• 更新日 : 2026年1月20日

給与計算の依頼先は社労士か税理士か?費用相場と選び方を徹底解説

給与計算の依頼は、社会保険労務士(社労士)や税理士、専門のアウトソーシング会社へ外注するのが一般的であり、正確な業務遂行とコスト削減につながります。

専門家へ依頼することで、毎月の煩雑な残業代計算や社会保険料の控除、頻繁な法改正への対応といった負担から解放されるでしょう。

本記事では、2026年時点での報酬相場や、税理士に依頼する場合の法律上の注意点、自社に合った依頼先の選び方をわかりやすく解説します。

給与計算を社労士に依頼する場合の業務範囲とは?

社会保険労務士(社労士)への依頼は、給与計算だけでなく、それに付随する社会保険手続きや労務相談までをワンストップで任せられる点が最大の特徴です。

人事・労務の専門家であるため、単なる計算代行にとどまらず、適法な労務管理体制の構築をサポートしてもらえるでしょう。

社労士に依頼できること

社労士は、労働基準法や労働保険・社会保険諸法令に基づく業務を独占業務として持っています。そのため、以下の業務を包括的に依頼できます。

  1. 月次の給与計算・賞与計算
    勤怠集計から総支給額、控除額の算出、明細書作成まで行います。
  2. 社会保険・労働保険の手続き(独占業務):
    入社・退社時の資格取得・喪失届、算定基礎届、労働保険の年度更新などの書類作成と提出代行が可能です。
  3. 労務相談・コンサルティング:
    「残業代の計算方法は正しいか」「就業規則を変えたい」といった法律に関わる相談に対応できます。
  4. 助成金の申請代行:
    キャリアアップ助成金など、厚生労働省管轄の助成金の申請代行を行います。

社労士に依頼できないこと

一方で、税金に関する手続きは税理士の独占業務であるため、社労士は以下の業務を行うことができません。

  • 年末調整の「税務書類」の作成・申告:
    給与計算の一環として年末調整の計算を行うことは可能ですが、扶養控除等申告書の受理や、税務署への法定調書提出などの税務代理はできません。
  • 源泉所得税の納付書作成:
    税額の計算はできますが、納付書の作成代理は税理士法により制限されます。

※多くの社労士事務所は提携税理士を通じて対応するか、データのみを作成し、提出は企業側(または顧問税理士)が行うという形式をとっています。

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税理士に給与計算を依頼する場合の業務範囲とは?

税理士への依頼は、決算や税務申告の流れでスムーズに年末調整まで完結できる利点がありますが、社会保険手続きに関しては法的な制限(違法リスク)があるため注意が必要です。

すでに顧問税理士がいる場合、窓口を一本化できるメリットは大きいものの、労務分野のカバー範囲を正しく理解しておく必要があります。

税理士に依頼できること

税理士は税金のプロフェッショナルであり、以下のようなお金と税に関する業務を一貫して依頼できます。

  1. 月次の給与計算・賞与計算:
    税務業務に付随する業務として認められており、問題なく依頼できます。
  2. 年末調整業務のすべて:
    計算から申告書のチェック、源泉徴収票の発行、税務署への提出まで、税理士の本来業務として完全に対応可能です。
  3. 源泉所得税の納付管理:
    毎月の源泉所得税の納付書作成や、納期の特例の申請などがスムーズに行えます。

税理士に依頼できないこと(違法となるケース)

最も注意すべき点は、社会保険・労働保険の手続き代行は社会保険労務士の業務と位置づけられているため、税理士が代理で行うことは認められていないという点です。

  • 社会保険の資格取得・喪失届の作成・提出:
    従業員の入退社に伴うハローワークや年金事務所への手続きはできません。
  • 算定基礎届・月額変更届の提出:
    年に一度の算定基礎届などは社労士の業務です。
  • 就業規則の作成や具体的な労務相談:
    一般的なアドバイスは可能ですが、就業規則の作成・改正を業として行うことはできません。

税理士に給与計算を依頼する場合は、社会保険の手続きが発生した際に「自社でやる」か「別途社労士を紹介してもらう」必要があることを覚えておきましょう。

給与計算の依頼にかかる報酬相場は?

給与計算のアウトソーシング費用の相場は、「基本料金(月額1万~2万円)+従業員1人あたり500円~1,000円」程度が一般的です。

依頼先の専門性やオプションサービスの有無によって料金は変動します。安さだけで選ぶと、後から「年末調整は別料金だった」「明細書の郵送代が高い」といった追加コストが発生することもあるため、トータルコストでの比較が大切です。

依頼先別の料金目安と内訳

依頼先ごとの相場感は以下のとおりです。

  1. 社会保険労務士事務所の場合
    • 基本料金:20,000円~
    • 1人あたりの単価:500円~1,000円程度
    • 特徴:労務顧問契約(月額3万円~)とセットにすることで給与計算料金が割引される場合やスポット対応のみでは若干高めになるケースもあります。
  2. 税理士事務所の場合
      • 基本料金:10,000円~(税務顧問料に含まれる場合あり)
      • 1人あたりの単価:500円~1,000円程度
    • 特徴:税務顧問料に含めて対応する場合もあり、年末調整費用の扱いなど契約条件を確認することが重要です。
  3. 給与計算代行会社の場合
    • 基本料金:10,000円~
    • 1人あたりの単価:400円~800円程度
    • 特徴:従業員数が多いほど単価が下がる傾向があり、オプションサービスの有無で料金が変動します。

給与計算を依頼するのに向いている企業・タイミング

従業員数が10名を超えた場合や、専任の事務員が退職したタイミングが、給与計算を外部へ依頼するのに適しています。

経営者自らが計算を行っている場合、従業員が数名のうちはなんとか対応できますが、10名を超えると手続きの頻度や計算の複雑さが急増し、本業に支障をきたす恐れがあります。

また、担当者が急に辞めてしまい、ブラックボックス化した給与計算を引き継げないというリスク回避のためにアウトソーシングを検討する企業も増えています。

外部委託によるメリットが大きいケース

以下のような状況にある企業は、依頼による費用対効果が高いといえます。

  1. 担当者が一人しかいない(属人化している):
    担当者が休んだり退職したりすると給与計算業務が滞るリスクがあります。外部委託はBCP(事業継続計画)の観点からも有効です。
  2. 法改正のキャッチアップができていない:
    雇用保険料率の変更や最低賃金の改定など、最新情報を追いきれない場合はプロに任せるのがおすすめです。計算ミスによる未払い賃金リスクを防げます。
  3. 変形労働時間制などを導入している:
    シフト制やフレックスタイム制など、残業代の計算が複雑な勤務形態をとっている場合、自社計算ではミスが起きやすくなります。

給与計算を依頼するまでの手順は?

依頼先を選定してから実際の運用が始まるまでには、通常1ヶ月から2ヶ月程度の準備期間が必要です。

急に「来月からお願いしたい」と依頼しても、データ移行や設定が間に合わないことがあります。余裕を持ったスケジュールで進めることが、ミスなく移行するためのポイントです。

STEP 1:現状把握と要件定義

まず、自社の給与計算ルールを整理します。「締め日・支払日」「手当の種類」「残業代の計算式」「通勤交通費の支給ルール」などを洗い出しましょう。就業規則や賃金規程が実態と合っているかどうかも確認が必要です。

この段階で、「タイムカードの集計から頼みたいのか」「勤怠データはCSVで渡せるのか」といった委託範囲も決定します。

STEP 2:見積もり取得と依頼先選定

複数の社労士事務所や代行会社から見積もりを取ります。金額だけでなく、以下の点もチェックしてください。

  • 担当者のレスポンスの早さ
  • 使用している給与計算システム(自社の勤怠システムと連携できるか)
  • セキュリティ体制(PマークやISMSの取得有無など)

STEP 3:初期設定と並行稼働(テストラン)

契約後、従業員情報や過去の賃金台帳を依頼先へ渡します。依頼先はそのデータを基にシステム設定を行います。

移行リスクを減らすため、最初の数ヶ月は「自社での計算」と「委託先での計算」を並行して行い、結果が一致するか確認する(並行稼働)期間を設けるのが理想的です。計算結果にズレがあった場合、ルールの解釈違いや設定ミスを修正します。

クラウドソフト導入+社労士チェックの「ハイブリッド依頼」

近年増えているのが、給与計算自体は自社のクラウドソフトで行い、「設定の確認」や「毎月の最終チェック」だけを社労士に依頼するという方式です。

コストを抑えつつ依頼をすることで正確な給与計算を実現できます。

コストと安心感を両立する仕組み

この方式では、マネーフォワードクラウド給与などのクラウドシステムを自社で導入し、そのアカウントを社労士と共有します。

  1. 日常業務:勤怠の打刻や承認は自社で行います。
  2. データ連携:勤怠データが自動で給与ソフトに連携されます。
  3. 専門家チェック:社労士がログインし、計算結果や社会保険料率の設定に間違いがないか確認します。
  4. 確定:チェック完了後、自社で振込手続きを行います。

この方法であれば、面倒なデータ入力は自動化・自社化しつつ、計算ミスや法改正対応の不安だけを専門家のアドバイスで解消できます。報酬もフルアウトソーシングより安価に設定されていることが多いため、ITツールの活用に抵抗がない企業には有力な選択肢となるでしょう。

自社に最適な給与計算の依頼先を選び、本業に集中できる環境を

給与計算の依頼は、社内の業務効率化とコンプライアンス遵守を実現する有効な手段です。

依頼先を検討する際は、以下のポイントを整理するとミスマッチを防ぎやすくなります。

  • 労務相談や社会保険手続きまで含めて任せたいなら社会保険労務士
  • 税務申告や年末調整まで一括で依頼したいなら税理士(ただし社会保険手続きは別途対応が必要)
  • まずはコストを抑えて計算業務のみ外注したいなら給与計算代行会社

2026年以降も、社会保険の適用拡大やデジタル給与払いなど、給与計算を取り巻く環境は変化し続けます。自社のリソースを計算業務に割くのではなく、専門家へ適切に委託することで、経営者や担当者がより付加価値の高い業務に集中できる体制を整えることが重要です。


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