- 更新日 : 2026年2月19日
本店移転登記を自分で行うには?必要書類・費用・オンライン申請の方法まで徹底解説
本社移転は登記と各種届出を期限内に行うことが必須です。
- 登記は移転日から2週間以内
- 管轄によって手続きと費用が異なる
- 税務・労務等の届出も忘れずに
会社法に基づき、移転日から2週間以内に「本店移転登記」を行う必要があります。遅れると代表者に過料が科される可能性があります。
会社の本店を移転する際には、法務局への本店移転登記という手続きが不可欠です。「手続きが複雑そう…」「自分でできるのだろうか?」「どんな書類が必要で、費用はどれくらいかかるの?」といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、特に株式会社の本店移転登記手続きを自分で行いたいと考えている方に向けて、手順、必要書類、費用、法務局への申請方法まで分かりやすく解説します。
目次
本店移転登記とは?
会社が本店の所在地を変更した際、その内容を法務局の登記簿に反映させるための手続きが「本店移転登記」です。これは法的義務であり、怠ると罰則の対象になるだけでなく、会社の信用にも影響を及ぼします。
会社の住所変更を登記簿に反映する法定手続き
会社法第915条第1項により、本店を移転した場合にはその日から2週間以内に登記を行うことが義務づけられています。この登記を怠ると、代表者個人に対して最大100万円の過料が科される可能性があります。また、登記が遅れることで、金融機関との融資手続きや、取引先との契約に支障が出ることもあります。
参考:会社法|e-GOV
本店移転登記は会社の信用維持にも不可欠
登記内容と実際の所在地に相違があると、登記事項証明書が正確でないと見なされ、取引相手や金融機関からの信頼を損ねるおそれがあります。会社の登記簿は公的な証明情報であるため、変更が生じた場合には速やかに修正・反映することが求められます。
本店移転登記の種類は?
本店移転登記には2つの分類があり、移転先の所在地がどの法務局の管轄に属するかによって、必要な手続きや提出先が変わります。最初に自身のケースがどちらに該当するのかを把握することが、正確かつ効率的な登記の第一歩となります。
【管轄内本店移転】同一法務局の管轄内で住所を変える
管轄内本店移転は、現在の本店所在地と同じ法務局の管轄区域内で本店を移す場合に該当します。たとえば、東京都千代田区内での移転や、東京法務局本局が管轄する千代田区から中央区への移転がこれにあたります。この場合は、登記申請先は1か所、現在の管轄法務局のみで済み、手続きの流れも比較的簡便です。必要書類や登録免許税の負担も少なく、準備期間やコスト面での負担が軽減される点がメリットです。
【管轄外本店移転】別の法務局の区域に本店を移す
管轄外本店移転とは、現在の所在地とは異なる法務局の管轄区域へ本店を移転するケースを指します。たとえば、東京都千代田区(東京法務局管轄)から神奈川県横浜市中区(横浜地方法務局管轄)への移転が該当します。この場合、旧所在地と新所在地をそれぞれ管轄する2つの法務局に対し、登記申請を行わなければなりません。
そのため、提出書類の種類や部数が増え、登録免許税もやや高くなる傾向があります。
また、取締役会決議・株主総会決議の有無など、定款の定めによっても準備事項が異なるため、事前の確認が不可欠です。手続きに時間を要する可能性があるため、余裕を持ったスケジュールで対応する必要があります。
本店移転登記を自分で行う方法は?
ここでは、株式会社の本店移転登記を自分で行うための具体的なステップを解説します。
①株主総会・取締役会での意思決定
まず、会社内部で本店移転に関する正式な意思決定を行います。必要な手続きは、会社の定款の記載内容や機関設計(取締役会設置会社かどうかなど)によって異なります。
②定款変更の要否を確認
定款に本店所在地が最小行政区画まで(例:「当会社は、本店を東京都千代田区に置く。」)記載されており、その範囲内での移転であれば、通常、定款変更は不要です。
定款に本店所在地が具体的な地番まで(例:「当会社は、本店を東京都千代田区丸の内一丁目1番1号に置く。」)記載されている場合や、最小行政区画を変更する場合(例:東京都千代田区から東京都新宿区へ移転)は、定款変更が必要です。
③意思決定機関と決議
本店移転によって定款変更が必要な場合は、株主総会の特別決議が必要です。
定款変更が不要な場合、取締役会設置会社では、取締役会の決議で具体的な移転場所と移転日を決定します。取締役会非設置会社では、取締役の過半数の一致(または株主総会の普通決議など定款の定めに従う)で決定します。
④必要書類の準備と作成
意思決定が完了したら、法務局へ提出する必要書類を準備・作成します。主な必要書類は以下の通りです。
- 本店移転登記申請書:法務局のウェブサイトから様式をダウンロードできます。
- 株主総会議事録:定款変更が必要な場合や、株主総会で移転を決定した場合に必要です。
- strong>株主リスト:上記の株主総会議事録を添付する場合に必要となります。
- 取締役会議事録または取締役決定書:定款変更が不要で、取締役会(または取締役の過半数の一致)で具体的な移転場所・日付を決定した場合に必要です。
- 委任状:司法書士などの代理人に申請を依頼する場合に必要です。
⑤法務局への登記申請
書類が全て整ったら、管轄の法務局へ登記申請を行います。
申請先の法務局
- 管轄内移転の場合:新本店所在地を管轄する法務局。
- 管轄外移転の場合:まず旧本店所在地を管轄する法務局に申請(2通の登記申請書が必要)し、その後、新本店所在地を管轄する法務局へ書類が送付されます。
申請方法
- 窓口申請:法務局の窓口に直接書類を持参して申請します。
- 郵送申請:書留郵便で法務局へ送付します。
- オンライン申請:詳細は後述します。
申請期限
本店移転の日から2週間以内です。この期限を過ぎると過料の対象となるため注意が必要です。
⑥登記完了と登記事項証明書の取得
登記申請後、法務局での審査が行われ、不備がなければ1週間〜2週間程度で登記が完了します。
登記が完了したら、新しい本店所在地が記載された「登記事項証明書(履歴事項全部証明書など)」を取得し、内容に誤りがないか確認しましょう。この証明書は、登記完了後の各種手続きで必要になります。
本店移転登記の必要書類は?
改めて、株式会社の本店移転登記における主な必要書類をリストアップします。ケースによって異なるため、必ずご自身の状況に合わせて確認してください。
管轄内移転・定款変更不要の場合
- 本店移転登記申請書
- 取締役会議事録(取締役会設置会社) または 取締役決定書(取締役会非設置会社)
- 登録免許税納付用台紙(収入印紙30,000円分を貼付)
管轄内移転・定款変更要の場合
- 本店移転登記申請書
- 株主総会議事録(定款変更の決議)
- 株主リスト
- 取締役会議事録 または 取締役決定書(具体的な移転場所・日付の決定)
- 登録免許税納付用台紙(収入印紙30,000円分を貼付)
管轄外移転(定款変更は必須)の場合
- 本店移転登記申請書(旧本店所在地法務局提出用と新本店所在地法務局提出用の2通が必要となるが、実際は旧本店所在地法務局にまとめて提出)
- 株主総会議事録(定款変更及び本店移転の決議)
- 株主リスト
- 取締役会議事録 または 取締役決定書(具体的な移転場所・日付の決定)
- 登録免許税納付用台紙(収入印紙 合計60,000円分を貼付:旧3万+新3万)
本店移転登記申請書のダウンロード方法は?
「本店移転登記申請書」は法務局のウェブサイトからダウンロード可能です。
また、マネーフォワード クラウド会社設立でも「本店移転登記申請書」の無料テンプレートをご用意しているので、ぜひご活用ください。
本店移転登記にかかる費用は?
自分で手続きする場合、費用は気になるところです。
登録免許税
本店移転登記にかかる登録免許税は、以下の通りです。
- 管轄内本店移転:30,000円
- 管轄外本店移転:60,000円 (旧本店所在地法務局分30,000円 + 新本店所在地法務局分30,000円)
この費用は、収入印紙を購入し、登記申請書と一緒に提出する台紙に貼付して納付します。
その他の費用
登録免許税以外に、以下のような実費が発生する場合があります。
- 登記事項証明書取得費用:登記完了後や、場合によっては議事録作成の際に会社の情報を確認するために取得します(1通490円〜600円程度)。
- 郵送費:郵送申請する場合の書留郵便代など。
- 交通費:法務局へ直接出向く場合の交通費。
自分で手続きを行えば、司法書士への報酬は発生しません。
本店移転登記にかかる期間は?
登記申請から登記が完了するまでの期間は、申請先の法務局の混雑状況や申請内容(管轄内か管轄外かなど)によって異なり、一般的には以下の通りです。
- 管轄内本店移転:申請からおおむね1週間〜2週間程度。
- 管轄外本店移転:旧本店と新本店の両方の法務局での手続きがあるため、通常の1週間〜2週間より日数がかかるケースもあります。
法務局のウェブサイトで、現在の標準処理期間の目安が公開されている場合もありますので、確認してみるとよいでしょう。
本店移転登記のオンライン申請のメリットは?
本店移転登記は法務局への提出が必要な法定手続きですが、紙による申請だけでなく、オンラインでも手続き可能です。ここではオンライン申請のメリットを紹介します。
申請書類の提出が効率化される
本店移転登記をオンラインで行う最大の利点は、法務局に出向く必要がなく、すべての手続きを自宅やオフィスから完結できる点です。法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を利用すれば、申請書の作成・提出・手数料納付までを一貫して電子上で処理可能です。これにより、郵送や窓口提出にかかる時間や交通費が不要になり、手続きのスピードと利便性が大きく向上します。
登録免許税が軽減される
オンラインによる申請は、紙での申請と比較して登録免許税が減額される特例が適用されることがあります。たとえば、登記申請にかかる手数料のうち一定額が控除されたり、印紙の貼付が不要になったりするため、コストを抑えることができます。特に、頻繁に登記手続きを行う企業や事業拡大を伴う法人にとっては、長期的なコスト削減につながるメリットがあります。
入力支援機能でミスが減る
登記ねっとの申請画面には、定型文や入力サポート機能が整備されており、登記書類にありがちな記載ミスや漏れを事前に防ぐことができます。入力内容の形式チェック機能もあるため、記入例を見ながら正確に申請が行える点は、登記初心者にとって大きな安心材料となります。また、受付後の補正依頼などもオンライン上で通知されるため、処理の進行状況をリアルタイムで確認できる点も優れています。
本店移転登記のオンライン申請で準備するものは?
- パソコンとインターネット環境
- 申請用総合ソフトのダウンロード・インストール
- 電子証明書
- ICカードリーダライタ
GビズIDプライムまたはメンバーアカウントは必須ではありませんが、利用できる手続きが広がります。
登記・供託オンライン申請システムの利用手順は?
大まかな流れは以下の通りです。
- 申請用総合ソフトを起動し、申請者情報を登録する。
- 申請書様式を選択し、必要事項を入力する(登記すべき事項はテキストファイルで添付も可能)。
- 作成した株主総会議事録などの添付書類をPDF化し、電子署名を付与して添付する。
- 申請データを送信する。
- 到達通知・受付のお知らせを確認後、登録免許税を電子納付する(インターネットバンキングやATMからPay-easyを利用)。
利用手順の詳細については、法務局のウェブサイト「株式会社の本店移転の登記をしたい方(オンライン申請)」ページで確認しましょう。
本店移転登記のオンライン申請の注意点は?
オンライン申請は効率的で便利な方法ですが、完全自動化ではなく、申請者側にも一定の知識と準備が求められます。操作ミスや書類不備を避けるためには、いくつかの注意点を事前に理解しておく必要があります。
電子証明書が必要で、取得・管理に手間がかかる
オンラインで本店移転登記を行うには、電子証明書の取得が必須です。法人代表者個人のマイナンバーカードや、商業登記電子認証制度に基づく電子証明書などが使用されますが、これらは事前に準備が必要で、慣れていないと取得手続きに時間がかかることもあります。また、有効期限の管理や更新手続きも必要なため、日常的に登記を行わない企業では扱いにくさを感じる場面もあります。
対応していない添付書類は別途郵送が必要
登記申請自体はオンラインで完結しますが、一部の添付書類(株主総会議事録や印鑑証明書など)については、原本の郵送が求められるケースがあります。すべての手続きが100%オンラインで完結するわけではないため、申請前に必要書類の提出方法を確認し、不備のないよう準備することが大切です。
操作に慣れていないと入力ミスや申請エラーが発生しやすい
登記・供託オンライン申請システムは汎用性が高い一方で、インターフェースが初心者にはやや複雑で、初めて利用する際には入力ミスや設定ミスが発生しやすくなります。特に、書式の選択や入力形式の誤り、添付ファイルのアップロード漏れなどがあると、法務局から補正(訂正)を求められ、手続きが遅れる原因になります。事前に操作マニュアルを確認し、必要であれば司法書士など専門家のサポートを受けることも有効です。
本店移転登記完了後に必要な手続きは?
本店移転登記完了後は、以下の関係各所への届出・連絡を忘れずに行いましょう。
税務署への届出
- 異動届出書:新しい本店所在地を管轄する税務署(場合によっては旧本店所在地を管轄する税務署にも)へ提出します。登記事項証明書(履歴事項全部証明書)のコピーを添付します。
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
都道府県・市区町村への届出
新しい本店所在地のある都道府県税事務所および市区町村役場へ、法人住民税・法人事業税に関する届出を行います。登記事項証明書のコピーなどを添付します。
年金事務所・労働基準監督署・ハローワークへの届出
これらの届出は、移転後速やかに行う必要があります。提出期限が設けられているものもあるため注意しましょう。
その他
- 金融機関:取引のある銀行や信用金庫、証券会社、保険会社など金融機関に住所変更の届出を行います。登記事項証明書などが必要になります。
- 取引先・顧客:請求書や契約書等の送付先が変わるため、速やかに連絡します。
- 郵便局:転居届を提出し、旧本店所在地宛の郵便物が新住所へ転送されるように手続きします。
- ウェブサイト・会社案内・名刺など:記載されている住所情報を更新します。
- 許認可関連:許認可を受けて事業を行っている場合は、管轄の行政庁への届出や変更申請が必要な場合があります。
これらの手続きを漏れなく行うことで、移転後の事業運営をスムーズに開始できます。
本店移転登記をスムーズに行いましょう
株式会社の本店移転登記は、法律で定められた重要な手続きであり、正確な書類作成と期限内の申請が求められます。この記事では、自分で手続きを行うことを前提に、その流れ、必要書類、費用、オンライン申請の方法、そして登記完了後の手続きまでを網羅的に解説しました。
ご自身で手続きを進める際は、この記事の内容を参考に、法務局のウェブサイトや相談窓口も活用しながら、慎重に準備を進めてください。特に、「本店移転登記 必要書類」の確認と、「本店移転登記申請書」の正確な記入は、スムーズな手続きを行う上で大切になります。もし手続きに不安を感じる場合や、時間を節約したい場合は、司法書士などの専門家に相談することも賢明な選択です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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