- 作成日 : 2025年3月3日
説明同意書とは?効力や書き方・例文(無料テンプレート)
説明同意書とは「インフォームド・コンセント」とも呼ばれ、医師等が検査や治療の内容、処方される薬について十分な説明をし、患者が内容を理解して納得した上で署名を行う書類です。患者の意思を尊重し、信頼関係のもとで適切な治療を行うために作成します。
本記事では、説明同意書の目的や交わすケース、記載内容や書き方を解説します。
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目次
説明同意書とは?
説明同意書とは、患者が医師や薬剤師から診療内容や処方される薬について十分な説明を受け、その内容に同意したことを確認する書類です。「インフォームド・コンセント(informed consent)」とも呼ばれます。
ここでは、説明同意書の必要性と、承諾書との違いを解説します。
説明同意書はなぜ必要か
説明同意書の提出を求める目的は、患者が病気や治療について説明を受ける権利と治療を選択する自由を保障することにあります。さらに、治療や薬の必要性を理解して積極的に治療に参加できるようにすることも目的のひとつです。
また、説明をして理解を得ることにより、医師や薬剤師とのコミュニケーションを円滑にする目的もあります。お互いの信頼関係を築くことで患者は治療への不安をなくし、治療効果を高めることも期待できます。
同意書と承諾書の違い
同意書と似ている文書に「承諾書」があります。いずれも契約の一方の当事者が他方に対して提出するという点で共通する文書です。どちらも、提出者の同意を明確にすることを目的としています。
同意書も承諾書も意味は同じですが、どちらの名称を使うかは、法令や契約の内容により変わります。
法令や契約において賛成の意思を示す「同意」が必要とされている場合には「同意書」を作成し、引き受ける意思を表す「承諾」が必要とされている場合には「承諾書」を作成するのが一般的です。
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説明同意書を交わすケース
説明同意書を交わすケースは、主に次のようなシーンです。
- 身体に負担を与える医療行為やハイリスクな医療行為を行う場合
- 重い副作用の可能性がある注射や処方、薬を使用する場合
- 入院中の診療・リハビリ計画を行う場合
- 退院に向けた指導などを行う場合
- 病名を告知することで本人がショックを受けることが予想される場合
- 患者に病気の自覚がない場合
医療行為の必要性や内容、治療期間、危険性・副作用、予測される結果などを説明することで患者に検査・治療等の選択の機会を提示します。
口頭での説明と同時にその内容を文書で明示し、病院と患者側の双方で確認・保管できるようにしなければなりません。
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説明同意書に記載すべき内容や書き方
説明同意書には、主に次の項目を記載します。
- 説明事項
- 同意事項
- 免責事項
説明同意書では、医師等が患者に口頭で説明する内容と同じものを、具体的に記載します。説明内容と同意事項、病院側の免責事項を記載しておくことで、患者への説明がしっかり行われ、治療への同意を得られたことを証明できます。
それぞれの記載内容について、詳しくみていきましょう。
説明事項
説明事項は、医師等から説明を受けた内容を記載する項目です。たとえば、手術の説明をする場合は、次の内容を記載します。
- 病名
- 手術の必要性
- 手術内容
- 手術後に期待される効果
- 手術後に起こり得る副作用、リスク
- 手術をしなかった場合に予期される症状
- 手術費用
詳細な説明内容を項目別に記載し、口頭での説明と相違がないように注意しなければなりません。
同意事項
患者が同意すべき事項を記載します。患者は項目の内容を確認し、同意できれば書類に署名を行います。
手術を例にした同意事項の一例は、次のとおりです。
- 医師及びスタッフの指示に従い、手術を受けること
- 手術を中止すべき症状や事情があると判断した場合、手術を提供できないこと
- 個人情報は、手術を行うために必要な範囲で使用されるほか、プライバシーポリシーに定める利用目的に従って利用されることがあること
- 同意書の内容に違反した場合、手術が中止される場合があること
免責事項
免責事項は、一定の事態が発生した場合、医療機関側が免責される事項を記載します。
手術を例にした免責事項の一例は、次のとおりです。
- 手術中に負傷や疾病などが発生した場合、関係者に故意または重大な過失がないかぎり、一切の責任を負わないこと
- 手術中に発生した盗難や紛失について、一切の責任を負わないこと
- 手術料金の返金は、いかなる理由でもできないこと
説明同意書を作成する際の注意点
説明同意書は、できる限り専門用語や難しい言葉を避け、わかりやすい文章で記載することが大切です。また、説明同意書が成立するためには、一定の要件を満たさなければなりません。
成立条件を満たすこと
説明同意書を取得する際は、次の要件を満たすことが必要です。
- 患者に同意能力があること
- 適切な説明がなされたこと
- 患者がその説明を理解すること
- 患者が自発的に同意すること
これらの要件を満たさない場合、説明同意書を取得することはできません。事情に応じて、個別の対応が求められます。
説明同意書の取得が困難な場合
成立要件を満たさず、説明同意書の取得が困難な場合として、次のようなケースがあげられます。
- 未成年
- 意思の疎通ができない
- 精神疾患がある
- 救急の場合
注射を嫌がる幼児など治療を拒否する未成年の場合、保護者の同意のもとに治療が行われます。
意識障害や認知症などで意思の疎通ができない場合や、精神疾患で説明の理解や同意が難しい場合は、家族など代理人の同意を得て治療が行われるのが一般的です。
生命の危険がある状態などの緊急事態で説明する時間の余裕がない場合は、治療を優先させ、治療後に説明を行うこともあります。
説明同意書の保管期間、保管方法
説明同意書は、原本を病院で保管し、コピーを患者へ渡すのが一般的です。病院では基本的にカルテと一緒に保管しますが、カルテの保存期間は紙でも電子でも5年と定められています。そのため、説明同意書の保存期間も5年と考えてよいでしょう。
5年は「完結日から5年」である点に注意が必要です。診療を開始したときからではなく、一連の診療が完了した日とされています。
診療の完了をいつにするかの判断は難しく、永久保存を求める声もあります。また、医療事故による損害賠償請求の消滅時効が最長20年であるため、医療機関によっては20年間、あるいはそれ以上の期間にわたり保存するケースも少なくありません。
説明同意書の電子化は可能?
説明同意書は電子化が可能です。患者から署名をもらった同意書を複合機やスキャナーなどでスキャンし、電子データにして保存できます。
カルテを電子化している病院では、同意書をスキャンしたのち、電子カルテに取り込んで患者ごとのファイルに保管することになるでしょう。
ただし、電子化した説明同意書は紙の原本が存在するため、電子カルテに保存しても原紙とは認められません。 そのため、同意書の原紙は別に保管しておく必要があります。
説明同意書の目的を理解しよう
説明同意書は、患者が医師等から診療内容などについて十分な説明を受けて理解し、患者自身の意思で同意するために作成します。適法に成立するためには、患者に同意能力があることが前提です。
説明同意書の作成は、医師等と患者のコミュニケーションにより信頼関係を築き、適切な医療の遂行と治療結果を達成するためにも大切です。
説明同意書には口頭での説明内容と同じ説明事項を具体的に記載し、同意事項と免責事項を記載します。患者が内容を十分に理解できるよう、専門用語を避けてわかりやすく記載することが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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