- 更新日 : 2025年2月4日
契約書は両面印刷でも良い?片面印刷との違いも解説
電子契約システムを利用すれば、電子データのやり取りで契約を交わすことができ、印刷などの手間を削減できます。しかし、紙で契約書を作成しなければならない場面もあり、印刷の方法で迷うこともあるでしょう。
「両面印刷でも良い?」「片面印刷とどんな違いがある?」といった疑問を解消できるよう、この記事で解説します。
目次
契約書は両面印刷と片面印刷のどちらが適切?
契約書を紙で作成するとき、パソコンで文書の内容を作成し、プリンターなどでその情報を用紙に印字することが一般的です。1枚の用紙の片面にのみ契約書の内容を印字していくときは「片面印刷」と呼ばれ、1枚の用紙の表と裏、両面に印字していくときは「両面印刷」と呼ばれます。
紙の契約書を作成するとき、この2パターンのいずれかを選択することになります。
ほとんどの契約では、そもそも契約書の作成自体が義務とはなっておらず、契約書の作成方法についても決まりはありません。そのため片面印刷と両面印刷の違いが契約内容の有効性に響くということもありません。
印刷方法を選ぶ際の観点は、①自社にとっての都合、②契約の相手方はどちらを求めているのか、といった点を考慮して印刷方法を選択することになるでしょう。
後述するように片面印刷・両面印刷それぞれにメリットがあります。よって、①に関しては自社にとってメリットが大きい方はどちらだろうかと考えることになります。②に関しては、相手方の指定があればそれに合わせる、あるいは業界マナーや慣習に合わせてどちらにすべきかを考えると良いでしょう。
契約書を両面印刷するメリット
まずは、契約書を両面印刷するときのメリットについてまとめます。
契約書を両面印刷するメリット | |
---|---|
資源を節約できる | 表面・裏面の両面を使用するため、用紙1枚あたりの使用効率が高まり、紙資源が節約できる。 |
保管スペースを削減できる | 企業には契約書の保管義務が課されているところ、両面印刷をすれば、片面印刷に比べてページ数を半分にでき、契約書の保管スペースも削減できる。 |
製本等にかかる手間を軽減できる | ページ数が少なくなることで、契印にかかる作業負担が軽減される。また、NDAのような情報量が比較的少ない契約書の場合は両面印刷とすることで1枚に収められるケースもあり、製本自体行う必要がなくなる。 |
契約書を片面印刷するメリット
次に、契約書を片面印刷するときのメリットについてまとめます。
契約書を片面印刷するメリット | |
---|---|
裏写りしない | 文字が紙の裏面に透けてしまうことがあるが、片面印刷の場合は裏面と文字が重なることがなく、裏写りが問題とならない。 |
レビューしやすい | 製本前、書面を並べて一覧にしてレビューすることができ、裏面をめくる必要がない。 |
製本後のスキャンをしやすい | 製本後のスキャンにおいて、両面印刷にしていると袋とじが壊れないようにデリケートに扱わないといけないが、片面印刷だと比較的スキャン作業が楽。 |
契約書を印刷する際の注意点
両面印刷でも片面印刷でも、共通して注意すべき点がいくつかあります。
1つは「訂正点や変更点がないかどうかを印刷前にチェックしておくこと」です。契約書を印刷してから手を加えると手間が大きいです。事前のチェックで直すべきところを直しておけば、余計な手間がかかりません。
また、印刷時には「品質の良い用紙を使うこと」にも注意すべきです。ルールとして用紙が指定されているわけではありません。しかし法的な証拠として使いやすいよう、インクが乗りにくい用紙やインクが消えてしまいやすい用紙、破れてしまいやすい用紙などは避けるべきです。長期保存にも適した良質な用紙を使うようにしましょう。
「契約内容が読みやすい書式設定にすること」も大事です。情報としては同じものでも、余白が適切に設定されていなかったり、テキストフォーマットの見読性が悪かったりすると好ましくありません。印刷後の読みやすさにも配慮して印刷しましょう。
契約書を電子化するメリット
両面印刷と片面印刷以外に、「契約書を電子化する」という選択肢もあります。各印刷方法の良し悪しを踏まえ、電子化することのメリットを以下にまとめます。
契約書を電子化するメリット | |
---|---|
用紙やインクを消費しない | 両面印刷をするとき以上に、紙やインクの資源を節約できる。また、プリンターを使用する機会も減り、消耗の程度も軽くなる。 |
コストの削減 | 用紙やインクの購入などにかかるコストを削減できる。また、印紙税も不要となる。 |
保管スペースが不要 | 電子化された契約書情報はサーバーに保存され、物理的なスペースは不要となる。 |
契約書へのアクセスが容易になる | 印刷した場合に比べて、必要な情報にアクセスするまでの手間や時間が削減される。システム上の検索機能を使うことで目当ての契約書をすぐに見つけられ、また、契約書内の特定の情報もページをめくることなく容易に検索できる。 |
契約書の作成スピードが高まる | 書面に比べて電子契約の方が迅速に作成作業を進められる。製本などの手間が不要で、社内の承認プロセスなども素早く回しやすく、相手方への送付にも時間がかからない。 |
その他、電子契約のメリット一般についてはこちらの記事も参照ください。
それぞれのメリットを押さえて契約書の印刷方法を決めよう
契約書は両面印刷でも片面印刷でも、どちらで作成しても構いません。
両面印刷なら印刷にかかるコストが削減できますし、ページ数が少なくなる分製本の手間も若干軽減されます。多くの契約書を保管している企業からすると保管スペースを削減できるのもメリットです。一方、片面印刷だと裏写りしませんし、レビューも比較的やりやすいです。
このように、それぞれにメリットがありますので自社にとって都合の良いやり方を選択すると良いでしょう。ただし、業界のマナー、慣習を考慮することも忘れてはいけません。
また、「印刷や製本の手間をなくしたい」「もっと効率的に契約書を作成したい」という方には、電子化をおすすめします。電子契約システムを導入すれば短期間で電子契約の運用を開始させられます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
口約束は契約として成立する?電話でも?
売買契約や請負契約、委任契約などの「契約」は、契約書を交わして締結するのが一般的です。これらの契約は、口約束や電話でも成立するのでしょうか?成立するとしたら有効期間はどうなるのでしょうか?変更や破棄はできるのでしょうか?今回は、口約束による…
詳しくみる社内規程の役割は?作り方や運用方法を解説
各企業にはさまざまな社内規程が存在しています。就業規則はその代表例であり、他にも各社が必要に応じて社内規程を設けています。この社内規程にはどのような役割があるのでしょうか。 当記事では社内規程について、作成方法や運用方法などを解説します。 …
詳しくみるインハウスローヤー(企業内弁護士)が増えている?年収や仕事、求人方法を解説
近年、企業内で法務業務を行う「インハウスローヤー」が増加傾向にあります。企業法務を重視する企業、コンプライアンスの徹底を図る企業にとっては重要な存在ですが、具体的にはどのような仕事をしているのでしょうか。当記事ではインハウスローヤーの採用も…
詳しくみる契約法務とは?業務内容や重要なポイント、求められるスキルを解説
契約法務とは契約にまつわる法的リスクを管理し、企業を守る業務のことです。契約書の作成やチェックが主な役割であり、この業務を適切に遂行するには法的知識や経験が欠かせません。 本記事では、契約法務における重要なポイントや担当者に求められるスキル…
詳しくみる【例文付き】上司の代理でメールを送信するには?書き方や署名について解説!
上司の代理でメールを送る際、署名欄には誰の名前を記載するべきか、通常のメール作成時と異なる点はあるのか、といった疑問を抱いていませんか? 代理メールでは、書き方次第で受信者を混乱させる恐れがあります。トラブル防止のためにも、一般的なルールや…
詳しくみる契約書を紛失したら?確認すべきことや対処法について解説
契約書を紛失した場合は、適切に対応しないと自社が不利益を被るリスクがあります。紛失時に取るべき行動を事前に確認しておきましょう。 また、契約書を書面で保管している場合は、紛失しないための管理体制を構築することも大切です。 ここでは、契約書を…
詳しくみる