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創業期の事業を「早く」「大きく」する『財務』のチカラ 1.会社を救う「財務」って、何!?

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起業家は、「財務」を知ることで、もっと事業を発展させることができます。このブログでは、起業家が創業期からもつべき「財務」の視点・考え方について、シリーズでお伝えしていきます。
第1回目の今回は、「財務」とは何か。なぜ、「財務」が起業家にとって必要なのかについてお伝えしていきます。(執筆者:税理士・公認会計士 萩口義治)

立ち上げた事業を「早く」「大きく」する「財務」の力

私は、「創業支援に特化」した「資金調達に強い」会計事務所を運営しております。これまでに数百社もの起業家が皆、人生をかけて起業した事業を支援してまいりました。その中で、成功していく事業も数多くありますが、中には途中で事業継続が困難になってしまう事業もあります。

数々の起業支援の経験の中で、私は、起業した事業を成功させるために必要なものは、以下の4つであると整理しています。

① 価値のある商品・サービス
② ビジネスモデル
③ マーケティング
④ 財務

① 価値のある商品・サービス

起業においては、まず売るものがないと始まりませんので、起業において①価値のある商品・サービスが必要であるということは自明であると考えます。でも実はこれがイマイチ「価値がない」状況で起業というトレンドや、起業塾のようなところで無理矢理起業を促されて、①が十分に「価値のある」状況になっていないのに、起業される事業が散見されます。このようなケースはうまくいかないことがほとんどです。起業の大前提になる部分ですので、この点は慎重に判断してください。

② ビジネスモデル

ここでは、その商品の販売方法と提供方法のことです。販売方法とは、ターゲット、販路(新規・リピート)、販売単価、想定販売数量というようなことも含まれます。また提供方法とは、自社でのリソース・活動、提携先、提供コストなどのことです。

③ マーケティング

マーケティングと言っているのは、その商品・サービスの販路のことです。ビジネスモデルの一部ともいえますが、より詳細に、売り上げをどのように作っていくのか、集客から販売するまでの流れ、さらにリピートさせたり紹介を得るまでのプロセスの全体像のことをいいます。

このように上記の①②③のような要素がしっかりしていれば、事業はうまくいきそうです。しかし、④の財務がないと、少なくとも以下のようなことが起こり得ます。

【財務がないと起こる問題】

  • いい事業だが、最初の事業投資資金が不足しており、開業までたどり着かない。
  • 当初見込んでいたほどうまくいかず、いくつかのトラブルが起こると、事業資金が底をつき、継続不可能になる。
  • 食べていけるようなレベルの事業になるが、追加の事業投資を実行するまでの財源は生み出せず、事業の成長が遅くなる。

④ 財務

そこで、④の財務が必要となります。財務という言葉を知らない人はいないと思いますが、その意味を説明できる人は少ないのではないでしょうか。そのくらい曖昧であり、抽象的に存在している言葉なのではないかと実感しております。そんな財務という言葉を私は敢えて、短く具体的に定義させていただいています。

「財務」とは、事業資金の調達と運用のことである。

短いですが、これで十分です。少なくとも、私のブログシリーズにおいては、そのような定義に基づいてお話を進めさせていただきます。
(※運用というと、金融商品などへの「資産運用」を連想する場合がありますが、ここでは、事業投資をする(人を雇ったり、設備を買ったり、外部委託したりして、事業の成長を促進させようとする)ことを意味します。)
ここで、財務とは、事業資金にかかわる話であると定義づけましたが、起業したての事業にとって、「事業資金」は、以下の2つの意義を有しています。

【事業資金の意義】

  1. 事業資金が尽きると事業が開業できない、継続できないという意味で、「事業を実施するための必要条件」としての意義
  2. 事業成長を促進するための「事業投資の源泉」としての意義

1の意義からすると、起業家は、事業資金を開業のために必要な分に加えて、その後事業資金が尽きないように運転していくのに必要な分を「調達」しなくてはなりません。また、事業資金を「運用」することによって、事業資金がどんどん入ってくる事業を作り上げなくてはなりません。
また、2の意義からすると、起業家は、事業成長を促進するために、事業資金を「運用」して(使って)いかなくてはなりません。また、「運用」しつつも事業資金が尽きないように「調達」しなくてはなりません。

すなわち、起業家は、「財務=調達と運用」の力によって、事業資金の調達と運用を効果的に行うことができることで、事業を「継続させ」「より早く」「より大きく」することが可能となるのです。

調達について
~起業のための最初の課題「創業時の資金調達」

事業資金には、調達と運用という両面があり、起業家はその両面をうまく行っていく必要があると述べましたが、起業当初においては、潤沢な資金が最初からあるというのはとても稀です。
ですから、最初は、限りある自己資金に加えて、何らかの資金の「調達」を考えることになるのが通常です。
起業当初の資金の「調達」方法としては、以下の選択肢が挙げられます。

 

  • 出資
  • 融資
  • 補助金
  • 助成金
  • リース
  • クラウドファンディング

 

これらの資金調達には、それぞれ一長一短があり、事業内容や自己資金の状況、タイミングなどによって、適切な資金調達方法を選択していく必要があります。

また、財務的には、これ以外に

 

  • 内部留保

 

も資金調達の一種に含めます。内部留保とは、簡単にいうと、「利益のうち、会社に残す部分」のことをいいます。一般的には、税引前の利益から、税金・株主への配当・役員賞与などを控除したものを内部留保といいます。
内部留保によって会社に利益を残していくことによって、会社の財務体質は改善し、金融機関や投資家から信頼される事業になっていきます。金融機関や投資家からの信頼の増幅は、会社の資金調達力をより高めることにつながります。

より起業家の意思決定ベースで考え、
「税引前利益=売上-事業投資」というふうに少し強引に前提すると、

内部留保=売上-事業投資-税金-役員への配分-株主への配分

として捉えていただくと、内部留保について考えるということは、事業資金の運用としての「事業投資」、「役員への配分」、「株主への配分」を考えるということになります。
すなわち、内部留保は、運用の結果として、決まる調達であるということになります。

運用について
~「儲かったから投資する」のではなくて、「先に投資」しなくては儲からない

起業当初から大きくならない会社の社長の口癖は、「儲かってないから、新しいことにお金が使えない」というものです。
資本主義が、「お金を投資して、お金を増やす」という原理から成り立っているものだとすれば、事業を大きくするにも、「事業投資」つまり、人を雇ったり、広告を出したり、設備投資をしたりして運用する(=お金を使う)ことが必要になります。
そしてその事業投資の成果として、会社の売上が上がったり、効率化によってコストが削減されたりした結果、事業投資以前よりもキャッシュがたくさん入ってくるという状況を作りたいわけです。

そしてその事業投資のための資金は、儲かって得たそのお金の一部を使えるのが理想ですが、起業当初はそういうわけにはいきません。起業当初は、特に「先に投資」することが必要で、投資の結果として「受注やリソース」を獲得し、儲かる事業の構築を促進することが必要です。

ですから、「儲かるより前に投資する」という壁をクリアしなくてはなりません。儲かるより前ですから、すなわち「儲かるより前に、先に調達して、その資金で投資する」ということになります。

しかし当然ながら、投資したからと言って、必ず儲かる保証はありません。ですから起業家は、「運用」についてもその順番や、その投資と回収について、うまくやらなくてはなりません。

起業当初の財務で、会社の運命が大きく変わる

事業は事業資金がなくなった時点で継続が不可能になります。ですから起業家である以上、事業資金をいかに調達するかについて、事業資金をどのようなペース・順番で使っていけばいいのかについて、知識や感覚を持っているということが重要であることは明白だと思います。

しかし、一方で、このような「財務=調達と運用」の知識をある程度であっても勉強しているとか、理解しているという起業家がどれほどいるでしょうか。創業支援に特化し、創業経営者を数多く支援する中で、これらのことについてある程度であっても知識があるという起業家は非常に少ないと感じています。

というのも、起業家に「財務」を正しく教えてくれる専門家がどれだけいるのかといえば、それがほとんどいないというのが現実であるということも言えるのではないかと思います。

起業当初、最初のお金の専門家として税理士に相談することも多いかと思います。
税理士は「税務」のプロであり、「財務」や「経営」のプロではない。ということは明確に知っておいた方がよいです。なぜなら税理士という資格は、「税法」と「簿記」の勉強をして取得する資格であって、「財務」「経営」の知識は一切関係なく取得できる資格です。

私のところに税理士を変更したいということで相談にいらっしゃる事業家の皆様をみていると、税理士から節税などの「税務最適」を勧められて実践してきたことが、事業成長を妨げているケースがよくあります。税務は、財務の一構成要素です。そして「税務最適」は、「財務最適」や「経営最適」とは一致せず、財務・経営的にはマイナスになることも多いのです。

まずは税理士に対する過度の期待を持たないこと、盲目的に税理士のいうことを信じるのではなく、自身の事業を大きくしていくことに有益なアドバイスをくれる税理士なのかどうかを見極めましょう。そして、どのような税理士に依頼するのか、税理士に何を期待するのか、それを決めるのは起業家の皆様の責任です。

まとめ

  1. 財務とは、事業資金の「調達」と「運用」のことをいい、
  2. 事業資金は事業継続の前提となり、事業投資の源泉となるものであるから、起業家にとって、その「調達」と「運用」を意味する「財務」は、必要不可欠なものである。
  3. 「財務」を身につけることで、起業家は、事業を「早く」「大きく」することができる。

私はこの「財務」の考え方をしっかりと起業家に伝えたいと思いながら、日々の事業を行っています。「財務」があれば、開業できる事業は増えます。継続できる事業も増えます。もっと拡大できる事業が増えます。そして、ひいては起業家の皆様の頑張りが、世の中を便利にし、世の中の需要と雇用を生み出し、日本や世界の人々を豊かにすることができると考えております。
そのために、私たちは起業家の皆様に「財務」の考え方を伝えていくことが使命だと思っております。このブログもその活動の一環として考えており、このブログが起業家の皆様にとって、「財務」と出会い、「財務」の力を事業存続・事業成長に生かしていただける一助となれば、大変嬉しいです。

この記事の執筆者

株式会社HG&カンパニー / はぎぐち公認会計士・税理士事務所 萩口 義治

株式会社HG&カンパニー / はぎぐち公認会計士・税理士事務所
萩口 義治(はぎぐち よしはる)氏

事務所の紹介 (http://hgand.co.jp)
中小企業から上場企業まで支援するキャリアを経て、大きくなる事業に必要なものは「財務」であるという。「税務」最適は経営最適と一致しないことが多く、税務だけでなく、財務・経営の視点から起業家の事業成長を支援することをミッションとする。

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