- 更新日 : 2025年11月5日
勤怠管理のワークフローとは?システムで効率化する手順や機能、選び方などを解説
勤怠管理のワークフロー整備は、組織全体の生産性向上と内部統制の強化に直結する重要な課題です。この記事では、勤怠管理におけるワークフローの重要性から、紙やExcel運用が抱える問題点、そして勤怠管理システムを活用して効率的な申請承認フローを構築する具体的な手順、失敗しないためのツールの選び方まで詳しく解説します。
目次
勤怠管理のワークフローとは?
勤怠管理におけるワークフローとは、従業員が行う勤怠関連の各種申請を、あらかじめ定められた承認ルートに従って関係者が承認・決裁するまでの一連の流れを指します。
勤怠管理のワークフローに含まれる主な業務
勤怠管理のワークフローで扱われる業務は多岐にわたります。これらの手続きをいかに円滑に行えるかが、業務効率を大きく左右します。
| 申請種別 | 概要 | 主な確認事項 |
|---|---|---|
| 時間外労働申請 (残業申請) | 所定労働時間を超えて業務を行う際に提出する申請 |
|
| 休日出勤申請 | 法定休日や所定休日に業務を行う際に提出する申請 |
|
| 休暇申請 | 年次有給休暇、慶弔休暇、欠勤などの休暇を取得する際に提出する申請 |
|
| 打刻修正依頼 | タイムカードの押し忘れや誤った打刻を修正する際に提出する申請 |
|
| 直行・直帰申請 | 自宅から直接顧客先へ向かう、または顧客先から自宅へ帰る際に提出する申請 |
|
勤怠管理のワークフローが抱える課題
従来の紙やExcelを中心とした勤怠管理のワークフローは、承認手続きの遅延、管理業務の煩雑化、そして人的ミスといった多くの課題を抱えています。
- 承認の遅延:上長が出張やテレワーク等で不在の場合、申請が必要な時にリアルタイムに承認が得られない問題があります。
- 書類の紛失・管理コスト:申請書の紛失リスクが常につきまとうほか、ファイリングや保管スペースの確保、過去の書類を探し出す手間も大きな負担です。
- 集計作業の負担:承認された申請内容を、月末に人事・労務担当者が勤怠データへ手入力で転記する必要があり、膨大な時間と労力がかかります。また転記ミスが発生するおそれがあることも問題です。
- 属人化・ブラックボックス化:高度な関数やマクロを組んだ管理ファイルは作成者しか修正できないことも多いため、当該作成者の異動や退職で機能しなくなるリスクがあります。
- バージョン管理の課題:メール添付でファイルを回覧するうちに、どれが最新版か分からなくなったり、他人の更新内容を上書きしてしまったりする問題が発生する可能性があります。
- リアルタイムでの確認が困難:誰かがファイルを開いていると他の人が編集できないため、申請や承認の確認に時間差が生じます。
勤怠管理のワークフローを構築・改善するステップ
効果的な勤怠管理のワークフローを構築・改善するためには、計画的かつ段階的に手順を踏むことが重要です。
1. 目的の明確化とワークフローの現状把握
最初のステップは、何のためにワークフローを構築・改善するのかという目的を明確にすることです。
たとえば、残業時間を削減したい、月末の締め処理を3日から1日に短縮したい、といった具体的な目的を設定します。その上で、誰が、どのような手順で申請・承認業務を行っているのかを、フローチャートなどを用いて整理し、現状を正確に把握(見える化)します。
2. 課題の洗い出し
次に、現状の手続きに潜む問題点や課題を特定し、あるべき理想の姿を描きます。
時間がかかりすぎている、ミスが発生しやすいといった現状の問題点を関係者へのヒアリングを通じて抽出し、それらを解決した理想のワークフローを定義します。なぜ時間がかかるのか、なぜミスが起きるのかといった根本原因を探り、それを取り除く新しい業務フローを設計することが重要です。
3. 承認ルートの最適化
理想のフローを実現するためには、承認ルートの見直しが必要です。
不要な承認ステップを削減し、業務内容や役職に応じて代理承認を設定するなど、承認手続きをできる限りシンプルかつ柔軟にすることで、意思決定の迅速化を図ります。本当にその承認者の決裁が必要かという視点で見直し、不要な階層をなくします。また、申請内容に応じて承認ルートを自動で分岐させたり、承認者の長期不在に備えて代理承認者を設定したりすることで、業務が滞留しない仕組みを作ります。
4. 運用ルールの整備と全社への周知徹底
新しいワークフローを円滑に導入・定着させるためには、全従業員が確実に利用できるように運用ルールを整備し、丁寧に説明することが重要です。
申請の締め切り、緊急時の対応、差し戻し時のルールなどを明確に文書化し、説明会の開催や分かりやすいマニュアルの配布を通じて、新しい運用方法と導入のメリットを全従業員に周知徹底します。なぜワークフローを変更するのか、それによって従業員にどのようなメリットがあるのかを丁寧に説明し、協力を得ることが成功のポイントです。
勤怠管理のワークフローをシステム化するメリット
勤怠管理に特化したワークフローシステムを導入することは、申請・承認業務の劇的な効率化、コンプライアンス強化、人的ミスの削減といったメリットをもたらします。
申請・承認業務のスピードアップ
勤怠管理のワークフローをシステム化する最大のメリットは、申請から承認までの手続きをオンライン上で完結できることによる業務のスピードアップです。
時間や場所を問わずに申請・承認が可能になるため、意思決定の時間が大幅に短縮され、同時に申請書の印刷や保管が不要になることで、ペーパーレス化が実現します。従業員はスマートフォンやPCからいつでも申請でき、承認者は出張先やテレワーク中でも通知を受け取り、迅速な判断が可能です。
内部統制とコンプライアンスの強化
ワークフローシステムでは、あらかじめ設定した承認ルートやルールに従って申請・承認が自動的に制御されるため、不正な申請や承認の見逃しを防ぎ、内部統制を強化できます。
たとえば、36協定の上限時間を超える残業申請にアラートを出したり、特定の役職者でないと承認できないようにしたりするルールをシステムに組み込めます。また、誰が・いつ・何を承認したかという操作履歴がすべて記録されるため、監査対応においても客観的な証跡として活用できます。
人的ミスの削減
手作業をなくすことで、入力ミスや計算ミスを削減できます。
勤怠打刻データと各種申請データがシステム上で自動的に連携・集計されるため、手作業による転記ミスや計算ミスがなくなり、給与計算の元となる勤怠データの正確性が向上します。また、人事・労務担当者は月末の集計・転記作業から解放され、データチェックと確定作業に集中できます。
多様な働き方への対応
テレワークやフレックスタイム制、時短勤務など、場所や時間にとらわれない働き方においても、円滑な申請・承認手続きを実現します。これにより、従業員の手続き上の負担やストレスが軽減され、結果として満足度向上が期待できます。管理職は従業員の働き方を問わず、その勤怠を正しく把握でき、厚生労働省のガイドラインに沿う形で適切な労働時間管理を行うことができます。
勤怠管理のワークフロー改善に必要なシステムの選び方
自社に最適なツールを選ぶためには、機能や価格だけで判断せず、自社の運用に本当に適合するかを見極めることが重要です。
一体型か専用システムか
勤怠管理のワークフローの電子化は、勤怠管理システムとの一体型か、汎用的なワークフロー専用システムのどちらかで実現できます。
勤怠管理に特化した課題解決が目的なら勤怠管理システム一体型が、勤怠管理以外の稟議など社内全体の申請業務を電子化したい場合はワークフロー専用システムが適しています。多くの場合、データ連携の手間がかからず、勤怠情報との自動連携がスムーズな一体型が効率的です。
自社の就業規則や承認フローへの適合
勤怠管理システムの機能が、自社の複雑な就業規則や独自の承認フローに柔軟に対応できるかも、重要な選定基準の一つです。
フレックスタイム制、変形労働時間制といった多様な勤務形態や、自社特有の複雑な承認ルートに標準機能で対応できるか、あるいはカスタマイズで実現可能かを確認する必要があります。無料トライアル期間などを活用し、自社の最も複雑な勤務パターンの従業員を想定して、実際に設定を試してみることが不可欠です。
従業員が直感的に使えるか
毎日使うツールだからこそ、ITに不慣れな従業員でも直感的に使えるかどうかは、導入後の定着を大きく左右します。
従業員と管理者の両方の画面で、マニュアルを見なくても操作できるようなシンプルで分かりやすいインターフェースを備えていることが理想です。簡単なログイン方法、見やすいダッシュボード、マルチデバイス対応は必須項目です。また、導入時やトラブル発生時に迅速なサポートを受けられる体制が整っているかも確認すべき重要なポイントです。
料金体系と将来的な拡張性
初期費用や月額費用だけでなく、将来的な従業員数の増加や機能追加の可能性も視野に入れて、長期的なコストパフォーマンスを評価します。
料金体系が利用者数に応じた従量課金制なのか、機能に応じたプラン制なのかを確認し、自社の規模や将来計画に合ったものを選びます。また、更なる業務効率化のために、給与計算会計、人事・労務管理(人事評価等)など、他のシステムとの連携可否についても確認しておきましょう。
勤怠管理のワークフローを見直しましょう
勤怠管理のワークフローを見直すことは、単に申請・承認の手間を省くだけではありません。それは、コンプライアンスを遵守し、多様な働き方を支える経営基盤を構築することです。従業員と管理者の双方の負担を軽減し、より生産的な業務に集中できる環境を整えることは、従業員のエンゲージメントを高め、企業の持続的な成長を支える力となります。この記事が、貴社の人事・労務管理の仕組みを最適化するための、確かな一歩となれば幸いです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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