- 更新日 : 2025年12月19日
育児休業給付受給資格確認票は誰が書く?書き方や初回・2回目申請を解説
従業員から育児休業の申出があった際、「育児休業給付受給資格確認票」をはじめとする多くの申請書類の手続きが必要になるため、誰が書くのかと迷われるバックオフィス担当者の方も多いのではないでしょうか。
この育児休業給付受給資格確認票は、原則として事業主(会社の人事・総務担当者)が主体となって記入・作成します。もちろん、従業員(被保険者)本人に記入してもらう(または情報を提供してもらう)部分もありますが、申請手続き自体が事業主を通じて行われることになっています。
特に初回の育児休業給付金支給申請書の手続きは、添付書類も多く、期限も決まっているため、担当者にとっては負担が大きく感じることもあるでしょう。
この記事では、育児休業給付受給資格確認票の役割や、誰がどの部分を書くのか、書き方のポイント、初回申請と2回目以降の違いについて、わかりやすく解説します。
目次
育児休業給付受給資格確認票とは?
育児休業給付受給資格確認票とは、育児休業給付金の受給資格があるかを確認し、あわせて初回の支給申請を行うための書類です。
この書類の正式名称は「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」 といいます。育児休業給付金の申請は、育児休業を取得する従業員(被保険者)が、休業中の生活の安定を図るための給付金を受け取るために欠かせない手続きになります。
育児休業給付金制度の概要
育児休業給付金は、雇用保険の被保険者の方が、原則として1歳未満の子を養育するために育児休業(2回まで分割取得可能)を取得した場合に、一定の要件を満たすと支給される給付金です。
また、2025(令和7)年4月1日からは、一定の要件(休業の14日以上の取得や配偶者の状況など)を満たした場合に、「出生後休業支援給付金」が育児休業給付金に上乗せして支給されます。この初回申請も、この様式で同時に行います。
参照:育児休業等給付の内容と支給申請手続 2025(令和7)年8月1日改訂版|厚生労働省
育児休業給付金の主な支給要件は?
育児休業給付金を受け取るには、育児休業を取得することに加えて、いくつかの要件を満たす必要があります。主な要件は以下のとおりです。
- 被保険者期間:
育児休業を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数(出勤日数など)が11日以上ある月が12か月以上ある(ない場合は賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月を含めることができる)こと 。 - 休業中の就業:
支給単位期間(後述します)中の就業日数が10日(10日を超える場合は就業時間数が80時間)以下であること 。 - 賃金制限:
休業中に会社から賃金が支払われる場合、その額が休業開始前の賃金の80%未満であること 。80%以上の賃金が支払われる期間は、給付金は支給されません 。 - 支給期間:
原則として子が1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)の前日までです。ただし、保育所に入所できないなどの特定の理由がある場合は、1歳6か月 、さらに2歳に達する日(2歳の誕生日の前日)の前日まで延長が可能です。
育児休業給付金の支給額はどのくらい?
支給額は、休業開始時の賃金(原則として休業開始前6か月間の総支給額を180で割った「休業開始時賃金日額」)にもとづいて計算されます。
(※支給額には上限があります。)
出生時育児休業給付金との違い
育児休業給付金制度には、主に2種類あり、申請書も異なります。手続きの際は、従業員がどちらの休業を取得するのかを必ず確認しましょう。
- 育児休業給付金:
原則1歳未満の子を養育するための休業(育休)が対象です。この記事で主に取り上げているのはこちらの申請書です。 - 出生時育児休業給付金:
子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として取得する休業(産後パパ育休)が対象です。こちらは「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」という別の様式を使います。
育児休業給付受給資格確認票は、誰が書く?
育児休業給付受給資格確認票は、主に誰が書くのかというと、「事業主(会社)と被保険者本人(従業員)が、それぞれ分担して書く」ことになりますが、記入・作成の中心は事業主(会社の人事・総務担当者)です。
育児休業給付金の支給申請手続きは、原則として事業主を経由してハローワークに行う必要があります(本人の希望で被保険者からの提出も可能) 。
事業主(会社)が記入・証明する項目
事業主は、従業員の雇用情報や賃金に関する内容を証明する責任があり、主に以下の項目を記入します。
| 記入・証明項目 | 備考 |
|---|---|
| 事業所番号 | 雇用保険適用事業所番号 |
| 育児休業開始年月日 | 産休から引き続き休業する場合は記入不要 |
| 被保険者番号 | 雇用保険被保険者証の番号 |
| 事業主証明 | 事業所の所在地・電話番号、名称、事業主名 |
| 就業日数・就業時間・賃金の支払状況 | 支給単位期間ごとの就業日数・時間、支給単位期間中に育児休業期間を対象に支払われた賃金額など |
これらの情報を記入するために、賃金台帳や出勤簿(タイムカード)などの書類を準備する必要があります。
被保険者本人(従業員)が記入・情報提供する項目
被保険者本人には、自身の個人情報や給付金の振込先などに関する情報を提供してもらいます。
| 記入・情報提供項目 | 備考(該当欄や関連情報) |
|---|---|
| 個人番号(マイナンバー) | 被保険者本人の番号 |
| 住所、電話番号 | 被保険者の現住所と連絡先 |
| 払渡希望金融機関指定届 | 被保険者本人名義の振込先口座情報 |
| 申請者氏名 | 被保険者本人が署名または記名押印 |
押印・署名の省略について
被保険者本人の署名・押印は、一定の条件下で省略が認められています。
事業主が申請内容について被保険者本人に確認し、同意を得たことを証明する「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」を作成・保存している場合、申請書の申請者氏名欄への本人の署名や押印を省略できます。その場合、申請者氏名欄には「申請について同意済み」と事業主が記載します。
育児休業給付受給資格確認票の書き方(記入例)は?
育児休業給付受給資格確認票の書き方(記入例)は、厚生労働省の記入例 を参考に、各項目を正確に記入します。特に初回の申請では、休業開始前の賃金額や休業期間の算定を正確に行いましょう。


参照:雇用保険事務手続きの手引き 【第3編】 育児休業等給付・介護休業給付・ 高年齢雇用継続給付編 【令和7年8月版】|厚生労働省
1. 被保険者情報・個人番号(マイナンバー)
- 1. 被保険者番号:雇用保険被保険者証などで確認し、記入します。
- 3. 被保険者氏名:従業員本人の氏名をカタカナと漢字(または平仮名など)で記入します。
- 9. 個人番号:被保険者本人のマイナンバーを記載します。
- 10, 11, 12. 住所・電話番号:被保険者の郵便番号・現住所と連絡先を記入します。
2. 事業所・申請者情報
- 4. 事業所番号:雇用保険適用事業所番号を記入します。
- 事業主証明欄:証明した日付、事業所の所在地、名称、事業主名を記入し、証明します。
- 申請者氏名欄:申請する日付、被保険者本人が氏名を記入します。
3. 休業・口座情報
- 5. 育児休業開始年月日:従業員が育児休業を開始した日付を記入します。
【重要】 女性の被保険者が産後休業(産後8週間)に引き続き育児休業を取得する場合は、この欄の記入は不要です。 - 6. 出産年月日 / 7. 出産予定日:事実にもとづき両方(または判明している方)を記入します。
- 払渡希望金融機関(32, 33欄):
マイナポータルに登録済みの「公金受取口座」の利用を希望する場合は、「32. 公金受取口座利用希望」欄に「1」と記入します。
別の口座を指定する場合は、「33. 金融機関、店舗コード、口座番号」欄に、被保険者本人名義の普通預(貯)金口座の情報を正確に記入します。
4. (初回)支給申請情報(13欄〜20欄)
初回の申請では、原則として育児休業開始日から2か月分(2つの支給単位期間)の情報をまとめて申請します。
- 支給単位期間(13欄、17欄):
「支給単位期間」とは、育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間を指します。記入例のように4月11日に休業を開始した場合、最初の支給単位期間は「5-04-11〜5-05-10」、次は「5-05-11〜5-06-10」となります。 - 就業日数・就業時間(14欄、15欄、18欄、19欄):
各支給単位期間中に就業(一時的な出勤など)した日数や時間を記入します。支給要件(10日または80時間以下)の確認に使われます。記入例では「0」となっています。 - 支払われた賃金額(16欄、20欄):各支給単位期間を対象として支払われた賃金の額を記入します。記入例では「0」となっています。
【注意】 育児休業の期間以外の期間を対象とした賃金(例:休業開始前の労働に対する給与が、休業期間中に支払われた場合など)は、ここに記入する必要はありません 。
5. 備考欄
- 記入例(第2面)にはありませんが、この欄には「賃金締切日」「支払日」「通勤手当」を記入します。これらは賃金月額証明書の内容を確認するためにも使われます。
- また、初回申請で3か月分、4か月分をまとめて申請する場合は、3、4か月目の情報もこの備考欄に記入します。
6. 出生後休業支援給付金関連(28、29、31欄のいずれか:複数記載は不可)
この様式から新たに追加された項目で、主に「出生後休業支援給付金」 の支給要件(配偶者の状況)を確認するために使われます。
- 28. 配偶者の被保険者番号 / 29. 配偶者の育児休業開始年月日
- 配偶者が雇用保険被保険者の場合で、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業を「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に14日以上取得した場合は、28欄に被保険者番号を記入
- 配偶者が公務員(雇用保険被保険者ではない)で、各種法律に基づく育児休業を「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に14日以上取得した場合は、29欄に育児休業開始年月日を記入
- 配偶者が、子の出生日の翌日に配偶者の育児休業を要件としない場合に該当する場合は、その理由(「配偶者がいない」「配偶者が産後休業中」など)を選択して31欄に記入
育児休業給付受給資格確認票はどこでダウンロードできる?
育児休業給付受給資格確認票は、ハローワークのウェブサイトで様式(PDFなど)をダウンロードできます。また、e-Gov(電子申請)も利用可能です。
ハローワークでの入手
事業所の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)の窓口で、申請用紙を直接受け取ることもできます。不明点があれば、その場で質問できるのが利点です。
インターネットでのダウンロード
ハローワークインターネットサービスでは、雇用継続給付(育児休業給付など)に関する各種帳票を提供しています。
参照:育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書|ハローワークインターネットサービス
参照:帳票一覧(雇用継続給付)|ハローワークインターネットサービス
電子申請(e-Gov)の活用
「e-Gov」(電子申請サービス)を利用すれば、紙の書類を提出することなく、オンラインで申請手続きを完結させることが可能です。
なお、資本金の額が1億円を超える法人などの「特定法人」の事業所については、育児休業給付金の申請手続も電子申請が義務化されています。
参照:電子申請のご案内|厚生労働省
参照:電子申請トップ|e-Gov電子申請
育児休業給付受給資格確認票以外に必要な書類は?
初回申請に必要な「育児休業給付受給資格確認票」以外の書類として、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」や、育児の事実を確認できる書類などの提出が必要です。
これらの書類によって、従業員が受給資格を満たしているか(賃金月額証明書)、休業の事実はあるか(育児の事実確認書類)、そして給付金の算定基礎となる賃金額はいくらか(賃金月額証明書)といった点を総合的に確認します。
事業主が準備・作成する書類
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書:
これは、休業開始日の前日(産前産後休業を取得した場合は産休開始日の前日)からさかのぼった6か月間の賃金支払状況などを証明するための書類です。この書類の内容にもとづいて、給付金の1日あたりの支給額(休業開始時賃金日額)が算定されます。 - 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など:
「賃金月額証明書」や「受給資格確認票」に記載した賃金額や就業日数、休業の事実を証明するための添付書類(確認書類)です。
被保険者(従業員)に依頼して準備してもらう書類
- 育児の事実、出産予定日及び出生日を確認できるもの(写し可):
例:母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ、住民票(世帯全員が記載され、続柄がわかるもの)などです。 - (出生後休業支援給付金の申請時)配偶者の状況を確認できる書類:
配偶者が育児休業を取得していることや、産後休業中であることなどを確認するための書類(住民票の写しなど)が必要になる場合があります。 配偶者が公務員で雇用保険の被保険者ではない場合は、育児休業の承認を行った任命権者からの通知書や育児休業手当金の支給決定通知書の写しなど、配偶者の育児休業の取得期間が確認できるものが必要です。
提出期限に注意
これらの初回申請書類一式は、育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までに、事業所の所在地を管轄するハローワークに提出する必要があります。期限を過ぎると受け付けられない場合があるため、早めの準備が肝心です。
2回目以降の申請手続きはどうなる?
2回目以降の申請手続きは、初回申請が無事に受理され、受給資格が確認されると、次回(2回目)以降は少し簡略化されます。
初回申請との主な違いは、「受給資格の確認」が不要になる点です。
交付される申請書を使用する
初回の申請後、ハローワークから「育児休業給付金支給申請書(2回目以降用)」と「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」が交付されます。
2回目以降は、この交付された「育児休業給付金支給申請書」を使用して申請を行います。
申請期限と必要書類
- 申請期限:
ハローワークが指定する支給申請期間内(「次回支給申請日指定通知書」に記載されています)に申請します。原則として2か月に一度の申請となります。 - 必要書類:
育児休業給付金支給申請書(ハローワークから交付されたもの)
賃金台帳、出勤簿(タイムカード)など(申請書の記載内容を確認できるもの)
2回目以降も、申請書の「支払われた賃金額」欄や「就業日数」欄は事業主が正確に記入・証明する必要があります。
育休手続きをスムーズに進める社内連携のコツは?
育休手続きをスムーズに進める社内連携のコツは、育児休業給付金の手続きを円滑に進めるために、人事・総務担当者と従業員本人との早めの情報連携を行うことです。申請には期限があり、従業員本人に用意してもらう書類もあるためです。
1. 従業員からの申出と休業開始日の確定
従業員から「育児休業申出書」などによって育児休業の申出を受けたら、速やかに休業開始日と終了予定日を確定させます。この「休業開始日」が、各種申請書の起算日となります。
2. 必要書類のアナウンス
育休の申出を受けたら、できるだけ早い段階で手続きの全体像を説明しましょう。
- 事業主が作成する書類:
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 - 従業員に準備を依頼する書類:
母子健康手帳の写し(出生届出済証明がわかるページなど)
マイナンバー(個人番号)
本人名義の振込先口座情報など
これらをリストにして明確に伝えることが大切です。
3. スケジュールの共有
「いつまでに何が必要か」を共有します。
- 従業員から会社への書類提出期限:
例:出生後速やかに母子手帳の写しを提出してもらう、など。 - 会社からハローワークへの申請期限:
初回申請:休業開始から4か月以内
4. 2回目以降の手続きの案内
「初回申請が終われば完了ではない」ことも伝えておきましょう。2回目以降も、原則2か月に一度、休業が続く限り申請が必要であること 、その際も賃金台帳などで休業の事実を確認する必要があること をあわせて伝えておくと親切ではないでしょうか。
育児休業給付受給資格確認票は事業主と従業員が連携して作成を
育児休業給付受給資格確認票は、主に事業主(会社)が作成・記入し、従業員本人が申請者として署名(または同意に基づき代筆)する ことで完成します。
この書類は、育児休業給付金の受給資格の確認と初回の支給申請を兼ねており 、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」や母子手帳の写しといった添付書類と共に 、育児休業開始日から4か月以内にハローワークへ提出しなければなりません 。
従業員から育児休業の申出があった際は、「誰が書くか」の役割分担を明確にし、記入例 を参考に必要書類や書き方について早めに情報共有しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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