• 更新日 : 2026年3月10日

商号変更(社名変更)の登記手続きとは?自分で申請する方法や依頼する場合を解説

Point商号変更(社名変更)の登記手続きとは?

株主総会での特別決議を経て定款を変更し、その効力発生日から2週間以内に管轄の法務局へ申請を行う一連の手順です。

  • 申請期限は効力発生から2週間
  • 登録免許税は1件につき3万円
  • 自社申請なら専門家報酬を削減可

登記を忘れると、代表者個人に対し「登記懈怠」として100万円以下の過料(罰金)が科されるリスクがあります。

商号変更(社名変更)を行うときは、株主総会などでの決議と定款変更、法務局での登記申請、その後の各種名義変更という流れで進めることになります。社名を変えた日から2週間以内に申請しなければなりません。

社名変更はブランドイメージの刷新や事業拡大のタイミングで行われますが、法務局への届出を忘れると過料(罰金)が発生する恐れがあります。

商号変更(社名変更)の登記とは?

会社の名称(商号)を変更する際は、登記事項の変更も必要です。社名を変更するには定款の書き換えが必要であり、その決定から2週間以内に登記を行うことが法律で義務付けられています。

登記が必要になるのは、登記事項の商号を変えるときであり、屋号やブランド名だけをマーケティング上変える場合は、登記の届け出は不要です。

商号変更登記が必要となる法人形態一覧

法人格を持つ組織が正式名称を変更する場合、原則として登記が必要です。対象となる主な法人形態は以下のとおりです。

登記が必要な法人形態特徴
株式会社株主総会の特別決議が必要
合同会社総社員の同意(または定款の定め)により商号変更
合名会社・合資会社持分会社として、定款変更に伴う登記が必要
一般社団・財団法人名称変更時に登記が必要。社員総会等の決議を伴う
NPO法人・医療法人等各特別法に基づき、名称変更の登記が義務付け

領収書や契約書に記載する正式な会社名を変える際は、必ず商号変更登記をセットで行う必要があります。

商号の変更には定款変更が必要になる

会社名を変えるときは、定款を書き換えなければなりません。株式会社の場合、商号は定款の絶対的記載事項であるため、株主総会の特別決議によって変更を承認する必要があります。決議を経て定款が新しくなった段階で、初めて商号変更の効力が認められるようになります。

法人登記が不要な場合

一方で、登記が不要なケースもあります。個人事業主が使用する「屋号」や、法人がマーケティング目的で使用する「ブランド名(通称)」のみを変更し、法人格としての正式名称を維持する場合は、法務局への届出は必要ありません。

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商号変更の効力発生日や申請期限はいつ?

商号変更の効力は、原則として株主総会で決議された日、または決議で定めた日から発生します。

また、「変更から2週間以内」に商号変更を申請しなければなりません。従って、登記申請日とは必ずしも一致しません。

実務では、株主総会などで定めた効力発生日と、法務局への登記申請期限(原則2週間以内)を意識してスケジュールを組むことが多いでしょう。

商号変更の効力発生日は決議で自由に設定できる

社名の変更が正式に有効となる日は、株主総会で決議した当日とするのが一般的ですが、将来の特定の日付(例えば4月1日の新年度開始日など)を指定することもできます。ただし、決議日よりも前の日付を効力発生日に設定することは認められません。

ケース効力発生日の定め方実務上のポイント
即日効力型株主総会決議日を効力発生日にする決議日以降、社内や契約で新商号を使用
将来日付型「2027年4月1日」などを効力発生日にする年度切替やシステム改修に合わせやすい

将来日付型にする場合、対外的な通知やシステムの名義変更、印刷物の差し替えなどを効力発生日に向けて準備しやすくなる一方、旧社名と新社名が混在する期間が長くなりがちです。

登記の申請期限は変更から2週間以内

会社法第915条第1項により、登記事項に変更が生じたときは「2週間以内」に変更登記をしなければならないと定められています。この期間を過ぎてしまうと、代表者個人に対して100万円以下の「選任懈怠(けたい)」による過料が科されるリスクがあります。

実務上、数日の遅れですぐに罰金がくることは稀ですが、速やかに手続きを済ませるのが賢明です。

商号変更登記は自分でできる?専門家に依頼するか考える

商号変更登記は、法務局のひな型などを参考にしながら進めれば、担当者が自分で行うことも可能です。
一方、定款変更を伴うため、議事録の書き方や添付書類の抜け漏れを防ぎたいと考える場合は、司法書士に依頼するという方法もあります。

自分で商号変更登記を行う場合

自分で商号変更登記を行う場合、登録免許税などの実費だけで済み、外部専門家への報酬は発生しません。
その代わり、議事録や株主リストの作成、申請書の記載などに一定の時間を割くことになります。

自分で行う場合に向いているケースとしては、次のようなものが考えられます。

自分で行う場合に向いているケース
  • すでに会社設立登記などを自社で経験した担当者がいる
  • 株主構成がシンプルで、議事録作成も複雑になりにくい
  • 登記申請の締切に余裕があり、書類作成に時間を割ける

法務局の窓口や公式サイトでも、登記申請書のひな型や記載例が案内されているため、これらを参考に丁寧にチェックしながら進めていくとよいでしょう。

また、法務局で申請書の書き方や必要書類について、相談や具体的なアドバイスを受けることもできます。

参照:登記手続のご案内|東京法務局

司法書士など専門家へ依頼する場合

司法書士に商号変更登記を依頼する場合、書類作成と申請を任せられるため、法的な形式面の不安を減らしやすくなります。
その一方で、報酬が加わるため、総費用としては自分で行う場合より高くなる点には注意が必要です。

専門家へ依頼することを検討しやすいケースを挙げると、次のような状況があります。

専門家に依頼を検討しやすいケース
  • 株主数が多く、議決権や議事録の扱いが複雑になりそう
  • 定款内容を見直す項目が複数あり、あわせて整理したい
  • 商号変更のタイミングで役員変更や本店移転も同時に行う

社内のリソース状況やスケジュール感を踏まえ、「登記書類の作成だけを依頼する」「申請も含めてワンストップで任せる」など、依頼範囲を検討するとよいでしょう。

商号変更の登記を自分で行うための必要書類は?

社名変更の登記を自分でする場合、株主総会の議事録や株主リスト、登記申請書などを自ら作成して揃える必要があります。

商号変更登記の主な必要書類

一般的な株式会社の商号変更登記で想定される主な書類は、次のとおりです。

書類名概要備考
変更登記申請書商号変更の内容を記載した申請書法務局の様式に沿って作成
株主総会議事録商号変更(定款変更)の決議内容取締役会設置会社か否かで書式が変わる場合あり
株主リスト決議に関与した株主の一覧株主構成によって要否や内容が変わる
印鑑届書社名変更に伴い会社実印を新しく作り直す場合
登録免許税の納付書収入印紙での納付が一般的電子申請の場合は別途案内に沿う
委任状代理人(社員など)が窓口に行く場合に必要

これらに加え、会社の印鑑証明書など、法務局の指示に応じて追加書類が必要になる場合もあります。

準備しておきたい情報と社内調整

書類の作成をスムーズに進めるために、事前に次のような情報を整理しておくと、後戻りが減りやすくなります。

  • 新しい商号の候補と、類似商号の有無(法務局での事前調査)
  • 効力発生日の候補日と、株主総会の日程
  • 取締役会設置の有無や株主構成
  • 商号変更と合わせて変える定款の項目(事業目的など)

新商号が他社と紛らわしい場合、後からトラブルになるおそれもあるため、不正競争防止法の観点も含めて類似商号の確認をしておくと安心でしょう。

商号変更登記の手続きの流れと期間の目安

商号変更登記の手続きは、社内の決議と定款変更、法務局での登記申請、その後の名義変更といった順番で進みます。
全体の期間は、社内スケジュールや効力発生日の設定によって変わりますが、準備を含め1〜2か月程度を意識している会社が多いのではないでしょうか。

商号変更の流れ
  1. 新商号の検討と類似商号の調査
  2. 効力発生日と株主総会の日程の決定
  3. 株主総会(または社員総会)での定款変更決議
  4. 議事録や株主リスト、申請書の作成
  5. 効力発生日から2週間以内の登記申請
  6. 登記完了の確認と登記事項証明書の取得

1. 新商号の検討と類似商号の調査

新しい社名を決める際は、同一住所に同じ名前の会社がないかを確認する「類似商号調査」を行います。また、商号には使用できる文字や記号に制限があります。

  • 使用できるもの:漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字、「&」「’」「,」「-」「.」「・」の記号(文頭・文末には使用不可。ただし「.」は直前にローマ字等がある場合のみ末尾に使用可)
  • 使用できないもの:上記以外の記号(@や%など)、図形、他者の有名ブランドと混同される名称、公序良俗に反する言葉
  • 必須のルール:必ず「株式会社」や「合同会社」などの法人種別を名称の前後に入れなければなりません。

参照:商号にローマ字等を用いることについて|法務省

2. 効力発生日と株主総会の日程の決定

社名が正式に切り替わる「効力発生日」をいつにするか決めます。年度初めに設定することが多いですが、その日までに株主総会を開催できるようスケジュールを組みます。

3. 株主総会での定款変更決議

株式会社の場合、商号変更は定款の変更を伴うため、株主総会の「特別決議」が必要です。原則として発行済株式の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成を得ることで、初めて社名変更が法的に認められます。

4. 議事録や株主リスト、申請書の作成

決議内容を証明する「株主総会議事録」や、議決権割合を記した「株主リスト」を作成します。これらは登記申請の際に法務局へ提出する重要な添付書類となります。

商号変更にかかる期間のイメージ

期間の目安は、次のようなイメージで考えられることが多いでしょう。

  • 新商号の検討〜社内調整:数週間
  • 株主総会の日程調整と開催:2週間〜1か月程度
  • 登記申請の準備と提出:1〜2週間
  • 登記完了まで:法務局の混み具合によって数日〜1週間前後

年度初めや決算期などは法務局が混みやすくなる傾向があるため、余裕をもってスケジュールを組んでおくと安心です。

商号変更登記にかかる費用と内訳

商号変更の登記には、国に納める税金(登録免許税)と、実印作成などの実費がかかります。司法書士に商号変更登記の手続きを依頼する場合は、登録免許税とは別に報酬が必要になります。

項目金額の目安内容の詳細
登録免許税30,000円商号変更1件につき一律でかかる税金
印章作成費用5,000円〜20,000円新社名の会社実印や角印の作成代金
証明書取得費1通600円(窓口)登記完了後の登記事項証明書の取得費用
司法書士報酬30,000円〜60,000円依頼する場合に発生する手数料

商号変更のみを行う場合、登録免許税の金額は申請1件につき30,000円です。合計すると、およそ4万円から6万円程度の予算を見ておけばよいでしょう。

司法書士に商号変更登記の手続きを依頼する場合、登録免許税とは別に報酬が必要になります。

複数の事務所から見積もりを取り、費用だけでなく、説明のわかりやすさやレスポンスの早さなども含めて比較してみると、社内のスタイルに合った依頼先を選びやすくなります。

商号変更登記後に必要となる各種手続き

商号変更登記が完了した後は、社会保険や税務署、取引先などへの社名変更の届出、ホームページなどのデジタル情報の更新が必要です。

官公庁への届出・変更手続き

登記完了後、速やかに行うべき公的な手続きは以下のとおりです。

届出先主な書類・手続き期限の目安
税務署異動届出書の提出登記完了後、速やかに
都道府県・市区町村法人住民税等の異動届各自治体の規定による
年金事務所健康保険・厚生年金保険適用事業所名称変更届変更から5日以内
労働基準監督署労働保険名称所在地等変更届変更から10日以内

税務署への「異動届出書」は、新しい登記事項証明書の写しを添付して提出する必要があります。また、ハローワークへの雇用保険関連の届出も忘れないようにしましょう。

参照:C1-8 異動事項に関する届出

取引先や金融機関への連絡・社内の名義変更

実務に直結する対外的な変更手続きは、影響範囲が広いためリスト化して管理します。

カテゴリ項目内容の詳細
金融機関口座名義・カード変更通帳、デビット・クレカ、融資契約の名義変更
取引先名称変更の通知案内文の送付、基本契約書の巻き直し等の検討
社内備品印影・帳票の刷新名刺、社判(ゴム印)、封筒、請求書等の雛形変更
固定費公共料金・リース電気・ガス・水道、車両・OA機器のリース契約

銀行口座の名義変更には、新しい実印と印鑑証明書、登記事項証明書の原本が求められることが一般的です。

インターネット上の情報の更新

WEBサイトやSNS、クラウドツールなどの更新も必要になります。現代のビジネスにおいて、デジタル情報を更新することは信頼性にかかわります。

項目内容の詳細
Webサイト利用規約、会社概要、コピーライト表記の書き換え
ドメイン・メール新ドメインへの移行計画、旧アドレスの転送設定
SNS・プロフィールGoogleビジネスプロフィール、X、Facebook等の名称変更
各種クラウドツール会計ソフト、人事労務ソフト、求人媒体の登録情報更新

ドメインを完全に変更する場合は、検索エンジン(SEO)への影響を考慮し、適切な転送設定(301リダイレクト)をIT担当者と連携して進める必要があります。

期限を守り必要書類を揃えて確実に商号変更登記を進める

商号変更の登記は、新しい社名が決まった日から2週間という短い期間内に、法務局へ申請しなければなりません。株式会社であれば株主総会の特別決議を行い、議事録や株主リストを準備し、登録免許税30,000円を納める必要があります。

自分で申請する際は、使用可能な文字や記号を事前に確認し、不備による差し戻しを防ぎましょう。登記完了後も、税務署や金融機関、さらにはデジタル資産の更新など多岐にわたる実務が控えています。スケジュールを逆算して、一つひとつの工程を着実に進めていくのが、円滑な社名変更への道ではないでしょうか。



※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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