• 更新日 : 2025年4月18日

住民税が引かれてない5つの理由とは?住民税でよくある質問と回答を紹介

住民税が給与から引かれてない場合、あとから請求が来るのではないか、脱税になるのではないかと不安になります。

しかし多くの場合は自治体から納付書が送られてくるため、納付書に記載された期限までに支払えば問題ありません。

住民税が給与からなぜ引かれてないのか、また住民税の支払い方法について解説します。

住民税が引かれてない5つの理由

住民税は、企業や職場から受け取る給与から天引きされて支払われるのが原則です。そのため給与明細に住民税の記載がないと、あとから請求が来るのか、知らないうちに脱税になっているのではないかと不安を感じる人もいるでしょう。住民税が引かれてない理由は複数考えられるため、自身に当てはまる理由を探してみてください。

理由1:特別徴収を行っていないため

住民税が給与から天引きされないおもな理由のひとつは、職場が「特別徴収」を行っていないことが挙げられます。特別徴収は、給与支払者である職場が従業員の給与から住民税を天引きし、そのまま納付する方式です。特別徴収によって、従業員は自ら住民税を納付する必要がなくなります。

複数人の従業員を抱える職場や企業では、原則、特別徴収により住民税を納めなければなりません。そのため住民税が引かれていない理由としては、自身が住民税の非課税世帯に該当したり、受け取る給与が少額だったりなど、ほかの理由が考えられます。

住民税非課税世帯でない場合は、住民税を別途支払う必要があることを念頭に置いておく必要があります。自治体から納付書が送られた際は、必ず中身を確認のうえ自身で支払いましょう。

理由2:給与の支払いが不定期または少額のため

企業や職場からの給与の支払いが不定期または少額である場合、特別徴収により住民税が引かれてない場合があります。

たとえばアルバイトやパートタイム勤務の場合、給与額が毎月一定ではなく、大きく変動するケースもあります。また、給与が不定期で支払われることもあるでしょう。給与の支払いが一定でない場合は給与額が月ごとに異なるため、月によっては給与額が住民税額を下回ることが想定されます。すると、毎月の給与から特別徴収を実施するのが困難となる可能性があります。

また給与の金額が極めて少額である場合は、住民税の天引きが現実的ではありません。

理由3:退職者または退職予定者のため

住民税は原則、企業や職場により特別徴収で支払われますが、退職する場合は住民税の残額を最後の給与や退職金から天引きして一括で納められます。退職する際、一括での支払いを選択しなかった場合は、最後の給与や退職金から天引きされていない場合があるのです。

また退職月の給与が、一括で支払う場合の住民税額を下回っていた場合、一括徴収での納付が不可能です。給与からの天引きは行われず普通徴収に切り替わったのち、自身で納める必要があります。

理由4:前職場と転職先とで空白期間があるため

前職と転職先の間に空白期間があると、転職直後は普通徴収から特別徴収への切り替えが間に合わず、転職先の給与から住民税が引かれてない場合があります。

たとえば、前職を退職してから次の職場に入るまでに数ヶ月間の空白が生じると、退職時に一括徴収されていない分の支払い方法は普通徴収です。転職先で特別徴収が開始されるまでに納付期限が到来する住民税は特別徴収ができないため、自分で納付する必要があります。

理由5:本年度の住民税が非課税のため

前年の所得に対して住民税が発生しない場合は、本年の給与から住民税は引かれません。住民税は前年の所得にもとづいて計算されるため、前年の収入が一定の基準を下回っている場合、住民税は非課税となります。

たとえば、前年の合計所得金額が市町村によって定められた非課税限度額、一般的には年間所得が100万円以下の場合、住民税は発生しません。とくに学生やアルバイト、主婦などは非課税となることがほとんどです。

また住民税額が発生したものの、ふるさと納税住宅ローン控除により住民税額がゼロとなる場合も、特別徴収の対象外となります。

住民税が非課税になる条件

住民税は、前年の1月1日から12月31日までの間に一定以上の所得がある場合に課税されます。具体的には、所得金額が区市町村の条例で定められた金額を超えると、住民税の納税義務が生じるのです。なお住民税が非課税になる条件は以下のとおりであり、以下に該当しない人は、住民税を支払います。

【住民税が非課税になる条件】【補足】
本年の1月1日現在で、生活保護法による生活扶助を受けている
障害者・未成年者・ひとり親・寡婦(夫)の人で、前年の合計所得が135万円以下
  • 給与収入なら204万4千円未満、令和2年度までは125万円以下
  • 35万円×(本人+被扶養者の人数)+21万円(21万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円(令和3年度から加算)
前年の収入が一定金額より少ない人
  • 合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)
  • アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下
  • 不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)
【所得割のみ非課税になる場合】【補足】
前年の収入が一定金額より少ない人35万円×(本人+被扶養者の人数)+32万円(32万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円(令和3年度から加算)

新卒の社会人など、前年の所得がない場合は初年度の納税義務がありません。ただし2年目からは住民税を支払う必要が生じるため注意が必要です。

そのほか育児休業中といった、特別な状況における住民税または社会保険料の支払いについて、以下の記事で解説していますので、あわせてお読みください。

住民税の支払い方法

住民税を支払う方法は、特別徴収と普通徴収の2種類があり、納税者の状況により選択すべき支払い方法が異なります。双方の支払い方法の違いについて把握し、自身がどちらに当てはまるのかを理解しましょう。

特別徴収

住民税の特別徴収とは、従業員が納めるべき住民税を企業や職場の給与から天引きし、勤務先が本人の代わりに納付する仕組みです。

特別徴収は、前年の所得をもとに計算された住民税が、給与から毎月引かれる形で納付されます。そのため特別徴収は通常、6月から翌年の5月までの期間にわたり毎月の給与から一定額を控除して行われます。

従業員にとっては納税の手間が省け、納付忘れのリスクが軽減できるでしょう。

住民税の特別徴収については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。

普通徴収

住民税の普通徴収とは、納税者が自ら住民税を直接納付する方式です。普通徴収は、おもに給与所得以外の収入をもつ個人事業主やフリーランス、退職後の無職者などが対象です。

住民税は前年の所得にもとづいて課税されるため、現在収入がない場合でも、前年に一定の収入があれば住民税を納付する必要があります。普通徴収は、地方自治体から送付される納税通知書をもとに、納税者が金融機関やコンビニなどで現金で納付する方法が一般的です。

普通徴収は6月末・8月末・10月末・翌年1月末の4期に分けて納付しますが、一括納付も可能です。また普通徴収では自分で納税管理を行うため、納付漏れや滞納のリスクもあります。

住民税をクレジットカードで支払う方法や、特別徴収と普通徴収の違いについて、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。

住民税の金額が決まる仕組み

住民税の金額は、おもに前年の所得をもとに計算される「所得割額」と、一定額が課せられる「均等割額」で成り立っています。

  • 所得金額 – 所得控除額 = 課税所得金額
  • 課税所得金額 × 税率10% – 税額控除額 = 所得割額
  • 所得割額 + 均等割4,000円+森林環境税1,000円 = 住民税額

    まず、前年の「課税所得金額」を算出します。課税所得金額は前年の所得金額から所得控除額を引いた額です。次に、課税所得金額に対して所得割の税率(通常10%)を掛け算し、税額控除を行った金額が所得割額です。

    加えてすべての納税者に均等割が適用され、所得割額に加算されます。均等割は、地域ごとに定められた一定額(原則税率では4,000円に加え、2024年6月より森林環境税(国税)が1,000円)加算された金額が住民税額になります。

    住民税についてよくある4つの質問

    住民税はやや複雑な計算方式や仕組みのもと取り決められているため、ケースから外れる人もいるでしょう。また、住民税の支払いはできるだけ少額にしたいものです。住民税について、よくある質問や疑問に対しての回答をまとめました。住民税において不明点がある人は、ぜひ参考にしてください。

    Q1.給与から住民税が天引きされているのに自宅に納税通知書が届くのはなぜ?

    A1.

    給与から住民税が天引きされている場合でも、自宅に納税通知書が郵送されることがあります。

    給与所得について特別徴収されている場合でも、主たる給与以外の所得があり、かつ確定申告において特別徴収を選択していない場合は、主たる給与以外の所得にかかる税額は普通徴収で納めます。そのため、納税通知書が送付されるのです。

    また退職や転職などで状況が変わった場合、すでに納期を過ぎている住民税は特別徴収できないため、再度納付書が届くことがあります。

    Q2.ふるさと納税を利用すれば住民税額を減らせる?

    A2.

    ふるさと納税は、特定の自治体に寄付をすることで、寄付額に応じた所得税および住民税の控除が受けられる制度です。

    具体的には、ふるさと納税を通じて支払った寄付金が、翌年度の所得税と住民税から控除される仕組みです。控除額は、寄付額から2,000円を引いた額であり、住民税の場合はふるさと納税を行った翌年度から控除されます。

    寄付先の自治体から特産品などのお礼がもらえることが魅力のひとつとされており、利用者が増えています。またふるさと納税は、税金対策に加え、地域活性化につながる社会貢献としても注目されており、人気の制度です。

    Q3.都心より地方へ住んだほうが住民税は安い?

    A3.

    住民税の金額は、おもに前年度の所得金額により決定されるため、住む場所が異なっても住民税の金額はそれほど大きく変化がありません。

    ただし、地域によっては「均等割」の金額が高い場所や低い場所があります。都心では公共サービスやインフラが整備されており、維持管理費用が高いため、高く設定されている傾向にあるでしょう。

    地方でも、居住者数が少なく税収が限られているため、均等割りの金額が高く設定されている場合があり、場所によっては超過課税が設けられているところもあります。

    また、地方環境税など環境保全や環境負担の抑止を目的とした税金が徴収される場合もあります。

    h3:Q4.職場で副業がバレる理由のひとつに住民税の支払いがあるのはなぜ?

    A4.

    住民税は、前年の所得にもとづいて計算され、職場が本人に代わって自治体に納めます。

    副業をしている場合、課税所得が増えるため住民税の金額が変化します。住民税の金額が大幅に増加することで、職場は納税額の変化を通じて副業を把握できる場合があるためです。

    そのため住民税の支払いは、職場で副業がバレる要因のひとつとされています。

    住民税が引かれていなくても送られてくる納付書で支払えます

    住民税は、通常であれば特別徴収により給与から天引きされて支払われます。

    給与から引かれてない場合、住民税非課税世帯に該当していなければ、自治体から納付書が送られてくるため、期限までに支払えば問題ありません。

    ただし、自身の住民税の支払い方法や金額は常に把握し、意図せず納付漏れとならないよう注意が必要です。


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