• 更新日 : 2026年4月2日

リファラル採用をツールで効率化するには?選び方や税務処理、法的ルールを解説

Pointリファラル採用を成功させるには?

社員の知人紹介をデジタル化すれば、採用コストを抑えつつ定着率の高い組織作りにつなげられます。

  • 採用業務の抜け漏れを防げる
  • 採用単価を大幅に下げられる
  • 入社後のミスマッチをなくせる

リファラル採用ツールの導入には、社員が使いやすい操作性を見極め、紹介報酬を給与として正しく支払うための就業規則の整備や税務処理を整えましょう。

リファラル採用ツール(社員紹介採用システム)とは、従業員が知人を会社に紹介するリファラル採用の進捗管理・連絡業務をデジタル化するシステムです。正しく導入・運用すれば、採用単価の削減と入社後の定着率向上につながります。本記事ではリファラル採用システムの選び方・導入手順と、就業規則・税務上の注意点まで解説します。

リファラル採用ツールとは?

リファラル採用ツールとは、従業員の知人紹介採用にかかる業務を一元管理し、人事担当者と紹介者・候補者の三者間コミュニケーションをデジタル化するシステムです。矢野経済研究所の2025年調査では、リファラル採用の実施経験がある企業の割合が50.1%となっており、リファラル採用の需要の高さを示しています。

参照:リファラル採用・アルムナイ採用支援サービス市場に関する調査を実施(2025年)|株式会社矢野経済研究所

社員からの紹介状況を一元管理できる

ツールを導入すると、複数の紹介経路から生じる情報を一画面で管理でき、手作業による抜け漏れ、転記ミスをなくせます。
リファラル採用ツールに搭載されている主な機能は以下の通りです。

  • 求人情報のワンタップ共有:募集要項をLINEやSNSで知人へすぐに送信できる
  • 選考状況のリアルタイム可視化:誰がどの選考ステップにいるかを即時把握できる
  • 紹介者への自動通知:選考が進んだタイミングで社員に自動で進捗を知らせる
  • 三者間チャット:人事・紹介者・候補者がシステム内でやり取りできる

これらの機能により、情報が一元化されることで、担当者が変わっても対応品質が均一に保たれるメリットもあります。

採用単価をエージェント利用より抑えられる

リファラル採用ツールを活用すると、エージェント利用と比べて採用単価を抑えながら、定着率も高められます。人材紹介会社を利用した場合の採用単価は想定年収の30〜35%が相場で、年収500万円の人材なら約150万円の手数料が発生します。

近年は人材獲得競争の激化で外部媒体の掲載費も高騰しており、採用コストの削減は多くの企業にとって優先課題となっています。

参照:マイナビ「中途採用状況調査2025年版」(採用費用総額は平均650.6万円)|マイナビキャリアリサーチLab

年間5名採用する企業であれば、人材紹介会社経由では約750万円かかるのに対し、リファラル採用に切り替えると紹介報酬100万円+ツール年間利用料60万円の合計160万円で済みます。差額の約590万円を既存社員の待遇改善や事業投資に充てられます。

入社後の定着率が上がる

リファラル採用では、紹介者が社風や業務の実態を事前に伝えるため、入社後のギャップが少なく定着率が上がる傾向があります。多額の費用をかけて採用しても数ヶ月で退職されれば投資が無駄になります。採用コストを抑えながら定着率も高められる点が、リファラル採用の強みです。

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リファラル採用ツールの選び方は?

自社に合うツールを選ぶ鍵は、社員が日常業務の延長で使える操作性と、既存システムとの連携のしやすさです。導入後に社内で継続して運用できる仕組みかどうかを軸に評価し、無料トライアルで現場担当者に操作感を確認してもらうとよいでしょう。

社員が使いやすい操作性か確認する

社員が自発的に紹介するには、ログインや求人共有の手間を減らすことです。スマートフォンから数タップで求人を共有できる設計などであれば、気軽に紹介できるでしょう。

使いやすさを評価する際は、以下の機能があるかを確認してください。

  • スマートフォンアプリ対応:移動中や休憩時間に求人を確認・共有できる
  • SNS連携:LINEやFacebookで求人URLをワンタップ送信できる
  • シングルサインオン(SSO):既存システムと同一IDで自動ログインできる
  • 参加促進機能:紹介アクションに応じてポイントが付与されるゲーム的な仕組み

SlackやMicrosoft Teamsなどの社内チャットツールに求人通知が自動で届く機能があると、社員が意識しなくても情報が目に入るため参加率が上がります。日常のコミュニケーションの流れに採用活動を組み込めるかどうかが、ツール定着の分岐点になります。

既存の採用管理システムと連携できるか

リファラル経由の応募者データが既存の採用管理システム(ATS)に自動連携されるかどうかも検討しましょう。連携がないと他経路の応募者と別々に管理する二度手間が生まれ、手動転記による入力ミスも発生します。
事前にベンダーへAPI連携やCSV取り込みの仕様を確認しておくことで、導入後の余計な事務作業を防げます。すでに特定のATSを使っている場合は、そのシステムとの連携実績があるかも選定基準に加えましょう。

運用サポート体制が充実しているか

リファラル制度を社内に定着させるには、ツール導入後の運用支援が不可欠です。初期設定・運用ルール策定・社員への浸透施策など、導入時に検討すべき事項は多岐にわたります。自社のリファラル採用の経験値に合わせてサポートレベルを選ぶことが定着への近道です。

サポートレベル提供内容の例向いている企業
基本サポートのみマニュアル提供・チャット操作案内すでにリファラル採用の文化が根付いている企業
運用支援あり社内ポスター・説明会資料の提供初めてリファラル採用を本格導入する企業
伴走型コンサルキックオフ説明会登壇・データ分析と改善提案専任の人事担当者がなく、ノウハウがない企業

リファラル採用の紹介報酬にかかる税務処理は?

リファラル採用で社員に支払う紹介報酬は、名目にかかわらず給与所得として源泉徴収が必要です。誤った経理処理は税務調査で指摘を受けやすく、追徴課税につながるリスクがあります。

紹介報酬は給与として源泉徴収が必要

社員への紹介報酬は、名目が「報奨金」や「お礼」であっても、雇用関係にある従業員への労働対価とみなされるため、原則として給与所得に該当します。現金や商品券で直接手渡しして経費処理するケースは税務調査で指摘されやすく、後から追徴課税を受けるリスクがあります。

正しい経理処理の手順は以下の通りです。

  1. 支払確定月に給与計算システムで課税対象の支給項目として入力する
  2. 給与総額に合算し、通常通り所得税の源泉徴収額を計算する
  3. 社会保険料の算定基礎に含めるかどうかは、顧問税理士・社労士に事前確認する

制度として定常的に支給する場合は社会保険料の対象となる可能性が高いため、支給開始前に顧問税理士・社労士へ確認しておくことをお勧めします。一時的な恩恵的給付とみなされる場合は対象外になることもありますが、判断が難しいケースも多いため、個別の確認が必要です。

参照:厚生年金保険の保険料|日本年金機構

外国籍社員・業務委託者への支払いは別途確認が必要

紹介者が外国籍社員や業務委託契約者の場合、税務・社会保険の取り扱いが正社員と異なるため注意が必要です。
外国籍社員に報酬を支払う場合、居住者・非居住者の区分によって源泉徴収税率が変わります。日本に住所を有し1年以上居住する場合は居住者として通常の給与所得課税が適用されますが、非居住者の場合は原則20.42%の源泉徴収が必要です。

業務委託契約者(フリーランス・個人事業主)は雇用関係がないため、給与所得ではなく雑所得または事業所得として扱われます。支払調書の発行が必要になるほか、報酬支払いが職業安定法上の「有料職業紹介」に該当するリスクも高まります。業務委託者を制度の対象に含める場合は、事前に社労士・税理士へ相談することをお勧めします。

参照:日本における給与に係る源泉徴収制度の概要|国税庁

リファラル採用制度の設計と法令上の注意点は?

制度を適法に運用するには、就業規則への明記・ハラスメント防止策・職業安定法への対応の三点を事前に整備することが重要です。いずれかが欠けると、法令違反や社員間のトラブルに発展するリスクがあります。

就業規則に支払い条件を明記する

紹介報酬を制度化するには、労働基準法第89条に基づき就業規則(賃金規程)への明記と、管轄の労働基準監督署への届け出が必要です。これを怠ると「言った・言わない」のトラブルになりやすく、社員からの信頼も損なわれます。制度開始前に必ず整備してください。

参照:労働基準法第89条(就業規則)|e-Gov法令検索

就業規則に定めるべき主な項目は以下の通りです。

  • 支給対象者:正社員のみか、契約社員・アルバイトも含めるか
  • 支給要件:入社時点か、試用期間終了後か(3〜6ヶ月の継続勤務を条件とする企業が多い)
  • 支給金額:一律定額か、職種・役職によって変動させるか
  • 返還規定:支給後すぐに紹介者・被紹介者が退職した場合の取り扱い

特に支給要件と返還規定は、紹介者本人が支給直後に退職した場合や、入社した知人が短期間で辞めた場合など、イレギュラーな事態を想定して明確にルール化しておく必要があります。

ハラスメントリスクと強制紹介の禁止を明記する

リファラル採用制度を導入する際は、紹介はあくまで任意であり参加しない社員が不利益な扱いを受けないことを、就業規則または制度規程に明記することが重要です。強制的な紹介依頼はハラスメントに該当するリスクがあります。

特に注意が必要なケースは以下の通りです。

  • 上司が部下に対して特定の候補者の紹介を繰り返し求める(パワハラに該当するリスク)
  • 紹介件数の少ない社員に対して、評価や昇進への影響を示唆する
  • 入社した知人が早期退職した際に、紹介者を責めたり報酬を一方的に返還させる

制度説明会の場で「参加は任意である」「紹介の有無は評価に影響しない」ことを明示し、全社員へ周知しておくことがトラブル防止につながります。

職業安定法上の適法な制度設計

職業安定法第40条は、報酬を伴う労働者の紹介を原則禁止していますが、自社の社員が業としてではなく例外的に知人を紹介する場合は適法とされています。この場合、紹介報酬を「紹介手数料」名目ではなく「会社への貢献に対する給与の一部」として就業規則上に位置付けることが、法令遵守の観点から重要です。

名目の付け方一つで違法と判断されるリスクがあるため、制度設計の段階で社労士に確認しながら進めることをお勧めします。

参照:職業安定法第40条(報酬の供与の禁止)|e-Gov法令検索
参照:募集・求人業務取扱要領(報酬の受領及び供与の禁止)|厚生労働省職業安定局

リファラル採用ツール導入の手順は?

リファラル採用ツールの導入は、一部署でのテスト運用から始め、成果を確認してから全社展開する順番がよいでしょう。段階的に進めることで、現場の疑問を先回りして解消しながら定着させられます。

まずは一部署でテスト導入する

最初のテスト先は、採用緊急度が高く社員間のコミュニケーションが活発な部署(エンジニア部門・営業部門など)が適しています。少人数のチームで1ヶ月間運用し、以下の点を検証します。

  • 操作方法に関する社員からの質問の量と内容
  • 反応を得やすい募集文面やSNS投稿のパターン
  • 人事担当者の設定作業や応募者対応に無理がないか

この期間に発生した疑問はよくある質問集にまとめておくと、全社展開時の混乱を防げます。

社員向け説明会で制度の目的を周知する

全社展開時に伝えるべきことは、ツールの使い方や報酬額だけではありません。「なぜリファラル採用を強化するのか」という経営陣の背景と熱意を共有することで、社員の共感を生み、良質な紹介につながります。欠員補充ではなく、会社を一緒に成長させる仲間を探しているというメッセージが重要です。

定期的な情報発信と効果測定を継続する

説明会だけでは社員の関心は時間とともに薄れます。制度を継続的に機能させるには、社内報やチャットツールを通じた定期発信が欠かせません。効果測定では紹介数・選考通過率・定着率・採用単価を月次で追い、改善サイクルを回すことが重要です。具体的なアクション例は以下の通りです。

  • 毎月第1月曜日に注力求人をチャットツールで全社発信する
  • リファラル入社者と紹介者のインタビューを社内報で共有する
  • 面談実施だけで少額インセンティブを付与するキャンペーンを行う
  • 半期ごとの全社集会で紹介実績の多い社員を表彰する
  • 経営層自らが制度を活用し、その実績を社内に発信する

ツールはあくまで業務効率化の手段です。地道な社内広報と組み合わせることで、採用力の継続的な向上につながります。

リファラル採用ツールで採用単価を下げ定着率を高めよう

リファラル採用ツールを適切に導入すると、採用単価の削減と定着率向上につながります。選定では社員の操作性と既存ATSとの連携を優先し、自社の状況に合ったシステムを選んでください。
制度設計では紹介報酬の給与課税処理・就業規則への明記・職業安定法上の位置付けを事前に整備し、社員が安心して参加できる環境を整えることが重要です。ツール導入後は一部署からテスト運用を始め、定期的な情報発信と効果測定を続けることで、リファラル採用が採用力を支える柱に育ちます。


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