- 更新日 : 2025年12月19日
住宅借入金等特別控除申告書はいつ届く?時期と届かない場合の対応
「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」が届く時期は、控除1年目と2年目以降で異なります。1年目は確定申告のため届かず、2年目以降は初年度の確定申告後の10月下旬頃に税務署からまとめて郵送されます。
年末調整の時期が近づくと、従業員から「申告書がいつ届くのか」「まだ届かない」といった問い合わせもあるのではないでしょうか。
この記事では、住宅借入金等特別控除申告書がいつ届くのか、1年目と2年目以降のパターン、届かない場合の問い合わせ先や再発行の方法を解説します。
目次
住宅借入金等特別控除申告書とは?
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」とは、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を、2年目以降に勤務先の年末調整で受けるために必要な書類です。
税務署が「あなたはこの条件で控除が受けられます」と証明する「控除証明書」の部分と、従業員自身がその年の年末残高や控除額を記入する「申告書」の部分が一体となった様式になっています。
年末調整の控除に必須の書類
住宅ローン控除は、初年度はご自身で確定申告が必要ですが、2年目以降は会社の年末調整で手続きができます。その年末調整の際に、従業員が会社に提出する書類が、この「住宅借入金等特別控除申告書」です。
年末残高等証明書との違い
年末調整の時期には、もう一つ「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」という書類も必要になります。この違いを理解しておきましょう。
| 書類名 | 住宅借入金等特別控除申告書(本記事のテーマ) | 年末残高等証明書 |
|---|---|---|
| 届く時期 | 2年目以降の10月下旬頃(残り年数分がまとめて) | 毎年10月中旬~下旬頃(その年分のみ) |
| 送付元 | 税務署 | 金融機関(住宅ローンを借りている銀行など) |
| 用途 | 控除の申告・証明 | 年末時点のローン残高の証明 |
年末調整では、従業員はこの両方の書類を会社に提出する必要があります。
【1年目】住宅ローン控除の申告書はいつ届く?
住宅ローン控除を初めて受ける1年目は、税務署から「住宅借入金等特別控除申告書」は郵送されません。
初年度は、従業員本人が必要な書類をそろえ、ご自身で確定申告を行う必要があります。これは、住宅の面積、所得、居住開始日など、控除を受けるための要件を満たしているかを税務署が詳細に確認するためです。
1年目は確定申告が必須
人事担当者は、従業員から「1年目だが申告書が届かない」と相談された場合、「1年目は年末調整では手続きできず、ご自身で確定申告が必要です」と案内しましょう。確定申告の期間は、原則として入居した翌年の2月16日から3月15日です。
申告書(計算明細書など)はどこで入手する
確定申告に必要な申告書や「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」といった書類は、以下の方法で入手します。
1. 国税庁のホームページからダウンロードする
参照:令和6年分(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書|国税庁
参照:マイホームを持ったとき|国税庁
2. 国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」で入力する
「確定申告書等作成コーナー」で画面の案内に沿って入力すれば、自動計算され申告書一式を印刷できます。
参照: 確定申告書等作成コーナー|国税庁
3. 税務署の窓口で用紙を受け取る
所轄の税務署の窓口で、確定申告用の用紙一式を受け取ることもできます。
4. e-Taxで電子申告する
マイナンバーカードなどがあれば、e-Taxを利用してオンラインで申告を完結できます。この場合、紙の申告書を入手する必要はありません。
【2年目以降】住宅借入金等特別控除申告書はいつ届く?
2年目以降は、初年度の確定申告を行った年の10月下旬頃に、所轄の税務署から従業員の自宅宛に届きます。
初年度の確定申告が受理されると、税務署はその内容に基づき、2年目以降に年末調整で使うための「住宅借入金等特別控除申告書」を作成し、発送します。
10月下旬頃に残り年数分がまとめて届く
この申告書は、その年1年分だけが届くのではありません。控除を受けられる残りの期間分(たとえば控除期間が10年なら残り9年分、13年なら残り12年分)が、まとめて一つの束(冊子状)になって郵送されます。
送付元は、従業員(納税者)の住所地を管轄する税務署です。封筒には税務署の名称が記載されています。
従業員は、これを毎年1枚ずつ使用していくため、紛失しないよう大切に保管しておく必要があります。
住宅借入金等特別控除申告書が届かない場合の問い合わせは?
2年目以降で、10月下旬を過ぎても申告書が届かない場合は、まず紛失していないか確認し、見当たらない場合は従業員本人が所轄の税務署に問い合わせる必要があります。
勤務先(会社)では発行や発送状況の確認はできません。
年末調整の時期が迫った11月になっても「申告書が届かない」という相談は少なくありません。その場合は、「お住まいの地域を管轄する税務署に、ご本人から連絡してください」と案内しましょう。
届かない(紛失した)場合の再発行手続き
届かない理由が、単なる郵送の遅れではなく、紛失や前年の確定申告の不備などの可能性もあります。紛失した場合、以下の方法で再発行を申請できます。
- 税務署に「交付申請書」を提出する
「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を国税庁のサイトからダウンロードし、必要事項を記入して税務署に郵送または窓口で提出します。 - e-Taxでダウンロードする
マイナンバーカードなどをお持ちであれば、e-Taxのシステムを利用して、申告書(控除証明書)のデータを電子ファイル(PDF)でダウンロードすることも可能です。
参照:QRコード付証明書等作成システムについて|e-Tax 国税電子申告・納税システム
即日再発行は可能か
税務署の窓口で直接「交付申請書」を提出した場合、窓口の混雑状況などにもよりますが、本人確認ができればその場で(即日)再発行を受けられることもあります。ただし、郵送での申請・受領が基本となるため、時間がかかることを見越して早めの手続きを促しましょう。
e-Taxやマイナポータル連携の場合はいつ届く?
e-Tax(電子交付)を希望した場合や、マイナポータル連携を利用している場合、紙の申告書は郵送されません。
代わりに、申告書(控除証明書)の情報が電子データ(XML形式)で交付され、オンラインで受け取ることになります。
電子交付(e-Tax)の仕組み
初年度の確定申告をe-Taxで行う際に「控除証明書等の電子交付を希望する」といった選択をすると、2年目以降の申告書は紙で郵送されず、e-Taxのメッセージボックスやマイナポータル連携を通じてデータで交付されます。データが準備される時期は、おおむね紙の発送と同じ10月頃です。
参照: 住宅借入金等特別控除証明書の電子交付について|e-Tax 国税電子申告・納税システム
勤務先(会社)側の対応
従業員から「データで提出したい」と申し出があった場合、会社側が使用している年末調整システムが、国税庁の仕様に準拠したデータ(XMLファイル)の取り込みに対応している必要があります。年末調整の電子化を進めている企業では、紙のやり取りが不要になり、業務効率化が期待できるでしょう。
年末調整担当者が時期に関して注意すべき点は?
住宅借入金等特別控除申告書について、年末調整の担当者として注意すべき点は、従業員が「税務署から届く申告書」と「金融機関から届く年末残高等証明書」の2種類を混同していないか確認することです。
どちらの書類も10月頃に届くため、従業員が「どちらか一方しか届かない」と勘違いしたり、片方を提出し忘れたりするケースはよく見られます。
2種類の書類が届く時期のアナウンス
年末調整の社内案内を行う際は、以下の2点が従業員の手元に届く時期であると周知するのが親切です。
- 税務署から:「住宅借入金等特別控除申告書」(残り年数分)が10月下旬に届く
- 金融機関から:「年末残高等証明書」(その年分)が10月中旬~下旬に届く
そして、年末調整での控除には「両方の書類」が必要であると明確に伝えましょう。
紛失・未着の相談があった場合の案内フロー
従業員から「書類がない」と相談されたら、まず以下のフローで切り分けましょう。
- 1年目か2年目以降かを確認する
1年目 → 確定申告が必要(年末調整不可)と案内する。 - 2年目以降の場合、どちらの書類がないかを確認する
税務署から届く「申告書(複数年分の束)」がない → 所轄の税務署へ再発行を申請するよう促す。金融機関から届く「年末残高等証明書(1枚のハガキなど)」がない → 住宅ローンを契約している金融機関へ再発行を申請するよう促す。
住宅借入金等特別控除申告書がいつ届くかまとめ
給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書が税務署から届くのは、2年目以降の10月下旬頃です。1年目(初年度)は届かず、従業員本人が確定申告を行う必要があります。2年目以降は、初年度の申告内容に基づき、残りの控除期間分の申告書がまとめて郵送されます。
もし11月になっても届かない場合は、紛失の可能性もあるため、所轄の税務署への問い合わせや再発行手続きが必要です。e-Taxで電子交付を選択した場合は紙では届きません。年末調整担当者は、従業員が金融機関からの「年末残高等証明書」と混同しないよう、案内することが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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