- 更新日 : 2026年3月31日
契約期間とは?書き方や自動更新、期間満了時の注意点を例文付きで解説
契約期間は初日不算入の原則によるズレを防ぐため、具体的な日付で始期と終期を特定すべきです。
- 「1年間」等の記載は初日不算入に注意
- 期間満了後の業務継続は「黙示の更新」に
- 秘密保持等は「残存条項」で効力を維持
契約終了後も秘密保持義務などを継続させるには「残存条項(サバイバル条項)」が不可欠です。また、満了後になし崩し的に業務を続けると法的に契約更新とみなされるリスクがあるため注意が必要です。
「契約期間の『1年間』って、いつからいつまで?」
「契約期間が過ぎたら、契約はどうなる?」
業務委託契約や賃貸借契約など、継続的な取引において最も重要な項目の一つが「契約期間」です。ここを曖昧にしておくと、予期せぬタイミングで契約が終了してしまったり、逆に解約したいのにできなかったりといったトラブルに発展しかねません。
この記事では、契約期間の正しい数え方や書き方、自動更新条項の注意点、期間満了後の対応について、具体的な例文(テンプレート)を交えて解説します。ビジネス契約だけでなく、賃貸やアルバイトの契約期間についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
契約期間とは?なぜ定める必要があるのか
契約期間とは、その契約の効力が有効である期間のことです。いつから権利や義務が発生し、いつ消滅するのか(始期と終期)を明確にすることで、トラブルを未然に防ぐ役割があります。
契約期間を定める主な契約類型
売買契約のような「一回限り」の取引では、契約期間を定めないことも多いですが、以下のような契約では必須となります。
- 業務委託契約:コンサルティング、保守運用など
- 賃貸借契約:オフィスや住宅の賃貸
- 雇用契約(有期):契約社員、アルバイトなど
- 秘密保持契約(NDA):秘密保持義務の存続期間(契約終了後も存続させることが多い)
期間を定めない場合のリスク
契約期間の定めがない場合、「いつまでも契約が続く」のか「いつでも解約できる」のかが不明確になります。
民法上、継続的な契約で期間の定めがない場合は、当事者が将来に向けて終了させる申入れ(解約・解除)が認められる場合があります。例えば、雇用は解約申入れから2週間で終了(民法627条)、期間の定めのない賃貸借は一定期間の経過で終了(民法617条)、委任は各当事者がいつでも解除可能(民法651条)などです。
契約類型によって予告期間や清算ルールが異なるため、急な契約終了で損害が出ないよう、契約書で終了条件・予告期間・精算方法などを明確にしておきましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
弁護士監修で分かりやすい! 契約書の作り方・書き方の教科書
弁護士の南陽輔氏(一歩法律事務所所属)が監修している「契約書の作り方・書き方の教科書」ガイドです。
契約書作成の基本知識、作成の流れ・記載項目、作成時の注意点・論点が、分かりやすくまとまっています。手元に置ける保存版としてぜひご活用ください。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
契約期間の正しい書き方と数え方(例文あり)
契約期間は「西暦(または和暦)」で具体的な日付を指定するのが最も確実です。「1年間」とする場合は、初日不算入の原則に注意が必要です。
基本的な書き方(始期と終期)
最もトラブルが少ないのは、開始日と終了日をカレンダーの日付で指定する方法です。
(例文1:日付指定)
第〇条(契約期間)
本契約の有効期間は、202X年4月1日から202X年3月31日までとする。
「1年間」とする場合の注意点(初日不算入)
「契約締結日から1年間」とした場合、いつまでが期間になるでしょうか?
民法140条では「初日不算入の原則」があり、期間が午前0時から始まらない限り、初日はカウントせず翌日から起算します。
- 例:4月1日の昼に契約締結(期間1年)
- 起算日:4月2日
- 満了日:翌年4月1日の終了時点(24時)
ただし、実務ではわかりやすく「4月1日から翌年3月31日まで」と明記するか、「本契約締結日(〇月〇日)から1年間」と記載し、特約で「初日を算入する」ケースも多いです。
自動更新条項(更新拒絶のルール)
自動更新とは、期間満了時に特段の意思表示がなければ、自動的に契約が延長される仕組みです。「〇ヶ月前までに通知がない場合」という条件設定が重要です。
自動更新の例文
(例文:自動更新あり)
1.本契約の有効期間は、202X年4月1日から202X年3月31日までとする。
2.期間満了の1ヶ月前までに、甲または乙から相手方に対して書面による更新拒絶の通知がない場合、本契約は同一条件にてさらに1年間自動的に更新されるものとし、以後も同様とする。
注意すべきチェックポイント
- 更新拒絶の通知期限:満了の「1ヶ月前」か「3ヶ月前」か。長すぎると解約しづらく、短すぎると急な終了リスクがあります。
- 更新後の期間:「1年間」か「定めのない期間」か。
- 更新拒絶の方法:メールで良いか、書面必須か。
契約期間満了(過ぎたら)どうなる?
契約期間が過ぎたら、原則として契約は期間満了により終了します。しかし、実態として取引が続いている場合は「黙示の更新」とみなされることがあります。
業務委託などの場合
期間が過ぎているのに業務を続け、報酬も支払われている場合、法的には「契約が更新された(黙示の更新)」とみなされる可能性が高いです。しかし、契約書がない状態はリスクが高いため、速やかに「変更契約書」や「覚書」で期間を延長すべきです。
賃貸借契約の場合(法定更新)
建物の賃貸借契約(普通借家契約)の場合、貸主が更新拒絶するには、期間満了の1年前から6ヶ月前までに更新しない旨を通知したうえで、正当事由が必要です。
これらを満たさない場合、従前と同一条件で更新されたものとみなされ(法定更新)、期間の定めのない契約となります。
雇用契約(アルバイト等)の場合
有期雇用契約(期間の定めのある契約)で、「契約期間満了」として雇い止め(更新拒絶)をすることがあります。
ただし、何度も更新を繰り返して通算5年を超えた場合、労働者からの申し込みにより「無期雇用」に転換できるルール(無期転換ルール)があります。
契約終了後も効力が残る「残存条項」
契約期間が終わっても、秘密保持義務や損害賠償条項などは有効に残す必要があります。これを「残存条項(サバイバル条項)」と呼びます。
残存条項の例文
(例文)
第〇条(残存条項)
本契約が期間満了または解除により終了した後といえども、第〇条(秘密保持)、第〇条(損害賠償)、および本条の規定は、なお有効に存続するものとする。
契約期間の自動更新に伴う解約通知期限の管理実態
契約期間を定める際、自動更新条項は業務の手間を省くメリットがある反面、意図しない更新を防ぐためには解約通知期限の正確な管理が不可欠です。実務において、こうした期限の管理にはどのような課題があるのでしょうか。株式会社マネーフォワードが独自の調査を実施し、企業における契約関連書類の管理実態を明らかにしました。
契約書の管理において期限の把握漏れが課題に
契約書の管理業務経験者を対象に、書類の管理・保存における課題や負担を尋ねました。その結果、最も課題に感じているのは「過去の契約書を探し出すのに時間がかかる」で、34.4%でした。次いで「スキャンや台帳入力などの事務作業の工数が多い」が28.6%、「電子帳簿保存法などの法令対応が不十分、または不安がある」が24.5%と続いています。
さらに、「更新期限や解約通知期限の把握が漏れやすい」という課題を抱えている割合も18.8%存在します。
自動更新される契約において解約通知のタイミングを逃すと、さらに同一期間の契約に縛られるなど不要なコストやトラブルが発生する恐れがあります。期間満了が近づいた際に慌てることがないよう、契約管理システムなどを活用して契約期間を適切に管理し、解約通知期限のアラートを設定するなど、意図しない更新を防ぐ体制を整えておくことが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、契約書の管理・保存における課題・負担【契約書の種類・書き方に関する調査データ】(回答者:契約書の管理業務経験者416名、集計期間:2026年2月実施)
契約期間は「終わり方」まで考えて設定しよう
契約期間は、単なる「期間」ではなく、お互いの拘束期間を決める重要なルールです。
- 書き方:具体的な日付(〇年〇月〇日)で指定するのがベスト。
- 自動更新:解約通知の期限(デッドライン)をカレンダーに入れて管理する。
- 満了後:賃貸や雇用は法律による保護(法定更新など)がある点に注意。
契約書を作る際やチェックする際は、「いつからいつまでか」「どうすれば終われるか」を必ず確認し、意図しない更新や終了を防ぎましょう。
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使える「契約書のひな形(テンプレート)パック」をご用意しています。
総務・法務担当者など、契約関連の業務がある方に、多くダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご活用ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
- # 契約書の種類・書き方
借家権譲渡契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
借家権譲渡契約書は、賃貸物件を借りている人が賃借権を第三者に譲渡する際に締結する契約書です。 この記事では借家権譲渡契約書の意味や書き方について、ひな形も交えて見ていきましょう。ま…
詳しくみる - # 契約書の種類・書き方
土地建物贈与契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
土地建物贈与契約書とは、土地や建物を贈与する際に作成する契約書のことです。土地建物贈与契約を締結する具体例として、会社の役員が自社に不動産を提供するケースが挙げられます。 土地建物…
詳しくみる - # 契約書の種類・書き方
遺言書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
遺言書は、人の最期の意思を示すために作成する文書です。 遺産の分配方法や取得割合を指定するなど、円滑な遺産承継を実現するための重要なツールとして役に立ちます。上手く使えば相続トラブ…
詳しくみる - # 契約書の種類・書き方
相続財産等承継業務委託契約とは?契約書の見方や例文・テンプレートを紹介
「相続財産等承継業務委託契約」は、相続財産の管理から相続人などへの承継手続きを、第三者へ委託するときに交わす契約のことです。 トラブルの予防と円滑な手続きを目指すうえで、重要な役割…
詳しくみる - # 契約書の種類・書き方
秘密保持契約書(NDA)には反社条項が必要?
企業間で機密情報を共有する際に締結される「秘密保持契約書(NDA)」。情報漏洩を防ぐための重要な契約ですが、近年、このNDAにも「反社会的勢力排除条項(反社条項、暴排条項)」を盛り…
詳しくみる - # 契約書の種類・書き方
土地売買契約書(連帯保証人つき)とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
土地売買契約書(連帯保証人つき)とは土地を売る人と購入する人、連帯保証人の三者が締結する契約書です。この記事では保証人付土地売買契約の意味、通常の土地売買契約との違いや締結するケー…
詳しくみる





