加入する全従業員が対象になるため作業量が多く、個別の計算や確認事項の多い業務です。

手続きの概要や間違えやすいポイントに加え、21の具体例を用いて記入方法を解説します。

無料ダウンロードはこちら

社会保険の手続きでよくあるミス 対処方法と防止策10選

社会保険の手続きでよくあるミス 対処方法と防止策10選

社会保険の手続きは、ひとたびミスが生じると適切な対処方法がわからず対応に苦慮するケースが多いものです。

本資料では社会保険手続きでよくあるミスをシーン別に取り上げ、対処方法をステップにわけて解説しています。

無料ダウンロードはこちら

子供を扶養に入れるデメリットは?

金銭的なメリットが多い一方で、子供自身のキャリア制限や、親側の事務的なリスク、将来の保障といった面でデメリットも存在します。

特に近年は共働き世帯の増加や、手続きの厳格化により、単に「年収の壁」だけでなく「夫婦のどちらに入れるか」「後から発覚した時のリスク」なども考慮する必要があります。

1. 子供のアルバイト収入や働き方に制限がかかる

扶養に入り続けるためには、子供自身の年収を「123万円(税金)」や「130万円(社会保険)※19歳以上23歳未満の場合は150万円」といった壁の内側に抑える必要があります。

これを守るためにシフトを調整することを「働き控え」と言います。もし子供が「経験のためにバリバリ働きたい」「留学資金を貯めたい」と考えている場合、この制限が足かせとなり、就労意欲や成長の機会を奪ってしまう可能性があります。

2. 「年末調整のやり直し」や「確定申告」のリスクがある

子供が親に内緒でアルバイトを増やし、年末になって「実は123万円を超えていた」と判明するケースが多発しています。見落とされがちなデメリットです。

この場合、親は年末調整で受けた控除を修正しなければならず、過去に遡って追加の税金を支払う義務が生じます。会社での再計算が間に合わない場合は、親自身が税務署へ行き「確定申告」をして修正する必要があり、多大な手間とストレスがかかります。

3. 共働きの場合「どちらの扶養に入れるか」の判断が難しい

両親ともに収入がある場合、「どちらの扶養に入れた方が得か」のシミュレーションが必要です。

一般的には「年収が高い方に入れた方が税率が高いため節税効果が大きい」と言われますが、会社の「家族手当」の支給条件によっては、年収が低い方に入れた方が世帯収入が増えるケースもあります。また、年収がほぼ同じ夫婦の場合、扶養を移すたびに手続きが発生し、管理が煩雑になる悩みもつきものです。

4. 扶養認定の手続きや証明書類の管理が厳格化している

近年、不正受給防止の観点から、特に社会保険の扶養審査が非常に厳しくなっています。

同居であれば比較的スムーズですが、「別居している子供」や「海外留学中の子供」を扶養に入れる場合は要注意です。定期的な送金を証明する「通帳の写し」や、公的な「在学証明書」の翻訳など、膨大な書類を求められることがあります。条件を満たせず「扶養否認」となるケースも増えており、書類準備の負担は無視できません。

5. 将来の厚生年金受給額への影響(年金が減る)

子供が扶養内で働いている期間は「厚生年金」に加入できないため、将来受け取る年金額が、扶養を外れて働いた場合に比べて少なくなります。

社会保険(厚生年金)に加入して働けば、将来の年金は「基礎年金+厚生年金」の2階建てになります。しかし、扶養内(国民年金第1号)のままでは1階部分の基礎年金しか積み上がりません。学生期間だけであれば影響は軽微ですが、卒業後もフリーターとして長く扶養内に留まる場合は、将来の受給額に明確な差が出ることを理解しておく必要があります。

子供を扶養に入れるデメリットを回避するためのポイントは?

扶養によるデメリット(収入制限や年金への影響など)を未然に防ぐには、親子の連携が不可欠です。

特に以下の3点は、多くの家庭で見落とされがちなポイントです。デメリットを確実に回避するために、必ず実行するようにしてください。

1. いくらまで稼いでいいかを親子で数字で共有する

「扶養内で働いてね」という曖昧な伝え方ではなく、具体的な金額を共有しましょう。

子供は「手取り額(振込額)」だけで判断しがちですが、社会保険の扶養判定に使われるのは税引き前の「総支給額」です。また、123万円(税金)と130万円(社会保険)のどちらを基準にするかによって働き方は大きく変わります。「月々10万円を超えないようにしよう」など、月単位の目安金額で約束するのが最も確実です。

2. 給与明細の交通費が含まれているか毎月確認する

社会保険の扶養判定(130万円の壁)では、交通費も収入に含まれます。

子供が「時給×時間」だけで計算していて、交通費を含めたら130万円を超えてしまっていた、というケースが後を絶ちません。特に定期代などで交通費が高額な場合は要注意です。親は定期的に子供の給与明細を見せてもらい、「総支給額(交通費込み)」が基準を超えていないかチェックする習慣をつけましょう。

3. 就職・退職・シフト増減があったらすぐに報告させる

子供の状況が変わったら、事後報告ではなく「変わる前」か「直後」に報告してもらうルールを作りましょう。

特に「就職して社会保険に入った日」や「バイトを掛け持ちし始めた月」は、親側の手続き(扶養を外す手続き)が必要になるタイミングです。連絡が数ヶ月遅れると、親の会社での手続きが間に合わず、後から保険料の返還や年末調整のやり直しといった面倒な事態になります。「変化があったらLINE一本でいいから連絡して」と伝えておくことが重要です。

そもそも「扶養」とはどのような制度か?

扶養(ふよう)とは、自分の収入で家族や親族を養うことを指し、制度上は「税金(所得税・住民税)」と「社会保険(健康保険・厚生年金)」の2種類に明確に分かれています。

この2つは全く別の制度であり、基準となる年収や判定期間、得られるメリットが異なります。子供を扶養に入れる際は、これらを混同しないことが最も重要です。

税法上の扶養(所得税・住民税)

税法上の扶養とは、納税者(親)の所得から一定額を差し引く(控除する)ことで、親の税負担を軽くする仕組みです。

この制度の主な目的は、養う家族が多い人の担税力(税金を負担する能力)に配慮することにあります。子供の年収が「123万円以下」であることが一般的な基準となります。ここでの年収には、交通費が含まれないことが大きな特徴です。

社会保険上の扶養(健康保険)

社会保険上の扶養とは、親が加入している健康保険の被扶養者として子供を認定し、子供自身が保険料を払わずに健康保険を利用できる仕組みです。

こちらは、子供の年収が原則として「130万円未満」であることが基準となります(19歳以上23歳未満の場合は150万円)。税法上とは異なり、交通費や失業給付金なども収入に含まれるため、判定がより厳格です。

国民年金に関しては、子供が20歳以上になると学生であっても加入義務が生じます。この際、「学生納付特例制度」を利用すれば納付を猶予できますが、将来の年金額を減らさないためには、後から保険料を納める「追納(ついのう)」が必要となります(配偶者のような第3号被保険者制度は子供にはありません)。

扶養については、以下記事でも詳しく紹介しています。

子供を扶養に入れるための手続き方法は?

子供を扶養に入れるには、親が勤務先の人事労務担当者へ所定の書類を提出する必要があります。

重要なのは、「税金の手続き」と「社会保険の手続き」は全く別物であり、それぞれ提出書類やタイミングが異なるという点です。漏れがあると「税金が安くならない」「健康保険が使えない」といったトラブルになるため、以下の4つのステップに沿って確実に進めましょう。

ステップ1. 年収の算出期間と範囲を確認する

まず、子供の年収が扶養の基準を満たしているかを確認します。税金と社会保険では「いつからいつまでの収入を見るか」が根本的に異なります。

  • 税金(扶養控除):
    • 期間: その年の「1月1日から12月31日」までの実績合計。
    • 基準: 給与収入が123万円以下。
    • 注意: 交通費は含みません。過去の実績で判断します。
  • 社会保険(健康保険):
    • 期間: 「扶養に入ろうとする日以降」の将来の見込み年収。
    • 基準: 向こう1年間の収入見込みが130万円未満(月額約108,334円未満)。
    • 注意: 交通費を含みます。過去の収入が多くても、退職して明日から無職になるなら扶養に入れます。

ステップ2. 状況に応じた必要書類を準備する

申請に必要な書類を揃えます。特に社会保険の扶養認定は厳格で、子供の状況(学生か、無職か、別居か)によって提出物が異なります。

【必須書類(共通)】
  • マイナンバー(個人番号): 親と子供それぞれの番号が必要です。
【状況別の追加書類(主に社会保険用)】
  • 学生の場合: 「在学証明書」または「学生証のコピー」(有効期限内のもの)。
  • アルバイトをしている場合: 直近3ヶ月分の給与明細書のコピー、または課税証明書。
  • 退職した場合: 「離職票-1・2」のコピー、または「退職証明書」、「雇用保険受給資格者証」のコピー(失業給付を受ける場合)。
  • 別居している場合: 「仕送り証明書類」。銀行振込の控えや通帳の写しなど、定期的かつ生活費として十分な額を送金している事実が必要です(手渡しは原則認められません)。

ステップ3. 勤務先へ申請書を提出する

書類が揃ったら、親の勤務先へ提出します。最近はWebシステムで申請する企業も増えています。

  • 税金の手続き(年末調整): 毎年11月頃に配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に、子供の氏名・生年月日・マイナンバーなどを記載して提出します。 ※時期を逃した場合は、親自身で「確定申告」を行えば適用可能です。
  • 社会保険の手続き(随時): 「健康保険被扶養者(異動)届」に必要書類を添付して提出します。 ※こちらは事由発生(子供の退職や収入減など)から「5日以内」の提出が目安ですが、書類が揃い次第速やかに行えば問題ありません。

ステップ4. 結果の確認と反映

提出後、審査を経て手続きが完了します。

  • 税金の反映: 年末調整が完了した月(通常12月)の給与明細や、翌年6月からの住民税決定通知書で控除が反映されているか確認できます。
  • 健康保険の反映: 審査に問題がなければ、申請から約1〜2週間程度で健康保険が利用できるようになります。 ※扶養認定日は、原則として「会社が書類を受け付けた日」や「事由発生日」に遡及されますが、反映されるまでは一旦医療費を全額立て替える必要があるため注意してください。

子供を扶養に入れるメリットとデメリットを比較し最適な選択を

子供を扶養に入れることは、親の税負担軽減や保険料削減など家計へのメリットが大きい一方、年収制限による働き方の制約や将来の年金への影響といったデメリットも確実に存在します。

後悔しないためには、「税金と社会保険の壁」の違いを正しく理解し、交通費込みの収入上限を親子で共有することが不可欠です。また、人事労務の視点では、収入超過による「年末調整のやり直し」や「資格確認書の返還」は大きな事務トラブルの元となります。目先の損得や子供のキャリアプランを考慮して最適な判断を行い、変更が生じる際は速やかに勤務先へ連絡しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事