• 更新日 : 2026年1月28日

年末調整でふるさと納税はどう処理する?控除の流れや注意するべきポイントなど解説

年末調整の時期になると、従業員から「ふるさと納税寄附金控除)の手続きは会社でできますか?」という問い合わせが増え、対応に追われる人事労務担当者も少なくありません。ふるさと納税は、原則として従業員自身で行う手続きであり、会社の年末調整とは明確に区分する必要があります。

この記事では、人事労務の初心者が知っておくべき年末調整とふるさと納税の関係性、そして従業員が迷いやすい「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の選び方や手順について解説します。人事担当者の方は社内周知の参考に、従業員の方はご自身の手続きガイドとしてぜひお役立てください。

目次

年末調整でふるさと納税の控除はできる?

ふるさと納税による寄附金控除は、会社の年末調整で処理することはできません。そのため、年末調整の申告書への記入も不要です。

多くの従業員が誤解しがちですが、年末調整の用紙に寄附金額を記入しても控除は受けられません。会社側で計算が完結する仕組みになっていないため、従業員自身による手続きが必須となります。なぜ会社で処理できないのか、そして人事労務担当者はどう関わるのかについて解説します。

会社の年末調整だけでは完結しない理由

給与所得者の基礎控除申告書」などの用紙に、ふるさと納税の記入欄はありません。

よくある間違いとして、申告書の「備考欄」や保険料控除申告書の余白に「ふるさと納税 ◯◯円」と記入してしまうケースがありますが、これは無効です。 年末調整の実務上、会社側ではふるさと納税(寄附金控除)の計算ができない仕組みになっています。そのため、たとえ用紙に記入して提出しても、会社側では無視せざるを得ません。書類は空欄のまま提出し、別途ご自身で手続きを進めてください。

源泉徴収票の発行準備が必要

年末調整業務と完全に無関係というわけではなく、従業員の確定申告のために「源泉徴収票」の交付が必要となります。

従業員が自分で確定申告を行う際、正確な年収や税額を証明するために、会社が発行する源泉徴収票の内容(原本またはデータ)が不可欠です。人事労務担当者は、年明けに従業員がスムーズに申告できるよう、遅滞なく源泉徴収票を発行・配布する準備を整えておくことが求められます。

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そもそもふるさと納税の仕組みとは?

自治体に寄附を行うことで、寄附額のうち2,000円を超える部分について所得税と住民税の控除が受けられる制度です。

自分の生まれ故郷に限らず、応援したいどの自治体でも選ぶことができます。「税金の前払い」に近い性質を持ちながら、地域貢献と返礼品の受け取りができるため、多くの給与所得者に利用されています。

実質2,000円の負担で特産品などの返礼品がもらえる

寄附金額から自己負担額の2,000円を引いた全額が、税金から控除(還付または減額)されます。

多くの自治体では、寄附への感謝として地域の特産品などを「返礼品」として提供しています。

たとえば、5万円のふるさと納税を行った場合、手続きを正しく行えば、2,000円を超える部分である「4万8,000円」が所得税や住民税から差し引かれます。つまり、実質2,000円の負担だけで、お肉やお米、工芸品などの返礼品を受け取れる点がこの制度の最大の魅力です。

控除額には「上限」があるため事前の確認が必須

年収や家族構成によって、全額控除される寄附金額の上限(限度額)が決まっています。

控除される金額には個人ごとに上限があります。たとえば、上限額を超えて寄附をした場合、超えた分は税金から控除されず、純粋な自己負担(持ち出し)となってしまいます。

損をせずに制度を活用するためには、総務省のサイトやふるさと納税ポータルサイトのシミュレーション機能を使い、自分の年収に応じた上限額を事前に把握しておくことが欠かせません。

ふるさと納税については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

ふるさと納税の控除を受ける方法は?

ふるさと納税の適用を受けるには、年間の寄附先数や他の控除の有無に応じて「確定申告」か「ワンストップ特例制度」のいずれかを選択します。

どちらを選ぶべきかは、「1年間に寄附した自治体の数が5つ以内か」そして「医療費控除などで他に確定申告をする必要があるか」という2点が判断基準となります。

▼ 確定申告とワンストップ特例の比較表

項目確定申告ワンストップ特例制度
利用対象者全員利用可能確定申告が不要な給与所得者
条件特になし寄附先が5自治体以内であること
手続き先所轄の税務署(e-Tax可)各寄附先の自治体
提出期限翌年2月16日〜3月15日翌年1月10日(必着)
控除のされ方所得税からの還付 + 住民税の減額全額が住民税から減額
年末調整必要(源泉徴収票を使う)必要(手続きに直接影響なし)

確定申告

寄附先が6自治体以上ある場合や、医療費控除などで確定申告が必要な方が利用する方法です。

会社で行う年末調整とは別に、従業員自身が税務署へ申告を行います。この際、会社が発行した「源泉徴収票」が必要となります。所得税からの還付と住民税の減額の両方で控除が行われます。

ワンストップ特例制度

寄附先が5自治体以内で、確定申告をする必要がない給与所得者専用の簡易的な方法です。

確定申告を行わず、各自治体へ申請書を郵送するだけで手続きが完了します。控除額の全額が、翌年の住民税から減額される仕組みです。年末調整の手続きには直接影響しません。

ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用する手順は?

専用の申請書を翌年1月10日までに寄附先の自治体へ郵送するだけで手続きが完了します。また、一部自治体ではオンラインでの手続きも可能です。

本来、寄附金控除には確定申告が必要ですが、この特例を使うことで申告義務が免除され、寄附金額に応じた控除額の全額が翌年の「住民税」から差し引かれる形になります。手続きが簡便なため、給与所得者にとって最も利用しやすい方法です。

ステップ1:寄附時に特例制度の利用を希望する

ふるさと納税ポータルサイト等で寄附を申し込む際、「ワンストップ特例制度を利用する」という項目を選択します。これにより、後日自治体から申請書が郵送されるか、オンラインでダウンロードが可能になります。

もし申し込み時に選択し忘れた場合でも、後からご自身で申請書をダウンロードして送付すれば、問題なく制度を利用できます。

ステップ2:特例申請書に記入する

手元に用意した「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に、氏名、住所(翌年1月1日時点のもの)、マイナンバーなどの必要事項を記入します。

申請書には、適用要件(確定申告をしないこと・寄附先が5自治体以内であること)を確認するチェック欄があるため、漏れなく記入しましょう。

ステップ3:本人確認書類を添付して郵送する

マイナンバーカードの両面コピー、または通知カード(記載事項に変更がないもの)と身分証明書(運転免許証など)のコピーを台紙に貼り付け、寄附をしたすべての自治体へ個別に郵送します。

ステップ4:完了通知を確認する

自治体での処理が完了すると、受付完了の連絡がメールや書面で届きます。これで手続きは完了です。

万が一、数週間経っても通知が届かない場合は、書類の不備や郵送事故の可能性があるため、寄附先の自治体へ直接問い合わせると安心です。

注意:1月10日の必着期限

申請書の提出期限は翌年の1月10日(必着)です。年末ギリギリに寄附をした場合は郵送が間に合わない可能性があるため、オンライン申請に対応している自治体を選ぶか、速達を利用するなどの対策が必要です。

もし期限に間に合わなかった場合でも、控除を諦める必要はありません。「確定申告」へ切り替えることで、問題なく税金の控除が受けられます。

確定申告でふるさと納税の控除を受ける手順は?

会社から受け取る「源泉徴収票」と自治体からの「寄附金受領証明書」を用意して、税務署へ確定申告を行います。

寄附先が6自治体以上ある場合や医療費控除等がある場合は、ワンストップ特例の条件から外れるため、原則通り確定申告を行わなければ控除が適用されません。この手続きを行うことで、その年の所得税から還付金が戻り、翌年の住民税も減額されます。

ステップ1:会社から「源泉徴収票」を受け取る

12月または1月の給与支給時に会社から発行される「給与所得の源泉徴収票」を準備します。確定申告書の作成には、源泉徴収票に記載された支払金額や源泉徴収税額の正確な入力が不可欠です。

ステップ2:寄附金の証明書を準備する

各自治体から送られてくる「寄附金受領証明書」をすべて揃えます。

近年は、主要なポータルサイトが発行する「寄附金控除に関する証明書(年間分をまとめたXMLデータや書面)」を利用した代用が可能になり、手間が大幅に削減されています。

ステップ3:確定申告書を作成・提出する

国税庁の「確定申告書等作成コーナー(e-Tax)」などを利用して申告書を作成します。

  • 給与情報の入力:源泉徴収票の内容を転記します。
  • 寄附金の入力:寄附年月日、寄附先、金額を入力します。

作成したデータはe-Taxで送信するか、印刷して管轄の税務署へ郵送・持参します。

年末調整とふるさと納税の手続きで注意すべきポイントとは?

従業員は「会社任せにしないこと」、人事担当者は「事前の周知」がトラブル回避の鍵となります。

ふるさと納税は、個人の税務手続きと会社の給与事務が交差する領域です。お互いに誤解が生じやすいポイントであるため、それぞれの立場で以下の点に注意してください。

【従業員向け】年末調整の書類に寄附金額を書かない

ふるさと納税の金額を年末調整の申告書(基礎控除申告書などの摘要欄)に記入する必要はありません。

よくある間違いですが、会社に寄附額を伝えても、会社側で税金の控除処理を行うことはできません。記入しても「税務署へご自身で申告してください」と返却されるだけですので、社内書類は空欄のまま提出し、別途「ワンストップ特例」か「確定申告」の手続きを進めてください。

【従業員向け】会社から貰う「源泉徴収票」を絶対に捨てない

確定申告を行う場合、会社発行の「源泉徴収票」の原本またはデータが必須となります。

12月〜1月頃に会社から渡される源泉徴収票は、あなたの1年間の収入と納税額を証明する重要書類です。これがないと確定申告書が作成できません。再発行には時間がかかる場合があるため、手元に届いたら大切に保管してください(ワンストップ特例のみの方は使用しませんが、保管が推奨されます)。

【人事労務担当者向け】「会社では手続きできない」と事前に周知する

「会社でやってくれると思っていた」という誤解や、担当者への個別問い合わせを防ぐためです。

年末調整の案内を行う際、あらかじめ「ふるさと納税は年末調整の対象外です」と釘を刺しておくことが業務効率化につながります。特に11月の書類配布時と、12月〜1月の源泉徴収票配布時の2回、リマインドを行うのが効果的です。

【人事労務担当者向け】そのまま使える社内通知用テンプレートを活用する

従業員への案内メールやチャット、掲示板などで以下の定型文を活用し、周知徹底を図りましょう。

ゼロから文面を作成する手間を省き、必要な情報を漏れなく伝えることができます。以下のテキストをコピー&ペーストしてご利用ください。

【ふるさと納税(寄附金控除)に関するご案内】

従業員の皆様

ふるさと納税の控除手続きは、会社の年末調整では行えません。

控除を受けるためには、ご自身で以下のいずれかの手続きをお願いします。

  1. ワンストップ特例制度:申請書を各自治体へ郵送(1/10必着)
  2. 確定申告:税務署へ申告書を提出(2/16〜3/15)

※確定申告を行う場合は、会社が発行する「源泉徴収票」が必要になります。再発行には時間がかかりますので、大切に保管してください。

年末調整とふるさと納税に関するよくある質問(FAQ)

Q. ワンストップ特例の申請後に確定申告をしたらどうなる?

A. 確定申告を行うと、それまでに提出済みのワンストップ特例申請はすべて「無効」となります。

これは「確定申告の内容が優先される」ためです。たとえば、「ワンストップ特例を済ませた後に、医療費控除のために確定申告をした」というケースでは、確定申告書の中にふるさと納税の情報を記載し忘れると、寄附金控除が一切適用されなくなってしまいます。

  • 対処法:確定申告を行う場合は、すでに特例申請書を送付済みであっても、必ず確定申告書に「全てのふるさと納税の寄附金」を含めて申告し直してください。

Q. 引越しで住所が変わった場合の手続きは?

A. 寄附をした翌年の1月1日時点の住所に基づいて手続きを行う必要があります。

住民税は毎年1月1日時点の居住地に課税されるためです。選択している制度によって対応が異なります。

  • ワンストップ特例の方:翌年1月10日までに、寄附先の各自治体へ「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を提出してください。
  • 確定申告の方:確定申告書の住所欄に「新しい住所」を記載して提出すれば完了です。別途、自治体への変更届等は不要です。

Q. ふるさと納税の控除結果はいつ、どこで確認できる?

A.手続きをした翌年の5月〜6月頃に会社から配られる「住民税決定通知書」の摘要欄で確認できます。

通知書の左下にある「摘要欄」または「税額控除額」の欄に「寄附金税額控除額:◯◯円」といった記載があり、その金額が「(寄附した合計額)ー 2,000円」と同額であれば、手続きは成功しています。 ※確定申告を行った場合は、すでに還付された所得税分と住民税の控除分を合算して計算します。

Q. 12月31日の駆け込み寄附は間に合う?

A.「決済完了」が年内であれば間に合いますが、支払い方法に注意が必要です。

ふるさと納税の期限は「1月1日〜12月31日」の受領分です。

  • クレジットカード決済:12月31日 23:59までに決済が完了していれば、その年の寄附として扱われます。
  • 銀行振込・コンビニ払い:年内の入金確認が間に合わない可能性があるため、年末ギリギリの場合は避けたほうが無難です。

Q. ワンストップ特例の申請期限(1/10)に間に合わない場合は?

A.「オンライン申請」を利用するか、「確定申告」に切り替えてください。

1月10日必着に郵送が間に合わない場合の対処法は2つです。

  1. オンラインワンストップ申請:マイナンバーカードがあれば、スマホから即時申請できる自治体が増えています。郵送不要で期限ギリギリでも間に合います。
  2. 確定申告へ切り替え:ワンストップ特例はあきらめて、2月16日からの確定申告を行ってください。これで問題なく控除が受けられます。

年末調整とふるさと納税の手続きを理解し、スムーズな業務を実現しよう

この記事では、年末調整とふるさと納税の関係性、そして従業員が行うべき「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の具体的な手順について解説しました。

人事労務担当者にとっては、従業員からの問い合わせに的確に答えられるよう制度の違いを把握し、事前の周知や源泉徴収票の早期発行を行うことが、年末の繁忙期をトラブルなく乗り切る鍵となります。正しい知識で従業員をサポートし、効率的な業務遂行を目指してください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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