• 更新日 : 2026年3月11日

役員変更登記とは?必要書類・費用・期限・自分で手続きする流れなどを徹底解説

Point役員変更登記のポイント

役員変更登記とは、取締役や監査役の選任・退任時に法務局の登録情報を更新する法的義務であり、効力発生から2週間以内の申請が必要です。

  • 申請期限: 変更から2週間以内(遅延は最大100万円の過料)
  • 必要書類: 議事録、株主リスト、本人確認書類、就任承諾書
  • 費用: 登録免許税は1万または3万円

役員が同一人物で再選された場合(重任)も登記が必須です。 メンバーが変わらなくても任期満了の都度手続きが必要であり、放置すると過料や「みなし解散」による法人格喪失のリスクが生じます。

株式会社において役員が変わった際、避けて通れないのが役員変更登記です。

本記事では、取締役や監査役の選任・退任に伴う登記申請の期限や必要書類、登録免許税の計算方法まで、実務に即した情報を解説します。

役員変更登記とは?

役員変更登記とは、株式会社の取締役、監査役、会計参与などの役員に変更が生じた際、法務局(登記所)の登録情報を書き換える手続きのことです。

会社の登記事項(氏名や住所など)は一般に公開されており、取引の安全を確保するために常に最新の状態である必要があります。

役員変更登記の期限は2週間以内

登記申請は、役員の変更が生じた日から2週間以内に行う義務があります。 会社法第911条第3項により、役員の氏名や住所は登記事項と定められており、この期間を過ぎると法律違反となるため注意が必要です。ただし登記申請の期限(原則2週間)や添付書類は、会社の機関設計(取締役会設置の有無等)や変更内容により一部異なることに留意が必要です。

参考:会社法|e-Gov法令検索

役員変更登記を怠った場合のリスク

役員変更登記(会社法第915条第1項)を放置すると、以下のような深刻なリスクが発生します。

  • 過料の制裁:正当な理由なく登記を怠った場合、登記義務者(通常は代表取締役等)に対して100万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があります。
  • 信用の低下:登記が最新の状態でないと、取引先や金融機関から「コンプライアンス意識が低い」と見なされ、融資審査などで不利になることがあります。
  • 事業活動への支障(みなし解散):長期間登記が放置されていると、実態のない「休眠会社」と見なされ、公告手続を経て「みなし解散」とされる可能性があります。

役員変更登記が必要となるタイミングは?

役員の変更には、単なる入れ替えだけでなく、再任や情報の修正など複数のパターンが存在します。

就任(新任)

就任とは、これまで役員でなかった人物が新たに取締役に選ばれるケースです。株主総会での選任と本人の承諾によって効力が発生します。登記期限は、選任され本人が就任を承諾した日から2週間以内です。

重任

重任とは、役員が任期満了と同時に再選され、引き続き役職に就くことを指します。メンバーに変更がなくても、登記簿上の任期を更新するために手続きが必須です。非公開会社では任期を最長10年まで延長できますが、満了時には必ずこの重任登記が必要になります。

退任

退任とは、役員が任期満了を迎え、再選(重任)されずに役職を解かれる状態です。通常、定時株主総会の終結時に効力が発生します。ただし、退任により法定人数を欠く場合は、後任が決まるまで「権利義務取締役」として権限を持ち続ける点に注意が必要です。

辞任

辞任とは、役員が任期の途中で自発的に役職を退くことを指します。会社に対して辞任の意思表示が到達した時点で効力が発生します。 健康上の理由や他社への転出、経営方針の不一致などが主な理由となります。登記のタイミングは、辞任の意思表示が会社に到達した日から2週間以内です。

解任

解任とは、不祥事等を理由に、会社が株主総会の決議によって一方的に役員を辞めさせる手続きです。株主総会の普通決議で行えますが、正当な理由がない場合は損害賠償を請求されるリスクがあります。登記は決議の日から2週間以内です。

死亡

役員が亡くなった瞬間、その地位を失い退任となります。親族等から提出される死亡診断書や戸籍謄本を証拠書類として、死亡の日から2週間以内に申請します。

住所変更・氏名変更

役員の引越しによる住所変更や、結婚等に伴う氏名変更も、役員変更登記の一部として届け出が必要です。 意外と見落とされがちですが、これらも登記事項に変更が生じた日から2週間以内に手続きを行わないと、過料の対象となるため注意しましょう。

役員変更登記の必要書類は?

役員変更登記には、法務局指定の申請書に加え、決議の正当性を証明する議事録や、本人確認書類が必要です。

変更の種類主な必要書類
就任(新任)株式会社変更登記申請書、株主総会議事録、株主リスト、就任承諾書、本人確認書類(原則として就任取締役の印鑑証明書が必要)
重任(再任)株式会社変更登記申請書、株主総会議事録、株主リスト、就任承諾書
辞任株式会社変更登記申請書、辞任届(実印または認印の押印が必要な場合あり)
退任株式会社変更登記申請書、株主総会議事録
解任株式会社変更登記申請書、株主総会議事録、株主リスト
死亡株式会社変更登記申請書、死亡診断書または戸籍謄本等

株式会社変更登記申請書

株式会社変更登記申請書は、どのような変更がいつ行われたかを法務局に届け出るための書類です。 

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出典:商業・法人登記の申請書様式|法務局株式会社変更登記申請書

法務局の公式サイトで配布されている様式に基づき、以下の項目を漏れなく記載する必要があります。

  • 会社法人番号:13桁の法人番号
  • 商号・本店住所:登記簿上の正式な社名と住所
  • 登記の事由:「取締役の変更」など変更の理由
  • 登記すべき事項:役員の氏名、役職、就任・退任の年月日など
  • 登録免許税の金額:1万円または3万円の区分
  • 添付書類のリスト:提出する書類の名称と通数
  • 申請人情報:代表取締役の氏名、住所、連絡先電話番号

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株主総会議事録

株主総会議事録は、役員の選任や辞任の承認が適法な手続きで行われたことを証明する書面です。 議事録には、開催日時・場所のほか、以下の項目を記載し、議長および出席した取締役が署名または記名押印を行います。

  • 株主の状況:株主の総数、発行済株式総数、出席株主数、その議決権数
  • 決議事項:誰を役員に選んだか、あるいは誰が辞任したかの詳細
  • 押印ルール:通常、出席した役員の個人の印鑑(認印または実印)を使用

株主リスト

株主リストとは、議決権数上位10名の株主、または議決権の3分の2以上を保有する株主の情報を記載した書類です。 2016年(平成28年)より、なりすまし登記防止のために添付が義務付けられました。株主の氏名(名称)、住所、株式数、議決権数、議決権数の割合を正確に記載します。

参考:「株主リスト」が登記の添付書面となりました|法務省

就任承諾書

就任承諾書は、選ばれた人物がその役職に就くことを正式に承諾したことを示すための文書です。 原則として、新任の役員ごとに作成します。なお、株主総会の議事録内に「被選任者は、その就任を承諾した」という旨の記載があり、本人が議事録に署名押印している場合は、別途の就任承諾書を省略できるケースもあります。

本人確認書類

登記される役員が本人であることを証明するために、公的な身分証明書のコピー等の添付が求められます。 以下のいずれかを用意し、余白に「原本と相違ない」と記載の上、本人が署名・押印を行います。

  • 運転免許証のコピー(両面)
  • マイナンバーカードのコピー(表面のみ)
  • 住民票の写し(個人番号の記載がないもの)

印鑑証明書

代表取締役の新任や、取締役会を設置していない会社の取締役の選任時には、市区町村が発行する個人の印鑑証明書が必要です。 また、会社の印鑑証明書(法務局発行)が必要なケースもあります。これは、会社実印が正しく登録されていることを証明するもので、代表取締役やその委任を受けた者のみが請求可能です。

委任状

司法書士などの代理人に登記申請を委任する場合、代表取締役が代理人に権限を与えたことを示す「委任状」が必要です。 委任状には、代理人の氏名・住所、委任する登記の内容を明記し、会社実印を押印します。

役員変更登記の手続きの流れは?

役員変更登記の手続きは、社内決議から書類作成、法務局への申請という流れで進行します。

1. 社内での選任決議と承諾

まずは株主総会(または取締役会)を開催し、役員の交代や再任を決議します。選ばれた役員から就任の承諾を得ることで、法律上の効力が発生します。

  • 株主総会の開催:取締役や監査役の選任を行います。定時総会(決算後)だけでなく、急な辞任などの場合は臨時総会を開きます。
  • 取締役会の開催:代表取締役を選定する場合、取締役会設置会社であれば取締役会での決議が必要です。
  • 就任承諾の取得:選ばれた人が「やります」と承諾して初めて効力が出ます。実務上は、決議の場で即座に承諾し、議事録に「被選任者は席上その就任を承諾した」と記載することで、別途の承諾書を省略することもあります。

2. 登記申請書類の作成

決議内容に基づき、「株式会社変更登記申請書」や「株主総会議事録」などの必要書類を作成します。この際、役員の氏名は住民票等の記載通りに、1字1句間違えないよう転記するのがコツです。

3. 法務局への申請(窓口・郵送・オンライン)

管轄の法務局へ書類を提出します。申請方法は以下の3種類から選択可能です。

  1. 窓口提出:直接法務局へ持参する方法です。その場で形式的なチェック(綴じ方、印影、印紙の有無など)が行われます。
  2. 郵送提出:書留郵便等で送付する方法です。管轄の法務局が遠い場合や、忙しくて外出できない場合に適しています。
  3. オンライン申請:登記・供託オンライン申請システムの「申請用総合ソフト」を利用する方法です。法務局へ行く必要がなく、登録免許税の納付もスマホやPCで完結します。また、完了後の登記簿謄本のオンライン請求もスムーズです。

役員変更登記にかかる費用は?

費用は、必ずかかる税金と専門家に依頼した場合にかかる報酬に分かれます。

必ずかかる「登録免許税」

役員変更登記の申請には「登録免許税」という税金がかかり、資本金の額によって金額が2パターンに分かれます。登記申請書に収入印紙を貼付して納付するのが一般的です。

  • 資本金が1億円を超える会社:3万円
  • 資本金が1億円以下の会社:1万円

参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

司法書士に依頼する場合の報酬相場

手続きをすべて司法書士に丸投げする場合、登録免許税とは別に「司法書士報酬」が発生します。事務所や地域、変更内容の複雑さによって異なりますが、一般的な役員変更であれば、報酬相場は2万円〜5万円程度です。

役員変更登記の手続きは自分で行う?専門家に依頼する?

役員変更登記は、法務局が公開しているテンプレートを利用して自力で申請することも可能ですが、正確を期すために司法書士へ依頼するケースも一般的です。 それぞれのメリットとデメリットを把握して選択しましょう。

自分で役員変更登記を行う場合

  • メリット:専門家への報酬(数万円程度)を節約できる。
  • デメリット:議事録の構成や添付書類の不備があると、法務局へ何度も足を運ぶ「補正」の手間が発生する。

司法書士などの専門家に依頼する場合

  • メリット:正確かつ迅速に手続きが完了し、過料のリスクを最小限に抑えられる。定款との整合性も確認してもらえる。
  • デメリット:登録免許税とは別に、数万円程度の代行手数料が発生する。

スムーズな役員変更登記を実現するために

役員変更登記は、会社の登記簿を最新の状態に保つための重要な法的義務です。「2週間」という短い期限内に、議事録の作成から法務局への申請まで完了させる必要があります。

特に、任期満了に伴う「重任(再任)」の登記は忘れがちですが、実態が変わらなくても手続きは必須です。万が一の過料リスクを避けるためにも、役員の任期管理を徹底し、スケジュールに余裕を持って準備を進めましょう。複雑なケースや多忙な場合は、登記の専門家である司法書士へ相談することをお勧めします。


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